医療用医薬品 : カルバマゼピン |
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総称名 | カルバマゼピン |
一般名 | カルバマゼピン |
欧文一般名 | Carbamazepine |
製剤名 | カルバマゼピン製剤 |
薬効分類名 | 向精神作用性抗てんかん剤, 躁状態治療剤 |
薬効分類番号 | 1139 1179 |
ATCコード | N03AF01 |
KEGG DRUG |
D00252
カルバマゼピン
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」 (後発品) | CARBAMAZEPINE TABLETS"FUJINAGA" | 藤永製薬 | 1139002F2050 | 5.7円/錠 | 処方箋医薬品 |
カルバマゼピン錠200mg「フジナガ」 (後発品) | CARBAMAZEPINE TABLETS"FUJINAGA" | 藤永製薬 | 1139002F1100 | 5.9円/錠 | 処方箋医薬品 |
カルバマゼピン細粒50%「フジナガ」 (後発品) | CARBAMAZEPINE FINE GRANULES"FUJINAGA" | 藤永製薬 | 1139002C1090 | 13.4円/g | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分又は三環系抗うつ剤に対して過敏症の既往歴のある患者
重篤な血液障害のある患者[副作用として血液障害が報告されており、血液の異常をさらに悪化させるおそれがある。]
第2度以上の房室ブロック、高度の徐脈(50拍/分未満)のある患者[刺激伝導を抑制し、さらに高度の房室ブロックを起こすことがある。]
ボリコナゾール、タダラフィル(アドシルカ)、リルピビリン、マシテンタン、チカグレロル、グラゾプレビル、エルバスビル、ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル、アスナプレビル、ドルテグラビル・リルピビリン、ソホスブビル・ベルパタスビル、ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドを投与中の患者[これらの薬剤の血中濃度が減少するおそれがある。](「相互作用」の項参照)
ポルフィリン症の患者[ポルフィリン合成が増加し、症状が悪化するおそれがある。]
精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんのけいれん発作:強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200〜400mgを1〜2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。小児に対しては、年齢、症状に応じて、通常1日量100〜600mgを分割経口投与する。
躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200〜400mgを1〜2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。
三叉神経痛の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200〜400mgからはじめ、通常1日600mgまでを分割経口投与するが、症状により1日800mgまで増量することができる。小児に対しては、年齢、症状に応じて適宜減量する。
慎重投与
心不全、心筋梗塞等の心疾患又は第1度の房室ブロックのある患者[刺激伝導を抑制し心機能を悪化させることがある。]
排尿困難又は眼圧亢進等のある患者[抗コリン作用を有するため症状を悪化させることがある。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
肝障害、腎障害のある患者[このような患者では代謝・排泄機能が低下しているため、血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。]
薬物過敏症の患者
甲状腺機能低下症の患者[甲状腺ホルモン濃度を低下させるとの報告がある。]
重要な基本的注意
連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
なお、高齢者、虚弱者の場合は特に注意すること。
連用中は定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい。
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
統合失調症の興奮状態への使用に際しては、抗精神病薬で十分な効果が認められない場合に使用すること。
抗てんかん剤の投与により発作が悪化又は誘発されることがある。混合発作型あるいは本剤が無効とされている小発作(欠神発作、非定型欠神発作、脱力発作、ミオクロニー発作)の患者に本剤を投与する場合には状態に注意し、発作が悪化あるいは誘発された場合には本剤の投与を徐々に減量し中止すること。
眠気、悪心・嘔吐、眩暈、複視、運動失調等の症状は過量投与の徴候であることが多いので、このような症状があらわれた場合には、至適有効量まで徐々に減量すること。特に投与開始初期にみられることが多いため、低用量より投与を開始することが望ましい。
相互作用
相互作用序文
本剤は多くの薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、本剤又は併用薬を休薬する場合には注意すること。特に本剤の主たる代謝酵素はチトクロームP450 3A4であり、またチトクロームP450 3A4をはじめとする代謝酵素を誘導するので、これらの活性に影響を与える又はこれらにより代謝される薬剤と併用する場合には、可能な限り薬物血中濃度の測定や臨床症状の観察を行い、用量に留意して慎重に投与すること。
また、カルバマゼピンの主たる代謝物であるカルバマゼピン-10,11-エポキシドの代謝に関与する酵素はエポキシド加水分解酵素であり、この酵素を阻害する薬剤と併用する場合には、カルバマゼピン-10,11-エポキシドの血中濃度が上昇するおそれがあるため、可能な限り臨床症状の観察を行い、用量に留意して慎重に投与すること。
薬物代謝酵素用語
薬物代謝酵素用語
併用禁忌
ボリコナゾール (ブイフェンド) タダラフィル (アドシルカ) リルピビリン (エジュラント) マシテンタン (オプスミット) チカグレロル (ブリリンタ) グラゾプレビル (グラジナ) エルバスビル (エレルサ) ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル (ジメンシー配合錠) アスナプレビル (スンベプラ) ドルテグラビル・リルピビリン (ジャルカ配合錠) | これらの薬剤の血中濃度が減少し作用が減弱するおそれがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。 |
ソホスブビル・ベルパタスビル (エプクルーサ配合錠) | これらの薬剤の血中濃度が減少し作用が減弱するおそれがある。 | 本剤のP-gp及び代謝酵素の誘導作用により、これら薬剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド (ビクタルビ配合錠) | ビクテグラビル及びテノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するため、この薬剤の効果が減弱し、この薬剤に対する耐性が発現する可能性がある。 | 本剤のP-gp及び代謝酵素誘導作用による。 |
併用注意
MAO阻害剤 | 発汗、不穏、全身けいれん、異常高熱、昏睡等の症状があらわれるおそれがある。 | 本剤は三環系抗うつ剤と構造が類似しているため同様の症状が起こる可能性がある。 |
炭酸リチウム | 精神神経系症状(錯乱、粗大振戦、失見当識等)があらわれたとの報告がある。 | 明確な機序は不明であるが、ナトリウム代謝や神経伝導速度に対する両剤の相加的作用が関連している可能性が考えられている。 |
メトクロプラミド | 神経症状(歩行障害、運動失調、眼振、複視、下肢反射亢進)があらわれたとの報告がある。 | 機序不明 |
アルコール | 相互に作用が増強されるおそれがある。過度のアルコール摂取は避ける。 | 両剤とも中枢神経抑制作用を有するため。 |
中枢神経抑制剤 ハロペリドール チオリダジン | 相互に作用が増強されることがある。 | 両剤とも中枢神経抑制作用を有するため。 |
利尿剤(ナトリウム喪失性) | 低ナトリウム血症・SIADHがあらわれることがある。ナトリウム喪失性以外の利尿剤の使用を考慮する。 | 共に血清中のナトリウムを低下させることがある。 |
イソニアジド | イソニアジドの肝毒性を増強することがある。また、本剤の血中濃度が急速に上昇し、中毒症状(眠気、悪心・嘔吐、眩暈等)があらわれることがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりイソニアジドの代謝が亢進し、肝毒性を有するイソニアジド代謝物の生成が促進される。また、イソニアジドが本剤の代謝を阻害する。 |
フルボキサミン ベラパミル ジルチアゼム シメチジン オメプラゾール ダナゾール ビカルタミド キヌプリスチン・ダルホプリスチン マクロライド系抗生物質 エリスロマイシン、クラリスロマイシン等 リトナビル ダルナビル アゾール系抗真菌剤 ミコナゾール、フルコナゾール等 シプロフロキサシン | 本剤の血中濃度が急速に上昇し、中毒症状(眠気、悪心・嘔吐、眩暈等)があらわれることがある。 | これらの薬剤が本剤の代謝を阻害する。 |
アセタゾラミド | 本剤の血中濃度が急速に上昇し、中毒症状(眠気、悪心・嘔吐、眩暈等)があらわれることがある。 | 機序不明 |
クエチアピン | クエチアピンの血中濃度が低下することがある。また、本剤の代謝物の血中濃度が上昇することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりクエチアピンの代謝が促進される。また、クエチアピンが本剤の代謝物の代謝を阻害する。 |
イトラコナゾール テラプレビル | これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。また、本剤の血中濃度が上昇することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。また、これらの薬剤が本剤の代謝を阻害する。 |
クロバザム パロキセチン | これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。また、本剤の血中濃度が上昇することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。また、併用による本剤の血中濃度上昇の機序は不明である。 |
フェノバルビタール リファンピシン | 本剤の血中濃度が低下することがある。 | これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進される。 |
フェニトイン | 本剤の血中濃度が低下することがある。また、フェニトインの血中濃度を上昇又は低下させることがある。 | 両剤とも肝薬物代謝酵素誘導作用を有するため、相互に代謝が促進される。また、代謝競合により、フェニトインの代謝が阻害される。 |
バルプロ酸 | バルプロ酸の血中濃度を低下させることがある。また、本剤及び本剤の代謝物の血中濃度が上昇又は本剤の血中濃度が低下することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりバルプロ酸の代謝が促進される。また、バルプロ酸は本剤の代謝物の代謝を阻害する。バルプロ酸との併用により本剤の血中濃度が上昇又は低下したとの報告があるが、機序は不明である。 |
プリミドン | 相互に血中濃度が低下することがある。また、本剤の代謝物の血中濃度が上昇することがある。 | 両剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により相互に代謝が促進されると考えられる。また、プリミドンが本剤の代謝物の代謝を阻害する。 |
エファビレンツ | 相互に血中濃度が低下することがある。 | 両剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により相互に代謝が促進されると考えられる。 |
テオフィリン アミノフィリン水和物 | 相互に血中濃度が低下することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりテオフィリンの代謝が促進される。また、併用による本剤の血中濃度低下の機序は不明である。 |
抗不安・睡眠導入剤 アルプラゾラム ミダゾラム 抗てんかん剤 ゾニサミド クロナゼパム エトスクシミド トピラマート ペランパネル トラマドール ブプレノルフィン 抗パーキンソン剤 イストラデフィリン ブチロフェノン系精神神経用剤 ハロペリドール等 三環系抗うつ剤 イミプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン等 トラゾドン ミアンセリン セルトラリン ミルタザピン 精神神経用剤 オランザピン アリピプラゾール リスペリドン ブロナンセリン クロザピン パリペリドン ドネペジル フレカイニド エレトリプタン ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤 ニフェジピン、フェロジピン、ニルバジピン等 オンダンセトロン 副腎皮質ホルモン剤 プレドニゾロン、デキサメタゾン等 | これらの薬剤の作用を減弱することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。 |
黄体・卵胞ホルモン剤 ドロスピレノン・エチニルエストラジオール等 | 効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。 |
ソリフェナシン クマリン系抗凝血剤 ワルファリン 免疫抑制剤 シクロスポリン タクロリムス エベロリムス 抗悪性腫瘍剤 イリノテカン イマチニブ ゲフィチニブ ソラフェニブ スニチニブ ダサチニブ ニロチニブ ラパチニブ トレミフェン タミバロテン テムシロリムス アキシチニブ セリチニブ オシメルチニブ パルボシクリブ イブルチニブ ポナチニブ | これらの薬剤の作用を減弱することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。 |
抗悪性腫瘍剤 レンバチニブ | これらの薬剤の作用を減弱することがある。 | 本剤のP-gp及び代謝酵素の誘導作用により、レンバチニブの血中濃度が低下するおそれがある。 |
ドキシサイクリン 抗ウイルス剤(HIV感染症治療薬) サキナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、ドルテグラビル・アバカビル・ラミブジン等 マラビロク デラビルジン エトラビリン プラジカンテル エプレレノン シルデナフィル タダラフィル(シアリス) ジエノゲスト アプレピタント リバーロキサバン シンバスタチン | これらの薬剤の作用を減弱することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。 |
ホスアプレピタントメグルミン | これらの薬剤の作用を減弱することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりホスアプレピタントメグルミンの活性本体アプレピタントの代謝が促進され、血中濃度が低下する。 |
非脱分極性筋弛緩剤 パンクロニウム等 ジゴキシン アルベンダゾール | これらの薬剤の作用を減弱することがある。 | 機序不明 |
ヒドロキシクロロキン | 本剤の作用が減弱する可能性がある。 | 機序不明 |
ミラベグロン | ミラベグロンの作用を減弱することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用及びP糖蛋白誘導作用により、ミラベグロンの代謝が促進され、血中濃度が低下する。 |
シクロホスファミド | シクロホスファミドの作用を増強することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、シクロホスファミドの活性代謝物の濃度が上昇する。 |
カスポファンギン | カスポファンギンの血中濃度が低下するおそれがある。 | 本剤がカスポファンギンの取り込み輸送過程に影響し、カスポファンギンのクリアランス誘導が起こる。 |
アセトアミノフェン | アセトアミノフェンの作用を減弱することがある。また、肝障害を生じやすくなるとの報告がある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によりアセトアミノフェンの代謝が促進され、血中濃度が低下する。また、アセトアミノフェンから肝毒性をもつN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される。 |
ラモトリギン | ラモトリギンの血中濃度を低下させることがある。 | 肝におけるラモトリギンのグルクロン酸抱合が促進される。 |
ダビガトランエテキシラート | ダビガトランの作用を減弱することがある。 | 本剤のP糖蛋白誘導作用により、ダビガトランの血中濃度が低下することがある。 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | セイヨウオトギリソウの肝薬物代謝酵素誘導作用によると考えられている。 |
グレープフルーツジュース | 本剤の代謝が抑制され血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤投与時は、グレープフルーツジュースを摂取しないよう注意すること。 | グレープフルーツジュースに含まれる成分が本剤の小腸での代謝酵素を阻害するためと考えられている。 |
副作用
副作用発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
再生不良性貧血、汎血球減少、白血球減少、無顆粒球症、貧血、溶血性貧血、赤芽球癆、血小板減少(頻度不明)
重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)(頻度不明)
重篤な皮膚症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、眼充血、顔面の腫脹、口唇・口腔粘膜や陰部のびらん、皮膚や粘膜の水疱、多数の小膿疱、紅斑、咽頭痛、そう痒、全身倦怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、これらの症状のほとんどは本剤の投与開始から3ヵ月以内に発症することから、特に投与初期には観察を十分に行うこと。
SLE様症状(頻度不明)
SLE様症状(蝶形紅斑等の皮膚症状、発熱、関節痛、白血球減少、血小板減少、抗核抗体陽性等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発熱、発疹がみられ、さらにリンパ節腫脹、関節痛、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現、肝脾腫、肝機能障害等の臓器障害を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。また、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルス再活性化を伴うことが多い。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
胆汁うっ滞性、肝細胞性、混合型、又は肉芽腫性の肝機能障害、黄疸があらわれ、劇症肝炎等に至ることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎障害(間質性腎炎等)(頻度不明)
重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
PIE症候群、間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、喀痰、好酸球増多、肺野の浸潤影を伴うPIE症候群、間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血栓塞栓症(頻度不明)
肺塞栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー(頻度不明)
蕁麻疹、血管性浮腫、循環不全、低血圧、呼吸困難等を伴うアナフィラキシーがあらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
うっ血性心不全、房室ブロック、洞機能不全、徐脈(頻度不明)
うっ血性心不全、房室ブロック、洞機能不全、徐脈があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、けいれん、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
無菌性髄膜炎(頻度不明)
項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
悪性症候群(頻度不明)
本剤の投与により発熱、意識障害、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等があらわれることがある。このような場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。本剤の急な中止により発現することもあるので、本剤の急な投与中止は行わないこと。また、悪性症候群は抗精神病薬との併用時に発現しやすいので特に注意すること。なお、本症発症時には白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下をみることがある。
その他の副作用
頻度不明 | |
過敏症注1) | 猩紅熱様発疹、麻疹様発疹、中毒疹様発疹、光線過敏症、血管炎、血管浮腫、そう痒症、蕁麻疹、呼吸困難、潮紅 |
皮膚 | 色素沈着、ざ瘡、丘疹、多形結節性紅斑、紫斑、多毛、苔癬様角化症、爪の障害(爪甲脱落症、爪の変形、爪の変色等) |
筋骨格系 | 筋けいれん、筋脱力、関節痛、筋痛 |
血液注1) | ポルフィリン症、巨赤芽球性貧血、白血球増多、好酸球増多症、網状赤血球増加症、リンパ節腫脹 |
肝臓注1) | AST(GOT)の上昇、ALT(GPT)の上昇、Al-Pの上昇、γ-GTPの上昇 |
腎臓 | 蛋白尿、BUNの上昇、クレアチニンの上昇、乏尿、尿閉、頻尿、血尿 |
精神神経系 | 注意力・集中力・反射運動能力等の低下、立ちくらみ、抑うつ、頭痛・頭重、脱力、倦怠感、興奮、運動失調、不随意運動(振戦、アステリキシス等)、言語障害、錯乱、眠気、眩暈、幻覚(視覚、聴覚)、ふらつき、せん妄、知覚異常、インポテンス、末梢神経炎、口顔面ジスキネジー、舞踏病アテトーゼ、麻痺症状、攻撃的行動、激越、意識障害、鎮静、記憶障害 |
眼注2) | 複視、霧視、調節障害、眼振、異常眼球運動(眼球回転発作)、水晶体混濁、結膜炎、眼圧上昇 |
心血管系 | 血圧低下、血圧上昇、不整脈、刺激伝導障害 |
消化器 | 食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、下痢、口渇、膵炎注1)、口内炎、舌炎、腹痛、大腸炎 |
内分泌、代謝系 | ビタミンD・カルシウム代謝異常(血清カルシウムの低下等)、甲状腺機能検査値の異常(T4値の低下等)、血清葉酸値低下、女性化乳房、乳汁漏出、プロラクチン上昇、低ナトリウム血症、骨軟化症、骨粗鬆症、高血糖 |
その他 | 発熱、味覚異常、聴覚異常(耳鳴、聴覚過敏、聴力低下、音程の変化等)、脱毛、浮腫、発汗、コレステロール上昇、CK(CPK)値上昇、トリグリセリド上昇、体液貯留、免疫グロブリン低下(IgA、IgG等)、体重増加、CRP上昇、感冒様症状(鼻咽頭炎、咳嗽等) |
高齢者への投与
減量するなど注意すること[一般に高齢者では生理機能が低下している。](「重要な基本的注意」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず本剤を妊娠中に投与する場合には、可能な限り他の抗てんかん剤との併用は避けることが望ましい[妊娠中に本剤が投与された患者の中に、奇形(二分脊椎を含む)を有する児や発育障害の児を出産した例が多いとの疫学的調査報告がある。また、本剤の単独投与に比べ、本剤と他の抗てんかん剤(特にバルプロ酸ナトリウム)の併用では口蓋裂、口唇裂、心室中隔欠損等の奇形を有する児の出産例が多いとの疫学的調査報告がある。なお、尿道下裂の報告もある。]。
分娩前に本剤又は他の抗てんかん剤と併用し連用した場合、出産後新生児に禁断症状(けいれん、呼吸障害、嘔吐、下痢、摂食障害等)があらわれるとの報告がある。
妊娠中の投与により、新生児に出血傾向があらわれることがある。
妊娠中の投与により、葉酸低下が生じるとの報告がある。
授乳中の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[母乳中へ移行することが報告されている。]。
過量投与
症状
最初の徴候・症状は、通常服用1〜3時間後にあらわれる(「重要な基本的注意」の項参照)。中枢神経障害(振戦、興奮、けいれん、意識障害、昏睡、脳波変化等)が最も顕著で、心血管系の障害(血圧変化、心電図変化等)は通常は軽度である。また、横紋筋融解症があらわれることがある。
処置
特異的な解毒剤は知られていない。通常、次のような処置が行われる。
催吐、胃内容物の吸引、胃洗浄、血液透析。必要に応じ活性炭投与。
気道確保。必要に応じ気管内挿管、人工呼吸、酸素吸入。
低血圧に対しては両下肢挙上及び血漿増量剤投与。必要に応じ昇圧剤を投与。
けいれんにはジアゼパムを静注(ただし、ジアゼパムによる呼吸抑制、低血圧、昏睡の悪化に注意)。
適切な処置を行った後、呼吸、心機能、血圧、体温等を引き続き数日間モニターする。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)。
その他の注意
他の抗てんかん剤に投与変更する場合には、増悪を防止するため、通常、ジアゼパム又はバルビツール酸系化合物の併用を行うことが望ましい。
ラットにカルバマゼピンを長期間経口投与した実験(25、75及び250mg/kg、2年間)で、雌に肝腫瘍の発生が用量依存性をもって有意に認められたとの報告がある。
血清免疫グロブリン(IgA、IgG等)の異常があらわれることがある。
男性の生殖能力障害と精子形成異常の報告がある。
本剤と他の抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタール)との間に交差過敏症(過敏症症候群を含む皮膚過敏症)を起こしたとの報告がある。
日本人を対象としたレトロスペクティブなゲノムワイド関連解析において、本剤による皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症及び過敏症症候群等の重症薬疹発症例のうち、HLA-A*3101保有者は58%(45/77)であり、重症薬疹を発症しなかった集団のHLA-A*3101保有者は13%(54/420)であったとの報告がある。なお、HLA-A*3101アレルの頻度は日本人では0.071-0.120との報告がある。
漢民族(Han-Chinese)を祖先にもつ患者を対象とした研究では、本剤による皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症発症例のうち、ほぼ全例がHLA-B*1502保有者であったとの報告がある。一方、日本人を対象とした研究において本剤による重症薬疹発症例とHLA-B*1502保有との明らかな関連性は示唆されていない。
なお、HLA-B*1502アレルの頻度は漢民族では0.019-0.124、日本人では0.001との報告がある。
海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。
生物学的同等性試験2)
カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」と標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(カルバマゼピンとして100mg)健康成人男子12名に空腹時単回経口投与して血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータについて統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
AUC(0-144hr) (hr・μg/mL) | Cmax (μg/mL) | Tmax (hr) | T1/2 (hr) | |
カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」 | 98.9±21.2 | 1.72±0.18 | 2.3±2.0 | 51.9±17.0 |
標準製剤 (錠剤、100mg) | 98.6±23.4 | 1.68±0.29 | 2.6±1.3 | 49.6±13.4 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
有効血中濃度3)
有効血中カルバマゼピン濃度は4〜12μg/mL(てんかんの場合)とされている。
溶出挙動4)
カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」、カルバマゼピン錠200mg「フジナガ」及びカルバマゼピン細粒50%「フジナガ」は、日本薬局方外医薬品規格第3部に定められたカルバマゼピン錠及びカルバマゼピン細粒の溶出規格に適合していることが確認されている。
抗けいれん作用5)
カルバマゼピンはラットにおける電気ショックけいれんに対しフェノバルビタールとほとんど同等の抑制作用を示し、マウスにおけるストリキニーネけいれんに対しては十分なけいれん抑制作用を示さないが、カルバマゼピン100mg/kg(経口)投与では、フェニトインやメフェネシンと比較して明らかにけいれんの発現を遅延させる。
カルバマゼピンはマウスを用いた行動薬理学的試験において、闘争行動抑制作用、常同行動抑制作用、麻酔増強作用を示す。
カルバマゼピンはウサギを用いた電気生理学的試験において、嗅球から大脳辺縁系に至る情動経路(嗅球−扁桃核、嗅球−海馬)の誘発電位の抑制を示す。
三叉神経痛に対する作用8)
カルバマゼピンはネコにおいて、上顎神経の電気刺激に対する三叉神経脊髄路反応の潜伏期間を延長させる。
安定性試験9)
カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」(PTP)
最終包装製品を用いた長期保存試験(室温、3年間)の結果、規格の範囲内であり、通常の市場流通下において3年間安定であることが確認された。
カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」(プラスチック製瓶)
最終包装製品を用いた相対比較試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
カルバマゼピン錠200mg「フジナガ」(PTP)
最終包装製品を用いた長期保存試験(室温、5年間)の結果、規格の範囲内であり、通常の市場流通下において5年間安定であることが確認された。
カルバマゼピン錠200mg「フジナガ」(プラスチック製瓶)
最終包装製品を用いた相対比較試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、通常の市場流通下において5年間安定であることが推測された。
カルバマゼピン細粒50%「フジナガ」
本剤は処方変更時の相対比較試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、通常の市場流通下において5年間安定であることが推測された。
カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」
100錠(PTP) 1,000錠(PTP)
500錠(プラスチック製瓶)
カルバマゼピン錠200mg「フジナガ」
100錠(PTP) 1,000錠(PTP)
500錠(プラスチック製瓶)
カルバマゼピン細粒50%「フジナガ」
100g 500g
1. | JPDI 2011 日本薬局方医薬品情報, 472-479, (2011) じほう |
2. | 藤永製薬社内資料:生物学的同等性に関する資料 |
3. | 伊賀立二ほか, 薬物投与設計のためのTDMの実際, 126-149, (1993) 薬業時報社 |
4. | 藤永製薬社内資料:溶出に関する資料 |
5. | Theobald W,et al., Arzneimittelforschung, 13 (2), 122-125, (1963) »PubMed |
6. | 中尾健三ほか, 薬理と治療, 16 (3), 1189-1190, (1988) |
7. | 中尾健三ほか, 薬理と治療, 16 (3), 1191-1206, (1988) |
8. | Fromm GH,et al., Neurology, 17, 275-280, (1967) »PubMed »DOI |
9. | 藤永製薬社内資料:安定性に関する資料 |
改訂履歴 |
2020年3月 改訂 |
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業態及び業者名等 |
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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2023/03/22 版 |