医療用医薬品 : アジレクト

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医薬品情報


総称名 アジレクト
一般名 ラサギリンメシル酸塩
欧文一般名 Rasagiline Mesilate
製剤名 ラサギリンメシル酸塩錠
薬効分類名 パーキンソン病治療剤(選択的MAO-B阻害剤)
薬効分類番号 1169
KEGG DRUG D02562 ラサギリンメシル酸塩
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 承認条件 包装 長期投与医薬品に関する情報 主要文献

商品情報 詳細

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アジレクト錠1mg Azilect Tablets 1mg 武田薬品工業 1169017F2021 948.5円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品
アジレクト錠0.5mg Azilect Tablets 0.5mg 武田薬品工業 1169017F1025 512.1円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

他のMAO阻害薬(セレギリン塩酸塩)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)

ペチジン塩酸塩含有製剤、トラマドール塩酸塩又はタペンタドール塩酸塩を投与中の患者(「相互作用」の項参照)

三環系抗うつ薬(アミトリプチリン塩酸塩、アモキサピン、イミプラミン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩、ドスレピン塩酸塩、トリミプラミンマレイン酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩及びロフェプラミン塩酸塩)、四環系抗うつ薬(マプロチリン塩酸塩、ミアンセリン塩酸塩及びセチプチリンマレイン酸塩)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリン及びエスシタロプラムシュウ酸塩)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩及びベンラファキシン塩酸塩)、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(アトモキセチン塩酸塩)又はノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(ミルタザピン)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)

中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者(【薬物動態】の項参照)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果及び用法・用量

効能効果

パーキンソン病

用法用量

通常、成人にはラサギリンとして1mgを1日1回経口投与する。

用法用量に関連する使用上の注意

軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)のある患者では、本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため、低用量での投与も考慮すること。(「慎重投与」及び【薬物動態】の項参照)

低体重の患者では、本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、副作用の発現が多く認められているため、患者の状態を観察し、低用量での投与も考慮すること。(「慎重投与」及び【薬物動態】の項参照)

高齢者では、副作用の発現が多く認められているため、患者の状態を観察し、低用量での投与も考慮すること。(「慎重投与」及び「高齢者への投与」の項参照)

使用上の注意

慎重投与

軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)のある患者(<用法・用量に関連する使用上の注意>及び【薬物動態】の項参照)

低体重の患者(<用法・用量に関連する使用上の注意>及び【薬物動態】の項参照)

高齢者(<用法・用量に関連する使用上の注意>及び「高齢者への投与」の項参照)

重要な基本的注意

起立性低血圧又は低血圧があらわれることがあるため、めまい、立ちくらみ、ふらつき等の起立性低血圧の徴候又は症状が認められた場合には、適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)

日中の傾眠、前兆のない突発的睡眠又は睡眠発作があらわれることがあるため、本剤投与中の患者には自動車の運転、機械の操作、高所での作業等、危険を伴う作業には従事させないように注意すること。(「重大な副作用」の項参照)

病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。(「重大な副作用」の項参照)

レボドパ含有製剤との併用によりジスキネジア等のレボドパ由来の副作用が増強されることがあるため、このような症状が認められた場合には、症状の程度に応じて適切な処置を行うこと。

相互作用

相互作用序文

本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP1A2により代謝される。

薬物代謝酵素用語

CYP1A2

併用禁忌

MAO阻害薬
セレギリン塩酸塩
エフピー
高血圧クリーゼ等の重篤な副作用発現のおそれがある。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、左記薬剤の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。相加作用のおそれがある。
ペチジン塩酸塩含有製剤
ペチロルファン
トラマドール塩酸塩
トラマール
タペンタドール塩酸塩
タペンタ
セロトニン症候群等の重篤な副作用発現のおそれがある。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、トラマドール塩酸塩の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに、2〜3日間の間隔を置くこと。機序は不明である。
三環系抗うつ薬
アミトリプチリン塩酸塩
トリプタノール
アモキサピン
アモキサン
イミプラミン塩酸塩
トフラニール
クロミプラミン塩酸塩
アナフラニール
ドスレピン塩酸塩
プロチアデン
トリミプラミンマレイン酸塩
スルモンチール
ノルトリプチリン塩酸塩
ノリトレン
ロフェプラミン塩酸塩
アンプリット
他のMAO-B阻害薬との併用により、高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変化及び筋強剛等の副作用があらわれ、さらに死亡例も報告されている。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、左記薬剤の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに、2〜3日間の間隔を置くこと。機序は不明であるが、相加・相乗作用のおそれがある。
四環系抗うつ薬
マプロチリン塩酸塩
ルジオミール
ミアンセリン塩酸塩
テトラミド
セチプチリンマレイン酸塩
テシプール
他のMAO-B阻害薬との併用により、高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変化及び筋強剛等の副作用があらわれ、さらに死亡例も報告されている。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、左記薬剤の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに、2〜3日間の間隔を置くこと。機序は不明であるが、相加・相乗作用のおそれがある。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
フルボキサミンマレイン酸塩
ルボックス
デプロメール
パロキセチン塩酸塩水和物
パキシル
塩酸セルトラリン
ジェイゾロフト
エスシタロプラムシュウ酸塩
レクサプロ
セロトニン症候群等の重篤な副作用発現のおそれがある。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、左記薬剤の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに、フルボキサミンマレイン酸塩は少なくとも7日間、パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリン及びエスシタロプラムシュウ酸塩は少なくとも14日間の間隔を置くこと。セロトニン再取り込み阻害作用により、脳内のセロトニン濃度が高まるおそれがある。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
ミルナシプラン塩酸塩
トレドミン
デュロキセチン塩酸塩
サインバルタ
ベンラファキシン塩酸塩
イフェクサー
重篤な副作用発現のおそれがある。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、左記薬剤の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに、ミルナシプラン塩酸塩は2〜3日間、デュロキセチン塩酸塩は少なくとも5日間、ベンラファキシン塩酸塩は少なくとも7日間の間隔を置くこと。モノアミン神経伝達物質の分解が抑制され、脳内のモノアミン総量が増加するおそれがある。
選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
アトモキセチン塩酸塩
ストラテラ
重篤な副作用発現のおそれがある。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、左記薬剤の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに少なくとも14日間の間隔を置くこと。モノアミン神経伝達物質の分解が抑制され、脳内のモノアミン総量が増加するおそれがある。
ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬
ミルタザピン
レメロン
リフレックス
セロトニン症候群等の重篤な副作用発現のおそれがある。本剤の投与を中止してから左記薬剤の投与を開始するまでに、少なくとも14日間の間隔を置くこと。また、左記薬剤の投与を中止してから本剤の投与を開始するまでに少なくとも14日間の間隔を置くこと。脳内ノルアドレナリン、セロトニンの神経伝達が増強され、脳内のモノアミン総量が増加するおそれがある。

併用注意

トラゾドン塩酸塩トラゾドン塩酸塩の中止直後に本剤を投与又は併用する場合には、脳内セロトニン濃度が高まるおそれがある。セロトニン再取り込み阻害作用により、脳内のセロトニン濃度が高まるおそれがある。
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物脳内セロトニン濃度が高まるおそれがある。脳内のセロトニン濃度を上昇させる作用を有するため、併用によりセロトニン濃度が更に高まるおそれがある。
交感神経刺激薬
エフェドリン塩酸塩
メチルエフェドリン塩酸塩
プソイドエフェドリン塩酸塩含有医薬品
フェニルプロパノールアミン塩酸塩含有医薬品
高血圧クリーゼを含む血圧上昇が報告されている。本剤のMAO-B選択性が低下した場合、交感神経刺激作用が増強されるおそれがある。
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有飲食物脳内セロトニン濃度が高まるおそれがある。脳内のセロトニン濃度を上昇させる作用を有するため、併用によりセロトニン濃度が更に高まるおそれがある。
CYP1A2阻害薬
シプロフロキサシン
本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため、低用量での投与も考慮すること。シプロフロキサシンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
CYP1A2誘導薬
タバコ(喫煙)
フェニトイン
本剤の血中濃度が低下する可能性がある。CYP1A2を誘導するため、本剤のクリアランスを増加させる可能性がある。
チラミンを多く含有する飲食物
チーズ
ビール
赤ワイン等
チラミン含有量の高い飲食物を摂取した患者において、高血圧クリーゼを含む血圧上昇が報告されている。本剤のMAO-B選択性が低下した場合、チラミンの代謝が抑制されるおそれがある。

副作用

副作用発現状況の概要

承認時までの国内臨床試験において、1日1回ラサギリンとして0.5mg又は1mgを投与された696例中346例(49.7%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められており、主な副作用はジスキネジア(8.0%)、転倒(3.7%)及び鼻咽頭炎(3.2%)であった。
また、レボドパ含有製剤併用の海外臨床試験において、1日1回ラサギリンとして0.5mg又は1mgを投与された544例中299例(55.0%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められており、主な副作用はジスキネジア(12.3%)、悪心(6.6%)、浮動性めまい(5.1%)、頭痛(4.6%)、不眠症、起立性低血圧(各3.7%)及び転倒(3.5%)であった。(承認時)

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

起立性低血圧(2.4%)

起立性低血圧があらわれることがある。パーキンソン病患者では運動機能障害による転倒のリスクが高く、起立性低血圧があらわれた場合には、転倒により骨折又は外傷に至るおそれがあるため、観察を十分に行い、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

傾眠(1.4%)、突発的睡眠(0.4%)

日中に傾眠があらわれることがあり、さらに前兆のない突発的睡眠があらわれることもあるため、このような症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

幻覚(2.7%)

幻覚、幻視、せん妄、幻聴、錯覚、失見当識等の精神症状があらわれることがあるため、観察を十分に行い、このような症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

衝動制御障害(0.1%)

病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害があらわれることがあるため、観察を十分に行い、このような症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

セロトニン症候群(自発報告につき頻度不明)

セロトニン症候群があらわれることがあるため、不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、ミオクロヌス、発汗、頻脈等のセロトニン症候群が疑われる症状が認められた場合には、投与を中止し、体温冷却及び補液等の全身管理とともに、適切な処置を行うこと。

悪性症候群(自発報告につき頻度不明)

急激な減量又は中止により、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合がある。また、本症発現時には白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることもある。このような症状が認められた場合には、体温冷却及び補液等の全身管理とともに、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

 5%以上5%未満頻度不明注2)
精神神経系ジスキネジア頭痛、めまい、ジストニア、異常な夢うつ病、平衡障害、錯乱
消化器 悪心・嘔吐、便秘、腹痛、口内乾燥鼓腸
筋・骨格系 関節痛、関節炎、筋骨格痛、頚部痛 
心血管系 狭心症、心筋梗塞脳血管発作
その他 転倒、皮疹、食欲減退、結膜炎、発熱、体重減少、アレルギー、倦怠感、水疱性皮疹、白血球減少症、インフルエンザ鼻炎、尿意切迫、手根管症候群、皮膚癌、悪性黒色腫
注2)外国で報告された副作用については頻度不明とした。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているため、副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の女性への投与に関する安全性は確立していない。また、動物試験(ウサギ)において、本剤とレボドパ/カルビドパを併用投与した場合、本剤の最大臨床用量(ラサギリンとして1mg/日)における曝露量(AUC)の約8倍を超える曝露量で、着床後胚死亡率の増加が認められた。]

授乳中の女性に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[ヒト母乳中への移行は不明である。また、動物試験(ラット)でプロラクチン分泌の阻害が認められた。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

過量投与

本剤の過量投与によりMAO-Bの阻害作用に加えて、MAO-Aの阻害作用があらわれ、MAO-A阻害による副作用が発現する可能性があるため、患者の状態には十分注意すること。
本剤3〜100mgの過量投与により軽躁、高血圧クリーゼ、セロトニン症候群等の症状が報告されている。また、レボドパ含有製剤併用の患者に対する用量漸増試験において、本剤10mg/日投与により高血圧又は起立性低血圧等の心血管系の副作用が発現し、本剤投与中止により回復した。
なお、本剤に特異的な解毒剤はない。症状に応じた適切な処置を行うこと。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

その他の注意

海外臨床試験において悪性黒色腫が報告された。

薬物動態

血中濃度

単回投与[1]

健康成人にラサギリンとして1mg及び0.5mg(各8例)を単回投与した時のラサギリンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおり。

血漿中濃度推移

薬物動態学的パラメータ

投与量Cmaxa)(pg/mL)Tmaxb)(h)AUC a)(h・pg/mL)T1/2 a)(h)
1mg7431(3122)0.5004743(1651)1.830(0.486)
0.5mg3196(956)0.3301999(395)1.260(0.376)
a)平均値(標準偏差)b)中央値

反復投与[2]

健康成人にラサギリンとして1mg及び0.5mg(各8例)を1日1回10日間反復投与した時のラサギリンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおり。

血漿中濃度推移

薬物動態学的パラメータ

投与量Cmaxa)(pg/mL)Tmaxb)(h)AUCτa)(h・pg/mL)T1/2 a)(h)
1mg9846(4400)0.50011867(5062)5.850(2.265)
0.5mg3950(1167)0.4204105(1872)3.710(2.161)
a)平均値(標準偏差)b)中央値

吸収

バイオアベイラビリティ[3]

本剤単回経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは約35%であった。

食事の影響[4]

健康成人(18例)にラサギリンとして2mg※を単回経口投与した時のバイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響を検討した。空腹時投与と比較して、ラサギリンのCmaxの平均値は食後投与で約60%の低下が認められ、AUClast及びAUC(0→inf)の平均値は食後投与でそれぞれ約23%及び約22%の低下が認められた。(外国人データ)

分布

14C-ラサギリン塩酸塩をin vitroでヒト血漿に添加し、限外ろ過法により蛋白結合率を評価した。14C-ラサギリンのヒトの血漿蛋白結合率は0.83、8.26及び82.6ng/mLの濃度において、男性で90.4〜93.7%、女性で88.6〜92.8%であった。[5]

健康成人(14例)にラサギリンとして2mg※を単回静脈内投与した時のラサギリンの定常状態における分布容積は86.7±39.0L(平均値±標準偏差)であった。(外国人データ)[6]

代謝

ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、ラサギリンの代謝に主に関与するCYP分子種はCYP1A2であることが示唆された。[7]

ラサギリンの主な消失経路は酸化的代謝又は抱合であると考えられる。[8]

排泄[9]

健康成人(2例)に14C-ラサギリン2mg※を単回投与した時、38日間の採取期間を通じて、尿中に投与放射能の62.6%、糞便中に投与放射能の21.8%が排泄された。また、尿中に未変化体はほとんど認められなかった。(外国人データ)

低体重の患者における薬物動態[10]

パーキンソン病患者(352例)にラサギリンとして1、2mg※及びプラセボを1日1回52週間(プラセボ投与群においては27週目は1mg、28週目から2mg)投与した時の母集団薬物動態解析の結果、ラサギリンの定常状態におけるCL/Fの低下は体重低下と関連した。解析対象集団の中で最も体重が軽かった42.3kgの患者で予想される定常状態におけるCL/Fは70kgの患者よりも約30%低いと推定された。(外国人データ)

高齢者における薬物動態[11]

パーキンソン病患者(352例)にラサギリンとして1、2mg※及びプラセボを1日1回52週間(プラセボ投与群においては27週目は1mg、28週目から2mg)投与した時の母集団薬物動態解析の結果、ラサギリンの定常状態におけるCL/Fの低下は年齢増加と関連した。79歳の患者で予想される定常状態におけるCL/Fは60歳の患者よりも約11%低く、32歳の患者よりも約30%低いと推定された。(外国人データ)

腎機能障害時の動態[12]

中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30〜49mL/min)(12例)にラサギリンとして1mgを1日1回8日間反復投与した時、ラサギリンのAUCτ及びCmaxは健康成人と比較しそれぞれ92.6%及び79.0%であった。(外国人データ)

肝機能障害時の動態[13]

軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A)(8例)にラサギリンとして1mgを投与した時、ラサギリンのAUClast及びCmaxは健康成人と比較し、単回投与時でそれぞれ134.7%及び115.0%、1日1回7日間反復投与時でそれぞれ180.2%及び138.1%であった。中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)(8例)にラサギリンとして1mgを投与した時、ラサギリンのAUClast及びCmaxは健康成人と比較し、単回投与時でそれぞれ217.8%及び196.1%、1日1回7日間反復投与時でそれぞれ668.2%及び183.2%であった。(外国人データ)

薬物間相互作用

レボドパ/カルビドパ[14]

パーキンソン病患者(21例)にレボドパ/カルビドパ併用投与下でラサギリンとして1mgを1日1回反復投与した時、ラサギリンとして1mgを単独投与した時と比較して、ラサギリンの定常状態におけるCmax及びAUCτはそれぞれ107.8%及び106.2%であった。(外国人データ)

シプロフロキサシン[15]

健康成人(13例)を対象にシプロフロキサシン500mg(CYP1A2阻害薬)がラサギリンとして2mg※を1日1回反復投与した時の薬物動態に及ぼす影響を評価した。シプロフロキサシンと併用投与した時、ラサギリン単独投与時と比較して、定常状態時のラサギリンのAUCτ及びCmaxはそれぞれ197.5%及び98.2%であった。(外国人データ)

テオフィリン[16]

健康成人(18例)を対象にテオフィリン(1回250〜500mgを1日2回反復投与、CYP1A2基質)とラサギリン(1mgを1日1回反復投与)を併用投与した時の薬物相互作用を評価した。テオフィリンの薬物動態はラサギリンによる影響を受けなかった。同様にラサギリンの薬物動態はテオフィリンによる影響を受けなかった。(外国人データ)

チラミン[17]

健康成人にセレギリン5mgを1日2回14日間投与した時(15例)と、ラサギリンとして1、2、4、6mg※を1日1回14日間(2mgのみ1日1回14日間又は30日間)投与した時(各15、27、17、12例)のチラミン(12.5〜800mg)感受性を比較した。ラサギリンとして1mgを投与した時とセレギリン5mgを1日2回投与した時とでチラミンに対する感受性は同様であった。また、ラサギリンとして2mgを1日1回30日間投与した時のチラミンに対する感受性はラサギリンとして2mgを1日1回14日間投与した時と比較して低く、ラサギリンのチラミン感受性に対する影響は投与2週間以内に定常状態に達することが示唆された。本剤群のチラミンに対する感受性は、用量に応じて増加する傾向がみられた。(外国人データ)

喫煙の影響[18]

パーキンソン病患者(352例)に本剤1、2mg※又はプラセボ錠を1日1回52週間(プラセボ投与群においては27週目は1mg、28週目から2mg)投与した母集団薬物動態解析の結果、喫煙者におけるラサギリンの定常状態におけるCL/Fは非喫煙者及び元喫煙者と比較して39.1%高いと推定された。(外国人データ)

※本剤の国内承認用量は1日1回1mgである。

臨床成績

レボドパ含有製剤非併用

二重盲検比較試験[19]

レボドパ含有製剤非併用のパーキンソン病患者を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、治療期26週(LOCF)におけるMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコアの観察期終了時からの変化量について、プラセボ群と比較して本剤1mg群で統計学的に有意な改善がみられた(p<0.0001、治療期26週(LOCF)におけるMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコアの観察期終了時からの変化量を応答、投与群及び観察期終了時におけるMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコアを因子とした共分散分析モデル)。

治療期26週(LOCF)及び観察期終了時におけるMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコア

投与群a) 観察期終了時b) 治療期26週(LOCF)b)
本剤1mg群
n=117
34.4
(16.95)
n=117
29.0
(16.81)
n=115
プラセボ群
n=126
33.8
(14.43)
n=126
35.6
(16.99)
n=125

治療期26週(LOCF)におけるMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコアの観察期終了時からの変化量(主要評価項目)

投与群a) 治療期26週(LOCF)−観察期終了時c,d) プラセボ群との投与群間差d)
点推定値両側95%信頼区間
[下限,上限]
p値
本剤1mg群
n=117
−4.52
(0.784)
−6.39[−8.530,−4.250]<0.0001
プラセボ群
n=126
1.87
(0.752)

LOCF:Last observation carried forward

MDS-UPDRS:Movement Disorder Society-Unified Parkinson's Disease Rating Scale(Part II:日常生活で経験する運動症状の側面,Part III:運動症状の調査)

a)解析対象集団の例数

b)平均値(標準偏差)

c)調整済み平均値(標準誤差)

d)治療期26週(LOCF)におけるMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコアの観察期終了時からの変化量を応答、投与群及び観察期終了時におけるMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコアを因子とした共分散分析モデルに基づく

継続長期投与試験[20]

無作為化二重盲検比較試験完了後の継続長期投与試験において、本剤1mg群(二重盲検比較試験で本剤1mg群に割り付けられ、継続長期投与試験でも引き続き本剤1mgが投与された群)のMDS-UPDRS Part II+Part III合計スコアの観察期終了時からの変化量(平均値(標準偏差))は、初回評価時点である治療期6週で−2.9(5.78)(115例)、52週(LOCF)で−2.8(9.62)(115例)であり、長期投与時も効果が持続した。

レボドパ含有製剤併用

二重盲検比較試験[21]

Wearing off現象を伴うレボドパ含有製剤併用のパーキンソン病患者を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、治療期における1日あたりの平均オフ時間の観察期終了時からの変化量について、プラセボ群と比較して本剤1mg群及び0.5mg群でそれぞれ統計学的に有意な短縮がみられた(p=0.0006及びp=0.0140、治療期における1日あたりの平均オフ時間の観察期終了時からの変化量を応答、投与群及び観察期終了時における1日あたりの平均オフ時間を因子とした共分散分析モデル(対比係数は、投与群(プラセボ群、本剤0.5、1mg群)に対してそれぞれ(−1,0,1)及び(−1,1,0)とした)、第一種の過誤確率を抑制するため、閉検定手順により、高用量から順に各本剤群とプラセボ群の比較を行った)。

治療期及び観察期終了時における1日あたりの平均オフ時間

投与群e) 観察期終了時f)
(時間)
治療期f)
(時間)
本剤1mg群
n=129
6.12
(2.430)
n=129
4.82
(2.496)
n=122
本剤0.5mg群
n=133
6.33
(2.562)
n=133
5.20
(2.627)
n=126
プラセボ群
n=141
6.05
(2.278)
n=141
5.55
(2.771)
n=138

治療期における1日あたりの平均オフ時間の観察期終了時からの変化量(主要評価項目)

投与群e) 治療期−観察期終了時g,h)
(時間)
プラセボ群との投与群間差h)
点推定値両側95%信頼区間
[下限,上限]
p値
本剤1mg群
n=129
−1.35
(0.177)
−0.84[−1.320,−0.364]0.0006
本剤0.5mg群
n=133
−1.11
(0.174)
−0.60[−1.070,−0.122]0.0140
プラセボ群
n=141
−0.51
(0.167)

治療期における1日あたりの平均オフ時間:治療期6、14、及び26週の来院前7日間(計21日間)の平均値

観察期終了時における1日あたりの平均オフ時間:観察期終了時の来院前7日間の平均値

e)解析対象集団の例数

f)平均値(標準偏差)

g)調整済み平均値(標準誤差)

h)治療期における1日あたりの平均オフ時間の観察期終了時からの変化量を応答、投与群及び観察期終了時における1日あたりの平均オフ時間を因子とした共分散分析モデルに基づく

非盲検長期投与試験[22]

レボドパ含有製剤併用のパーキンソン病患者を対象とした非盲検長期投与試験において、1日あたりの平均オフ時間の観察期終了時からの変化量(平均値(標準偏差))は、初回評価時点である治療期6週で−0.93(2.689)(105例)、52週(LOCF)で−0.89(2.537)(106例)、MDS-UPDRS Part III合計スコアの観察期終了時からの変化量(平均値(標準偏差))は、初回評価時点である治療期6週で−5.5(7.89)(213例)、52週(LOCF)で−7.6(10.45)(215例)であり、長期投与時も効果が持続した。

薬効薬理

作用機序

ラサギリンは非可逆的かつ選択的なMAO-B阻害作用を示し[23]、線条体における細胞外ドパミン濃度を増加させる[24]。ドパミン濃度の上昇により、ドパミン作動性運動機能障害を改善する[25][26]

MAO-B阻害作用

ラサギリンのヒト及びラットにおけるin vitro脳内MAO-B阻害のIC50値は2.5〜20nmol/Lである。MAO-A阻害における同値と比べると0.01〜0.05であることから、MAO-Bに対する高い選択性を有する。

有効成分に関する理化学的知見

一般名ラサギリンメシル酸塩
一般名(欧名)Rasagiline Mesilate
化学名N-[(1R)-Indan-1-yl]propyn-3-amine monomethanesulfonate
分子式C12H13N・CH4O3S
分子量267.34
融点157.0℃
性状白色〜ほとんど白色の粉末
KEGG DRUGD02562

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

錠1mg

100錠(10錠×10)

錠0.5mg

100錠(10錠×10)

長期投与医薬品に関する情報

本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2019年5月末日までは、1回14日分を限度とした投薬しか認められない。

主要文献


1. ラサギリンの薬物動態試験成績[1](社内資料)
2. ラサギリンの薬物動態試験成績[2](社内資料)
3. ラサギリンの吸収に関する検討(社内資料)
4. ラサギリンの食事の影響に関する検討(社内資料)
5. ラサギリンの分布に関する検討[1](社内資料)
6. ラサギリンの分布に関する検討[2](社内資料)
7. ラサギリンの代謝に関する検討[1](社内資料)
8. ラサギリンの代謝に関する検討[2](社内資料)
9. ラサギリンの排泄に関する検討(社内資料)
10. ラサギリンの低体重の患者における薬物動態試験成績(社内資料)
11. ラサギリンの高齢者における薬物動態試験成績(社内資料)
12. ラサギリンの腎機能障害患者における薬物動態試験成績(社内資料)
13. ラサギリンの肝機能障害患者における薬物動態試験成績(社内資料)
14. ラサギリンの薬物間相互作用に関する検討[1](社内資料)
15. ラサギリンの薬物間相互作用に関する検討[2](社内資料)
16. ラサギリンの薬物間相互作用に関する検討[3](社内資料)
17. ラサギリンの薬物間相互作用に関する検討[4](社内資料)
18. ラサギリンの喫煙の影響に関する検討(社内資料)
19. ラサギリンの臨床試験成績[1](社内資料)
20. ラサギリンの臨床試験成績[2](社内資料)
21. ラサギリンの臨床試験成績[3](社内資料)
22. ラサギリンの臨床試験成績[4](社内資料)
23. Youdim MB,et al.,  Br.J.Pharmacol.,  132,  500,  (2001) »PubMed
24. Lamensdorf I,et al.,  J.Neurochem.,  67,  1532,  (1996) »PubMed
25. Speiser Z,et al.,  J.Neural Transm.Suppl.,  52,  287,  (1998) »PubMed
26. Kupsch A,et al.,  J.Neural Transm.,  108,  985,  (2001)  Vienna »PubMed

作業情報


改訂履歴

2018年6月 改訂
2018年7月 第3版 改訂

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業態及び業者名等

製造販売元
武田薬品工業株式会社
540-8645
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

提携
Teva Pharmaceutical Industries Ltd.


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2019/1/23 版