医療用医薬品 : コバールトリイ

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医薬品情報


総称名 コバールトリイ
一般名 オクトコグ ベータ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Octocog Beta(Genetical Recombination)
製剤名 オクトコグ ベータ(遺伝子組換え)
薬効分類名 遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤
薬効分類番号 6349
ATCコード B02BD02
KEGG DRUG
D10771 オクトコグベータ
KEGG DGROUP
DG00170 血液凝固第VIII因子
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年3月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
コバールトリイ静注用250 Kovaltry for iv injection 250 バイエル薬品 6343447D1025 20982円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
コバールトリイ静注用500 Kovaltry for iv injection 500 バイエル薬品 6343447D2021 46645円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
コバールトリイ静注用1000 Kovaltry for iv injection 1000 バイエル薬品 6343447D3028 75382円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
コバールトリイ静注用2000 Kovaltry for iv injection 2000 バイエル薬品 6343447D4024 138752円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
コバールトリイ静注用3000 Kovaltry for iv injection 3000 バイエル薬品 6343447D5020 197161円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制

6. 用法及び用量

本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内注射する。なお、1分間に5mLを超える注射速度は避けること。
通常、1回体重1kg当たり10〜30国際単位を投与するが、患者の状態に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり20〜40国際単位を週2回又は週3回投与し、12歳以下の小児に対しては、体重1kg当たり25〜50国際単位を週2回、週3回又は隔日投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

輸注速度が速すぎるとチアノーゼ、動悸を起こすことがあるので、1分間に5mLを超えない速度でゆっくり注入すること。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
8.2 患者の血中に血液凝固第VIII因子に対するインヒビターが発生するおそれがある。特に、血液凝固第VIII因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビターが発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビターの発生を疑い、回収率やインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
8.3 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や投与後の止血効果が不十分な場合には、速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 マウスモノクローナル抗体により精製した製剤又はハムスター腎細胞由来の製剤に過敏症の既往歴のある患者
9.1.2 本剤の成分又は他の第VIII因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
胸部圧迫感、めまい、低血圧、悪心等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
過敏症そう痒、潮紅、アレルギー性皮膚炎じん麻疹、発疹注1)
精神神経系頭痛、味覚異常めまい、不眠
循環器 動悸、洞性頻脈
消化器 腹痛、腹部不快感、消化不良
投与部位注射部位疼痛、注射部位そう痒注射部位反応注2)
その他リンパ節腫脹発熱、胸部不快感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤及び添付溶解液を冷所保存している場合、調製前に室温に戻しておくこと。
14.1.2 添付の溶解液以外は使用しないこと。本剤に溶解液全量を加えた後、泡立てないようバイアルを静かに円を描くように回して溶解すること(激しく振とうしないこと)。
14.1.3 他剤と混合しないこと。
14.1.4 溶解した液を使用する際には、フィルターのあるセットを用いること。
14.1.5 一度溶解したものは室温(30℃以下)で3時間以内に使用すること。3時間以内に使用されない場合は、廃棄すること。
14.1.6 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。本剤は保存剤が含有されていない。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 溶解時に不溶物の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと。
14.2.2 凍結した溶液は使用しないこと。
14.3 薬剤交付時の注意
14.3.1 患者が家庭で保管する場合においても冷蔵庫内で保存することが望ましいが、室温(30℃以下)で保存することもできる。この場合には、使用期限を超えない範囲で6ヵ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
14.3.2 子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
14.3.3 光の影響を避けるため、薬剤は外箱に入れた状態で保存すること。
14.3.4 使用済みの医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
本剤はvon Willebrand因子を含んでいない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 12歳以上の小児及び成人の重症血友病A患者(FVIII活性が1%未満)を対象とした海外第I/II/III相試験1)及び日本人を含む国際共同第II/III相試験2)において、本剤(50IU/kg)を単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
 日本人(N=4)外国人(N=26)
生体内回収率(kg/dL)※1
算術平均±SD
2.40±0.16※22.03±0.51※3
AUC(IU・h/dL)
幾何平均/%CV
1850/34.91890/36.1
t1/2(h)
幾何平均/%CV
12.8/23.013.8/28.0
Vss(dL/kg)
幾何平均/%CV
0.527/8.390.511/31.0
16.1.2 12歳以下の小児の重症血友病A患者(FVIII活性が1%未満)を対象とした海外第III相試験3)において、本剤(50IU/kg)を単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
 6歳未満(N=5)6歳以上12歳以下(N=10)
生体内回収率(kg/dL)※1
算術平均±SD
1.63±0.31※21.76±0.42※3
AUC(IU・h/dL)
幾何平均/%CV
1330/29.4※41160/34.7
t1/2(h)
幾何平均/%CV
11.8/27.0※411.9/16.6
Vss(dL/kg)
幾何平均/%CV
0.636/20.6※40.761/28.6

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第I/II/III相試験
治療歴のある12歳以上の小児及び成人の重症血友病A患者(FVIII活性が1%未満)を対象とした試験において、定期投与が行われた62例に394件の出血が認められた(継続投与期間を含む)。主な出血は軽度又は中等度の自然出血であり、最も出血の多かった部位は関節であった。止血効果は評価可能であった383件の出血のうち、296件(77.3%)が「非常に良好」又は「良好」であり、また、394件の出血のうち343件(87.1%)は本剤の2回以下の投与で止血した。定期投与における一人あたりの推定年間出血率の中央値は1.98回/年であった4)
 総出血件数止血効果評価可能件数止血効果
非常に良好良好やや良好不十分
定期投与(62例)39438391(23.8%)205(53.5%)72(18.8%)15(3.9%)
10例に12件の大手術、及び18例に26件の小手術が行われた。評価不能であった2件の小手術を除くすべての手術において止血管理に対する評価は「非常に良好」又は「良好」であった4)
安全性評価対象62例中6例(9.7%)に副作用が認められた。発現した副作用は、急性心筋梗塞、悪心、注入部位疼痛、季節性アレルギー、筋肉痛、味覚異常、頭痛、鼻閉、鼻漏、そう痒症及び潮紅が各1例であった。
17.1.2 国際共同第II/III相試験
日本人を含む治療歴のある12歳以上の小児及び成人の重症血友病A患者(FVIII活性が1%未満)を対象とした試験2)において、出血時投与が行われた21例(日本人3例を含む)に1204件の出血が認められた。主な出血は軽度又は中等度の自然出血であり、最も出血の多かった部位は関節であった。止血効果は評価可能であった1196件の出血のうち、834件(69.7%)が「非常に良好」又は「良好」であり、また、1204件の出血のうち1147件(95.3%)は本剤の2回以下の投与で止血した。
また、定期投与が行われた59例(日本人5例を含む)に293件の出血が認められた。主な出血は軽度又は中等度の自然出血であり、最も出血の多かった部位は関節であった。止血効果は評価可能であった279件の出血のうち、172件(61.6%)が「非常に良好」又は「良好」であり、また、293件の出血のうち282件(96.2%)は本剤の2回以下の投与で止血した。定期投与における一人あたりの推定年間出血率の中央値は1.98回/年であった。
 総出血件数止血効果評価可能件数止血効果
非常に良好良好やや良好不十分
定期投与(59例)29327948(17.2%)124(44.4%)95(34.1%)12(4.3%)
出血時投与(21例)12041196335(28.0%)499(41.7%)346(28.9%)16(1.3%)
1例に1件の大手術、及び14例に20件の小手術が行われた。評価不能であった1件の小手術を除くすべての手術において止血管理に対する評価は「非常に良好」又は「良好」であった。
安全性評価対象80例中3例(3.8%)に副作用が認められた。発現した副作用は、リンパ節症、注入部位そう痒感及びアレルギー性皮膚炎が各1例であった。
17.1.3 海外第III相試験
治療歴のある12歳以下の小児の重症血友病A患者(FVIII活性が1%未満)を対象とした試験3)において、定期投与が行われた51例に97件の出血が認められた。主な出血は軽度又は中等度の外傷性出血であり、最も出血の多かった部位は皮膚/粘膜であった。止血効果は評価可能であった81件の出血のうち、73件(90.1%)が「非常に良好」又は「良好」であり、また、97件の出血のうち87件(89.7%)は本剤の2回以下の投与で止血した。定期投与における一人あたりの推定年間出血率の中央値は1.90回/年であった。
 総出血件数止血効果評価可能件数止血効果
非常に良好良好やや良好不十分
定期投与(51例)978132(39.5%)41(50.6%)7(8.6%)1(1.2%)
1例に1件の大手術が行われ、止血管理に対する評価は「良好」であった。
安全性評価対象51例中1例(2.0%)に副作用が認められた。発現した副作用は、そう痒症であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
血液凝固第VIII因子欠乏患者に対し、血漿中の血液凝固第VIII因子を補うことにより、出血傾向を改善する5)6)
18.2 止血効果
血友病Aマウスを用いた出血モデルにおいて、本剤静脈内投与(出血5分前又は24時間前)により止血効果が認められた6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. オクトコグ ベータ(遺伝子組換え)

一般的名称 オクトコグ ベータ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Octocog Beta(Genetical Recombination)
理化学知見その他 オクトコグ ベータは、遺伝子組換えヒト血液凝固第VIII因子であり、ベビーハムスター腎細胞で産生される。オクトコグ ベータは、1648個のアミノ酸残基からなるH鎖及び684個のアミノ酸残基からなるL鎖で構成される糖タンパク質(分子量:約350,000)である。
KEGG DRUG D10771

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

<コバールトリイ静注用250>
1バイアル[添付溶解液プレフィルドシリンジ(日本薬局方 注射用水2.5mL)×1シリンジ付き]
<コバールトリイ静注用500>
1バイアル[添付溶解液プレフィルドシリンジ(日本薬局方 注射用水2.5mL)×1シリンジ付き]
<コバールトリイ静注用1000>
1バイアル[添付溶解液プレフィルドシリンジ(日本薬局方 注射用水2.5mL)×1シリンジ付き]
<コバールトリイ静注用2000>
1バイアル[添付溶解液プレフィルドシリンジ(日本薬局方 注射用水5mL)×1シリンジ付き]
<コバールトリイ静注用3000>
1バイアル[添付溶解液プレフィルドシリンジ(日本薬局方 注射用水5mL)×1シリンジ付き]

23. 主要文献

  1. 社内資料:治療歴のある12歳以上の小児及び成人の重症血友病A患者を対象とした海外臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.1)
  2. 社内資料:日本人を含む治療歴のある12歳以上の小児及び成人の重症血友病A患者を対象とした国際共同試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.4)
  3. 社内資料:治療歴のある12歳以下の小児の重症血友病A患者を対象とした海外臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.6)
  4. 社内資料:治療歴のある12歳以上の小児及び成人の重症血友病A患者を対象とした海外臨床試験及び日本人を含む国際共同試験の併合解析(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.3)
  5. Giles AR,et al., Blood., 72, 335-339, (1988) »PubMed
  6. 社内資料:マウスにおける止血効果(2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
バイエル薬品株式会社 メディカルインフォメーション
〒530-0001 大阪市北区梅田二丁目4番9号
電話:バイエル医療用医薬品のお問い合わせ先 0120-106-398
製品情報問い合わせ先
バイエル薬品株式会社 メディカルインフォメーション
〒530-0001 大阪市北区梅田二丁目4番9号
電話:バイエル医療用医薬品のお問い合わせ先 0120-106-398

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
バイエル薬品株式会社
大阪市北区梅田二丁目4番9号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版