医療用医薬品 : ベルソムラ

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医薬品情報


総称名 ベルソムラ
一般名 スボレキサント
欧文一般名 Suvorexant
製剤名 スボレキサント錠
薬効分類名 オレキシン受容体拮抗薬−不眠症治療薬−
薬効分類番号 1190
ATCコード N05CM19
KEGG DRUG D10082 スボレキサント
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2020年1月 改訂 (第7版)


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 包装 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ベルソムラ錠10mg Belsomra Tablets 10mg MSD 1190023F3027 69.3円/錠 習慣性医薬品 , 処方箋医薬品
ベルソムラ錠15mg Belsomra Tablets 15mg MSD 1190023F1024 90.8円/錠 習慣性医薬品 , 処方箋医薬品
ベルソムラ錠20mg Belsomra Tablets 20mg MSD 1190023F2020 109.9円/錠 習慣性医薬品 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、ネルフィナビル、ボリコナゾール)を投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕

効能・効果及び用法・用量

効能効果
効能効果に関連する使用上の注意

二次性不眠症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。

用法用量

通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。

用法用量に関連する使用上の注意

本剤は就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して仕事等で活動する可能性があるときは服用させないこと。〔「臨床成績」の項参照〕

入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、本剤の食事と同時又は食直後の服用は避けること。〔食後投与では、空腹時投与に比べ、投与直後のスボレキサントの血漿中濃度が低下することがある。(「薬物動態」の項参照)〕

他の不眠症治療薬と併用したときの有効性及び安全性は確立されていない。

CYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随伴症、夢遊症等の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤を併用する場合は1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。〔「薬物動態」の項参照〕

使用上の注意

慎重投与

ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕

高齢者〔「高齢者への投与」、「薬物動態」の7.(1)の項参照〕

重度の肝機能障害のある患者〔スボレキサントの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照)〕

重度の呼吸機能障害を有する患者〔これらの患者に対する使用経験がなく、安全性は確立していない。(「臨床成績」の項参照)〕

脳に器質的障害のある患者〔作用が強くあらわれるおそれがある。〕

重要な基本的注意

本剤の影響が服用の翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。〔「臨床成績」の項参照〕

症状が改善した場合は、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。

相互作用

相互作用序文

スボレキサントは主に薬物代謝酵素CYP3Aによって代謝される。また、弱いP糖蛋白(腸管)への阻害作用を有する。

薬物代謝酵素用語

CYP3A

薬物代謝酵素用語

P糖蛋白

併用禁忌

CYP3Aを強く阻害する薬剤
イトラコナゾール:
イトリゾール
クラリスロマイシン:
クラリシッド
リトナビル:
ノービア
ネルフィナビル:
ビラセプト
ボリコナゾール:
ブイフェンド
本剤の作用を著しく増強させるおそれがあるため、併用しないこと。スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を顕著に上昇させる。〔「薬物動態」の項参照〕

併用注意

アルコール(飲酒)精神運動機能の相加的な低下を生じる可能性がある。本剤を服用時に飲酒は避けさせること。本剤及びアルコールは中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。〔「薬物動態」の項参照〕
中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)中枢神経系に対する抑制作用を増強させるおそれがあるため、慎重に投与すること。本剤及びこれらの薬剤は中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。
CYP3Aを阻害する薬剤
(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)
傾眠、疲労等の本剤の副作用が増強するおそれがあるため、併用する際には1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。〔「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照〕スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを中等度に阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を上昇させる。〔「薬物動態」の項参照〕
CYP3Aを強く誘導する薬剤
(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)
本剤の作用を減弱させるおそれがある。スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く誘導し、スボレキサントの血漿中濃度を低下させる。〔「薬物動態」の項参照〕
ジゴキシンジゴキシンの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。〔「薬物動態」の項参照〕本剤と併用する場合は、ジゴキシンの血漿中濃度をモニタリングすること。スボレキサントはP糖蛋白阻害作用を有する。

副作用

副作用発現状況の概要

不眠症患者を対象とした第III相国際共同試験では、254例(日本人61例)に本剤(成人:20mg、高齢者:15mg)が投与された。この試験の6ヵ月間の副作用は53例(20.9%)に認められた。主な副作用は、傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。

その他の副作用

 1〜5%未満1%未満頻度不明
心臓障害  動悸注1)
一般・全身障害及び投与部位の状態疲労  
神経系障害傾眠、頭痛、浮動性めまい睡眠時麻痺 
精神障害悪夢異常な夢、入眠時幻覚睡眠時随伴症注2)、夢遊症注2)、傾眠時幻覚注2)、不安注1)、激越注1)
皮膚及び皮下組織障害  そう痒症注1)
注1)自発報告あるいは海外において認められている。注2)海外臨床試験でみられた副作用。高用量(成人:40mg、高齢者:30mg)投与群を含む。

高齢者への投与

高齢者での薬物動態試験において、非高齢者と比較して血漿中濃度が高くなる傾向が認められている。一般に高齢者では生理機能が低下していることも考慮し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。〔「薬物動態」の7.(1)の項参照〕

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)では、交配前、交配期間中及び妊娠初期に臨床曝露量の70倍を投与した場合、黄体数、着床数及び生存胎児数の減少が、妊娠期に臨床曝露量の86倍を投与した場合、胎児体重の減少が認められた。また、妊娠から授乳期に臨床曝露量の49倍を投与した場合、出生児に一過性の体重低値が認められた。〕

授乳中の婦人にやむを得ず本剤を投与する場合は授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)でスボレキサントが乳汁中へ移行することが報告されている。〕

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児等に対する安全性は確立していない。〔使用経験がない。〕

過量投与

徴候、症状

本剤の過量投与に関する情報は少ない。〔外国人健康成人に本剤120〜240mgを朝投与した臨床試験で、用量依存的に傾眠の発現率及び持続時間が増加し、脈拍数が一過性に低下する傾向がみられた。外国人健康成人に本剤240mgを朝投与した臨床試験では、胸痛及び呼吸抑制が報告された。〕

処置

呼吸数、脈拍数、血圧及びその他の適切なバイタルサインのモニタリングを行う。必要に応じて、ただちに胃洗浄、輸液を行い、一般的な対症療法を行う。なお、血液透析は本剤の除去に有用かどうかは不明である。〔スボレキサントは蛋白質結合能が高いため、血液透析では除去されないと考えられる。〕多剤服用の可能性を考慮する。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。〕

その他の注意

ラットの2年間がん原性試験では、臨床曝露量の36倍の投与により肝細胞腺腫及び臨床曝露量の11倍の投与により甲状腺濾胞細胞腺腫の発現頻度が増加したが、これらの変化はげっ歯類に特異的な肝酵素誘導及び甲状腺ホルモン産生増加の二次的な変化と考えられた。一方、rasH2トランスジェニックマウスでは、臨床曝露量の105倍までの用量を6ヵ月間経口投与しても、がん原性を示唆する変化は認められなかった。

ラットの2年間がん原性試験において、臨床曝露量の11倍(雄)及び18倍(雌)以上の用量で網膜萎縮の発現頻度が増加した。薬効量を大きく超えた用量のオレキシン受容体拮抗薬をラットに投与すると明期における覚醒時間が増加したこと、スボレキサントを投与した有色ラットの網膜萎縮の発現はアルビノラットよりも遅く、その発現率及び重症度も低かったことが報告されている。さらに、イヌに臨床曝露量の84倍を9ヵ月間投与しても網膜変化はみられていない。これらのことからラットがん原性試験でみられた網膜萎縮は、アルビノラットで自然発生的に生じることが知られている加齢及び光誘発性の網膜萎縮の発現頻度が、スボレキサントの薬理作用を介した網膜への光照射の増加により増加したことを反映した、ラット特有の変化と考えられた。

薬物動態

血漿中濃度

単回投与(日本人データ)

日本人健康成人(12例)に、本剤40mgを空腹時単回経口投与した後のスボレキサントは速やかに吸収され、投与後1.5時間(1.0〜3.0時間)で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、平均半減期(t1/2)は10.0時間であった(表1)。

表1 日本人健康成人に本剤40mgを空腹時に単回経口投与後のスボレキサントの血漿中薬物動態パラメータ

AUC0-∞ (μM・hr)Cmax(μM)Tmax##(hr)t1/2 §(hr)
12.15(10.97,13.46)1.007(0.858,1.182)1.5(1.0,3.0)10.0±1.0
n=12# 幾何平均(95%信頼区間)、## 中央値(最小値、最大値)、§ 調和平均(ジャックナイフ法により計算した標準偏差)

単回投与(外国人データ)

外国人健康成人(16例)に、本剤10〜40mgを空腹時単回経口投与したところ、スボレキサントの曝露量は用量比例性を下回った(表2)。

表2 外国人健康成人に本剤10〜40mgを空腹時に単回経口投与後のスボレキサントの血漿中薬物動態パラメータ

 AUC0-∞ (μM・hr)Cmax(μM)Tmax##(hr)t1/2 §(hr)
10mg5.32(4.55,6.23)0.456(0.403,0.516)1.5(1.0,4.0)12.1±1.8
20mg9.51(8.12,11.14)0.646(0.572,0.731)1.0(1.0,4.0)12.5±2.6
40mg16.21(13.85,18.98)0.956(0.845,1.082)2.0(1.0,4.0)12.6±2.5
n=16# 幾何平均(95%信頼区間)、## 中央値(最小値、最大値)、§ 調和平均(ジャックナイフ法により計算した標準偏差)

反復投与(外国人データ)

外国人健康成人(30例)に、本剤10〜100mgを1日1回14日間反復投与したとき、3日目までに定常状態に到達し、スボレキサント40mgの平均t1/2(約12時間、95%信頼区間:12.0〜13.1時間)から予想される値と一致した。AUC0-24hrの累積係数は1.21〜1.60で、いずれの用量でも類似していた。

食事の影響

日本人データ

本剤40mgを低脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは23%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1時間延長した。

外国人データ

本剤40mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは9%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1.5時間延長した。〔「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照〕

吸収

本剤20mgを投与した際の平均絶対バイオアベイラビリティは62%(5〜95パーセンタイル:55〜69%)であると推定された。

分布

スボレキサントの平均分布容積は約49Lであった。
スボレキサントのヒト血漿蛋白結合率は高く(>99%)、赤血球に特異的に分布することはなかった。スボレキサントは、ヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質のいずれにも結合した。

代謝

スボレキサントは主として代謝により消失し、その代謝には主にCYP3Aが関与し、CYP2C19もわずかに関与していた。血漿中には主にスボレキサント及びその水酸化代謝物が認められた。この代謝物は脳内で薬理作用を示さないと考えられる。

排泄

スボレキサントの主な排泄経路は糞便を介するものであり、経口投与した14C標識スボレキサントの約66%が糞便中に排泄されるのに対し、尿中への排泄は23%であった。スボレキサントは主として代謝物として排泄され、糞便中及び尿中のスボレキサントは投与量の1%未満であった。

特殊集団(外国人データ)

年齢

健康成人に、本剤40mgを1日1回14日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、10.64μM・hr、1.080μM及び9.4時間であった。健康高齢者に、本剤40mgを1日1回7日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、17.88μM・hr、1.336μM及び18.4時間であり、健康成人と比べて、AUC0-24hr及びCmaxは高値を示し、t1/2の延長がみられた。高齢不眠症患者及び非高齢不眠症患者に、本剤15mg及び20mgをそれぞれ1日1回反復投与した際の定常状態でのスボレキサントの投与後9時間の血漿中濃度(C9hr)は、それぞれ0.362μM及び0.321μMで同程度であった。

腎機能障害

重度腎機能障害患者(CLcr:30mL/min/1.73m2以下)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmax及びAUCは、健康成人と比較して15%及び22%高かった。

肝機能障害

中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7〜9)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmaxは、健康成人と比較して6%低く、AUCは3%高かった。重度肝機能障害患者(Child-Pughスコア10〜15)での薬物動態は検討していない。〔「慎重投与」の項参照〕

BMI

本剤20mgを不眠症患者に反復投与した際の定常状態でのスボレキサントのC9hrは、低体重患者(BMI:18.5kg/m2未満、6例)で0.171μM、標準BMI(18.5kg/m2以上、25kg/m2未満、139例)の患者で0.323μM、前肥満患者(BMI:25kg/m2以上、30kg/m2未満、94例)で0.384μM及び肥満患者(BMI:30kg/m2以上、42例)で0.353μMであった。

薬物相互作用(外国人データ)

アルコール1)

健康成人30例に本剤40mg及びアルコール0.70g/kgを併用単回投与した際、精神運動機能の相加的な低下がみられた。〔「相互作用」の項参照〕

スボレキサントの薬物動態に対する併用薬の影響

ケトコナゾール

本剤(4mg単回)とCYP3Aを強く阻害するケトコナゾール(400mg1日1回経口反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは23%及び179%増加した。〔「禁忌」及び「相互作用」の項参照〕

ジルチアゼム

本剤(20mg単回)とジルチアゼム(240mg1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは22%及び105%増加した。〔「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「相互作用」の項参照〕

リファンピシン

本剤(40mg単回)とリファンピシン(600mg1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは64%及び88%減少した。〔「相互作用」の項参照〕

併用薬の薬物動態に対するスボレキサントの影響

In vitro代謝試験

スボレキサントはCYP3A及び腸管のP糖蛋白を阻害する可能性があることが示されている。他のヒトCYP分子種(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6)及びトランスポーター(OATP1B1、BCRP、OCT2)に対しては、臨床的に意味のある阻害を生じる可能性は低いと考えられる。スボレキサントを反復投与することによって、主にCYP分子種によって代謝される薬剤の代謝を誘導する可能性は低い。

ジゴキシン(P糖蛋白基質)

本剤(40mg1日1回反復)とジゴキシン(0.5mg単回)を併用した際、ジゴキシンのCmax及びAUCは21%及び27%増加した。スボレキサント投与時のジゴキシン濃度は最初の6時間以内に増加した。〔「相互作用」の項参照〕

(注)本剤の承認用量は成人には1日20mg、高齢者には1日15mgである。

臨床成績

第III相臨床試験2)

国際共同プラセボ対照試験(日本人155例)において、原発性不眠症患者638例[成人(20〜64歳)370例、高齢者(65歳以上)268例]に本剤(成人:20mg、高齢者:15mg)又はプラセボを3ヵ月間投与したとき、患者日誌を用いた主観的評価及びポリソムノグラフィを用いた客観的評価により入眠効果及び睡眠維持効果を評価した結果はそれぞれ表3及び表4のとおりであった。

表3 入眠効果(単位:分)

評価項目評価時点投与群評価例数ベースライン変化量プラセボとの差a)
sTSOm第1週プラセボ群37667.2±40.7−10.1±33.9−5.6[−10.2,−1.1]
本剤群24863.6±37.3−14.5±28.4
1ヵ月時プラセボ群36565.7±39.4−12.8±41.2−5.4[−10.9,0.0]
本剤群24462.7±36.7−16.4±31.5
3ヵ月時プラセボ群33966.6±39.9−18.9±39.3−5.2[−10.2,−0.3]
本剤群22860.5±34.7−20.4±27.5
LPS第1日夜プラセボ群29066.2±44.1−21.6±45.2−9.6[−14.9,−4.3]
本剤群19368.9±49.7−33.4±48.0
1ヵ月時プラセボ群27266.2±44.0−24.4±51.4−10.3[−16.0,−4.6]
本剤群18567.7±46.7−36.0±45.5
3ヵ月時プラセボ群25165.7±43.9−27.1±52.0−8.1[−13.8,−2.3]
本剤群17265.5±43.7−35.2±42.4
平均値±標準偏差sTSOm:主観的睡眠潜時(毎日の測定値の週平均)LPS:客観的持続睡眠潜時a)最小二乗平均値[95%信頼区間]

表4 睡眠維持効果(単位:分)

評価項目評価時点投与群評価例数ベースライン変化量プラセボとの差a)
sTSTm第1週プラセボ群376315.2±65.215.3±42.913.6[6.9,20.3]
本剤群248322.4±57.327.2±40.8
1ヵ月時プラセボ群365317.7±65.323.4±52.016.3[7.9,24.8]
本剤群244322.7±57.738.7±50.5
3ヵ月時プラセボ群339316.7±64.542.1±56.410.7[1.9,19.5]
本剤群228325.4±56.750.3±55.2
WASO第1日夜プラセボ群287115.1±45.9−19.1±47.5−32.5[−39.3,−25.7]
本剤群192119.5±46.4−54.3±44.7
1ヵ月時プラセボ群272113.6±45.0−17.9±55.3−26.4[−34.3,−18.4]
本剤群185119.1±46.0−47.0±45.4
3ヵ月時プラセボ群251115.3±46.0−25.3±50.7−16.6[−24.8,−8.3]
本剤群172118.2±46.7−42.7±50.5
平均値±標準偏差sTSTm:主観的総睡眠時間(毎日の測定値の週平均)WASO:客観的中途覚醒時間a)最小二乗平均値[95%信頼区間]

臨床薬理試験(外国人データ)

自動車運転能力に対する影響3)

健康成人28例に、本剤20mg又は40mgを就寝前投与し、翌朝(投与後9時間)に自動車走行検査を実施したとき、20mgの単回投与、40mgの単回及び8日間反復投与において、一部の被験者に運転能力に対する本剤の影響が認められた。なお、2例が40mg投与時に、1例が20mg投与時に、1例が40mg及び20mg投与時に、傾眠の発現のため自動車走行検査を中止した。〔「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照〕

呼吸機能への影響4)5)

軽度から中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者25例又は軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者26例に、本剤(成人:40mg、高齢者:30mg)を4日間反復投与したとき、明らかな呼吸抑制作用はみられなかった。なお、重度のCOPD及びOSA患者では検討されていない。〔「慎重投与」の項参照〕

記憶、精神運動機能及び平衡機能に対する影響

健康成人28例に本剤20又は40mgを就寝前単回投与したとき、40mgで翌朝の単語再生能力及び精神運動機能の低下が、20及び40mgで翌朝の身体のふらつきの増加がみられた。
健康高齢者12例に本剤30mgを就寝前単回投与し、投与1.5、4及び8時間後に覚醒させたとき、1.5時間後において身体のふらつきの増加及び精神運動機能の低下がみられた。〔「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照〕

薬物乱用に対する影響

娯楽目的の多剤使用経験のある健康成人36例に本剤40〜150mgを単回投与したとき、本剤の薬物嗜好性はプラセボより高く、ゾルピデム15及び30mgと同程度であった。

(注)本剤の承認用量は成人には1日20mg、高齢者には1日15mgである。

薬効薬理

作用機序

スボレキサントはオレキシン受容体に選択性が高く可逆的な拮抗薬で、ヒトオレキシン1(OX1)受容体及びオレキシン2(OX2)受容体に対する親和性(Ki値)はそれぞれ0.55及び0.35nMであった。6)

スボレキサントは、覚醒を促進する神経ペプチドであるオレキシンA及びBのOX1及びOX2受容体への結合を可逆的に阻害することにより、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させ、睡眠を誘発すると考えられる。

スボレキサントはγ-アミノ酪酸(GABA)、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、メラトニン、ヒスタミン、アセチルコリン及びオピオイド受容体に対して親和性を示さなかった(Ki>10μM)。

睡眠に対する作用

スボレキサントを通常の活動期にあるラット(10、30及び100mg/kg)、イヌ(1及び3mg/kg)、サル(10mg/kg)に経口投与すると、覚醒時間が減少し、ノンレム睡眠及びレム睡眠時間が増加した。6)

有効成分に関する理化学的知見

一般名スボレキサント
一般名(欧名)Suvorexant
化学名[(7R)-4-(5-Chloro-1,3-benzoxazol-2-yl)-7-methyl-1,4-diazepan-1-yl][5-methyl-2-(2H-1,2,3-triazol-2-yl)phenyl]methanone
分子式C23H23ClN6O2
分子量450.92
性状白色の粉末である。
メタノールにやや溶けやすく、ヘプタンに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUGD10082

取扱い上の注意

光及び湿気を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。

包装

ベルソムラ錠10mg

PTP

100錠(10錠×10)

ベルソムラ錠15mg

PTP

100錠(10錠×10)

500錠(10錠×50)

ベルソムラ錠20mg

PTP

100錠(10錠×10)

500錠(10錠×50)

主要文献


1. Sun,H.,et al.,  J Psychopharmacol.,  29,  1159,  (2015) »PubMed »DOI
2. Herring,W.J.,et al.,  Biol Psychiatry,  79,  136,  (2016) »PubMed »DOI
3. Vermeeren A.,et al.,  Sleep,  38,  1803,  (2015) »PubMed »DOI
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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2021/1/20 版