医療用医薬品 : ヘルニコア

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医薬品情報


総称名 ヘルニコア
一般名 コンドリアーゼ
欧文一般名 Condoliase
製剤名 注射用コンドリアーゼ
薬効分類名 腰椎椎間板ヘルニア治療剤
薬効分類番号 3999
KEGG DRUG
D09800 コンドリアーゼ
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヘルニコア椎間板注用1.25単位 HERNICORE 1.25units for Intradiscal inj. 生化学工業 3999447D1020 83189円/瓶 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 急性の両下肢麻痺や膀胱直腸障害を呈する馬尾障害のある患者[緊急手術が必要とされるため、本剤の投与は適さない。]
2.3 骨軟骨異形成症による症状又は脊柱の弯曲がある患者[症状の悪化や腰椎不安定性が強まるおそれがある。]

4. 効能または効果

保存療法で十分な改善が得られない後縦靱帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニア

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 画像上ヘルニアによる神経根の圧迫が明確であり、腰椎椎間板ヘルニアの症状が画像所見から説明可能な患者にのみ投与すること。
5.2 本剤は異種タンパクであり、再投与によりアナフィラキシー等の副作用が発現する可能性が高くなるため、本剤の投与前に十分な問診を行い、本剤の投与経験がない患者にのみ投与すること。[11.1.1参照]
5.3 変形性脊椎症、脊椎すべり症、脊柱管狭窄症等の腰椎椎間板ヘルニア以外の腰椎疾患を合併する患者、骨粗鬆症、関節リウマチ等の合併により椎体に症状が認められる患者の場合は、本剤投与により腰椎不安定性が強く認められるおそれがある。これらの患者において、合併症が原因で症状が認められる場合は、本剤の有効性が得られない可能性があるため、本剤のリスクを考慮し、症状の原因を精査した上で、本剤による治療を優先すべきか慎重に判断すること。投与を行った場合には、患者の状態を慎重に観察すること。[9.1.2参照]
5.4 20歳未満の患者に対する有効性及び安全性は確立されていない。また、成長期の患者では、成長板が閉鎖していないため、本剤投与による成長板の限局性欠損により、腰椎不安定性を誘発するおそれ、本剤投与による軟骨層の骨化により、軟骨細胞の増殖が抑制され、椎体の伸長が阻害されるおそれがあるため、投与の可否を慎重に判断するとともに、投与を行った場合には、患者の状態を慎重に観察すること。[9.715.2.1参照]

6. 用法及び用量

通常、成人にはコンドリアーゼとして1.25単位を症状の原因である高位の椎間板内に単回投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

複数高位への同時投与の経験はなく、有効性及び安全性は確立されていない。本剤投与によりアナフィラキシー、腰椎不安定性等が発現するおそれがあり、複数高位への同時投与によりリスクが高まるおそれがあることから、複数高位への同時投与は行わないこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与は、腰椎椎間板ヘルニアの診断及び治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで行うこと。また、椎間板穿刺に熟達した医師が投与すること。
8.2 本剤の投与に際しては、ショック、アナフィラキシー等の発現のおそれがあるので、救急処置のとれる準備をしておくこと。投与終了後も十分な観察を行い、症状が発現した場合には直ちに適切な処置を行うこと。[9.1.111.1.1参照]
8.3 本剤投与により椎間板が変性し、生体力学的バランスの異常をきたし腰椎不安定性が発現するおそれがある。本剤投与後は、腰椎不安定性に伴う症状の発現の有無を十分に観察するとともに、腰椎が安定化するまでの期間は、過度な運動や腰に過度の負担がかかる動作(重量物を持ち上げる等)を避け、コルセット等の装具療法の併用を検討すること。
8.4 本剤投与後にアナフィラキシーや腰椎不安定性が発現する可能性があること、並びにその徴候や症状について患者に十分に説明し、異常が認められた場合には、速やかに担当医師に連絡するよう、患者を指導すること。[11.1.1参照]
8.5 全身麻酔下での投与は、穿刺針の神経根への接触に伴う放散痛等を感知できず神経を損傷する可能性や、アナフィラキシー等が発現した場合に発見が遅れるおそれがあるので推奨されない。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 アレルギー素因のある患者
過敏症の発現が増すおそれがある。[8.2参照]
9.1.2 腰椎不安定性が疑われる患者
腰椎不安定性が増すおそれがある。[5.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤投与の際にはX線照射を伴う。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。125I標識コンドリアーゼを用いた動物実験(ラット)で、放射能の乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[5.4参照]
9.8 高齢者
9.8.1 本剤の治療効果が得られない可能性があることから、投与の可否を慎重に判断すること。一般的に加齢による椎間板の変性により髄核中のプロテオグリカン含量が低下していることが知られている。
9.8.2 一般に軟骨終板が菲薄化しており、椎体の変性が発現する可能性が高まる。[15.2.2参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
本剤は異種タンパクであり、ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがある。[5.28.28.4参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用を以下に示す1)2)3)
 5%以上1%以上5%未満1%未満頻度不明
筋・骨格系腰痛(25.2%)下肢痛下肢違和感頚部痛、筋骨格痛
過敏症 蕁麻疹発疹、中毒性皮疹、そう痒症薬疹
その他 発熱、頭痛感覚障害リンパ節炎、感覚鈍麻
臨床検査Modic分類の椎体輝度変化a)(23.7%)、椎間板高の30%以上の低下b)(16.8%)5°以上の椎間後方開大b)、好中球数減少、トリグリセリド増加C-反応性蛋白増加、ビリルビン増加、健側の一過性のラセーグ陽性白血球数減少、ALT増加、AST増加、血小板数減少

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤を個装箱に入れた状態(遮光)で室温に戻す。
14.1.2 日局「生理食塩液」1.2mLをゆっくりとバイアル内に注入する。溶解にあたっては、泡立ちや激しい攪拌を避ける。
14.1.3 バイアルの溶解液をルアーロック付きディスポーザブルシリンジで抜き取る。
14.1.4 溶解後は速やかに投与すること。
14.1.5 バイアルに破損や亀裂等の不良が認められる場合やバイアル内が陰圧に保たれていない場合は、投与しないこと。
14.1.6 ガラスに有効成分が吸着するおそれがあるため、ガラス製のシリンジは使用せず、ルアーロック付のディスポーザブルシリンジを使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 X線透視装置を用い、厳重な無菌操作のもと腰椎椎間板ヘルニアに罹患した椎間板内の中心に本剤1.0mLをゆっくり投与すること。
14.2.2 原則として正中からの経硬膜穿刺による投与は行わず、後外側経路にて投与すること。正中穿刺により神経損傷や硬膜損傷を生じる可能性がある。
14.2.3 造影剤等他の薬剤を腰椎椎間板内で併用しないこと。椎間板内で混合した際の安定性、安全性及び有効性のデータがない。また、造影剤等の使用により神経症状(横断性脊髄炎、対麻痺、脳出血)等の合併症が危惧される。
14.2.4 本剤投与時に抵抗を感じた場合は、投与を中止すること。
14.3 薬剤投与後の注意
残液は、使用せず廃棄すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 カニクイザルにコンドリアーゼを0.25〜10単位/disc(臨床投与量の12〜494倍)で単回椎間板内投与した場合、投与後26週に軟骨終板及び成長板の骨化並びに軟骨終板の菲薄化がみられ、いずれも回復性は確認されていない。[5.4参照]
15.2.2 ウサギ(ヒトやカニクイザルよりも軟骨終板が薄い)にコンドリアーゼを4単位/disc(臨床投与量の1056倍)で単回椎間板内投与した場合、投与後2年に軟骨終板を挟んで髄核に接する椎体に骨細胞壊死がみられ、回復性は確認されていない。[9.8.2参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
腰椎椎間板ヘルニア患者にコンドリアーゼ0.5単位から10単位注)を単回椎間板内投与した場合、血漿中コンドリアーゼ濃度(酵素活性)はすべての症例でいずれの時点においても定量下限(100μ単位/mL)未満であった4)
注)本剤は、通常、成人にはコンドリアーゼとして1.25単位を症状の原因である高位の椎間板内に単回投与する。
16.2 吸収
イヌに50単位/discの用量で125I標識コンドリアーゼを単回椎間板内投与した場合、血漿中コンドリアーゼ濃度は定量下限(ELISA:0.36m単位/mL、酵素活性:20m単位/mL)未満であった5)
16.3 分布
イヌに50単位/discの用量で125I標識コンドリアーゼを単回椎間板内投与した場合、遊離した125Iに起因すると思われる甲状腺への放射能分布が観察されたほかは、主要組織(腎臓、肝臓、肺、投与部位周辺筋組織及び脾臓)への放射能分布はほとんど認められなかった。イヌ及びカニクイザルに2単位/discの用量でコンドリアーゼを単回椎間板内投与した場合、投与されたコンドリアーゼは投与部位に投与後30日まで残存した5)
16.4 代謝
イヌに50単位/discの用量で125I標識コンドリアーゼを単回椎間板内投与した場合、投与後14日までの椎間板組織抽出物における主な放射能は未変化体のコンドリアーゼであった5)
16.5 排泄
イヌに50単位/discの用量で125I標識コンドリアーゼを単回椎間板内投与した場合、投与後14日までに投与放射能の38.4%が尿中、4.0%が糞中へと排泄された5)。なお、コンドリアーゼはタンパク質であり、最終的には、小さなペプチド及びアミノ酸へ分解されると考えられる。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
腰椎椎間板ヘルニア患者を対象としたプラセボ対照二重盲検群間比較試験(国内第III相試験)における有効性の主要な成績は表のとおりであった3)
主要評価項目投与群(単回投与)症例数a)投与後13週における変化量b)
調整済平均値±標準誤差プラセボとの差[95%信頼区間]p値
下肢痛c)(mm)プラセボ81-34.3±3.3
コンドリアーゼ1.25単位82-49.5±3.3-15.2[-24.2,-6.2]0.0011
副作用の発現率は、コンドリアーゼ1.25単位群57.3%(47/82例)であった。主な副作用は、腰痛(24.4%)、Modic分類の椎体輝度変化(24.4%)、椎間板高の30%以上の低下(22.0%)及び5°以上の椎間後方開大(4.9%)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
コンドリアーゼは、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン及びヒアルロン酸の分解作用を示し、椎間板髄核中におけるグリコサミノグリカンを分解して髄核の保水能を低下させ、椎間板内圧を低下させることによりヘルニアの臨床症状を改善すると考えられている。
18.2 椎間板ヘルニア症状改善作用
椎間板ヘルニアを罹患したイヌにコンドリアーゼを椎間板内投与すると、臨床症状(姿勢反応、脊髄反射及び患部の疼痛)の改善が認められた6)
18.3 椎間板高狭小化作用
正常なウサギにコンドリアーゼを椎間板内投与すると、椎間板内水分含量の低下及び椎間板高の狭小化が認められた7)
18.4 椎間板内圧低下作用
正常なヒツジにコンドリアーゼを椎間板内投与すると、椎間板内圧最低値の低下及び椎間板高の狭小化が認められた8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. コンドリアーゼ

一般的名称 コンドリアーゼ
一般的名称(欧名) Condoliase
分子式 C5039H7770N1360O1525S22
分子量 約11万
KEGG DRUG D09800

20. 取扱い上の注意

遮光保存の必要があるため、本剤は個装箱(外箱)に入れて保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

1バイアル

23. 主要文献

  1. 社内資料:腰椎椎間板ヘルニア患者を対象としたSI-6603国内試験の統合解析
  2. 社内資料:腰椎椎間板ヘルニア患者を対象とした国内第II/III相試験(2018年3月23日承認、CTD2.7.6.2)
  3. 社内資料:腰椎椎間板ヘルニア患者を対象とした国内第III相試験(2018年3月23日承認、CTD2.7.6.3)
  4. 社内資料:国内臨床試験における薬物動態(2018年3月23日承認、CTD2.7.2)
  5. 社内資料:非臨床試験における薬物動態(2018年3月23日承認、CTD2.6.4)
  6. 社内資料:椎間板ヘルニア罹患イヌを用いた薬理試験(2018年3月23日承認、CTD2.6.2.2.1.1)
  7. 社内資料:正常ウサギを用いた薬理試験(2018年3月23日承認、CTD2.6.2.2.1.2)
  8. 社内資料:正常ヒツジを用いた薬理試験(2018年3月23日承認、CTD2.6.2.2.2.3)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
科研製薬株式会社 医薬品情報サービス室
〒113-8650 東京都文京区本駒込二丁目28番8号
電話:フリーダイヤル 0120-519-874
製品情報問い合わせ先
科研製薬株式会社 医薬品情報サービス室
〒113-8650 東京都文京区本駒込二丁目28番8号
電話:フリーダイヤル 0120-519-874

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
生化学工業株式会社
東京都千代田区丸の内一丁目6-1
26.2 発売元
科研製薬株式会社
東京都文京区本駒込二丁目28番8号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版