医療用医薬品 : フルデオキシグルコース(18F)

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医薬品情報


総称名 フルデオキシグルコース(18F)
一般名 フルデオキシグルコース(18F)
欧文一般名 Fludeoxyglucose(18F)
薬効分類名 放射性医薬品
悪性腫瘍診断薬
虚血性心疾患診断薬
てんかん診断薬
薬効分類番号 4300
ATCコード V09IX04
KEGG DRUG
D01843 フルデオキシグルコース
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年3月 改訂(効能追加)(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
フルデオキシグルコース(18F)静注「FRI」 Fludeoxyglucose(18F) Injection FRI PDRファーマ 4300448A1043 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

○悪性腫瘍の診断
・肺癌、乳癌、膵癌(他の検査、画像診断により癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない場合、あるいは、他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合)の診断
・頭頸部癌、胸膜中皮腫、食道癌、胃癌、大腸癌、消化管間質腫瘍、肝癌、胆道癌、膀胱癌、腎盂・尿管癌、子宮癌、卵巣癌、骨軟部腫瘍、皮膚癌、悪性リンパ腫、悪性黒色腫(他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合)の診断
・脳腫瘍、胸腺腫瘍、腎癌、精巣腫瘍、甲状腺癌(他の検査、画像診断により転移・再発の診断が確定できない場合)の診断
・多発性骨髄腫が疑われる又は多発性骨髄腫患者における骨病変又は髄外病変の可視化(他の検査、画像診断により骨病変又は髄外病変の存在が疑われる場合)
・原発不明癌(リンパ節生検、CT等で転移巣が疑われ、かつ、腫瘍マーカーが高値を示す等、悪性腫瘍の存在を疑うが、原発巣の不明な場合)の診断
○虚血性心疾患(左室機能が低下している虚血性心疾患による心不全患者で、心筋組織のバイアビリティ診断が必要とされ、かつ、通常の心筋血流シンチグラフィで判定困難な場合)の診断
○難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる場合の脳グルコース代謝異常領域の診断
○大型血管炎の診断における炎症部位の可視化
○心サルコイドーシスが疑われる又は心サルコイドーシス患者における炎症部位の可視化

6. 用法及び用量

通常、成人には本剤1バイアルを静脈内に投与し撮像する。投与量(放射能)は、年齢、体重により適宜増減するが、最小74MBq、最大370MBqまでとする。

7. 用法及び用量に関連する注意

撮像開始時間は検査目的に応じて設定すること。連続的な動態イメージングを行う場合は本剤投与直後より、静止画像を得る場合は本剤投与後30〜40分以降に撮像する。

8. 重要な基本的注意

診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし、投与量は最小限度にとどめること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。動物試験において胎児移行性が報告されている1)
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。授乳婦に投与した場合、24時間授乳を中止し投与後12時間は乳幼児との密接な接触を避けるよう指導すること。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意すること。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
膵臓ホルモン
インスリン
本剤投与前4時間以内のインスリンの投与は避けること。本剤の腫瘍への集積とバックグラウンドとのコントラストが低下する可能性がある2)

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1〜2%未満0.1〜1%未満頻度不明
血液 好中球百分率増加、リンパ球百分率減少 
腎臓尿蛋白陽性、尿潜血陽性、尿糖陽性血中尿素窒素増加 
肝臓 血中ビリルビン増加 
皮膚 そう痒感、蕁麻疹発疹、紅斑、発赤
消化器 嘔気、嘔吐 
その他 血圧上昇、血圧低下、気分不良、発熱、血中カリウム増加、血中カリウム減少、血中アルブミン減少 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤は、患者ごとに適切な投与量となるように製造された製剤であることから、本剤の取違え防止のため、投与にあたっては、本剤の製剤ラベルの表示を確認し、意図した患者へ確実に投与すること。
14.2 薬剤投与時の注意
<効能共通>
14.2.1 本剤の生理的集積の増加を避けるため、本剤投与前から撮像前は安静にして、投与後も激しい運動等は行わないこと。
14.2.2 本剤の集積は血糖値の影響を受ける可能性があるため、糖尿病患者では血糖をコントロールするなど、本剤投与時には適切に血糖値を安定化させること。
なお、血糖値200mg/dL以上では、本剤の患部への集積の低下により偽陰性所見を呈する可能性が高いため、投与しないことが望ましい。
<心サルコイドーシスが疑われる又は心サルコイドーシス患者における炎症部位の可視化以外の効能共通>
14.2.3 本剤投与前4時間以上は絶食すること。
<心サルコイドーシスが疑われる又は心サルコイドーシス患者における炎症部位の可視化>
14.2.4 本剤投与前、少なくとも12時間は絶食すること。可能な場合は18時間絶食すること。絶食前は低炭水化物糖質制限食が望ましい。
14.3 薬剤投与後の注意
膀胱部の被曝を軽減させるため及び骨盤部読影の妨げとなる膀胱の描出を避けるため、撮像前後にできるだけ排尿させること。
14.4 診断上の注意
<効能共通>
14.4.1 本剤の生理的集積及び病変部位の解剖学的位置を正確に把握するためには、他の画像検査所見を参考にすること。
14.4.2 確定診断が必要な場合、生検等を実施することが望ましい。
<悪性腫瘍の診断>
14.4.3 本剤は炎症等に集積し偽陽性所見を呈する可能性があるため、注意すること3)4)
14.4.4 悪性腫瘍の種類によっては糖代謝の活性や解剖学的な位置等により病変を検出できない可能性があるため、注意すること。
14.4.5 微小な腫瘍を検出できない可能性があるため、注意すること。
14.4.6 悪性黒色腫の診断において、所属リンパ節転移に対する本剤の感度は低いため、所属リンパ節転移の見落としに注意すること。
<虚血性心疾患の診断>
14.4.7 心筋バイアビリティ診断において絶食する場合、健常部心筋への本剤の集積が抑制されない例があり、虚血心筋(糖代謝が亢進している)との鑑別に注意を要することがある。

16. 薬物動態

16.3 分布
16.3.1 フルデオキシグルコース(18F)注射液は血中から速やかに消失して主に脳へ分布し、その分布率は投与量の約25%(25%ID)、単位重量(g)あたりで約0.015%ID/gであった。心臓への分布は被験者ごとに傾向が異なり、最も多く分布した例では約5%ID、単位重量(g)あたりで約0.014%ID/gであった。肺、肝臓、腎臓、脾臓、腸管、精巣及び全身筋肉への放射能の滞留はほとんどみられなかった5)
16.3.2 吸収線量
MIRD法により算出した吸収線量は次のとおりである6)
臓器吸収線量(mGy/185MBq)
19.0
心臓8.3
2.0
肝臓3.7
脾臓2.6
小腸1.6
大腸上部壁1.6
大腸下部壁1.9
腎臓4.4
赤色骨髄1.7
甲状腺1.6
精巣1.5
卵巣1.9
膀胱壁19.0
全身1.9
16.4 代謝
フルデオキシグルコース(18F)注射液は血漿中でほとんど代謝されずに存在し、未変化体のまま尿中に排泄されることが示された6)
16.5 排泄
尿中放射能累積排泄率は経時的に増加し、投与後6時間で約32%IDであった。主たる排泄経路は腎・尿路系であることが示された6)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
参考情報(公表論文を集計した成績である)
<悪性腫瘍>
手術適応を検討する非小細胞肺癌患者での所属リンパ節転移診断において、CTに対して、CTにFDG-PETを加えた場合(以下、CT+FDG)の診断能について2試験の成績を合計した。感度はCT 65.8%、CT+FDG 92.1%、特異度はCT 72.4%、CT+FDG 86.7%であり、CTに対するFDG-PETの上乗せ効果が認められた7)8)。また、CTで悪性・良性の鑑別診断が困難な肺結節を有する患者におけるFDG-PETの診断能について2試験の成績を合計した。FDG-PETの感度は96.2%、特異度は75.6%であった9)10)
また、FDG-PETの診断目的ごとの診断能について、肺癌、乳癌、大腸癌、頭頸部癌、脳腫瘍、膵癌、悪性リンパ腫、原発不明癌及び悪性黒色腫を評価した84試験におけるFDG-PETの試験成績を以下に示す11)
癌種診断目的感度特異度
肺癌悪性・良性鑑別診断92.0%
(310/337)
67.4%
(95/141)
所属リンパ節転移診断78.9%
(296/375)
89.4%
(693/775)
遠隔転移診断93.0%
(93/100)
94.3%
(199/211)
転移・再発診断97.8%
(88/90)
78.0%
(32/41)
乳癌悪性・良性鑑別診断76.0%
(168/221)
87.7%
(71/81)
腋窩リンパ節転移診断75.6%
(344/455)
87.2%
(565/648)
遠隔転移・再発診断92.6%
(189/204)
89.4%
(161/180)
大腸癌遠隔転移・再発診断95.1%
(293/308)
90.3%
(130/144)
頭頸部癌頸部リンパ節転移診断87.7%
(193/220)
93.4%
(1248/1336)
残存腫瘍・再発診断96.8%
(91/94)
80.3%
(122/152)
遠隔転移又は重複癌の検出癌検出率
7.3%(6/82)
脳腫瘍再発診断79.3%
(69/87)
82.7%
(62/75)
膵癌悪性・良性鑑別診断86.4%
(184/213)
85.2%
(115/135)
悪性リンパ腫病期診断93.8%
(480/512)
99.6%
(2481/2491)
骨髄浸潤診断82.1%
(32/39)
93.3%
(83/89)
残存腫瘍・再発診断77.4%
(48/62)
89.5%
(179/200)
原発不明癌原発巣検出癌検出率
25.8%(42/163)
悪性黒色腫所属リンパ節転移診断9.4%
(3/32)
94.4%
(67/71)
遠隔転移・再発診断90.9%
(251/276)
71.9%
(141/196)
<虚血性心疾患>
冠動脈疾患及び左室機能低下を示す患者を対象とした14試験におけるFDG-PETの心筋バイアビリティ診断能は感度89.9%(726/808)、特異度64.2%(512/797)であった12)
<部分てんかん>
外科的治療が考慮される部分てんかん患者を対象とした20試験を評価した。全ての試験においてFDG-PETは発作間欠期に実施されていた。術後の発作予後良好例のうち、FDG-PETで示された焦点部位がてんかん焦点の手術部位と一致する例数の割合を一致率として評価した。その結果、FDG-PETの一致率は73.4%(281/383)であった。MRIで異常所見が認められない例において、FDG-PETの一致率は71.1%(32/45)であった。また、側頭葉てんかんにおけるFDG-PETの一致率は、74.4%(169/227)であった。なお、側頭葉てんかんにおける発作時脳血流検査の一致率は、75.8%(138/182)であった13)

18. 薬効薬理

18.1 測定法
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により画像化される。
18.2 集積機序
フルデオキシグルコース(18F)注射液は、グルコースと同様にグルコーストランスポーターにより細胞に取り込まれ、ヘキソキナーゼによりリン酸化を受けるが、グルコースと異なり解糖系の酵素であるホスホグルコースイソメラーゼによるフルクトースへの異性化反応を受けないことから、リン酸化体として細胞内に滞留する。したがって、その滞留した18F由来のポジトロンを核医学検査装置で追跡することにより、腫瘍細胞の診断、虚血性心疾患における心筋バイアビリティの診断、てんかん焦点の診断、並びに大型血管炎及び心サルコイドーシスにおける炎症部位の可視化が可能となる14)15)16)17)
18.3 疾患特性
18.3.1 腫瘍細胞及び炎症細胞においては、グルコーストランスポーターの発現による糖取り込み能の増加、解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼ活性の亢進並びに糖新生系の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼ活性の低下によって、糖代謝が亢進している15)16)
18.3.2 心筋においては、虚血状態に陥った場合、グルコーストランスポーターの増加による糖取り込み能の増加及び解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼ活性亢進により、糖代謝が亢進している15)
18.3.3 てんかんの脳においては、焦点及び発作に関係する部位の神経細胞の活動が増加している場合に糖代謝が亢進する一方、神経細胞の活動が減少している場合では糖代謝が低下する15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フルデオキシグルコース(18F)

一般的名称 フルデオキシグルコース(18F)
一般的名称(欧名) Fludeoxyglucose(18F)
分子式 C6H1118FO5
核物理学的特性
18Fとして):
・物理的半減期:109.739分
・主なγ線エネルギー:0.511MeV
・減衰表
経過時間(分)残存放射能(%)
−110200.3
−100188.1
−90176.6
−80165.7
−70155.6
−60146.1
−50137.1
−40128.7
−30120.9
−20113.5
−10106.5
0100.0
1093.9
2088.1
3082.7
4077.7
5072.9
6068.5
7064.3
8060.3
9056.6
10053.2
11049.9
12046.9
13044.0
14041.3
理化学知見その他 19.1 フルデオキシグルコース(18F)

20. 取扱い上の注意

放射線を安全に遮蔽できる貯蔵設備(貯蔵箱)に保存すること。

21. 承認条件

放射性医薬品としての特性を考慮し、製品の出荷の可否判定に用いる製造管理及び品質管理に関する試験検査項目を適切に設定するとともに、当該試験結果に基づき、適切な流通管理が行われるよう製造販売にあたって適正な措置を講ずること。

22. 包装

111MBq、148MBq、185MBq、222MBq、259MBq(1〜9mL)[1バイアル]

23. 主要文献

  1. Sakuragawa N,et al, Nucl Med Biol, 15, 645-650, (1988) »PubMed »DOI
  2. Minn H,et al, J Comput Assist Tomogr, 17, 115-123, (1993) »PubMed
  3. 窪田和雄,他, 臨床医のためのクリニカルPET, 99-103, (2001), (株式会社寺田国際事務所/先端医療技術研究所,東京)
  4. 織内昇, 画像診断, 23, 1142-1150, (2003)
  5. 吸収・分布・代謝・排泄に関する資料(FDGスキャン注:2005年7月25日承認,申請資料概要へII-1,II-2)
  6. 第I相臨床試験(FDGスキャン注:2005年7月25日承認,申請資料概要トI-1)
  7. Pieterman RM,et al, N Engl J Med, 343, 254-261, (2000) »PubMed
  8. Marom EM,et al, Radiology, 212, 803-809, (1999) »PubMed
  9. Lowe VJ,et al, J Clin Oncol, 16, 1075-1084, (1998) »PubMed
  10. Gupta NC,et al, J Nucl Med, 37, 943-948, (1996) »PubMed
  11. 効能・効果の設定根拠(FDGスキャン注:2005年7月25日承認,申請資料概要トVI-2)
  12. 臨床試験成績(FDGスキャン注:2005年7月25日承認,申請資料概要トIII-3)
  13. 臨床試験成績(FDGスキャン注:2005年7月25日承認,申請資料概要トIV-3)
  14. 起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等(FDGスキャン注:2005年7月25日承認,申請資料概要イI-1)
  15. 薬理作用(FDGスキャン注:2005年7月25日承認,申請資料ホI-2)
  16. 起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等(FDGスキャン注:2018年2月16日一変承認,審査報告書p3)
  17. 非臨床薬理試験に関する資料及び機構における審査の概略(FDGスキャン注:2023年7月12日一変承認,審査報告書p4)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
PDRファーマ株式会社 製品情報センター
〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング
電話:0120-383-624
製品情報問い合わせ先
PDRファーマ株式会社 製品情報センター
〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング
電話:0120-383-624

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
PDRファーマ株式会社
東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/12/17 版