<効能共通>
2.1 心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
2.2 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者(ただし、敗血症に起因する代謝性アシドーシスは除く)[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
2.3 房室ブロック(II度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者[刺激伝導系に対し抑制的に作用し、悪化させるおそれがある。]
2.4 肺高血圧症による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
2.5 未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[
7.2、
9.1.7参照]
2.6 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
2.7 うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
<成人>
○手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置
○手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置
○心機能低下例における下記の頻脈性不整脈
○生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合
○敗血症に伴う下記の頻脈性不整脈
<小児>
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
5.2 洞性頻脈においては、その原因検索及びその除去が重要であることに十分留意するとともに、本剤の効果が心拍数の減少作用であることを踏まえて、本剤は緊急処置として必要に応じて使用すること。[
8.7参照]
<手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
5.3 ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、循環動態の評価、不整脈診断及び呼吸・循環等の全身管理の十分な経験を持つ医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を原則として5分間隔で、必要ならば頻回に行うこと。[
8.1、
8.6参照]
<成人の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
5.4 ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、心不全又は生命に危険のある不整脈に対する治療の経験が十分にある医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと。また、本剤の投与により、心不全が悪化するおそれがあるため、経皮的酸素飽和度をモニターする等、心不全の増悪に留意すること。心不全が悪化した際には、本剤の投与を直ちに中止するとともに、ホスホジエステラーゼ阻害薬の投与や大動脈バルーンパンピング、経皮的心肺補助装置を施行する等、適切な処置を行うこと。[
8.1、
8.2、
8.12参照]
<小児の心機能低下例における頻脈性不整脈>
5.5 ICU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、小児の心不全及び不整脈に対する治療の経験が十分にある医師のもとで、適切な対象患者を選択するとともに、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと。また、本剤の投与により、心不全が悪化するおそれがあるため、経皮的酸素飽和度をモニターする等、心不全の増悪に留意すること。心不全が悪化した際には、本剤の投与を直ちに中止する等、適切な処置を行うこと。[
8.1、
8.2、
8.12参照]
<生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
5.6 本剤は、難治性の心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍の再発抑制に使用すること。
5.7 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。[
17.1.7参照]
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
5.8 本剤は、感染症管理、呼吸・循環管理(特に、血管内容量評価に基づく輸液負荷、カテコラミン等の循環作動薬の投与)などの敗血症に対する適切な治療下で、目安として平均血圧65mmHg以上を維持しているにもかかわらず頻脈性不整脈が持続している場合に適用を考慮すること。
5.9 ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、敗血症に対する治療の経験が十分にある医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと。また、本剤の投与により、循環不全が悪化するおそれがあるため、適切に心拍数、血圧をモニターする等、循環不全の増悪に留意すること。循環不全が悪化した際には、本剤の投与を直ちに中止するとともに、輸液負荷や循環作動薬の投与など、適切な循環管理を行うこと。[
8.1、
8.2、
8.12参照]
5.10 敗血症では心機能低下を生じることがあるため、本剤投与開始前の心機能を観察し、投与可否を慎重に判断すること。[
8.12、
9.1.8参照]
5.11 洞性頻脈においては、その原因検索及びその除去を優先すべきであることに十分留意し、洞性頻脈の原疾患の治療を十分行った上で本剤の適用を考慮すること。
<手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
ランジオロール塩酸塩として、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01〜0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
<手術後の循環動態監視下における頻脈性不整脈に対する緊急処置>
ランジオロール塩酸塩として、1分間0.06mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.02mg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。5〜10分を目安に目標とする徐拍作用が得られない場合は、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01〜0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈>
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1〜10μg/kg/minの用量で適宜調節する。
<生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1〜10μg/kg/minの用量で適宜調節する。なお、心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発し本剤投与が必要な場合には、心拍数、血圧を測定し最大40μg/kg/minまで増量できる。
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し、維持量は適宜増減する。ただし、最大用量は20μg/kg/minを超えないこと。
<効能共通>
7.1 目標とする心拍数に調節した後は、循環動態、特に血圧低下に注意し、本剤を心拍数の維持に必要な最低の速度で持続投与すること。
7.2 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者では、α遮断剤を投与した後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。[
2.5、
9.1.7参照]
7.3 手術時、手術後、心機能低下例、生命に危険のある不整脈及び敗血症に伴う頻脈性不整脈の用法及び用量がそれぞれ異なることに留意すること。
7.4 本剤投与に際しては、下記の体重別静脈内持続投与速度表を参考にすること。
精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)を使用する場合
7.4.1 手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置
(1)本剤50mgを5mLに溶解した場合
| 投与時期 | 用法及び用量 | 適宜調整 |
| 投与開始から1分間 | 投与開始1分後以降 |
| 体重\投与量 | 0.125mg/kg/min | 0.04mg/kg/min | 0.01〜0.04mg/kg/min |
| 30kg | 22.5mL/時 | 7.2mL/時 | 1.8〜7.2mL/時 |
| 40kg | 30.0mL/時 | 9.6mL/時 | 2.4〜9.6mL/時 |
| 50kg | 37.5mL/時 | 12.0mL/時 | 3.0〜12.0mL/時 |
| 60kg | 45.0mL/時 | 14.4mL/時 | 3.6〜14.4mL/時 |
| 70kg | 52.5mL/時 | 16.8mL/時 | 4.2〜16.8mL/時 |
(2)本剤50mgを20mLに溶解した場合
| 投与時期 | 用法及び用量 | 適宜調整 |
| 投与開始から1分間 | 投与開始1分後以降 |
| 体重\投与量 | 0.125mg/kg/min | 0.04mg/kg/min | 0.01〜0.04mg/kg/min |
| 30kg | 90.0mL/時 | 28.8mL/時 | 7.2〜28.8mL/時 |
| 40kg | 120.0mL/時 | 38.4mL/時 | 9.6〜38.4mL/時 |
| 50kg | 150.0mL/時 | 48.0mL/時 | 12.0〜48.0mL/時 |
| 60kg | 180.0mL/時 | 57.6mL/時 | 14.4〜57.6mL/時 |
| 70kg | 210.0mL/時 | 67.2mL/時 | 16.8〜67.2mL/時 |
7.4.2 手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置
(1)本剤50mgを5mLに溶解した場合
| 投与時期 | 開始用量 | 最大用量 |
| 投与開始から1分間 | 投与開始1分後以降 | 投与開始から1分間 | 投与開始1分後以降 |
| 体重\投与量 | 0.06mg/kg/min | 0.02mg/kg/min | 0.125mg/kg/min | 0.04mg/kg/min |
| 30kg | 10.8mL/時 | 3.6mL/時 | 22.5mL/時 | 7.2mL/時 |
| 40kg | 14.4mL/時 | 4.8mL/時 | 30.0mL/時 | 9.6mL/時 |
| 50kg | 18.0mL/時 | 6.0mL/時 | 37.5mL/時 | 12.0mL/時 |
| 60kg | 21.6mL/時 | 7.2mL/時 | 45.0mL/時 | 14.4mL/時 |
| 70kg | 25.2mL/時 | 8.4mL/時 | 52.5mL/時 | 16.8mL/時 |
(2)本剤50mgを20mLに溶解した場合
| 投与時期 | 開始用量 | 最大用量 |
| 投与開始から1分間 | 投与開始1分後以降 | 投与開始から1分間 | 投与開始1分後以降 |
| 体重\投与量 | 0.06mg/kg/min | 0.02mg/kg/min | 0.125mg/kg/min | 0.04mg/kg/min |
| 30kg | 43.2mL/時 | 14.4mL/時 | 90.0mL/時 | 28.8mL/時 |
| 40kg | 57.6mL/時 | 19.2mL/時 | 120.0mL/時 | 38.4mL/時 |
| 50kg | 72.0mL/時 | 24.0mL/時 | 150.0mL/時 | 48.0mL/時 |
| 60kg | 86.4mL/時 | 28.8mL/時 | 180.0mL/時 | 57.6mL/時 |
| 70kg | 100.8mL/時 | 33.6mL/時 | 210.0mL/時 | 67.2mL/時 |
7.4.3 成人の心機能低下例における頻脈性不整脈
本剤50mgを50mLに溶解した場合
| 体重\投与量 | 用法及び用量 |
| 投与開始時 | 適宜調整 |
| 1μg/kg/min | 1〜10μg/kg/min |
| 30kg | 1.8mL/時 | 1.8〜18.0mL/時 |
| 40kg | 2.4mL/時 | 2.4〜24.0mL/時 |
| 50kg | 3.0mL/時 | 3.0〜30.0mL/時 |
| 60kg | 3.6mL/時 | 3.6〜36.0mL/時 |
| 70kg | 4.2mL/時 | 4.2〜42.0mL/時 |
7.4.4 生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合
本剤50mgを50mLに溶解した場合
| 体重\投与量 | 用法及び用量 |
| 投与開始時 | 適宜調整 | 最大用量 |
| 1μg/kg/min | 1〜10μg/kg/min | 40μg/kg/min |
| 30kg | 1.8mL/時 | 1.8〜18.0mL/時 | 72.0mL/時 |
| 40kg | 2.4mL/時 | 2.4〜24.0mL/時 | 96.0mL/時 |
| 50kg | 3.0mL/時 | 3.0〜30.0mL/時 | 120.0mL/時 |
| 60kg | 3.6mL/時 | 3.6〜36.0mL/時 | 144.0mL/時 |
| 70kg | 4.2mL/時 | 4.2〜42.0mL/時 | 168.0mL/時 |
7.4.5 敗血症に伴う頻脈性不整脈
本剤50mgを50mLに溶解した場合
| 体重\投与量 | 用法及び用量 |
| 投与開始時 | 最大用量 |
| 1μg/kg/min | 20μg/kg/min |
| 30kg | 1.8mL/時 | 36.0mL/時 |
| 40kg | 2.4mL/時 | 48.0mL/時 |
| 50kg | 3.0mL/時 | 60.0mL/時 |
| 60kg | 3.6mL/時 | 72.0mL/時 |
| 70kg | 4.2mL/時 | 84.0mL/時 |
7.4.6 小児の心機能低下例における頻脈性不整脈
体重に応じ薬液濃度を調整する。
(1)本剤の投与速度を0.5〜5mL/時とする場合
| 体重\投与量 | 用法及び用量 | 薬液濃度(mg/mL) |
| 投与開始時 | 適宜調整 |
| 1μg/kg/min | 1〜10μg/kg/min |
| 2.5kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 0.3 |
| 5kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 0.6 |
| 10kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 1.2 |
| 20kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 2.4 |
| 30kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 3.6 |
| 40kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 4.8 |
| 50kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 6 |
| 60kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 7.2 |
| 70kg | 0.5mL/時 | 0.5〜5mL/時 | 8.4 |
(2)本剤の投与速度を1〜10mL/時とする場合
| 体重\投与量 | 用法及び用量 | 薬液濃度(mg/mL) |
| 投与開始時 | 適宜調整 |
| 1μg/kg/min | 1〜10μg/kg/min |
| 2.5kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 0.15 |
| 5kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 0.3 |
| 10kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 0.6 |
| 20kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 1.2 |
| 30kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 1.8 |
| 40kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 2.4 |
| 50kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 3 |
| 60kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 3.6 |
| 70kg | 1mLmL/時 | 1〜10mL/時 | 4.2 |
<手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
7.5 本剤投与により血圧低下(成人では収縮期血圧90mmHgを、小児では収縮期血圧が投与直前値から20%以上の低下を目安とする)あるいは過度の心拍数減少(成人では心拍数60回/分を、小児では生後3ヵ月以上2歳未満は心拍数75回/分を、2歳以上は心拍数60回/分を目安とする)が生じた場合は、減量するか投与を中止すること。
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
7.8 投与開始時及び増量時は、慎重かつ頻回に心拍数及び血圧をモニタリングすること。[
17.1.8参照]
<効能共通>
8.1 心電図による監視、血圧の測定等、心機能をモニターしながら投与すること。血圧低下又は徐脈を認めた場合等は減量あるいは投与を中止し、必要に応じて適切な処置を行うこと。また、PQ時間が過度に延長した場合、投与を中止すること。[
5.3-
5.5、
5.9、
13.1参照]
8.2 心筋虚血のリスクのある患者では、心拍数減少の有益性が血圧低下の危険性を上回ると判断された場合にのみ適用を考慮すること。[
5.4、
5.5、
5.9参照]
8.3 狭心症の患者で類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)の投与を急に中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されている。本剤の投与を中止する場合においても観察を十分に行うこと。
8.4 心房細動及び心房粗動に対する使用に際しては、本剤の効果が心拍数の減少であることに留意し、頻脈性(型)であることを確認すること。[
17.1.5参照]
8.5 本剤の心拍数の減少効果は、投与終了後、速やかに減弱するものの、この効果の消失には投与終了後30〜60分を要することに留意すること。[
17.1.1参照]
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
8.6 大侵襲手術後等の心拍出量が低下している患者に本剤を投与する場合、本剤投与開始前の心機能を慎重に観察するとともに、心電図による監視、血圧の測定に加え、心拍出量及び血液ガス等の心機能をモニターし、患者の全身状態を十分管理しながら投与すること。[
5.3参照]
8.7 洞性頻脈に対して本剤を投与する場合は、心筋虚血や心不全等の発生及びその悪化のおそれのある患者における頻脈処置の必要性を十分考慮し、患者の基礎疾患、合併症の内容、手術前の状態及び手術内容等の事前の患者情報を精査した上で、頻脈の治療が必要とされる場合にのみ適用を考慮すること。[
5.2参照]
8.8 心不全の徴候又は症状が見られた場合は本剤を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。また、本剤投与前に適切な緊急措置が可能となるように準備しておくこと。必要に応じてアトロピン、β
1刺激剤、輸液や昇圧剤等を準備しておくことが望ましい。[
11.1.3参照]
8.9 本剤は緊急治療を要する場合に短期間のみ適応すること。患者の状態を十分観察し、緊急治療の必要が無くなった場合は、漫然と継続投与しないこと。
<手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
8.10 本剤投与5〜10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
<手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
8.11 本剤投与5〜10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、最大用量に増量するか、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
8.13 患者の状態を十分観察し、治療の必要が無くなった場合は、漫然と継続投与しないこと。また、<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈>では10μg/kg/minの速度まで、<敗血症に伴う頻脈性不整脈>では20μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても目標とする心拍数の低下が得られない場合、又は<生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>では40μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても発作の抑制効果が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。さらに、<敗血症に伴う頻脈性不整脈>では、本剤投与中も感染症管理及び呼吸・循環管理などの敗血症に対する適切な治療を実施した上で、本剤の継続投与の必要性を検討すること。
8.14 本剤の減量・中止時に、患者の状態に応じて経口β遮断剤への切り替えを考慮すること。
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
8.15 洞性頻脈に対して本剤を投与する場合は、心筋虚血や心不全等の発生及びその悪化のおそれのある患者における頻脈処置の必要性を十分考慮し、患者の基礎疾患、合併症の内容等の事前の患者情報を精査した上で、頻脈の治療が必要とされる場合にのみ適用を考慮すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 気管支痙攣性疾患の患者
気管支筋収縮作用により、痙攣症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。本剤はβ
1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ
2受容体遮断作用も有する。[
18.2.1参照]
9.1.2 コントロール不十分な糖尿病患者
低血糖症状としての頻脈等の交感神経系反応をマスクするおそれがある。
9.1.3 低血圧症の患者
9.1.4 重篤な血液障害のある患者
薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。[
16.4参照]
9.1.5 末梢循環障害のある患者(壊疽、レイノー症候群、間歇性跛行等)
末梢血管の拡張を抑制し、症状が悪化するおそれがある。本剤はβ
1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ
2受容体遮断作用も有する。[
18.2.1参照]
9.1.6 大量出血や脱水症状等により循環血液量が減少している患者
9.1.7 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者
本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがある。[
2.5、
7.2参照]
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
9.1.9 非代償性心不全の患者
代償性心不全の患者よりも、心不全が増悪するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがさらにある。[
11.1.3参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害患者
薬剤の排泄が影響を受けるおそれがある。[
16.5参照]
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<心機能低下例における頻脈性不整脈>
低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
9.8 高齢者
十分に患者の状態を観察しながら投与すること。生理機能が低下していることが多く、本剤の作用が強く発現するおそれがある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%)
11.1.2 心停止(0.2%)、完全房室ブロック(頻度不明)、洞停止(頻度不明)、高度徐脈(頻度不明)
11.1.3 心不全(0.1%)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
| | 10%以上 | 1〜10%未満 | 1%未満 |
| 循環器 | 血圧低下 | | 徐脈、ST低下、肺動脈圧上昇 |
| 呼吸器 | | | 喘息、低酸素血症 |
| 肝臓 | | AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン上昇 | γ-GTP上昇 |
| その他 | | | 白血球増多、血小板減少、Al-P上昇、LDH上昇、BUN上昇、クレアチニン上昇、尿酸上昇 |
14.1 薬剤調製時の注意
本剤は、ランジオロール塩酸塩50mgを5mL以上、ランジオロール塩酸塩150mgを15mL以上の生理食塩液等で溶解する。10mg/mLを超える濃度で点滴すると、局所反応や皮膚壊死が発現するおそれがあるので、十分に注意すること。精密持続点滴装置使用に際しては、バッグあるいはシリンジ内に気泡が混入しないように注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は輸液以外の薬剤とは別経路で投与すること。患者の心拍数・血圧の変化に応じて本剤の投与速度を適宜調節する必要がある。
14.2.2 精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)の誤操作により、過量投与の可能性があるので、投与前に精密持続点滴装置の操作を十分習得し、流量の設定には十分注意すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール等)服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告、並びにグルカゴン静注が有効であったとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 60分間静脈内持続投与(健康成人)
健康成人5例に0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始約15分後で定常に達し、投与60分後の全血中濃度(C
60min)は1,008ng/mLを示し、AUCは59.34μg・min/mLである。投与終了後の血中半減期(T
1/2)は3.96分であり、全身クリアランス(CLtot)は41.8mL/min/kg、分布容積(Vd)は242mL/kgである。
1)[
7.6参照]
| C60min(ng/mL) | AUC0-∞(μg・min/mL) | T1/2(min) | CLtot(mL/min/kg) | Vd(mL/kg) |
| 1008±303 | 59.34±12.49 | 3.96±0.46 | 41.8±8.3 | 242±67 |
16.1.2 1分間+60分間静脈内持続投与(健康成人)
健康成人5例に0.25mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与2分後で最高に達し、その全血中濃度(Cmax)は2,008ng/mLを示すが、その後全血中濃度は低下し、投与開始5分後にほぼ定常濃度となり、投与61分後の全血中濃度(C
61min)は1,237ng/mLである。AUCは82.43μg・min/mL、投与終了後の血中半減期(T
1/2)は3.47分である。
1)[
7.6参照]
| Tmax(min) | Cmax(ng/mL) | C61min(ng/mL) | AUC0-∞(μg・min/mL) | T1/2(min) |
| 2 | 2008±798 | 1237±329 | 82.43±23.52 | 3.47±0.44 |
16.1.3 2用量(1分間+10分間静脈内持続投与)漸増投与(健康成人)
健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで10分間静脈内持続投与し、更に用量を切り替えて0.125mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで10分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始2分後で速やかに定常に達し、用量切り替えの2分後(投与開始13分後)にCmaxに達した後、速やかに定常に達した。
2)[
7.6参照]
| Cmax(0-11min)(ng/mL) | Tmax(0-11min)(min) | Cmax(12-22min)(ng/mL) | Tmax(12-22min)(min) | AUC0-∞(μg・min/mL) | C11min(ng/mL) | T1/2(min) | C22min(ng/mL) |
| 704±119 | 3.5±3.7 | 1990±280 | 13±0 | 27.8±3.4 | 655±136 | 3.5±0.3 | 1270±160 |
16.3 分布
ヒト血清に対する蛋白結合率は1.5〜7.0%である(
in vitro、限外ろ過法)。
3)
16.4 代謝
本剤はヒト肝臓及び血漿中で加水分解され、速やかに代謝される。肝代謝クリアランスは肝血流が律速と考えられ、全身クリアランスの約半分を占める。また、
in vitroの血漿中代謝半減期は4.1分であり、血漿中での代謝の寄与も大きい。ヒト肝臓における主代謝酵素はカルボキシエステラーゼ、ヒト血漿中における主代謝酵素は擬コリンエステラーゼであると推定された。
3)また、本剤及びその代謝物(カルボン酸体、安息香酸体)はヒトのチトクロームP450の分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)に対してほとんど阻害活性を示さなかった(
in vitro)。
4)[
9.1.4、
9.3.1参照]
16.5 排泄
主排泄経路は尿中であり、健康成人に0.04mg/kg/minで60分間投与すると、投与24時間後までに約99%が尿中に排泄される。そのうち未変化体は8.7%であり、主要代謝物はカルボン酸体である。
1)[
9.2.1参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝障害患者
肝障害患者6例(Child-Pugh分類A:5例、B:1例)及び健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで60分間静脈内持続投与したとき、全血中濃度のCmax及びAUCはそれぞれ1.42及び1.44倍、肝障害患者で高く推移したが、T
1/2は4.0分であり、健康成人と差がないことが示された。
5)[
9.3.1参照]
| | Cmax(ng/mL) | C61min(ng/mL) | AUC0-∞(μg・min/mL) | T1/2(min) |
| 肝障害患者 | 942±140 | 866±54 | 52.4±5.2 | 4.0±0.4 |
| 健康成人 | 665±119 | 641±125 | 36.3±3.6 | 4.0±1.5 |
16.6.2 小児
小児の心機能低下例に伴う頻脈性不整脈患者21例に本剤を1〜10μg/kg/minの範囲で静脈内持続投与し30分以上用量を一定に維持した際の血中濃度の平均値は150ng/mL、全身クリアランス(CLtot)の平均値は56.4mL/min/kgであった。
6)
| | 血中濃度(ng/mL) | CLtot(mL/min/kg) |
| 平均値±標準偏差 | 150±94.1 | 56.4±39.8 |
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
17.1.1 国内第III相試験
プラセボを対照とした二重盲検比較試験において、麻酔中に緊急治療を要する高血圧症、虚血性心疾患、心電図上の虚血性変化等を有する患者における上室性頻脈性不整脈に対する短期心拍数調節薬としての有用性が確認された。なお、心拍数の減少効果は本剤投与2〜3分後からプラセボに比べ有意となり、この効果は本剤投与中持続し、投与終了後30〜60分で消失した。
7)8)[
8.5参照]
17.1.2 国内臨床試験
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤投与前に比べ心拍数が20%以上減少した症例は117例中102例(87.2%)である。なお、対象とした上室性頻脈性不整脈の内訳は、洞性頻脈110例、心房細動7例であった。これらの臨床試験は、11分投与で実施されている。
7)8)9)10)
17.1.3 国内第III相試験
本剤を複数回投与した10例において、再投与までの投与間隔は平均67.2分(最短25分、最長215分)であり、初回投与時と再投与時で本剤の有効性及び安全性に差異は認められていない。
10)主な副作用は、低血圧であった。[
7.6参照]
<手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
17.1.4 国内第III相試験
プラセボを対照とした二重盲検比較試験において、手術後に緊急治療を要する高血圧症、虚血性心疾患、心電図上の虚血性変化等を有する心筋虚血の高リスク患者、又は心臓血管手術、開胸術、上腹部手術及び食道癌手術等の大侵襲手術後の上室性頻脈性不整脈に対する心拍数調節薬としての有用性が確認された。
11)安全性評価対象98例中、主な副作用は、低血圧11例(11.2%)であった。
17.1.5 国内臨床試験
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤投与前に比べ心拍数が20%以上減少かつ心拍数が100回/分未満に達した症例は、200例中98例(49.0%)であり、不整脈の種類別では心房細動・心房粗動75例中37例(49.3%)、洞性頻脈125例中61例(48.8%)であった。
11)12)13)なお、後期第II相試験
13)及び第III相二重盲検比較試験
11)は手術後7日以内で実施されている。[
8.4参照]
<成人の心機能低下例における頻脈性不整脈>
17.1.6 国内後期第II相/第III相試験
20歳以上の非周術期の心機能低下例における頻脈性不整脈(心房細動・粗動)を対象に、ジゴキシンを対照とした単盲検比較試験を実施した。治療薬投与前のNYHA心機能分類がIII度又はIV度、かつ左心室駆出率が25〜50%の患者が対象とされた。主要評価項目である治験薬投与開始2時間後における治験薬投与直前の心拍数に対する20%以上の徐拍化かつ心拍数110回/分未満を認めた被験者の割合(目標達成被験者の割合)において、本剤群は目標達成率を増加させた。また、安全性評価対象93例中8例(8.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血圧低下・収縮期血圧低下・低血圧4例(4.3%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、原則1μg/kg/minの増減幅で適宜調節し、最大投与量として10μg/kg/minを超えないこととした。
14)
| 投与群 | 目標達成被験者の割合 | 調整解析a) |
| 目標達成被験者の割合 |
| 本剤群 | 48.8%(40/82例) | 48.0%* |
| ジゴキシン群 | 13.3%(13/98例) | 13.9% |
上記試験において、副次評価項目である各時点の心拍数において、本剤群は投与後速やかな心拍数低下作用を示した。
14)[
7.7参照]
| 投与群 | 心拍数(回/分) |
| 投与直前 | 30分後 | 1時間後 | 2時間後 |
| 本剤群 | 138.1±15.7 | 126.3±20.6 | 117.3±22.3* | 110.2±19.2** |
| ジゴキシン群 | 138.0±15.0 | 128.3±19.3 | 125.4±20.4 | 122.3±20.5 |
<生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
17.1.7 国内後期第II相/第III相試験
クラスIII抗不整脈剤を使用しているにもかかわらず生命に危険のある不整脈(心室細動、血行動態不安定な心室頻拍)を再発した患者を対象に非盲検非対照試験を実施した。主要評価項目である有効性評価期間(48時間)の発作非発現率(Kaplan-Meier推定値)は77.8%(21/27例、95%信頼区間:57.1〜89.3%)であり、95%信頼区間下限は事前に設定した閾値有効率(20%)を上回った。また、安全性評価対象29例中10例(34.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血圧低下・低血圧6例(20.7%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、用量設定期間(1時間)に15〜20分間隔を目安に1→2.5→5→10μg/kg/minまで増量した後、有効性評価期間(48時間)では原則として10μg/kg/minを超えない範囲で適宜調節した。心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発した場合は、公比2倍を超えない幅で最大40μg/kg/minまで増量可とした。減量を要する場合、維持用量が10μg/kg/min以下の場合は原則1μg/kg/min、維持用量が10μg/kg/minを超える場合は原則1〜10μg/kg/minの幅で減量した。
また、本剤投与開始から有効性評価期間終了時までの投与量の分布を以下に示した。
15)[
5.7、
7.7参照]
| 投与量の分布 | 用量設定期間終了時a) | 有効性評価期間終了時b) |
| <10μg/kg/min | 20.7%(6例) | 62.1%(18例) |
| =10μg/kg/min | 75.9%(22例) | 27.6%(8例) |
| >10μg/kg/min | 3.4%(1例) | 10.3%(3例) |
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
17.1.8 国内後期第II相/第III相試験
敗血症に伴う頻脈性不整脈(心房細動・粗動、洞性頻脈)を対象に、本剤を投与しない既存治療を対照とした非盲検無作為化並行群間比較試験を実施した。主要評価項目である登録24時間後における心拍数を60〜94回/分に調節できた患者の割合(目標達成患者の割合)において、本剤群は目標達成率を増加させた。また、安全性評価対象の本剤群77例中12例(15.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血圧低下・低血圧6例(7.8%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、原則1μg/kg/minの増減幅で適宜調節し、最大投与量として20μg/kg/minを超えないこととした。
16)[
7.7、
7.8参照]
| 投与群 | 目標達成被験者の割合 | p値a) |
| 本剤群 | 54.7%(41/75例) | p=0.0031 |
| 既存治療群 | 33.3%(25/75例) |
副次評価項目である登録168時間後までに新たな不整脈(同意取得から登録前までの時点で発現していたものとは異なる不整脈で新たな治療を要する又は5分以上持続した不整脈)を発現した患者割合は、本剤群9.3%(7/75例)、既存治療群25.3%(19/75例)、登録28日後までに死亡した患者の割合は、本剤群12.0%(9/75例)、既存治療群20.0%(15/75例)であった。
16)
<小児の心機能低下例における頻脈性不整脈>
17.1.9 国内後期第II相/第III相試験
3ヵ月〜15歳未満の先天性心疾患の術後及び非周術期の心機能低下例における頻脈性不整脈(上室頻拍、心房細動、心房粗動)を対象に非盲検非対照試験を実施した。治療薬投与前のNYHA心機能分類又はRoss心機能分類がIII度又はIV度で、[1]不整脈発作前の体心室駆出率が25〜50%の患者、又は[2]不整脈発作前の心機能・循環維持に静注の強心薬を投与している、若しくは補助循環装置の管理下の患者が対象とされた。組み入れられた25例全例が上室頻拍であり、上室頻拍の内訳は、心房頻拍9例、不適切洞頻脈
*8例、接合部異所性頻拍6例、房室結節リエントリー頻拍1例、接合部異所性頻拍及び房室結節リエントリー頻拍の併発1例であった。主要評価項目である治験薬投与開始2時間後における治験薬投与直前の心拍数に対する20%以上の徐拍化又は洞調律への復帰を認めた被験者割合(目標達成被験者の割合)は48.0%(12/25例)であり、点推定値は事前に規定した閾値有効率38.0%を上回った。また、各年齢層で同様の結果であった。安全性評価対象25例中6例(24.0%)に副作用が認められた。副作用は血圧低下・低血圧5例(20.0%)及び末梢冷感1例(4.0%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、原則1μg/kg/minの増減幅で適宜調節し、最大投与量として10μg/kg/minを超えないこととした。
6)[
7.7参照]
*:不適切洞頻脈は、洞性頻脈との識別のため、鎮静剤投与や体温管理等を実施しても頻脈が持続する場合とした。
| | 全体(N=25) | 3ヵ月以上1歳未満(N=9) | 1歳以上7歳未満(N=13) | 7歳以上15歳未満(N=3) |
| 目標達成被験者割合n(%) | 12(48.0) | 4(44.4) | 6(46.2) | 2(66.7) |
| 95%信頼区間(正規近似) | [28.4,67.6] | [12.0,76.9] | [19.1,73.3] | [13.3,100] |
副次評価項目である各時点の心拍数及び洞調律への復帰において、本剤は投与後速やかな効果を示した。
6)
| | 投与直前 | 30分後 | 1時間後 | 2時間後 |
| 心拍数(回/分)a) | 158.0±19.0 | 147.5±24.8 | 136.0±24.5 | 130.3±24.1 |
| 洞調律復帰率b) | − | 20.0%(3/15例) | 31.3%(5/16例) | 40.0%(6/15例) |
18.1 作用機序
主に心臓に存在するβ1受容体に作用し、交感神経終末及び副腎髄質より遊離されるノルアドレナリン及びアドレナリンによる心拍数増加作用に拮抗することで抗不整脈作用を発現する。
18.2 薬理作用
18.2.1 β1受容体選択性[
9.1.1、
9.1.5参照]
(1)ランジオロール塩酸塩のβ
1及びβ
2受容体に対するKi値は、それぞれ62.1及び1,890nMである(
in vitro)。
17)(2)ランジオロール塩酸塩のβ
1(摘出心房筋)遮断作用及びβ
2(気管平滑筋)遮断作用のpA
2値は、それぞれ6.31及び3.91である(
in vitro)。
18)(3)ランジオロール塩酸塩のα
1及びα
2受容体に対するKi値は、それぞれ81.5及び180.1μMであり、α受容体にはほとんど作用しない(
in vitro)。
18)
18.2.2 β遮断作用の持続性
イソプロテレノール投与による心拍数増加に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じた心拍数増加抑制作用を示し、抑制作用の消失半減期は11分から18分である(イヌ)。一方、同モデルにおいてプロプラノロール塩酸塩の抑制作用の消失半減期は60分以上である。
18)
18.2.3 不整脈に対する作用
交感神経電気刺激誘発頻脈及びイソプロテレノール誘発頻脈、ハロセン・アドレナリン誘発の不整脈あるいはアコニチン誘発不整脈に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じて抑制作用を示す(イヌ)。
19)
18.2.4 頻脈時の心拍出量減少に対する作用
アドレナリン投与による頻脈と低心拍出量に対して、ランジオロール塩酸塩は心拍数を減少させることにより、心拍出量の減少を改善する。この作用は、拍動時間が長くなることで一回拍出量が増加するためであると考えられるが、過量投与した場合には逆に心拍出量を減少させる可能性がある(イヌ)。
20)
18.2.5 その他の作用
(1)膜安定化作用(MSA:membrane stabilizing activity)及び内因性交感神経刺激作用(ISA:intrinsic sympathomimetic activity)は認められない(
in vitro)。
18)21)(2)イソプロテレノール処置によるレニン分泌及び糖代謝の亢進に対して有意な変化を及ぼさない。一方、プロプラノロール塩酸塩はイソプロテレノール処置によるレニン分泌及び糖代謝の亢進を有意に抑制する(イヌ)。
22)
18.2.6 薬力学的薬物相互作用
ジギタリス製剤、クラスI抗不整脈剤、クラスIII抗不整脈剤、カルシウム拮抗剤及び麻酔剤との併用によって、ランジオロール塩酸塩の心拍数減少、PR間隔延長、平均血圧低下のいずれかが相乗的に増強される(イヌ)。
23)[
10.2参照]
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。