医療用医薬品 : ヤスラミン

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医薬品情報


総称名 ヤスラミン
一般名 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
サリチル酸ナトリウム
欧文一般名 Chondroitin Sulfate Sodium
Sodium Salicylate
製剤名 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム・サリチル酸ナトリウム配合注射液
薬効分類名 鎮痛・消炎剤
薬効分類番号 1149
KEGG DRUG
D04011 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム ・サリチル酸ナトリウム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年10月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヤスラミン配合静注 (後発品) YASURAMIN Combination Intravenous ニプロ 1149501A1149 60円/管 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤又はサリチル酸系化合物(アスピリン等)、コンドロイチン硫酸に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

症候性神経痛、腰痛症

6. 用法及び用量

通常、成人には1回10mLを1日1回3分間以上かけて緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤は、鎮痛剤の経口投与が不可能な場合または急速に症状を改善する必要がある場合のみ使用する。

8. 重要な基本的注意

8.1 ショックを起こすことがあるので、経口投与が不可能な場合又は緊急に鎮痛が必要な場合にのみ投与を考慮すること。なお、本剤の使用に際しては、常時直ちに救急処置のとれる準備をしておくことが望ましい。[11.1.1参照]
8.2 使用に際し副作用防止のため、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
8.3 投与後少なくとも10分間は患者を安静な状態に保たせ、観察を十分に行うこと。
8.4 長期連用を避けること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血傾向のある患者
血小板機能異常を起こすおそれがある。
9.1.2 消化性潰瘍のある患者
消化性潰瘍が悪化するおそれがある。
9.1.3 潰瘍性大腸炎の患者
他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で症状が悪化したとの報告がある。
9.1.4 クローン病の患者
他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で症状が悪化したとの報告がある。
9.1.5 消耗性疾患の患者
投与後の患者の状態に十分注意すること。作用が急激にあらわれ、過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
腎障害が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
肝障害が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。サリチル酸ナトリウムは動物試験で催奇形作用が報告されている。[2.2参照]
9.5.2 サリチル酸系製剤(アスピリン)を妊娠末期のラットに投与した試験で、弱い胎児の動脈管収縮が報告されている1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告がある。
ライ症候群
小児において極めてまれに水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST・ALT・LDH・CKの急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。
9.7.2 高熱を伴う幼児・小児においては、投与後の患者の状態に十分注意すること。作用が急激にあらわれ、過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等があらわれることがある。
9.8 高齢者
9.8.1 副作用の発現に特に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
9.8.2 高熱を伴う高齢者においては、投与後の患者の状態に十分注意すること。作用が急激にあらわれ、過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等があらわれることがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
クマリン系抗凝血剤の作用を増強し、出血時間の延長、消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝血剤を減量するなど慎重に投与すること。本剤は、血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝血剤と置換し、遊離させる。また、本剤は血小板凝集抑制作用による出血作用を有する。
糖尿病用剤
インスリン製剤
トルブタミド
糖尿病用剤の作用を増強し、低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与すること。本剤は、血漿蛋白に結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
胸内苦悶、血圧低下、顔面蒼白、脈拍異常、呼吸困難等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.1参照]
11.1.2 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、紅皮症(はく脱性皮膚炎)(頻度不明)
11.1.3 再生不良性貧血(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、浮腫、鼻炎様症状、結膜炎等
血液白血球減少、血小板減少、貧血等
精神神経系耳鳴、難聴、めまい
肝臓黄疸、AST・ALT・Al-Pの上昇
腎臓腎障害
消化器胃痛、食欲不振、嘔気、嘔吐、消化管出血
注射部位血管痛、しびれ感、発赤、そう痒感、腫脹等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
使用に際しては、患者を横臥させ10mLを3分間以上かけて、できるだけゆっくり注射すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
国内7施設で総計181例について実施された臨床試験の概要は以下のとおりである。
疾患名有効率(%)
老人性神経痛41/53(77.4%)
神経痛(坐骨・肋間)19/21(90.5%)
外傷性神経痛6/9(66.7%)
五十肩19/21(90.5%)
関節痛9/9(100%)
腰痛症27/35(77.1%)
筋肉疼痛3/4(75.0%)
術後癒着疼痛3/3(100%)
急・慢性リウマチ21/26(80.8%)
148/181(81.8%)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
<コンドロイチン硫酸エステルナトリウム>
コンドロイチン硫酸は生体内の結合織に分布しているグリコサミノグリカンの一種でムコ多糖であり、結合織の主成分であるコラーゲン線維を安定にさせる作用を持つとされている2)。鎮痛効果についても中枢性の作用を有し速効的に中枢における疼痛感受の閾値を高めるとされている3)
<サリチル酸ナトリウム>
プロスタグランジン生合成の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、プロスタグランジンの産生を抑制することにより、抗炎症作用、解熱作用、鎮痛作用を現す。構成型COX(COX-1)と誘導型COX(COX-2)に対する選択性はない4)
18.2 鎮痛作用
酢酸Writhing法(マウス)、Randall-Selitto法(ラット)及び圧刺激法(マウス)により検討したところ、サリチル酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合することにより、その鎮痛作用は増強される5)
18.3 抗炎症作用
ラットにおけるカラゲニン浮腫は用量依存的に抑制される6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. コンドロイチン硫酸エステルナトリウム

一般的名称 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
一般的名称(欧名) Chondroitin Sulfate Sodium
分子式 (C14H19NNa2O14S)n
分子量 (503.349)n
物理化学的性状 ・白色〜微黄褐色の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおい及び味がある。
・水に溶けやすく、エタノール、アセトン又はエーテルにほとんど溶けない。
・水溶液(1→100)のpHは5.5〜7.5である。
・吸湿性である。
理化学知見その他 <コンドロイチン硫酸エステルナトリウム>
KEGG DRUG D04078

19.2. サリチル酸ナトリウム

一般的名称 サリチル酸ナトリウム
一般的名称(欧名) Sodium Salicylate
化学名 Monosodium 2-hydroxybenzoate
分子式 C7H5NaO3
分子量 160.10
物理化学的性状 ・白色の結晶又は結晶性の粉末である。
・水に極めて溶けやすく、酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすい。
・光によって徐々に着色する。
理化学知見その他 <サリチル酸ナトリウム>
KEGG DRUG D00566

22. 包装

10mL×50管[アンプル]

23. 主要文献

  1. 門間和夫ほか, 小児科の進歩, 2, 95-101, (1983)
  2. 青木虎吉ほか, 診療と新薬, 14 (8), 2041-2048, (1977)
  3. 立石昭夫ほか, 基礎と臨床, 22 (8), 2311-2317, (1988)
  4. 第十八改正日本薬局方解説書, C-2072-C-2075、C-119-C-124, (2021)
  5. 神守功二ほか, 基礎と臨床, 21 (1), 7-9, (1987)
  6. 浜野哲夫ほか, 新薬と臨床, 26 (4), 755-764, (1977)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939
製品情報問い合わせ先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元(輸入)
ニプロ株式会社
大阪府摂津市千里丘新町3番26号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/03/19 版