5.2 AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM※)等の標準的で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。
※:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
<18歳未満の患者>
通常、体重50kg未満の場合はグアンファシンとして1日1mg、体重50kg以上の場合はグアンファシンとして1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、下表の維持用量まで増量する。
なお、症状により適宜増減するが、下表の最高用量を超えないこととし、いずれも1日1回経口投与すること。
体重 | 開始用量 | 維持用量 | 最高用量 |
17kg以上25kg未満 | 1mg | 1mg | 2mg |
25kg以上34kg未満 | 1mg | 2mg | 3mg |
34kg以上38kg未満 | 1mg | 2mg | 4mg |
38kg以上42kg未満 | 1mg | 3mg | 4mg |
42kg以上50kg未満 | 1mg | 3mg | 5mg |
50kg以上63kg未満 | 2mg | 4mg | 6mg |
63kg以上75kg未満 | 2mg | 5mg | 6mg |
75kg以上 | 2mg | 6mg | 6mg |
<18歳以上の患者>
通常、グアンファシンとして1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、1日4〜6mgの維持用量まで増量する。
なお、症状により適宜増減するが、1日用量は6mgを超えないこととし、いずれも1日1回経口投与すること。
7.2 本剤の投与を中止する場合は、原則として3日間以上の間隔をあけて1mgずつ、血圧及び脈拍数を測定するなど患者の状態を十分に観察しながら徐々に減量すること。本剤の急な中止により、血圧上昇及び頻脈があらわれることがある。[
9.1.2参照]
8.1 本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ及び本剤投与による副作用発現等のリスクについて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用方法について指導すること。
8.2 本剤を長期間投与する場合には、定期的に有用性の再評価を実施し、漫然と投与しないよう注意すること。
8.3 高度な血圧低下及び脈拍数減少が認められ、失神に至る場合があるので、本剤の投与開始前及び用量変更の1〜2週間後には、血圧及び脈拍数を測定すること。至適用量の決定後にも4週に1回を目途に血圧及び脈拍数を測定すること。また、本剤の投与による脱水に十分注意し、脱水の症状があらわれた場合には、補液等適切な措置を講じること。[
11.1.1参照]
8.4 心血管系への影響(高度な徐脈、低血圧、QT延長等)があらわれる可能性があるので、本剤投与開始前及び投与中は以下の点に注意すること。[
11.1.1-
11.1.3、
17.3.1参照]
・本剤投与開始前には心電図異常の有無について確認すること。心電図異常が認められた場合は、投与の可否を慎重に判断すること。
・心血管疾患若しくはその既往歴がある場合又は本剤投与開始前に心電図異常が認められた場合は、定期的に心電図検査を行うなど、患者の状態を慎重に観察すること。[
9.1.1、
9.1.3参照]
・本剤投与中は心血管系の状態に注意し、心血管系への影響を示唆する症状(徐脈、失神、ふらつき、動悸等)があらわれた場合には心電図検査等を行い、適切な処置を行うこと。
8.5 本剤の投与開始時及び用量調節時に副作用(傾眠、血圧低下等)により投与中止に至った症例が認められていることから、本剤の投与中(特に投与開始時及び用量調節時)においては、患者の状態を慎重に観察し、用量の調節を行うこと。
8.6 自殺念慮や自殺行為があらわれることがあるので、患者の状態を注意深く観察すること。また、患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対し、これらの症状・行為があらわれた場合には、速やかに医療機関に連絡するよう指導すること。
8.7 攻撃性、敵意はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性、敵意の発現が報告されている。投与中は、攻撃的行動、敵意の発現又は悪化について観察すること。
8.8 眠気、鎮静等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
8.9 本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、定期的に体重を測定し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血圧、起立性低血圧、徐脈、心血管疾患のある患者又はその既往歴のある患者、血圧を低下又は脈拍数を減少させる作用を有する薬剤を投与中の患者
血圧及び心拍数を低下させることがある。[
8.4参照]
9.1.2 高血圧のある患者又はその既往歴のある患者
本剤を急に中止した場合、血圧上昇があらわれることがある。[
7.2参照]
9.1.3 不整脈又はその既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者又はQT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者
9.1.4 狭心症及び心筋梗塞等の虚血性心疾患のある患者又はその既往歴のある患者
急激な血圧低下があらわれた場合、冠血流量が減少し虚血性心疾患が悪化するおそれがある。
9.1.5 脳梗塞等の脳血管障害のある患者
急激な血圧低下があらわれた場合、脳血流量が減少し症状が悪化するおそれがある。
9.1.6 抑うつ状態の患者
本剤の鎮静作用により、症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。[
7.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(マウス)において大量投与により催奇形作用(外脳症、脊椎破裂症)が報告されている。[
2.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 低血圧(20.5%注)、徐脈(14.9%注)
高度な低血圧、徐脈があらわれ、失神に至る場合がある。[
8.3、
8.4参照]
11.1.3 房室ブロック(0.5%未満)[
2.3、
8.4参照]
注)18歳未満の患者より18歳以上の患者で特に高頻度に発現が認められた副作用
その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | | | | 過敏症、発疹、そう痒 |
循環器 | | 起立性低血圧 | 血圧上昇、頻脈、洞性不整脈 | 蒼白、高血圧性脳症、QT延長 |
精神神経系 | 傾眠(49.8%)、頭痛、不眠、めまい注 | | 易刺激性、悪夢、感情不安定、激越、鎮静、無力症 | 不安、うつ病、嗜眠、痙攣、過眠症 |
消化器 | 口渇注、便秘 | 腹痛、食欲減退、悪心、下痢 | 腹部不快感、嘔吐、消化不良 | |
その他 | 倦怠感 | 遺尿、体重増加 | 頻尿、胸痛、ALT上昇 | 喘息、脱水、勃起不全 |
13.1 症状
低血圧、徐脈、投与初期の一過性高血圧、嗜眠、呼吸抑制等があらわれることがある。
13.2 処置
本剤は透析により除去されない。嗜眠が発現した場合は、昏睡、徐脈及び低血圧等のより重篤な毒性が遅れて発現する可能性があるため、処置を行った上で少なくとも24時間観察すること。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 本剤は徐放性製剤であるため、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するよう指導すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。