自家末梢血幹細胞移植が予定された多発性骨髄腫(MM)患者60例を対象にフィルグラスチムを対照薬としたMMコホート(多施設実薬対照非盲検デザイン)、悪性リンパ腫(ML)患者12例を対象としたMLコホート(多施設非対照非盲検デザイン)からなる試験を実施した。用法及び用量は、MMコホートの本剤群及びMLコホートでは、本剤7.2mgを第1日目に単回皮下投与することとされ、MMコホートのフィルグラスチム群では、フィルグラスチム400μg/m
2を第1日目から末梢血幹細胞採取終了日まで1日1回連日皮下投与することとされた。本試験では第1、4及び5日目に末梢血中のCD34陽性細胞数を測定し、第5日目に末梢血幹細胞採取を実施することとされた。第5日目に採取された末梢血幹細胞数が規定に達しなかった場合
注1)には、第6日目以降も末梢血中のCD34陽性細胞数を測定し、第6及び7日目にも末梢血幹細胞採取を実施することとされた。さらに、第4〜6日目に末梢血中への幹細胞動員が不十分と判断された場合
注2)には、末梢血幹細胞採取実施9〜12時間前にプレリキサホル0.24mg/kgを単回皮下投与することが可能とされた
注3)。その結果、全末梢血幹細胞採取期間に採取されたCD34陽性細胞数が2×10
6/kg以上であった被験者数及び被験者割合(95%信頼区間)は、MMコホートでは本剤群29例
注4)中29例及び100%(88.1,100.0%)、フィルグラスチム群30例中29例及び96.7%(82.8,99.9%)、フィルグラスチム群と本剤群の差(80%信頼区間)は3.3(−0.9,7.5)であった。また、MLコホートでは12例中12例及び100%(73.5,100.0%)であった
6)。
副作用の発現は、本剤7.2mgが単回皮下投与された42例
注5)中30例に認められた。主な副作用は、背部痛26.2%(11/42例)、血中Al-P増加及び血中乳酸脱水素酵素増加 各19.0%(8/42例)、骨痛、発熱、高尿酸血症及び頭痛 各11.9%(5/42例)、疼痛7.1%(3/42例)、嘔吐、血小板数減少、低カリウム血症及び食欲減退 各4.8%(2/42例)であった[
5.3参照]。
注1)次のいずれかに該当した場合
・第5日目の末梢血幹細胞採取により採取されたCD34陽性細胞数が2×106/kg未満の場合
・第5日目の末梢血幹細胞採取が実施されなかった場合
・治験責任医師等が必要と判断した場合
注2)次のいずれかに該当した場合に、プレリキサホルを投与することが可能とされた。
・第4日目の末梢血中のCD34陽性細胞数が20/μL以下の場合
・第5及び6日目に実施された末梢血幹細胞採取で採取されたCD34陽性細胞数が2×106/kg未満の場合。ただし、CD34陽性細胞数が2×106/kg以上の場合でも治験責任医師等の判断によりプレリキサホルの投与は可能とされた。
注3)MMコホートの本剤群で15/29例、フィルグラスチム群で19/30例、MLコホートで11/12例にプレリキサホルが投与された。プレリキサホルの投与回数はMMコホートのフィルグラスチム群及びMLコホートの各1例(いずれも2回投与)を除き、1回投与であった。
注4)原疾患の悪化により、治験責任医師の判断で末梢血幹細胞採取前に治験が中止された1例を除く。
注5)MM患者30例及びML患者12例を含む。