医療用医薬品 : オルファクトメーター

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医薬品情報


総称名 オルファクトメーター
一般名 フェニルエチルアルコール
メチルシクロペンテノロン
イソ吉草酸
γ-ウンデカラクトン
スカトール
薬効分類名 嗅覚測定用基準臭
薬効分類番号 7229
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年7月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
T&Tオルファクトメーター T&T Olfactometer 第一薬品産業 722970BT1027

4. 効能または効果

嗅覚感度の判定に用いる。

6. 用法及び用量

(検査法)
(1)T&Tオルファクトメーター(嗅覚測定用基準臭)は左表のように5種のにおいからなり、それぞれにおいは5を最も濃い濃度とし順次10倍単位に5,4,3,2,1,0,−1,−2の8段階の濃度を設定したものである。しかし、Bは溶解度の点でB5濃度の調製が不可能であるため、これを欠き、代わりに無臭の対照液がセットされている。製品は各嗅覚測定用基準臭共5mlのびん詰とし、各臭毎に8種の濃度のものを箱詰め包装にしてある。
(2)幅0.7cm,長さ14cmの無臭のにおい紙を用い、検者はその一端をもち、他端を1cmほど、嗅覚測定用基準臭の中に浸してから被検者に手渡して、においを嗅がせる。においを嗅ぐ要領は鼻より約1cmに基準臭を付けたにおい紙を近づける。においを嗅ぐ場所は、出来るだけ臭気のない室内が好ましい。
(3)においを嗅ぐ順序は、Aから始めてB,C,D,Eの順にする。
(4)各嗅覚測定用基準臭は最低濃度−2から始めて、次第に強いにおいへと嗅がせるが、どこで初めてにおいを感じるかを被検者に言わせて、オルファクトグラムに記載してある番号の線上に○を記入する。(検知域値)
(5)次に更に強いにおいを嗅がせて、それがどのにおいか又はどんな感じのにおいか分かるまで、一段一段強くしていく。被検者が下記<においの表現法>の正しい答(又はそれに近い表現)をした時に、オルファクトグラムに記載してある番号の線上に×を記入する。(認知域値)
においの表現法(認知域値の測定の際に用いる)
基準臭においの表現
Aバラの花のにおい、軽くて甘いにおい
B焦げたにおい、カラメルのにおい
C腐敗臭、古靴下のにおい、汗くさいにおい、納豆のにおい
D桃のカンヅメ、甘くて重いにおい
E糞臭、野菜くずのにおい、口臭、いやなにおい
(6)検知域値がなかなか決まらない時にはにおい紙を3本用意して、その内1本は嗅覚測定用基準臭に、他の2本は対照液に浸して、これら3本の中でどれににおいがあるか言い当てさせる。正解を得た中で最も濃度の低いものを検知域値とする。
(判定基準)
上記の検査によって、被検者の検知域値及び認知域値が記入されたオルファクトグラムから検知域値及び認知域値の平均値を求め、下記の基準により嗅覚の正常又は減退の程度を判定する。この場合、検知域値の平均値より認知域値の平均値の方が実際の生活の状況をよりよく表すので、判定には認知域値の平均値を採用する。4)
なお、最高濃度において検知または認知不能の場合は、それぞれ最高濃度に1を加えたものを域値として計算する。
嗅覚域値平均値(基準臭濃度平均値)=(a+b+c+d+e)/5
(a,b,c,d,eは嗅覚測定用基準臭A,B,C,D,Eの検知または認知域値の濃度を表す)
嗅覚度と5段階評価
嗅覚域値平均値嗅覚度
〜1.01度
1.1〜2.52度
2.6〜4.03度
4.1〜5.54度
5.6〜5度

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 検査順序
検査は、必ずどの基準臭も最低濃度−2から始め、1段階ずつ濃度を上げて行うこと(上昇法)。
逆に最高濃度5より検査を行うと(下降法)嗅覚が早く減退し、あとの検査に大きな影響を残すので、特に注意のこと。4)

14. 適用上の注意

14.1 検査前の注意
14.1.1 におい紙の取扱い
基準臭に浸した1本のにおい紙は、必ず1人の被検者のみに嗅がせ、同時に2人以上の被検者には嗅がせないこと。また基準臭に浸したにおい紙は、必ずびんの口(内側)でぬぐってから手渡すこと。4)
14.1.2 基準臭が瓶やセット容器に付着した場合
こぼれた箇所を先ず脱脂綿か濾紙で、出来るだけ広げないように吸いとってから、エタノールを少し浸したティシュペーパーかガーゼで2、3回拭きとること。
14.1.3 検査室の環境
(1)室内自体ににおいが無いことが肝要であるため、壁のにおい、薬品のにおい等に留意すること。
(2)室温は20℃〜25℃位が望ましい。
14.1.4 その他
嗅覚検査に当たっては、検査前に検者、被検者共に無臭石鹸で手を洗っておくのが望ましい。
14.2 検査後の注意
14.2.1 検査後のにおい紙の取扱い
一度、基準臭に浸したにおい紙は再使用しないこと。検者は被検者がにおい紙を1本嗅ぐ毎に直ちに捨てること。使い捨てたにおい紙は検査室の空気を汚すので、ポリ袋等に入れ、袋の口を輪ゴムで締めて、蓋のある汚物缶に捨てること。
14.2.2 検査室の環境
検査を続ける間に部屋ににおいがこもってくるので、換気を充分に行うこと。4)

18. 薬効薬理

18.1 測定法
(1)検者はにおい紙の一端を持ち、他端を1cm(しるし付)ほど基準臭に浸してから、被検者に手渡す。被検者は鼻先1cmに近づけてにおいを嗅ぐ。
(2)においを嗅ぐ順番はAから始めてB,C,D,Eの順に一番弱い「−2」から次第に強いにおいへと進めていく。
(3)どの段階で初めてにおいを感じたか(検知域値)確認し、オルファクトグラムに「○印」を記載する。
(4)どの段階でにおいを表現できるか(認知域値)確認し、オルファクトグラムに「×印」を記載する。
(5)(4)で出てきた認知域値の判定基準に照し合せ、嗅覚の正常及び減退を判定する。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フェニルエチルアルコール

一般的名称 フェニルエチルアルコール
分子式 C8H10O
分子量 122.16
理化学知見その他 19.1 Aの成分
KEGG DRUG D00192

19.2. メチルシクロペンテノロン

一般的名称 メチルシクロペンテノロン
分子式 C6H8O2
分子量 112.13
理化学知見その他 19.2 Bの成分

19.3. イソ吉草酸

一般的名称 イソ吉草酸
分子式 C5H10O2
分子量 102.13
理化学知見その他 19.3 Cの成分

19.4. γ-ウンデカラクトン

一般的名称 γ-ウンデカラクトン
分子式 C11H20O2
分子量 184.28
理化学知見その他 19.4 Dの成分

19.5. スカトール

一般的名称 スカトール
分子式 C9H9N
分子量 131.17
理化学知見その他 19.5 Eの成分

20. 取扱い上の注意

20.1 使用後は必ず密栓して、においが漏れないように注意すること。
20.2 検査後は速やかに冷暗所に保存すること。

22. 包装

嗅覚測定用基準臭:A列,B列,C列,D列,E列共それぞれ5ml 8本ずつ、箱詰め包装。
A,B,C,D,Eは白,黄,緑,青,赤とそれぞれ色分けしてある。

23. 主要文献

  1. 真田 聖子ほか, オルファクトグラムを用いた平均嗅力損失の臨床的意義 日本鼻副鼻腔学会誌, 13, 48-49, (1974)
  2. 真田 聖子ほか, 基準臭の臨床的応用−オルファクトグラムによる嗅力像の判定− 日本鼻副鼻腔学会誌, 14, 79-80, (1975)
  3. 浅賀 英世ほか, 嗅覚認知域値の意義について 日本鼻副鼻腔学会誌, 14, 80-81, (1975)
  4. 高木 貞敬, 嗅覚測定の実際、嗅覚障害−その測定と治療(豊田文一・北村武・高木貞敬編), 1-10, (1978), (医学書院)
  5. 浅賀 英世, 嗅覚障害の診断と治療 日本医事新報, 3159, 43-47, (1984)
  6. 浅賀 英世, 基準嗅覚検査 日本味と匂学会誌, 1 (1), 35-38, (1994)
  7. 三輪 高喜, 嗅覚障害の診断 日本味と匂学会誌, 10 (1), 59-66, (2003)
  8. 内田 淳, 基準嗅覚検査(T&Tオルファクトメトリー)、静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)の有用性と信頼度 日本鼻科学会誌, 45 (1), 75-78, (2006)
  9. 三輪 高喜, 嗅覚検査 耳鼻咽喉科・頭頸部外科, 82 (5), 155-160, (2010)
  10. 三輪 高喜, 嗅覚検査の現状と今後の展望 耳鼻咽喉科展望, 54 (2), 71-79, (2011) »DOI
  11. Miwa T,Ikeda K,Ishibashi T,Kobayashi M,Kondo K,Matsuwaki Y,et al., Clinical practice guidelines for the management of olfactory dysfunction-Secondary publication.Auris Nasus Larynx., 46, 653-662, (2019)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
第一薬品産業株式会社
〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町15-12
電話:03-3666-6773
FAX:03-6206-2662
製品情報問い合わせ先
第一薬品産業株式会社
〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町15-12
電話:03-3666-6773
FAX:03-6206-2662

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
第一薬品産業株式会社
東京都中央区日本橋兜町15-12

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版