17.1.1 第II相国際共同試験(日本人を含む周産期型及び乳児型低ホスファターゼ症患者)
国内外の生後6ヵ月未満で発症した5歳以下の周産期型及び乳児型低ホスファターゼ症患者28例(日本人5例)を対象に、本剤1回1.0mg/kgを週6回、又は1回2.0mg/kgを週3回皮下投与とした非盲検非対照試験が実施された。
ベースラインから投与24週までのくる病の重症度変化を評価したX線画像所見によるRGI-Cスコア(中央値(最小値,最大値))は、全集団で1.67(−1.67,3.00)であり、ベースラインから有意な改善が認められ、投与120週までベースラインから増加傾向が認められた。
ベースラインから投与24週、48週及び96週における血漿中無機ピロリン酸(以下PPi)濃度と血漿中ピリドキサール-5'-リン酸塩(以下PLP)濃度の変化量(平均値±標準偏差)は、下表に示すようにすべての測定時点で減少していた。
本剤投与後の血漿中PPiと血漿中PLPの変化量
測定時期 | 24週 | 48週 | 96週 |
血漿中PPi(μM) | −3.11±2.69(n=26) | −2.21±2.41(n=15) | −0.26±7.00(n=11) |
血漿中PLP(ng/mL) | −2186±4091(n=17) | −1645±2788(n=11) | −3917±6040(n=9) |
本剤投与168週時のKaplan-Meier法により推定された生存率とその95%信頼区間は84[57,95]%であった。
28例中22例(78.6%)(うち日本人5例)に抗アスホターゼ アルファ抗体が認められ、28例中14例(50%)(うち日本人2例)に中和抗体が認められた
3)。
副作用発現頻度は78.6%(22/28例)であり、主な副作用は注射部位紅斑42.9%(12/28例)、注射部位変色、注射部位硬結の各17.9%(5/28例)であった。
17.1.2 海外第II相試験(乳児型及び小児型低ホスファターゼ症患者)
外国人の5歳以上12歳以下の乳児型及び小児型低ホスファターゼ症患者13例を対象に、本剤1回2mg/kgを週3回、又は1回3mg/kgを週3回、24週間皮下投与とした非盲検試験が実施された(6mg/kg/週群6例(乳児型3例、小児型3例)、9mg/kg/週群7例(乳児型2例、小児型5例))。本剤投与24週後は、本剤1回1mg/kgを週3回3〜9ヵ月間皮下投与とされ、その後、本剤1回1mg/kgを週6回、又は1回2mg/kgを週3回の皮下投与とされた。また、低ホスファターゼ症患者の自然歴データベースから選択された16例が既存対照群とされた。ベースラインから投与24週までのX線画像所見によるRGI-Cスコア(中央値(最小値,最大値))は、本剤全投与群(6mg/kg/週群と9mg/kg/週群を併合した群)で2.00(0.0,2.3)、既存対照群で0.00(−1.3,2.0)であり、本剤全投与群では既存対照群と比較して有意な改善が認められ、本剤各群のRGI-Cスコアは投与96週までベースラインから増加傾向が認められた。ベースラインから投与24週、48週及び96週における血漿中PPi濃度と血漿中PLP濃度の変化量(平均値±標準偏差)は、下表に示すように、ほぼ全測定時点で減少していた。
本剤投与後の血漿中PPiと血漿中PLPの変化量
測定時期 | 24週 | 48週 | 96週 |
血漿中PPi(μM) | 6mg/kg/週群 | −1.80±0.51(n=6) | −2.09±0.72(n=6) | −0.50±1.03(n=6) |
9mg/kg/週群 | −1.97±0.94(n=6) | −2.28±0.74(n=6) | −0.57±0.80(n=6) |
血漿中PLP(ng/mL) | 6mg/kg/週群 | −174±155(n=6) | −190±169(n=6) | −171±156(n=6) |
9mg/kg/週群 | −156±91.6(n=6) | −183±94.7(n=5) | −135±90.3(n=6) |
抗体について評価可能な12例全例に抗アスホターゼ アルファ抗体が認められ、9mg/kg/週群の2例に中和抗体が認められた
4)。
副作用発現頻度は92.3%(12/13例)であり、主な副作用は注射部位紅斑84.6%(11/13例)、注射部位斑69.2%(9/13例)、注射部位そう痒感53.8%(7/13例)であった。
17.1.3 海外第II相試験(乳児型、小児型及び成人型低ホスファターゼ症患者)
外国人の13歳以上65歳以下の乳児型、小児型及び成人型低ホスファターゼ症患者19例を対象に、本剤0.3mg/kg又は0.5mg/kgを1日1回24週間皮下投与とし、本剤非投与例が対照群として設定された非投与対照無作為化非盲検比較試験が実施された(対照群6例(乳児型1例、小児型5例)、本剤群13例(乳児型3例、小児型7例、成人型2例、発症年齢不明1例))。本剤投与24〜48週後は、全例に本剤0.5mg/kgを1日1回皮下投与とされ、投与48週以降は本剤1回1mg/kgを週6回皮下投与とされた。対照群及び本剤全投与群(0.3mg/kg/日群と0.5mg/kg/日群を併合した群)のベースラインから投与24週までの血漿中PPi濃度と血漿中PLP濃度の変化量は、下表に示すように、本剤投与により減少していた。
血漿中PPi(μM)の変化量
測定時期 | 24週 | 48週 | 96週 |
対照群 | −0.18(−6.84,1.07)a)(n=6) | − | − |
本剤投与群 | 全例 | −2.19(−4.40,0.32)a)(n=13) | − | − |
0.3mg/kg/日群 | −2.03±1.44b)(n=7) | −1.49±1.37b)(n=7) | −2.06±3.25b)(n=7) |
0.5mg/kg/日群 | −2.19±1.33b)(n=6) | −1.28±1.54b)(n=6) | −2.69±2.08b)(n=6) |
血漿中PLP(ng/mL)の変化量
測定時期 | 24週 | 48週 | 96週 |
対照群 | 11.0(−374.0,346.0)a)(n=6) | − | − |
本剤投与群 | 全例 | −254.5(−1467.0,−17.2)a)(n=13) | − | − |
0.3mg/kg/日群 | −255.0±196.2b)(n=7) | −235.3±191.6b)(n=6) | −301.3±252.6b)(n=7) |
0.5mg/kg/日群 | −564.3±624.0b)(n=6) | −593.4±605.2b)(n=5) | −584.6±654.9b)(n=6) |
対照群6例中5例(83.3%)、0.3mg/kg/日群7例中5例(71.4%)、0.5mg/kg/日群6例中5例(83.3%)に抗アスホターゼ アルファ抗体が認められ、0.5mg/kg/日群の6例中2例(33.3%)に中和抗体が認められた
5)。
24週間の本治験期間での副作用発現頻度は、0.3mg/kg/日群57.1%(4/7例)、0.5mg/kg/日群33.3%(2/6例)であり、主な副作用は注射部位紅斑38.5%(5/13例)、注射部位血腫、注射部位疼痛の各30.8%(4/13例)であった。
注)本剤の承認用法・用量は、1回1mg/kgを週6回、又は1回2mg/kgを週3回皮下投与である。