本剤は添加剤としてグリシンを含むため、硬膜外及びくも膜下への投与は行わないこと。
2.1 本剤の成分又はフェンタニル系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者[
10.1参照]
<成人:全身麻酔の導入及び維持における鎮痛>
成人では他の全身麻酔剤を必ず併用し、下記用量を用いる。
麻酔導入
通常、レミフェンタニルとして0.5μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、ダブルルーメンチューブの使用、挿管困難等、気管挿管時に強い刺激が予想される場合には、1.0μg/kg/分とすること。また、必要に応じて、持続静脈内投与開始前にレミフェンタニルとして1.0μg/kgを30〜60秒かけて単回静脈内投与することができる。ただし、気管挿管を本剤の投与開始から10分以上経過した後に行う場合には単回静脈内投与の必要はない。
麻酔維持
通常、レミフェンタニルとして0.25μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、投与速度については、患者の全身状態を観察しながら、2〜5分間隔で25〜100%の範囲で加速又は25〜50%の範囲で減速できるが、最大でも2.0μg/kg/分を超えないこと。浅麻酔時には、レミフェンタニルとして0.5〜1.0μg/kgを2〜5分間隔で追加単回静脈内投与することができる。
<小児:全身麻酔の維持における鎮痛>
1歳以上の小児では他の全身麻酔剤を必ず併用し、下記用量を用いる。
麻酔維持
通常、レミフェンタニルとして0.25μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、投与速度については、患者の全身状態を観察しながら、2〜5分間隔で25〜100%の範囲で加速又は25〜50%の範囲で減速できるが、最大でも1.3μg/kg/分を超えないこと。浅麻酔時には、レミフェンタニルとして1.0μg/kgを2〜5分間隔で追加単回静脈内投与することができる。
<集中治療における人工呼吸中の鎮痛>
通常、成人には、レミフェンタニルとして0.025μg/kg/分の速さで持続静脈内投与を開始し、患者の全身状態を観察しながら、適切な鎮痛が得られるよう、投与速度を適宜調節する。投与速度の調節は5分以上の間隔で、0.1μg/kg/分までは最大0.025μg/kg/分ずつ加速又は減速させ、0.1μg/kg/分を超える場合は25〜50%の範囲で加速又は最大25%の範囲で減速させるが、投与速度の上限は0.5μg/kg/分とする。投与終了時は、10分以上の間隔で、最大25%ずつ減速させ、0.025μg/kg/分を目安として投与終了する。
<効能共通>
7.1 肥満患者の用量設定は実際の体重よりも標準体重
1)に基づいて行うことが望ましい。(肥満患者:成人ではBMI25以上)[
16.6.5参照]
<成人:全身麻酔の導入及び維持における鎮痛、小児:全身麻酔の維持における鎮痛>
7.2 本剤を単独で全身麻酔に使用しないこと。本剤は鎮静効果が弱いため、意識消失を得るためには他の全身麻酔剤を併用すること。
7.3 本剤を単回静脈内投与する場合は、30秒以上かけて行うこと。[
11.1.1参照]
<集中治療における人工呼吸中の鎮痛>
<効能共通>
8.1 本剤は作用消失が急速であり投与中止5〜10分後には作用が消失する。そのため、本剤の投与中止前、若しくは直後に鎮痛剤を投与するなど適切な疼痛管理を行うこと。
8.2 まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合には直ちに救急処置のとれるよう、常時準備しておくこと。
8.3 本剤の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転や危険を伴う機械の操作等に従事しないよう、患者に注意すること。
8.4 本剤は強オピオイドであり呼吸循環への影響が予測されるため、必ず気道確保、呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で、心電図による監視、血圧の測定等、心機能をモニターすること。
<成人:全身麻酔の導入及び維持における鎮痛、小児:全身麻酔の維持における鎮痛>
8.5 本剤投与にあたっては、原則としてあらかじめ絶食させておくこと。
8.6 本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔剤と同様、麻酔開始より患者が完全に覚醒するまで、麻酔技術に熟練した医師が専任で患者の全身状態を十分に監視すること。
8.7 患者の全身状態を観察しながら、本剤及び併用する全身麻酔剤の投与量に注意し、麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
<集中治療における人工呼吸中の鎮痛>
8.8 本剤の使用に際しては、集中治療に習熟した医師が患者の全身状態を注意深く継続して監視すること。
8.9 本剤投与中は挿管又は気管切開による気道確保を行うこと。
8.10 移送を伴う場合には、患者管理に熟練した医師の付き添いのもと、循環動態、呼吸等について継続的な監視体制が整った状況で投与し、循環動態の変動及び呼吸等に特に注意すること。
8.11 本剤投与中は至適鎮痛レベルが得られるよう患者の全身状態を観察しながら投与速度を調節すること。鎮痛レベル及び鎮静レベルの両方が至適レベルを満たしていない場合は、先に至適鎮痛レベルを満たすように本剤の投与速度を調節した後、鎮静剤併用の必要性の判断を含め、至適鎮静レベルを満たすように鎮静剤の投与速度を調節すること。
8.12 本剤は鎮静作用を有するため、他の鎮静剤と併用する際には鎮静剤の過量投与に注意すること。
8.13 長期投与後の急激な投与中止により、頻脈、高血圧等の離脱症状があらわれることがあるため、投与を中止する場合には、用法及び用量を遵守し、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 ASAIII、IVの患者
開始投与速度を減速し、その後調節すること。血液循環が抑制されるおそれがある。
9.1.2 衰弱患者、循環血液量減少のある患者
9.1.3 重症の高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者
9.1.4 不整脈のある患者
9.1.5 慢性肺疾患等の呼吸機能障害のある患者
9.1.6 薬物依存の既往歴のある患者
9.1.7 痙攣発作の既往歴のある患者
9.1.8 気管支喘息の患者
9.5 妊婦
9.5.1 妊産婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.2 本剤は胎盤を通過するため、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
<小児:全身麻酔の維持における鎮痛>
9.7.1 低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
<集中治療における人工呼吸中の鎮痛>
9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
本剤の開始用量を減量するなど、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与して調節すること。心血管系に影響を及ぼすおそれがあり、血圧低下等の副作用があらわれやすい。本剤の薬理学的作用に対する感受性が増大するとの報告がある
2)。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 筋硬直(頻度不明)
発現は本剤の投与量及び投与速度に関連するため、本剤の単回静脈内投与は30秒以上かけて行うこと。また、麻酔導入時に発現する過剰な筋硬直に対しては、筋弛緩剤の追加投与による治療を行うこと。[
7.3、
13.2.1参照]
11.1.2 換気困難(頻度不明)
筋硬直、喉頭痙攣により換気困難な状況に陥る可能性がある。異常が認められた場合には、筋弛緩剤の使用等適切な処置を行うこと。なお、喉頭痙攣がラリンジアルマスク使用中に出現し、換気困難となった症例が報告されているため、注意すること。
11.1.3 呼吸停止(頻度不明)、呼吸抑制(1.1%注))
本剤の投与に際しては補助呼吸を行い、必要に応じて筋弛緩剤あるいは麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン酒石酸塩等)を使用するなど適切な呼吸管理を行うこと。[
9.1.5、
13.2.2参照]
11.1.4 低血圧(3.3%注))、血圧低下(頻度不明)
本剤の投与速度の減速、若しくは併用する全身麻酔剤又は鎮静剤の投与速度の減速又は投与量の減量を含め、輸液、昇圧剤の使用等適切な処置を行うこと。[
9.1.3、
13.2.3参照]
11.1.5 徐脈(1.1%注))
本剤の投与速度の減速、若しくは併用する全身麻酔剤又は鎮静剤の投与速度の減速又は投与量の減量を含め、輸液、昇圧剤、アトロピン硫酸塩等の副交感神経遮断剤の使用等適切な処置を行うこと。[
9.1.4、
13.2.4参照]
11.1.6 不全収縮、心停止(いずれも頻度不明)
徐脈に引き続いて不全収縮、心停止があらわれることがある(本剤と他の全身麻酔剤が併用されている場合、重篤な徐脈、不全収縮、心停止がみられることがあるので、十分な患者管理のできる状態で使用すること)。
11.1.7 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
本剤と他の全身麻酔剤が併用されている患者においてアレルギー、アナフィラキシーがあらわれることがある。
11.1.8 全身痙攣(頻度不明)[
9.1.7参照]
注)国内第III相試験(集中治療における人工呼吸中の鎮痛)の発現頻度
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 0.1〜5%未満注) | 頻度不明 |
| 精神障害 | 譫妄、落ち着きのなさ | 幻視、激越 |
| 神経系障害 | 傾眠 | 振戦、鎮静 |
| 心臓障害 | | 結節性調律、期外収縮、房室解離、洞房ブロック、心室無収縮、房室ブロック |
| 血管障害 | | 潮紅、高血圧 |
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 徐呼吸、過換気 | |
| 胃腸障害 | 便秘、悪心 | 嘔吐、腹痛、腹部膨満 |
| 肝胆道系障害 | 肝機能異常 | |
| 皮膚及び皮下組織障害 | 発疹 | 紅斑、皮膚炎 |
| 腎及び尿路障害 | | 乏尿 |
| 全身障害及び投与局所様態 | | 悪寒、冷感 |
| 臨床検査 | 一回換気量増加 | ビリルビン増加、AST増加、LDH増加、ALT増加、血圧上昇、体温低下 |
| 傷害、中毒及び処置合併症 | 鎮静合併症 | 術後血圧上昇、創合併症 |
13.1 症状
筋硬直、呼吸抑制、血圧低下、徐脈等があらわれることがある。
13.2 処置
本剤の投与速度の減速又は投与中止を含め、必要に応じて適切な処置等を行うこと。
13.2.1 筋硬直に対しては、筋弛緩剤の投与を行うこと。[
11.1.1参照]
13.2.2 呼吸抑制に対しては、必要に応じて麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン酒石酸塩等)の投与を行うこと。[
11.1.3参照]
13.2.3 血圧低下に対しては、輸液、昇圧剤の使用等適切な処置を行うこと。[
11.1.4参照]
13.2.4 徐脈に対しては、輸液、昇圧剤、アトロピン硫酸塩等の副交感神経遮断剤の使用等適切な処置を行うこと。[
11.1.5参照]
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 注射液の調製方法
(溶解法)
レミフェンタニル濃度が1mg/mLになるように、バイアル内に注射用水、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を注入し、よく振盪して完全に溶解する。
(希釈法)
レミフェンタニルとして100μg/mL(20〜250μg/mL)になるように、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈する。また、希釈後は安定性が低下するので、24時間以内に使用すること。注射用水は、溶液が等張とならないため希釈液として用いないこと。[
14.2参照]
溶解及び希釈に必要な総液量
| 最終濃度 | 薬剤(1バイアル) | 溶解に必要な液量 | 希釈に必要な液量 | 溶解後総液量 |
| 100μg/mL | 2mgバイアル | 2mL | 18mL | 20mL |
| 5mgバイアル | 5mL | 45mL | 50mL |
14.1.2 配合変化
チオペンタールと混合すると沈殿を生じるので、別々の投与経路で使用するか、又は同一投与経路を使用する場合は経路内を生理食塩液等の中性溶液を用いて洗浄するなど、混合しないこと。
14.2 薬剤投与前の注意
本剤は投与前にプロポフォール等他の薬剤と混合しないこと。また、規定した溶解液及び希釈液のみを用い、調製すること。本剤を溶解し高pH(pH>6)になった場合には、含量の低下、分解物の増加が認められている。[
14.1.1参照]
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 投与経路
14.3.2 静注用ラインは専用のラインを使用し、静脈穿刺部若しくはその近位に接続すること。なお、本剤を持続静脈内投与する際には、必ずシリンジポンプ等を用いて行うこと。
14.3.3 血液/血清/血漿と同じ静注用ラインへ本剤を投与しないこと。血液由来の非特異的エステラーゼにより本剤が加水分解されるおそれがある。
14.4 薬剤投与後の注意
14.4.1 本剤の投与終了後、本剤を投与したラインを洗浄する際には、本剤の残液が急速静注されるおそれがあるので、十分注意すること。本剤を投与する際に用いた静注用ラインで他の薬剤を投与しないこと。
14.4.2 同一患者に対する一回の使用で残液がでた場合には、麻薬に関する所定の手続きにしたがって廃棄すること。
高温下での本剤の保存は避けること(25℃以下での保存が望ましい)。
21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。