医薬品情報
総称名 |
サイスタダン |
一般名 |
ベタイン |
欧文一般名 |
Betaine |
製剤名 |
ベタイン製剤 |
薬効分類名 |
ホモシスチン尿症治療剤 |
薬効分類番号 |
3999 |
ATCコード |
A16AA06 |
KEGG DRUG |
|
JAPIC |
添付文書(PDF)
|
この情報は
KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書は
こちらから検索することができます。
添付文書情報2022年1月 作成(承継に伴う作成)(第1版)
販売名 |
欧文商標名 |
製造会社 |
YJコード |
薬価 |
規制区分 |
サイスタダン原末
|
Cystadane |
レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン |
3999035A1028 |
456円/g |
処方箋医薬品注) |
2. 禁忌
4. 効能または効果
5. 効能または効果に関連する注意
5.1 臨床症状及び臨床検査値等により、ホモシスチン尿症(シスタチオニンβ合成酵素(CBS)欠損症、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)欠損症、コバラミン(cbl)補酵素代謝異常)と診断された患者に投与すること。
5.2 本剤は食事療法を含めた十分な栄養管理の下に投与すること。
6. 用法及び用量
通常、ベタインとして11歳以上には1回3g、11歳未満には1回50mg/kgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態、血漿中総ホモシステイン値、血漿中メチオニン値等を参考に適宜増減する。
8. 重要な基本的注意
8.1 定期的に血漿中総ホモシステイン値及び血漿中メチオニン値を測定し、血漿中総ホモシステイン値については可能な限り低く抑えるよう注意し、血漿中メチオニン値については上昇に注意すること。
8.2 本剤投与後に血漿中メチオニン値の上昇(1000〜3000μmol/L:mg/dL換算で約15〜45mg/dLに相当)を伴う脳浮腫が報告されているため、本剤を投与する際には下記の点に注意すること。[
11.1.1参照]
・脳浮腫が疑われる症状(頭痛、嘔吐、視覚異常等)の発現に十分注意し、これらの症状が発現した場合には速やかに診察を受けるように指導すること。
・投与再開により脳浮腫が再発した場合は、本剤の投与を決して行わないこと。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。本剤の動物での生殖発生毒性試験は実施されていない。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。経口投与後の乳汁中への移行については検討されていない。
9.7 小児等
慎重に投与すること。希少疾患のため、国内臨床試験および承認後の小児等の使用実績は少数である。
9.8 高齢者
副作用発現に留意し、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
10. 相互作用
10.2 併用注意
アミノ酸配合剤 胎盤加水分解物 胎盤絨毛分解物 総合アミノ酸製剤[ESポリタミン顆粒] [16.7参照] | 左記の薬剤との併用時の安全性は検討されていないが、服用間隔は30分以上空けることが推奨される。 | 本剤によるGABA取り込み阻害作用により、左記の薬剤のGABA作用が増強される可能性が考えられる。 |
催眠鎮静剤・抗不安剤 ベンゾジアゼピン系 バルビツール酸系 非ベンゾジアゼピン系 [16.7参照] | 左記の薬剤との併用時の安全性は検討されていないが、服用間隔は30分以上空けることが推奨される。 | 本剤によるGABA取り込み阻害作用により、左記の薬剤のGABA作用が増強される可能性が考えられる。 |
抗てんかん剤 バルビツール酸系 ヒダントイン系 ベンゾジアゼピン系 分岐脂肪酸系等 [16.7参照] | 左記の薬剤との併用時の安全性は検討されていないが、服用間隔は30分以上空けることが推奨される。 | 本剤によるGABA取り込み阻害作用により、左記の薬剤のGABA作用が増強される可能性が考えられる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 脳浮腫(頻度不明注))
血漿中メチオニン値の上昇を伴う脳浮腫があらわれることがある。[
8.2参照]
注)自発報告等によるため
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 0.1〜1%未満 | 頻度不明 |
精神神経系 | | 激越、うつ病、易刺激性、人格障害、睡眠障害、嗜眠 | 痙攣、頭痛、筋緊張亢進 |
消化器系 | 悪心 | 歯の障害、下痢、舌炎、腹部不快感、嘔吐、食欲減退、胃腸障害、変色歯 | 腹痛、便秘、胃腸炎 |
皮膚 | | 毛髪脱落、蕁麻疹、皮膚異常臭 | 発疹 |
呼吸器系 | | | 鼻咽頭炎 |
循環器系 | | | 高脂血症 |
腎臓 | | 尿失禁 | |
臨床検査 | 血中メチオニン値上昇 | | 体重増加 |
感染 | | 感染性腸炎 | インフルエンザ |
その他 | | 発熱 | 無力症、メラノサイト性母斑 |
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
グラシン紙等水分透過性の高い包材で分包して投薬する場合には、気密性の高い容器に入れるなどして湿気を避けて保存すること(グラシン紙を用いた分包を開放状態で保存した場合、吸湿及び潮解が認められている)。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤を水に溶かして服用する場合は、溶解後速やかに服用すること。
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
外国人ホモシスチン尿症患者(6例)を対象に、ベタイン100mg/kg単回経口投与時の血漿中ベタイン濃度及び血漿中総ホモシステイン値の関係から、ベタイン1日2回の用量(10〜1000mg/kg/日)と血漿中総ホモシステイン値の関係をシミュレーションによって解析した結果、用量が150mg/kg/日を超えた場合、血漿中総ホモシステイン値の減少作用は頭打ちの傾向であった
1)。
16. 薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.2 反復投与
日本人ホモシスチン尿症患者(6例)を対象にベタインを経口投与した時の定常状態における血漿中ベタイン濃度のトラフ値は、以下のとおりであった
2)。
定常状態における血漿中ベタイン濃度のトラフ値
病型 | 年齢(歳) | 性別 | 体重(kg) | 評価時期 | 用法・用量 | 血漿中濃度(μmol/L) |
CBS欠損 | 42 | 女性 | 47.0 | 4週 | 8g/日、分2 | 152 |
8週 | 645 |
CBS欠損 | 19 | 男性 | 77.0 | 4週 | 7.5g/日、分2 | 343 |
8週 | 366 |
CBS欠損 | 17 | 女性 | 53.0 | 4週 | 6g/日、分2 | 259 |
8週 | 138 |
MTHFR欠損 | 38 | 女性 | 95.7 | 4週 | 15g/日、分2 | 544 |
8週 | 460 |
CBS欠損 | 4 | 女性 | 15.0 | 4週 | 1.5g/日、分2 | 53.3 |
8週 | 1.8g/日、分2 | 72.6 |
CBS欠損 | 37 | 女性 | 63.4 | 4週 | 6g/日、分2 | 76.8 |
8週 | 104 |
外国人健康成人男性12例を対象に、ベタイン50mg/kgを空腹時に単回経口投与後及びベタイン50mg/kgを1日2回(100mg/kg/日)空腹時に5日間反復経口投与後の薬物動態パラメータ及び血漿中ベタイン濃度推移は、以下のとおりであった
3)。
初回投与時及び最終投与時の薬物動態パラメータ
評価時期 | Cmax(mmol/L) | Tmax(h) | AUC0-24h(mmol・h/L) | t1/2α(h) | t1/2β(h) | CLR(mL/h/kg) | Xu0-24h(mg) |
初回投与時 | 0.939±0.194 | 0.899±0.33 | 3.974±0.732 | 0.59±0.21 | 14.38±7.17 | 4.4±3.66 | 156.5±130.1 |
最終投与時 | 1.456±0.308 | 0.90±0.25 | 12.528±4.498 | 1.77±0.75 | 41.17±13.50 | 4.5±2.24 | 510.2±246.3 |
単回経口投与時の血漿中ベタイン濃度推移(平均値±標準偏差)
反復経口投与時の血漿中ベタイン濃度推移(平均値±標準偏差):トラフ濃度及び最終投与後の実測値
16.4 代謝
ベタインは非可逆的に亜鉛金属酵素であるベタイン−ホモシステインメチル基転移酵素(BHMT)によって代謝される。
16.7 薬物相互作用
ヒト結腸腺癌由来Caco-2細胞を用いて、γ-アミノ酪酸(以下、「GABA」)の
3H標識体(13nmol/L)の膜透過性に対する各種化合物の阻害作用が
in vitroで検討された結果、グリシルサルコシン、ロイシン、ガボキサドール、サルコシン、リジン、5-ヒドロキシトリプトファン、プロリン及びグリシンはGABAの取り込みをコントロールに対して約44〜70%(平均値)まで減少させ、ベタインはコントロールに対して54.6%(平均値)まで減少させた
4)。[
10.2参照]
(注)本剤の承認された用法・用量は、通常、11歳以上にはベタインとして1回3gを1日2回経口投与する。通常、11歳未満にはベタインとして1回50mg/kgを1日2回経口投与である。
17. 臨床成績
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
ホモシスチン尿症患者6例(CBS欠損患者5例、MTHFR欠損1例)を対象にベタインを32週間投与したときの血漿中総ホモシステイン値の推移は以下のとおりであった。試験前にベタイン(試薬)の治療を受けていた患者(CBS欠損患者4例、MTHFR欠損1例)では投与前値から悪化しなかった。新規にベタインの投与を受けた患者(CBS欠損患者1例)では、投与16及び24週において血漿中総ホモシステイン値が基準値内(15μmol/L)まで減少した。32週時における副作用の発現率は33.3%(2/6例)であった。発現した副作用は、発熱、感染性腸炎(各1例[16.7%])であった
2)。
血漿中総ホモシステイン値の推移
病型 | CBS欠損 | CBS欠損 | CBS欠損 | MTHFR欠損 | CBS欠損 | CBS欠損 |
年齢 | 42歳 | 19歳 | 17歳 | 38歳 | 4歳 | 37歳 |
性別 | 女性 | 男性 | 女性 | 女性 | 女性 | 女性 |
体重 | 47.0kg | 77.0kg | 53.0kg | 95.7kg | 15.0kg | 63.4kg |
用法・用量 | 8g/日、分2 | 7.5g/日、分2 | 6g/日、分2 | 15g/日、分2 | 1.5〜2.2g/日、分2 | 6g/日、分2 |
切り替え/新規の別 | 切り替え | 切り替え | 切り替え | 切り替え | 新規 | 切り替え |
治験薬投与開始前 (−4週) | 79.0 | 255.1 | 129.0 | 100.0 | 105.9 | 55.3 |
治験薬投与開始前 (0週) | 6.5 | 218.4 | 76.2 | 110.8 | 15.1 | 45.5 |
治験薬投与開始後 | 1週 | − | − | − | − | 42.2 | − |
2週 | 4.3 | 212.1 | 90.9 | 113.7 | 119.6 | 75.7 |
4週 | 82.7 | 210.7 | 79.0 | 104.5 | 23.7 | 58.0 |
8週 | 10.3 | 194.1 | 124.4 | 103.5 | 38.1 | 42.5 |
16週 | 42.0 | 204.4 | 113.0 | 104.8 | 1.7 | 31.9 |
24週 | 67.7 | 168.9 | 77.3 | 112.8 | 1.4 | 40.0 |
32週 | 15.6 | 204.4 | 80.0 | 90.3 | 84.2 | 44.4 |
17.3 その他
17.3.1 海外市販後調査
欧州280例、米国113例において、14例(3.6%)に21件の副作用が報告された。全体で2件以上報告された副作用は悪心(6件[1.5%注)])、下痢(3件[0.8%注)])、嘔吐、変色歯(2件[0.5%注)])であった。
注)海外の市販後の調査では、各副作用の発現例数が示されていなかったため、発現件数=例数として発現頻度を算出した。
18. 薬効薬理
18.1 作用機序
ホモシスチン尿症では、主にメチオニン代謝経路のCBS欠損、MTHFR欠損、コバラミン補酵素代謝異常により、メチオニンの代謝産物であるホモシステインが血液や組織中に蓄積する。
ベタインは、メチオニン代謝経路において、BHMTの基質としてホモシステインにメチル基を供与し、ホモシステインをメチオニンにすることによって体液中のホモシステインを低下させる
5)6)7)8)。
19. 有効成分に関する理化学的知見
19.1. ベタイン
一般的名称 |
ベタイン |
一般的名称(欧名) |
Betaine |
化学名 |
2-(トリメチルアンモニオ)酢酸 (2-(Trimethylammonio)acetate) |
分子式 |
C5H11NO2 |
分子量 |
117.15 |
物理化学的性状 |
白色の結晶性の粉末で、わずかに特異なにおいがある。水に非常に溶けやすい。吸湿性である。 |
KEGG DRUG |
|
20. 取扱い上の注意
20.1 開封後は、蓋をしっかりと閉め、吸湿に注意して保管すること。
20.2 本剤は92日間、毎日朝夕にボトルの蓋を開け、粉末を採取し、再び蓋を閉める作業を繰り返した状態で、安定性が検討され、3ヶ月間安定であった。
21. 承認条件
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
22. 包装
サイスタダン原末
180g(チャイルドレジスタンスプラスチック容器)
23. 主要文献
-
Matthews A,et al.,
Br J Clin Pharmacol., 54, 140-146, (2002)
»PubMed
-
社内資料:ホモシスチン尿症患者を対象としたRM-003の第III相臨床試験−継続投与期32週目評価時−
-
Schwahn BC,et al.,
Br J Clin Pharmacol., 55, 6-13, (2003)
»PubMed
-
Nielsen CU,et al.,
Eur J Pharm Biopharm., 81, 458-462, (2012)
»PubMed
-
Maclean KN,et al.,
Mol Genet Metab., 101, 153-162, (2010)
»PubMed
-
Van der Westhuyzen J,et al.,
Br J Nutr., 53, 657-662, (1985)
»PubMed
-
Schwahn BC,et al.,
Atherosclerosis., 195, e100-e107, (2007)
-
Schwahn BC,et al.,
Biochem J., 382, 831-840, (2004)
»PubMed
24. 文献請求先及び問い合わせ先
文献請求先
レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
〒102-0082
東京都千代田区一番町10番地2
電話:03-4510-2922
製品情報問い合わせ先
レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
〒102-0082
東京都千代田区一番町10番地2
電話:03-4510-2922
26. 製造販売業者等
26.1 製造販売
レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
〒102-0082
東京都千代田区一番町10番地2