医療用医薬品 : ベクロメタゾン

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医薬品情報


総称名 ベクロメタゾン
一般名 ベクロメタゾンプロピオン酸エステル
欧文一般名 Beclometasone Dipropionate
製剤名 ベクロメタゾンプロピオン酸エステル点鼻液
薬効分類名 吸入式鼻過敏症治療剤
薬効分類番号 1329
ATCコード R01AD01
KEGG DRUG
D00689 ベクロメタゾンプロピオン酸エステル
KEGG DGROUP
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ベクロメタゾン点鼻液50μg「サワイ」 (後発品) BECLOMETASONE Nasal Solution[SAWAI] 沢井製薬 1329702R3195 357.4円/瓶 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身の真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎

6. 用法及び用量

こう鼻後十分の呼吸を行わせ、吸気の際に本剤を1側鼻孔より1回噴霧し、この際他側の鼻孔は指で閉鎖する。次いで他側鼻孔に同様の操作を行う。
成人は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日4回鼻腔内に噴霧吸入する。小児は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日2回鼻腔内に噴霧吸入する。なお、年齢・体重・症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は、成人では16吸入、小児では8吸入を限度とする。また、症状の緩解がみられた場合は、その後の経過を観察しながら減量する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与期間中に鼻症状の悪化がみられた場合には、抗ヒスタミン剤あるいは、全身性ステロイド剤を短期間併用し、症状の軽減にあわせて併用薬剤を徐々に減量すること。
8.2 本剤には持続効果が認められるので、特に通年性の患者において長期に使用する場合は、症状の改善状態が持続するようであれば、本剤の減量又は休薬につとめること。
8.3 全身性ステロイド剤の減量は本剤の吸入開始後症状の安定をみて徐々に行う。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずる。
8.4 全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、気管支喘息、ときに湿疹、蕁麻疹、眩暈、動悸、倦怠感、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがある。このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核性疾患又は感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症を除く)の患者
症状を増悪するおそれがある。
9.1.2 反復性鼻出血の患者
出血を増強するおそれがある。
9.1.3 高血圧の患者
血圧上昇を起こすおそれがある。
9.1.4 糖尿病の患者
症状を増悪するおそれがある。
9.1.5 重症な肥厚性鼻炎や鼻茸の患者
本剤の鼻腔内での作用を確実にするため、これらの症状がある程度減少するよう他の療法を併用するとよい。
9.1.6 長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者
全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。これらの患者では副腎皮質機能不全となっていることが考えられる。
9.1.7 喘息発作重積状態又は喘息の急激な悪化状態の患者
原則として本剤は使用しないこと。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 本剤はステロイド剤であることを考慮し、非ステロイド系薬剤によって諸症状の緩解が得られない場合に使用すること。
9.7.2 使用に当たっては、使用法を正しく指導し、経過の観察を十分行うこと。長期、大量使用により発育障害をきたすおそれがある。
9.7.3 低出生体重児、新生児、乳児又は5才以下の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与期間に注意するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症蕁麻疹等の発疹、紅斑、そう痒、浮腫
鼻腔鼻症状(刺激感、そう痒感、乾燥感、不快感)注)、くしゃみ発作、鼻出血注)、感染注)、異臭感、嗅覚障害
口腔並びに呼吸器咽喉頭症状(刺激感、異物感)、感染注)
消化器食欲不振、悪心、嘔吐、下痢
循環器高血圧
精神神経系頭痛、めまい
その他気管支喘息の発現・増悪、鼻中隔穿孔

13. 過量投与

13.1 症状
下垂体・副腎皮質系機能抑制があらわれることがある。この抑制が長期にわたった場合、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。
13.2 処置
全身性ステロイド療法を中止する手順で本剤を徐々に減量すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 使用前
(1)患者には「鼻用定量噴霧器の使用方法」を記載した添付の携帯袋を渡し、使用方法を指導すること。
(2)吸入前に容器をよく振ること。ただし強く振りすぎないこと。
14.1.2 使用時
(1)初回使用時には空打ちをしっかり行うこと。
(2)噴霧口を針やピンなどで突かないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
レセルピン系製剤、α-メチルドパ製剤等の降圧剤には、副作用として鼻閉がみられることがある。このような降圧剤服用中のアレルギー性鼻炎又は血管運動性鼻炎の患者に、本剤を投与すると、鼻閉症状に対する本剤の効果が隠蔽されるおそれがあるので、臨床的観察を十分に行いながら投与すること。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルは、合成糖質副腎皮質ホルモンであり、抗炎症作用、抗アレルギー作用を有する。
18.2 抗炎症作用
局所投与時(McKenzie変法)
ヒト正常皮膚血管収縮作用において、ヒドロコルチゾンの約5000倍、デキサメタゾンの約600倍の局所抗炎症活性を示した1)(外国人データ)。
18.3 全身性ステロイド作用
ラットを用いて視床下部-下垂体-副腎(HPA)系機能に及ぼす作用並びに胸腺萎縮作用をデキサメタゾンと比較したところ、吸入、皮下及び静脈内いずれの投与経路においてもHPA系機能抑制又は胸腺萎縮作用はデキサメタゾンより弱かった2)3)4)
18.4 鼻誘発反応防御作用
アレルギー性鼻炎成人患者(男・女)に対する、抗原誘発後の鼻症状発現を抑制した5)
18.5 生物学的同等性試験
モルモット鼻アレルギーモデルにおける鼻腔抵抗およびラットアレルギー性鼻炎モデルにおける鼻粘膜からの色素漏出量を指標として、ベクロメタゾン点鼻液50μg「サワイ」とアルデシンAQネーザル50μgの抗アレルギー作用を比較検討した。その結果、両剤とも無処置群に比して有意な抗アレルギー作用を示し、両剤間に有意な差は認められず、両剤は生物学的に同等であると判断された6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ベクロメタゾンプロピオン酸エステル

一般的名称 ベクロメタゾンプロピオン酸エステル
一般的名称(欧名) Beclometasone Dipropionate
化学名 9-Chloro-11β,17,21-trihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 17,21-dipropanoate
分子式 C28H37ClO7
分子量 521.04
融点 約208℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄色の粉末である。メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00689

22. 包装

プラスチック容器
8.5g×10本

23. 主要文献

  1. Harris,D.M., Postgraduate Medical Journal, 51 (Suppl.4), 20-25, (1975)
  2. 田中寿子他, 実中研・前臨床研究報, 2 (2), 97-111, (1976)
  3. 田中寿子他, 実中研・前臨床研究報, 2 (2), 113-135, (1976)
  4. 山本慧, 日本薬理学雑誌, 73 (1), 25-36, (1977) »PubMed
  5. 荻野敏他, 耳鼻と臨床, 33 (4), 707-712, (1987) »DOI
  6. 社内資料:生物学的同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966
製品情報問い合わせ先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版