医療用医薬品 : リムパーザ

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医薬品情報


総称名 リムパーザ
一般名 オラパリブ
欧文一般名 Olaparib
製剤名 オラパリブ錠
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤, ポリアデノシン5'二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤
薬効分類番号 4291
ATCコード L01XX46
KEGG DRUG D09730 オラパリブ
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2020年4月 改訂 (第5版)


警告 禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 承認条件 包装 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
リムパーザ錠100mg Lynparza Tablets 100mg アストラゼネカ 4291052F1027 3492.6円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品
リムパーザ錠150mg Lynparza Tablets 150mg アストラゼネカ 4291052F2023 5185.1円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品

警告

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

禁忌

次の患者には投与しないこと

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果及び用法・用量

効能効果

白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法

BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法

がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

効能効果に関連する使用上の注意

白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法の場合

再発時の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で奏効が維持されている患者を対象とすること。

臨床試験に組み入れられた患者における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法終了後から再発までの期間(PFI)等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法の場合

国際産婦人科連合(FIGO)進行期分類III期又はIV期の卵巣癌と診断され、白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法で奏効が維持されている患者を対象とすること。

承認された体外診断薬等を用いた検査により、BRCA遺伝子変異を有することが確認された患者に投与すること。

臨床試験に組み入れられた患者における前治療歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌の場合

本剤の術前・術後薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない。

本剤の投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者を対象とすること。

承認された体外診断薬等を用いた検査により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異又は病的変異疑い)を有することが確認された患者に投与すること。

用法用量

通常、成人にはオラパリブとして300mgを1日2回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法用量に関連する使用上の注意

100mg錠と150mg錠の生物学的同等性は示されていないため、300mgを投与する際には100mg錠を使用しないこと。

本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を考慮して、休薬・減量すること。

副作用発現時の用量調節基準

副作用程度注) 処置再開時の投与量
貧血ヘモグロビン値がGrade3又は4の場合ヘモグロビン値≧9g/dlに回復するまで最大4週間休薬する。1回目の再開の場合、減量せずに投与する。
2回目の再開の場合、250mg1日2回で投与する。
3回目の再開の場合、200mg1日2回で投与する。
好中球減少Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで休薬する。
血小板減少Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで最大4週間休薬する。減量せずに投与する。
上記以外の副作用Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで休薬する。
注)GradeはNCI-CTCAE ver4.0に準じる。

腎機能障害のある患者では、本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるため、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)

他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法の場合、本剤の投与開始後2年が経過した時点で完全奏効が得られている患者においては、本剤の投与を中止すること。

使用上の注意

慎重投与

重度の肝機能障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。また、重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)患者における使用経験はない。](「薬物動態」の項参照)

腎機能障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。なお、重度の腎機能障害又は末期腎不全(クレアチニンクリアランス(CrCL):30mL/min以下)患者における使用経験はない。](「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)

重要な基本的注意

貧血、好中球減少、白血球減少、血小板減少、リンパ球減少等の骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。(「重大な副作用」の項参照)

相互作用

相互作用序文

本剤は、主にCYP3Aにより代謝される。(「薬物動態」の項参照)

薬物代謝酵素用語

CYP3A

併用注意

強いCYP3A阻害剤
イトラコナゾール
インジナビル
リトナビル
ボリコナゾール等
中程度のCYP3A阻害剤
シプロフロキサシン
ジルチアゼム
エリスロマイシン
フルコナゾール
ベラパミル等
副作用の発現率及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず中程度又は強いCYP3A阻害剤を併用する際には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。(「薬物動態」の項参照)これらの薬剤等のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
グレープフルーツ含有食品本剤投与時はグレープフルーツ含有食品を摂取しないよう注意すること。これらの薬剤等のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A誘導剤
リファンピシン
カルバマゼピン
フェノバルビタール
フェニトイン
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort)含有食品等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。(「薬物動態」の項参照)これらの薬剤等のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝活性が誘導されるため、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。

副作用

副作用発現状況の概要

白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法

BRCA遺伝子変異陽性で白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌患者を対象とした国際共同第III相試験において、本剤が投与された195例(日本人8例を含む)中180例(92.3%)に副作用が認められ、主な副作用は、悪心130例(66.7%)、貧血76例(39.0%)、疲労58例(29.7%)、嘔吐50例(25.6%)、無力症47例(24.1%)、味覚異常45例(23.1%)等であった。(承認時)

白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌患者を対象とした海外第II相試験において、本剤が投与された136例中122例(89.7%)に副作用が認められ、主な副作用は、悪心87例(64.0%)、疲労59例(43.4%)、嘔吐29例(21.3%)等であった。(承認時)

BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法

白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法による奏効が維持されているBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者を対象とした国際共同第III相試験において、本剤が投与された260例(日本人11例を含む)中245例(94.2%)に副作用が認められ、主な副作用は、悪心183例(70.4%)、貧血94例(36.2%)、疲労86例(33.1%)、嘔吐79例(30.4%)、味覚異常64例(24.6%)等であった。(承認時)

がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者を対象とした国際共同第III相試験において、本剤が投与された205例(日本人15例を含む)中177例(86.3%)に副作用が認められ、主な副作用は、悪心103例(50.2%)、貧血66例(32.2%)、疲労46例(22.4%)等であった。(承認時)

副作用の発現率については、国際共同第III相試験(SOLO2試験、SOLO1試験、OlympiAD試験)及び海外第II相試験(D0810C00019試験)の併合解析に基づき記載した。

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

骨髄抑制

貧血(32.4%)、好中球減少(16.8%)、白血球減少(13.8%)、血小板減少(9.5%)、リンパ球減少(4.0%)等があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止する等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)

間質性肺疾患

間質性肺疾患(0.8%)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

その他の副作用

 10%以上1%〜10%未満1%未満
皮膚 発疹過敏症、皮膚炎
精神神経系 頭痛、浮動性めまい 
呼吸器 咳嗽、呼吸困難 
消化器悪心(63.3%)、嘔吐、下痢、食欲減退、味覚異常消化不良、腹痛、便秘、口内炎、上腹部痛 
全身疲労・無力症  
その他 クレアチニン増加平均赤血球容積(MCV)増加

高齢者への投与

一般に高齢者では、生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

本剤の妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、本剤を投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び最終投与後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。妊娠中に本剤を投与するか、本剤投与中の患者が妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に十分説明すること。[妊婦における使用経験はない。ラットを用いた動物実験において、臨床曝露量を下回る用量で胚・胎児死亡及び催奇形性(眼球異常、椎骨及び肋骨の欠損等)が報告されている。]

パートナーが妊娠する可能性がある男性に対しては、本剤投与期間中及び最終投与後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。[本剤の遺伝毒性試験において染色体異常誘発性が認められている。][「その他の注意」の項参照]

授乳中の女性に投与する場合には、授乳を中止させること。[本剤の乳汁中への移行は不明であり、授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

その他の注意

国内外の臨床試験等において、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。

遺伝毒性試験において、細菌を用いる復帰突然変異試験で遺伝子突然変異誘発性は認められなかったが、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いるin vitro染色体異常試験では染色体異常誘発作用がみられ、ラット骨髄小核試験で経口投与後に小核誘発作用が認められた1)

薬物動態

血中濃度

日本人固形癌患者における血漿中濃度2)

単回投与

固形癌患者(7例)に本剤300mgを単回経口投与したときのオラパリブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。

図 日本人固形癌患者に本剤300mgを単回経口投与したときの血漿中オラパリブ濃度推移(算術平均値±標準偏差)

表 日本人固形癌患者に本剤300mgを単回経口投与したときのオラパリブの薬物動態パラメータ(算術平均値±標準偏差)

例数Cmax(μg/mL)tmax(h) AUC(μg・h/mL)t1/2(h)
7例8.14±2.911.98(1.00〜3.00)54.4±37.59.43±2.86
※中央値(範囲)

反復投与

固形癌患者(9例)に本剤200mg注)及び300mgを1日2回反復経口投与したときの第15日目におけるオラパリブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。また、300mg投与時におけるAUC(0-12時間)の累積係数は約1.8であった。

注)本剤の承認用法・用量は300mgの1日2回投与である。

図 日本人固形癌患者に本剤200mg及び300mgを1日2回反復経口投与したときの第15日目における血漿中オラパリブ濃度推移(算術平均値±標準偏差)

表 日本人固形癌患者に本剤200mg及び300mgを1日2回反復経口投与したときの第15日目におけるオラパリブの薬物動態パラメータ(算術平均値±標準偏差)

用量例数Cmax(μg/mL)tmax(h) AUC(0-12時間)(μg・h/mL)
200mg3例8.16±3.341.50(1.00〜3.00)41.1±20.9
300mg6例8.86±3.143.00(1.50〜3.93)61.9±40.5
※中央値(範囲)

食事の影響(外国人における成績)3)

固形癌患者(56例)に本剤300mgを食後投与したとき、空腹時投与と比較して、オラパリブのCmaxは21%(90%信頼区間:14%〜28%)低下し、AUCは8%(90%信頼区間:1%〜16%)増加した。

分布(in vitro試験成績)

オラパリブの血漿蛋白結合率はヒトでのCmax付近(10μg/mL)で82%であった。オラパリブの主要な結合蛋白は血清アルブミンであり(結合率:56%)、α1-酸性糖蛋白質との結合率は10μg/mLで29%であった4)

代謝

in vitro試験から、オラパリブの主代謝酵素はCYP3A4/5であることが示された5)

固形癌患者に14C標識オラパリブ100mgをカプセル剤注)で単回経口投与したとき、投与12時間後までの血漿中において主成分はオラパリブであった(血漿中放射能の70%)。血漿中の主代謝物はM12(ピペラジン開環体の3位水酸化体)、M15(フルオロベンジル環のメチレン基水酸化体)及びM18(ピペラジン環の3位水酸化体)であった(血漿中放射能の9〜14%)。投与48時間後までの尿及び糞便中において主代謝物はM15であった(尿及び糞便中放射能のそれぞれ5〜6%)6)

注)カプセル剤は本邦未承認である。

排泄(外国人における成績)6)

固形癌患者に14C標識オラパリブ100mgをカプセル剤注)で単回経口投与したとき、投与後7日間で投与放射能量の44%が尿中に、42%が糞便中に主に代謝物として排泄された。未変化体の尿中排泄率は15%であった。

注)カプセル剤は本邦未承認である。

特殊集団における薬物動態(外国人における成績)

肝機能障害のある患者における薬物動態7)

肝機能の正常な固形癌患者並びに軽度(Child-Pugh分類A)又は中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害を有する固形癌患者を対象に本剤300mgを単回経口投与した。軽度肝機能障害者(9例)では肝機能正常者(13例)に比べオラパリブのCmaxは13%(90%信頼区間:−18%〜56%)、AUCは15%(−28%〜83%)高値を示した。中等度肝機能障害者(8例)では肝機能正常者(13例)に比べオラパリブのCmaxは13%(90%信頼区間:−22%〜37%)低値を示したが、AUCは8%(−34%〜74%)高値を示した。軽度及び中等度の肝機能障害により臨床上問題となる影響は認められなかった。

腎機能障害のある患者における薬物動態8)

腎機能の正常な固形癌患者並びに軽度(CrCL:51〜80mL/min)又は中等度(CrCL:31〜50mL/min)の腎機能障害を有する固形癌患者を対象に本剤300mgを単回経口投与した。軽度腎機能障害者(13例)では腎機能正常者(12例)に比べオラパリブのCmaxは15%(90%信頼区間:4%〜27%)、AUCは24%(6%〜47%)高値を示した。中等度腎機能障害者(13例)では、腎機能正常者(12例)に比べオラパリブのCmaxは26%(90%信頼区間:6%〜48%)、AUCは44%(90%信頼区間:10%〜89%)高値を示した。

薬物相互作用

CYP3A阻害剤との相互作用(外国人における成績)

固形癌患者(57例)に強いCYP3A阻害剤であるイトラコナゾール200mgを1日1回7日間投与し、投与5日目に本剤100mg注)を併用投与したとき、オラパリブのCmaxは1.4倍(90%信頼区間:1.3〜1.5倍)に増加し、AUCは2.7倍(90%信頼区間:2.4〜3.0倍)に増加した9)。また、生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションから、本剤100mgと弱いCYP3A阻害剤であるフルボキサミンとの併用ではオラパリブのCmax及びAUC(0-t)に影響はないと推定されたものの、中程度のCYP3A阻害剤であるフルコナゾールとの併用ではオラパリブのCmax及びAUC(0-t)はそれぞれ平均1.14倍及び2.21倍増加すると推定された10)

注)本剤の承認用法・用量は300mgの1日2回投与である。

CYP3A誘導剤との相互作用(外国人における成績)9)

固形癌患者(22例)に強いCYP3A誘導剤であるリファンピシン600mgを1日1回13日間投与し、投与10日目に本剤300mgを併用投与したとき、オラパリブのCmaxは71%(90%信頼区間:67%〜76%)、AUCは87%(90%信頼区間:84%〜89%)低下した。

CYP3A及びCYP2B6の基質との相互作用(in vitro試験成績)

オラパリブはCYP3Aに対し阻害作用を示し10)、CYP2B6に対し誘導作用を示した11)

UGT1A1の基質との相互作用(in vitro試験成績)

オラパリブはUDPグルクロン酸転移酵素(UGT)1A1に対し阻害作用を示した12)

内分泌療法剤の相互作用(外国人における成績)13)

固形癌患者(76例)を対象に、本剤300mgとタモキシフェン(20mg1日1回)、アナストロゾール(1mg1日1回)又はレトロゾール(2.5mg1日1回)との併用投与を行ったところ(例数はそれぞれ29例、22例及び25例)、臨床上問題となる相互作用は認められなかった。

トランスポーターの関与及び阻害(in vitro試験成績)

オラパリブはP-糖蛋白質(P-gp)の基質であった14)。また、オラパリブはP-gp、OATP1B1、OCT1及びMATE1を阻害した15)

臨床成績

白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法

国際共同第III相試験(SOLO2試験)16)

BRCA遺伝子変異陽性で、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による少なくとも2回以上の治療歴があり、白金系抗悪性腫瘍剤感受性注1)かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で奏効(画像診断による完全奏効又は部分奏効)が維持されている再発高悪性度漿液性卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)又は再発高悪性度類内膜卵巣癌患者295例(本剤群196例、プラセボ群99例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回投与の有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、本剤はプラセボに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.30、95%信頼区間0.22〜0.41、p<0.0001)。無増悪生存期間の中央値は本剤群で19.1カ月、プラセボ群で5.5カ月であった。(2016年9月19日データカットオフ)

注1)PFI(platinum free interval)が6カ月以上であること。

図 SOLO2試験:無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(最大解析対象集団、治験担当医師による評価)

図 SOLO2試験:無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(最大解析対象集団、治験担当医師による評価)(Number of patients at risk)

無作為割付からの期間(月)0369121518212427303336
本剤群(196例)19618215613411810489823229320
プラセボ群(99例)997037221817141276000

海外第II相試験(D0810C00019試験)17)

白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による少なくとも2回以上の治療歴があり、白金系抗悪性腫瘍剤感受性注1)かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で奏効(画像診断による完全奏効又は部分奏効)が維持されている再発漿液性卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)患者265例(本剤群136例、プラセボ群129例)を対象として、本剤(カプセル剤)400mg注2)1日2回投与の有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第II相試験を実施した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、プラセボに対する本剤の優越性の評価で事前に設定した有効性判断基準を満たした(ハザード比0.35、95%信頼区間0.25〜0.49、p<0.00001)。無増悪生存期間の中央値は本剤群で8.4カ月、プラセボ群で4.8カ月であった。(2010年6月30日データカットオフ)

注1)PFI(platinum free interval)が6カ月以上であること。

注2)本剤の承認用法・用量は錠剤300mgの1日2回投与である。

図 D0810C00019試験:無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(最大解析対象集団、治験担当医師による評価)

図 D0810C00019試験:無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(最大解析対象集団、治験担当医師による評価)(Number of patients at risk)

無作為割付からの期間(月)03691215
本剤群(136例)136106532470
プラセボ群(129例)1297224710

BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法

国際共同第III相試験(SOLO1試験)18)

BRCA遺伝子変異陽性注1)で、新たに進行卵巣癌(FIGO進行期分類III期又はIV期)であると診断され、白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法注2)で奏効(画像診断による完全奏効又は部分奏効)が維持されている高悪性度漿液性又は高悪性度類内膜卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)患者391例(本剤群260例、プラセボ群131例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回投与注3)の有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、本剤はプラセボに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.30、95%信頼区間0.23〜0.41、p<0.0001)。無増悪生存期間の中央値は本剤群では未到達、プラセボ群で13.8カ月であった。(2018年5月17日データカットオフ)

注1)Myriad Integrated BRACAnalysis(分類カテゴリー:[1]「病的変異」、[2]「病的変異疑い」、[3]「臨床的意義不明のバリアント」、[4]「遺伝子多型の可能性」又は[5]「遺伝子多型」)等による検査で、BRCA1又はBRCA2の機能喪失を生じる変異(上記の分類カテゴリーでは[1]又は[2]に該当する変異)を有している患者が組入れ可能とされた。当該検査法との同等性が確認されたBRACAnalysis診断システム、及びFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルがコンパニオン診断薬等として製造販売承認されている。

注2)初回化学療法との併用又は初回化学療法後の維持療法としてベバシズマブ(遺伝子組換え)の投与を受けた患者は除外した。

注3)最長2年間又は原疾患の病勢進行が認められるまで投与した。投与開始2年後の時点で完全奏効(画像診断で病変なし)が維持されている場合は投与を中止し、投与開始2年後の時点で病変が確認され、治験担当医師が治療継続によりさらなるベネフィットが期待できると判断する場合は2年後以降も投与継続可能とした。

図 SOLO1試験:無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(最大解析対象集団、治験担当医師による評価)

図 SOLO1試験:無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(最大解析対象集団、治験担当医師による評価)(Number of patients)

無作為割付からの期間(月)03691215182124273033363942454851545760
本剤群(260例)2602492382312212092021961871741571511441217143238000
プラセボ群(131例)131128114957965555045423935312711610000

がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

国際共同第III相試験(OlympiAD試験)19)

生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異又は病的変異疑い)陽性注)かつHER2陰性であり、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤(禁忌でない場合)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴を有する手術不能又は再発乳癌患者302例(本剤群205例、化学療法群97例)を対象として、本剤300mg1日2回投与の有効性及び安全性を、医師が選択した化学療法(カペシタビン、エリブリン、又はビノレルビンのいずれかを選択)と比較する非盲検無作為化多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である盲検下での独立中央評価に基づく無増悪生存期間において、本剤は医師が選択した化学療法に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.58、95%信頼区間0.43〜0.80、p=0.0009(両側))。無増悪生存期間の中央値は本剤群で7.0カ月、化学療法群で4.2カ月であった。

注)生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異の有無を確認し、変異が認められた場合にはデータベースに登録された情報を基に5つのバリアント分類カテゴリー([1]「病的変異」、[2]「病的変異疑い」、[3]「臨床的意義不明のバリアント」、[4]「遺伝子多型の可能性」又は[5]「遺伝子多型」)のいずれかに分類され、[1]又は[2]に該当する遺伝子変異を有している患者が組入れ可能とされた。生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異状況の確認にはMyriad Integrated BRACAnalysis、Myriad BRACAnalysis CDx、BGI Clinical LaboratoryによるBRCA遺伝子変異検査のいずれかが使用された。当該検査法との同等性が確認されたBRACAnalysis診断システムがコンパニオン診断薬等として製造販売承認されている。

図 無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(OlympiAD試験:最大解析対象集団、盲検下独立中央評価)

図 無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(OlympiAD試験:最大解析対象集団、盲検下独立中央評価)(Number of patients at risk)

追跡期間(月)012345678910111213141516171819202122232425262728
本剤群(205例)205201177159154129107100947369614036232121111111433221110
化学療法群(97例)97886346442925242113111187444111111110000

薬効薬理

PARP阻害活性

オラパリブは、ヒトPARP-1及びPARP-2に対して阻害作用を示した(各IC50値:5及び1nmol/L)20)

腫瘍増殖抑制作用

オラパリブは、ヒト卵巣癌由来細胞株(59M、OVCAR-3、IGROV-1等)及びヒト乳癌由来細胞株(MDA-MB-436、HCC1395、SUM1315MO2等)の増殖を抑制し21)、ヒト乳癌患者由来HBCx-10腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した22)

有効成分に関する理化学的知見

一般名オラパリブ
一般名(欧名)Olaparib
化学名4-[(3-{[4-(Cyclopropylcarbonyl)piperazin-1-yl]carbonyl}-4-fluorophenyl)methyl]phthalazin-1(2H)-one
分子式C24H23FN4O3
分子量434.46
性状本品は白色〜微黄色の粉末である。
KEGG DRUGD09730

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法

国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

包装

リムパーザ錠100mg

[PTP]56錠(8錠×7)

リムパーザ錠150mg

[PTP]56錠(8錠×7)

主要文献


1. 社内資料(遺伝毒性試験),  (2017)
2. 社内資料(日本人固形癌患者における薬物動態),  (2014)
3. Ruth Plummer R.,et al.,  Cancer Chemother Pharmacol.,  76 (4),  723,  (2015) »PubMed
4. 社内資料(血漿蛋白結合[in vitro試験]),  (2017)
5. 社内資料(代謝に関与する代謝酵素[in vitro試験]),  (2010)
6. 社内資料(ヒトに[14C]-オラパリブを投与したマスバランス試験),  (2009)
7. 社内資料(肝機能障害を有する固形癌患者における薬物動態),  (2016)
8. 社内資料(腎機能障害を有する固形癌患者における薬物動態),  (2015)
9. Dirix L.,et al.,  Clin Ther.,  38 (10),  2286,  (2016) »PubMed
10. 社内資料(CYPに対する阻害作用[in vitro試験]),  (2014)
11. 社内資料(CYPに対する誘導作用[in vitro試験]),  (2015)
12. 社内資料(UGT1A1に対する阻害作用[in vitro試験]),  (2014)
13. 社内資料(内分泌療法剤の相互作用),  (2015)
14. 社内資料(P-糖蛋白質の関与),  (2007)
15. 社内資料(トランスポーターに対する阻害作用),  (2014)
16. 社内資料(BRCA変異を有する白金製剤感受性再発卵巣癌患者を対象としたオラパリブの国際共同第III相試験),  (2017)
17. 社内資料(白金製剤感受性再発漿液性卵巣癌患者を対象とした海外第II相試験),  (2013及び2014)
18. 社内資料(BRCA変異を有する進行卵巣癌患者を対象としたオラパリブの国際共同第III相試験),  (2018)
19. 社内資料(生殖細胞系列BRCA変異を有するHER2陰性転移性乳癌患者を対象としたオラパリブの国際共同第III相試験),  (2017)
20. Menear,K.A.,et al.,  J.Med.Chem.,  51,  6581,  (2008) »PubMed
21. 社内資料(各種腫瘍細胞株の増殖に対するオラパリブの作用[in vitro試験]),  (2013)
22. 社内資料(HBCx-10腫瘍移植モデルにおけるオラパリブのPK、PD及び有効性の評価[in vivo試験],  (2016)

作業情報


改訂履歴

2019年6月 改訂
2020年4月 改訂 (第5版)

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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2020/10/21 版