17.1.1 国際共同第III相試験(BEL112341試験)
既存のSLE治療
注1)(単剤又は併用)を受けている抗核抗体陽性又は抗dsDNA抗体陽性で、スクリーニング時のSELENA SLEDAIスコア8以上の疾患活動性を有する18歳以上のSLE患者(重症のループス腎炎及び重症の中枢神経ループスは除外
注2))836例(日本人患者29例を含む)を対象とした二重盲検プラセボ対照比較試験(52週間)を実施した。既存のSLE治療薬との併用下で本剤200mg又はプラセボを1週間ごとに皮下投与した。なお、投与期間中、他の生物製剤又はシクロホスファミド静注剤の使用は禁止した。SLE responder index(SRI)
2)のレスポンダー
注3)率について、52週時では本剤200mg群において61.4%、プラセボ群において48.4%であり、本剤群ではプラセボ群に比べて統計学的に有意にSRIレスポンダー率が高かった(調整済みオッズ比1.68、95%信頼区間:1.25-2.25、p=0.0006)(表1)。日本人集団(プラセボ群16例、本剤200mg群13例)の52週時のSRIレスポンダー率は、プラセボ群で75.0%、本剤200mg群で53.8%であったが、ベースライン時の層別因子も含めたロジスティック回帰モデルを用いた52週時のSRIレスポンダー率のオッズ比(95%信頼区間)は1.02(0.14-7.65)であった
3)。
副作用発現頻度は、本剤群で31.1%(173/556例)であった。主な副作用は、ウイルス性上気道感染2.9%(16/556例)、細菌性尿路感染2.7%(15/556例)、鼻咽頭炎2.3%(13/556例)であった。[
5.3、
7.2参照]
表1 52週時のSRIレスポンダー率
全体集団 |
| プラセボ群 280例 | 本剤200mg群 556例 |
52週時の評価例数注a) | 279 | 554 |
SRIレスポンダー、例数(%) | 135(48.4) | 340(61.4) |
プラセボ群との差、% | − | 12.98 |
プラセボ群との調整済みオッズ比(95%CI)注b) | − | 1.68(1.25,2.25) |
p値注b) | − | 0.0006 |
日本人集団 |
| プラセボ群 16例 | 本剤200mg群 13例 |
52週時の評価例数 | 16 | 13 |
SRIレスポンダー、例数(%) | 12(75.0) | 7(53.8) |
プラセボ群との差、% | − | −21.15 |
プラセボ群との調整済みオッズ比(95%CI)注c) | − | 1.02(0.14,7.65) |
17.1.2 国際共同第II相試験(200908試験)
既存のSLE治療
注1)(単剤又は併用)を受けている抗核抗体陽性又は抗dsDNA抗体陽性で、スクリーニング時のSELENA SLEDAIスコア6以上の疾患活動性を有する5〜17歳のSLE患者(重症のループス腎炎及び重症の中枢神経ループスは除外
注2))25例(日本人患者2例を含む)を対象とした単群のオープンラベル試験(52週間)を実施し、主要目的として薬物動態を評価した。既存のSLE治療薬との併用下で本剤200mgを体重15kg以上30kg未満は2週に1回、体重30kg以上50kg未満は10日に1回、体重50kg以上は週に1回皮下注射した
注4)。なお、投与期間中、他の生物製剤又はシクロホスファミド静注剤の使用は禁止した。
探索的な有効性評価項目である、SELENA SLEDAIスコアがベースラインから4点以上改善した被験者の割合は、12週時では66.7%(16/24例)であり、52週時では81.8%(18/22例)であった
注5)。
副作用発現頻度は、56.0%(14/25例)であった。主な副作用は、注射部位疼痛、白血球減少症、好中球減少症各16%(各4/25例)であった。[
5.3、
7.2、
7.3、
16.1.2参照]
注1)既存のSLE治療とは、ステロイド、ヒドロキシクロロキン、NSAID又は免疫抑制薬(アザチオプリン等)等による治療とした。なお、ステロイドの投与量はプレドニゾロン換算で、BEL112341試験では単独の場合は7.5-40mg/日、他のSLE治療薬との併用の場合は0-40mg/日とし、200908試験では0.5mg/kg/日までとした。
注2)重症のループス腎炎として、BEL112341試験では、24時間尿蛋白又は随時尿の蛋白/クレアチニン比が6g超、又は血清クレアチニンが2.5mg/dL超の腎炎を有する患者、急性期治療(シクロホスファミド静注療法等)、血液透析又は大量ステロイド(プレドニゾロン換算で100mg/日超)を必要とする活動期腎炎を有する患者を除外した。200908試験では、腎代替療法(血液透析、腹膜透析等)が必要な腎炎、Schwartzの式を用いて算出された推定糸球体濾過量が30mL/min未満の患者を除外した。また、導入療法が必要と考えられる急性かつ重症の腎炎を有する患者を除外したが、高度の蛋白尿が認められる患者で治療により管理可能で臨床的に安定している場合は除外しなかった。
重症の中枢神経ループスとして、治療介入を必要とする活動性の中枢神経ループス(痙攣発作、精神病、器質的脳症候群、脳血管発作、脳炎又は中枢神経血管炎)を有する患者を除外した。
注3)SRIレスポンダーは、以下の疾患活動性を評価する複数の指標を用いて定義される。
・SELENA SLEDAIスコアが4点以上改善(減少)
・PGAの悪化なし(スコアの増加が0.3点未満)
・BILAGでカテゴリーAに悪化した臓器系がない、かつカテゴリーBに悪化した臓器系が2つ以上ない
注4)5歳以上の小児に対する本剤の承認用量は、1回200mgを、体重40kg以上は1週間の間隔、体重15kg以上40kg未満は2週間の間隔での皮下注射である。
注5)有効性の結果の解釈において、200908試験は限られた例数にて実施された単群のオープンラベル試験であり、有効性の評価を主要目的として計画された試験ではないことに留意すること。