医療用医薬品 : フィナステリド |
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総称名 | フィナステリド |
一般名 | フィナステリド |
欧文一般名 | Finasteride |
製剤名 | フィナステリド錠 |
薬効分類名 | 5α-還元酵素II型阻害薬, 男性型脱毛症用薬 |
薬効分類番号 | 2499 |
ATCコード | D11AX10 |
KEGG DRUG |
D00321
フィナステリド
商品一覧 米国の商品 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」 | Finasteride Tablets 0.2mg「Kracie」 | 大興製薬 | 249900XF1064 | 劇薬 , 処方箋医薬品 | |
フィナステリド錠1mg「クラシエ」 | Finasteride Tablets 1mg「Kracie」 | 大興製薬 | 249900XF2060 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人(「2.重要な基本的注意」、「5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
男性における男性型脱毛症の進行遅延
男性における男性型脱毛症のみの適応である。他の脱毛症に対する適応はない。
20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない。
女性に対する適応はない。[海外のフィナステリド製剤で実施した閉経後女性の男性型脱毛症を対象とした12ヵ月間のプラセボ対照二重盲検比較試験(n=137)において、フィナステリドの有効性は認められなかった。]
男性成人には、通常、フィナステリドとして0.2mgを1日1回経口投与する。なお、必要に応じて適宜増量できるが、1日1mgを上限とする。
3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である。また、効果を持続させるためには継続的に服用すること。なお、増量による効果の増強は、確認されていない。本剤を6ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の進行遅延がみられない場合には投薬を中止すること。また、6ヵ月以上投与する場合であっても定期的に効果を確認し、継続投与の必要性について検討すること。
慎重投与
肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるが、肝機能障害のある患者に投与した場合の安全性は確認されていない。]
重要な基本的注意
本剤の使用に際しては、患者に次の事項を説明すること。
本剤を妊婦に投与すると、本剤の薬理作用(DHT低下作用)により、男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがある。(「5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
本剤を分割・粉砕しないこと。
本剤が粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人は取扱わないこと。本剤はコーティングされているので、割れたり砕けたりしない限り、通常の取扱いにおいて有効成分に接触することはない。(「5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
副作用
副作用発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度は不明である。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
(頻度不明)
肝機能障害
肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
頻度不明 | |
過敏症 | そう痒症、蕁麻疹、発疹、血管浮腫(口唇、舌、咽喉及び顔面腫脹を含む) |
生殖器 | リビドー減退注1)、勃起機能不全注1)、射精障害注1)、精液量減少、睾丸痛、血精液症、男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)注2) |
肝臓 | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇 |
その他 | 乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまい |
高齢者への投与
前立腺肥大症患者を対象にしたフィナステリド製剤(5mg)の臨床試験では、高齢者と非高齢者において副作用発現率に明らかな差は認められていない。しかし、一般に高齢者では生理機能が低下しているので注意すること。[高齢者における有効性は確立していない。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
授乳中の婦人には投与しないこと。[本剤がヒト乳汁中へ移行するかは不明である。]
小児等への投与
小児等に対する適応はない。[小児等に対する安全性及び有効性は確立していない。]
臨床検査結果に及ぼす影響
国内のフィナステリド製剤で実施した24歳から50歳の男性型脱毛症患者において、血清前立腺特異抗原(PSA)の濃度が約40%低下した。海外のフィナステリド製剤の臨床試験において、高年齢層の前立腺肥大症患者へのフィナステリド投与により血清PSA濃度が約50%低下した。したがって、本剤投与中の男性型脱毛症患者に対し前立腺癌診断の目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すること。
適用上の注意
調剤及び服用時
本剤を分割・粉砕しないこと。
本剤が粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人は取扱わないこと。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。
その他の注意
市販後において、フィナステリド製剤を投与された患者で男性乳癌が報告されている。フィナステリド長期投与と男性乳癌の発現との因果関係は不明である。
(参考)
海外で実施された、3,047例(平均年齢:63歳)の前立腺肥大症患者を対象としたプラセボ及び比較対照薬との4〜6年間のフィナステリド製剤の臨床試験において、フィナステリド5mg投与群(本剤承認用量の5〜25倍用量)で4例の乳癌の報告があったが、フィナステリド非投与群ではみられなかった。一方、別の3,040例(平均年齢:64歳)の前立腺肥大症患者を対象としたプラセボとの4年間のフィナステリド製剤の海外臨床試験では、プラセボ投与群において2例の乳癌の報告があったが、フィナステリド5mg投与群ではみられなかった。また、18,882例(平均年齢:63歳)の健康男性を対象としたプラセボとの7年間のフィナステリド製剤の海外臨床試験では、フィナステリド5mg投与群及びプラセボ投与群で各1例ずつ乳癌の報告があった。なお、海外のフィナステリド製剤の市販後において、フィナステリド1日5mgを投与された患者で男性乳癌が報告されている。
海外で実施された、18,882例(平均年齢:63歳)の健康男性を対象としたフィナステリド製剤5mg(本剤承認用量の5〜25倍用量)又はプラセボを7年間投与する臨床試験において、Modified Gleason Score* 8〜10の高悪性度前立腺癌の発現率が、プラセボ投与群(1.1%)と比較して、フィナステリド製剤5mg投与群(1.8%)で高かった(相対リスク1.70[95%信頼区間:1.23-2.34])との報告がある。
*組織学的悪性度の指標
フィナステリド製剤の海外臨床試験において、本剤投与により前立腺容積が減少したとの報告がある。
アカゲザルの妊娠20日から100日までフィナステリド120ng/kg/dayを毎日静脈内投与した場合でも雌雄胎児に異常所見は認められなかった。(アカゲザルへの投与量は、フィナステリド1mgが投与された患者の1回の射精を介して女性が曝露される可能性のあるフィナステリド量の少なくとも750倍に相当する。)
生物学的同等性試験[1]
フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」
フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」は「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日薬食審査発0229第10号)」に基づき、フィナステリド錠1mg「クラシエ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。
フィナステリド錠1mg「クラシエ」
フィナステリド錠1mg「クラシエ」と標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(フィナステリドとして1mg)健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中フィナステリド濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
AUC0-24(ng・hr/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) | |
フィナステリド錠1mg「クラシエ」 | 44.66±9.79 | 7.90±1.52 | 1.75±0.93 | 4.28±1.17 |
標準製剤 (錠剤、1mg) | 46.88±11.96 | 7.70±2.24 | 1.98±1.02 | 4.50±0.94 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
本剤はテストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を選択的に阻害する5α-還元酵素II型阻害薬である。男性型脱毛症の主たる原因であるジヒドロテストステロンの生成を阻害することにより、発毛作用を示すと考えられる。[2]
一般名 | フィナステリド |
一般名(欧名) | Finasteride |
化学名 | (−)-N-tert-Butyl-3-oxo-4-aza-5α-androst-1-ene-17β-carboxamide |
分子式 | C23H36N2O2 |
分子量 | 372.54 |
性状 | 白色の結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。 |
KEGG DRUG | ![]() |
安定性試験[3]
最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」及びフィナステリド錠1mg「クラシエ」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」
PTP28錠(14錠×2シート)
フィナステリド錠1mg「クラシエ」
PTP28錠(14錠×2シート)
PTP140錠(14錠×10シート)
1. | 大興製薬(株):フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」及びフィナステリド錠1mg「クラシエ」の生物学的同等性に関する資料(社内資料) |
2. | 福住 仁ほか, 日薬理誌, 127, 495, (2006) »PubMed |
3. | 大興製薬(株):フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」及びフィナステリド錠1mg「クラシエ」の安定性に関する資料(社内資料) |
改訂履歴 |
2016年2月 作成 |
文献請求先 |
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。 |
お問い合わせ先 |
クラシエ薬品株式会社 |
業態及び業者名等 |
発売元 製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2019/11/20 版 |