医療用医薬品 : ビーリンサイト

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医薬品情報


総称名 ビーリンサイト
一般名 ブリナツモマブ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Blinatumomab(Genetical Recombination)
製剤名 ブリナツモマブ(遺伝子組換え)凍結乾燥注射剤
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤
二重特異性抗体製剤
薬効分類番号 4291
ATCコード L01FX07
KEGG DRUG
D09325 ブリナツモマブ
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2021年5月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ビーリンサイト点滴静注用35μg BLINCYTO For I.V. Infusion 35μg アムジェン 4291445D1029 285961円/瓶 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品注)

1. 警告

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病

5. 効能または効果に関連する注意

臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

6. 用法及び用量

通常、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、14日間休薬する。これを1サイクルとし、最大5サイクル繰り返す。その後、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、56日間休薬する。これを1サイクルとし、最大4サイクル繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
・体重が45kg以上の場合
1サイクル目の1〜7日目は1日9μg、それ以降は1日28μgとする。
・体重が45kg未満の場合
1サイクル目の1〜7日目は1日5μg/m2(体表面積)、それ以降は1日15μg/m2(体表面積)とする。ただし、体重が45kg以上の場合の投与量を超えないこと。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤投与によりサイトカイン放出症候群が発現する可能性があるため、本剤投与前及び増量前はデキサメタゾンを投与すること。
7.2 副作用が発現した場合は、下表を参考に本剤の投与中止、中断又は用量調節を行うこと。副作用により投与を中断した後、投与再開する場合は、投与中断期間が7日以内のときは投与中断期間を含め28日間を同一サイクルとして投与し、投与中断期間が7日を超えたときは、新たなサイクルとして投与すること。投与中断期間が14日を超えた場合は、投与を中止すること。
副作用グレード注)体重45kg以上の患者体重45kg未満の患者
サイトカイン放出症候群(CRS)成人の場合:3
小児の場合:2又は3
回復するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日9μgから開始し、CRSの所見が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日28μgに増量できる。回復するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日5μg/m2(体表面積)から開始し、CRSの所見が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日15μg/m2(体表面積)に増量できる。
4投与を中止すること。
神経学的事象痙攣発作痙攣発作が2回以上発現した場合には投与を中止すること。
成人の場合:3
小児の場合:2又は3
グレード1以下が3日間継続するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日9μgで投与し、増量しないこと。
1日9μgで投与中にグレード3以上の神経学的事象が発現した場合、又は回復までに8日間以上要した場合には投与を中止すること。
グレード1以下が3日間継続するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日5μg/m2(体表面積)で投与し、増量しないこと。
1日5μg/m2(体表面積)で投与中にグレード3以上の神経学的事象が発現した場合、又は回復までに8日間以上要した場合には投与を中止すること。
4投与を中止すること。
その他の副作用3グレード1以下になるまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日9μgから開始し、副作用が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日28μgに増量できる。グレード1以下になるまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日5μg/m2(体表面積)から開始し、副作用が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日15μg/m2(体表面積)に増量できる。
4投与を中止すること。
7.3 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

8. 重要な基本的注意

8.1 神経学的事象として痙攣発作があらわれることがある。痙攣発作の発現後、投与再開する場合は、抗痙攣薬の投与を考慮すること。[9.1.111.1.1参照]
8.2 神経学的事象として痙攣発作、意識障害等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.3 サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査等を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.3参照]
8.4 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.4参照]
8.5 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[9.1.211.1.5参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 急性リンパ性白血病の活動性中枢神経系病変を有する患者、及びてんかん、痙攣発作等の中枢神経系疾患を有する患者又はその既往歴のある患者
神経学的事象の症状が悪化する又はあらわれるおそれがある。[8.111.1.1参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄抑制により感染症が悪化するおそれがある。[8.511.1.5参照]
9.1.3 治療前に骨髄中の白血病性芽球の割合が50%超又は末梢血中の白血病性芽球数が15,000/μL以上の患者
副作用の発現を軽減するため、治療前にデキサメタゾンによる治療を行った後、本剤を投与することが望ましい。
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。本剤の妊娠中の曝露により胎児のリンパ球数が減少する可能性がある。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgは母乳中に移行することが知られている。
9.7 小児等
低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般的に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
生ワクチン又は弱毒生ワクチン接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には、適切な処置を行う。本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 神経学的事象
脳神経障害、脳症、痙攣発作、錯乱状態、失語症等の神経学的事象(29.3%)があらわれることがある。痙攣発作の発現後、投与再開する場合は、抗痙攣薬の投与を考慮すること。[8.19.1.1参照]
11.1.2 感染症
サイトメガロウイルス感染(1.1%)、肺炎(1.1%)、敗血症(0.9%)等の感染症(14.1%)があらわれることがある。[9.1.2参照]
11.1.3 サイトカイン放出症候群
サイトカイン放出症候群(18.2%)があらわれることがあり、随伴徴候として、発熱、無力症、頭痛、低血圧、悪心、肝酵素上昇、播種性血管内凝固等があらわれることがある。また、infusion reaction(63.6%)やアナフィラキシーショック(0.2%)があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.4 腫瘍崩壊症候群(2.3%)
異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[8.4参照]
11.1.5 骨髄抑制
好中球減少(15.5%)、血小板減少(12.7%)、貧血(12.3%)、発熱性好中球減少症(12.3%)等があらわれることがある。[8.59.1.2参照]
11.1.6 膵炎
膵炎(1.6%)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には、投与中止、中断、減量等の適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上1〜5%未満1%未満
良性、悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)  白血病髄外浸潤
血液およびリンパ系障害 凝血異常、国際標準比(INR)増加好酸球増加
免疫系障害免疫グロブリン減少 移植片対宿主病、過敏症
代謝および栄養障害 低カリウム血症、低リン酸血症、低アルブミン血症、食欲減退、低マグネシウム血症、体重増加、低カルシウム血症、水分過負荷、高カリウム血症、低ナトリウム血症高血糖、高尿酸血症、悪液質、体液貯留、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、血中ブドウ糖減少、総蛋白減少、血清フェリチン増加
神経系障害 末梢性ニューロパチー筋緊張低下、脳虚血、頭蓋内出血、錐体路症候群、一過性脳虚血発作、CSF細胞数異常、CSFリンパ球数異常、CSF蛋白増加、脳波異常、神経学的検査異常
眼障害  眼瞼浮腫、結膜出血、眼痛、緑内障、眼充血、眼窩周囲浮腫、羞明、光視症、視力障害
耳および迷路障害  回転性めまい、耳鳴
心臓障害 頻脈徐脈、心室機能不全、急性心筋梗塞、心房細動、心房粗動、心停止、うっ血性心不全、心電図QT延長
血管障害 潮紅、高血圧ほてり、出血
呼吸器、胸郭および縦隔障害 呼吸困難、咳嗽、鼻出血胸水、しゃっくり、低酸素症、肺水腫、頻呼吸、肺障害、胸膜痛、肺高血圧症、鼻漏、胸骨の炎症
胃腸障害 下痢、嘔吐、腹痛、口内炎、便秘腹水、腹部膨満、胃炎、イレウス、大腸炎、口内乾燥、心窩部不快感、鼓腸、吐血、口の感覚鈍麻、口腔内出血、口腔知覚不全、腸壁気腫症
肝胆道系障害高ビリルビン血症肝障害肝炎、胆汁うっ滞
皮膚および皮下組織障害 発疹、そう痒症皮膚乾燥、脱毛症、ざ瘡様皮膚炎、皮膚潰瘍、アレルギー性皮膚炎、多汗症、寝汗、点状出血、皮膚色素過剰、皮膚病変、中毒性皮疹
筋骨格系および結合組織障害筋骨格痛骨痛、四肢痛筋力低下、筋痙縮、顎痛、脊椎痛、関節炎、高クレアチン血症、関節腫脹、運動性低下、筋緊張
腎および尿路障害  血中クレアチニン増加、乏尿、急性腎障害、高カルシウム血症性腎症、尿意切迫、ネフローゼ症候群、頻尿、蛋白尿、腎機能障害、尿閉
先天性、家族性および遺伝性障害  形成不全
生殖系および乳房障害  月経過多、性器浮腫、骨盤痛、腟出血
一般・全身障害および投与部位の状態疲労悪寒、浮腫、倦怠感、疼痛胸痛、C−反応性蛋白増加、歩行障害、粘膜の炎症、カテーテル留置部位関連反応、低体温、インフルエンザ様疾患、限局性浮腫、腋窩痛、活動性低下、不快感、熱感、高熱、多臓器機能不全症候群、穿刺部位紅斑、全身性炎症反応症候群
傷害、中毒および処置合併症  転倒、挫傷、肋骨骨折
その他 血中アルカリホスファターゼ増加血中乳酸脱水素酵素増加

13. 過量投与

症状
18歳未満の患者において、1日30μg/m2(最大耐量/推奨用量を超える)を投与した1例に生命を脅かすサイトカイン放出症候群及び腫瘍崩壊症候群を伴う致死的な心不全が発現したとの報告がある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 注射用水3mLを本剤のバイアルの内壁に沿って無菌的に注入し、振らずに内容物を緩徐に撹拌し、溶解すること(溶解後の容量:3.1mL、最終濃度:12.5μg/mL)。
14.1.2 輸液安定化液を本剤の溶解に用いないこと。輸液安定化液は本剤が輸液バッグや輸液チューブに吸着するのを防ぐものである。
14.1.3 本剤を溶解した溶液に粒子状物質及び溶解中の変色がないか目視確認を行うこと。本剤の溶液は無色〜淡黄色の液である。本剤の溶液が濁っている又は沈殿している場合は使用しないこと。
14.1.4 本剤はフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)と接触すると粒子を形成する可能性があるため、DEHPを含有する輸液バッグ、輸液ポンプのカセット、及び輸液チューブの使用は避けること。また、インラインフィルターは無菌でパイロジェンフリーかつ低タンパク質結合性のものを用いること。
14.1.5 輸液バッグに生理食塩液を全量として270mLとなるように調製する。
14.1.6 14.1.5の輸液バッグに輸液安定化液5.5mLを無菌的に加え、溶液が泡立たないよう緩徐に撹拌する。輸液安定化液の未使用残液は適切に廃棄すること。
14.1.7 表1、表2を参考に14.1.1で本剤を溶解したバイアルから必要量を取り出し輸液バッグに無菌的に加え、溶液が泡立たないよう緩徐に撹拌する。未使用残液は適切に廃棄すること。
表1 注射液の調製法の例示(体重45kg以上の患者)
生理食塩液270mL
輸液安定化液5.5mL
 
用量投与時間注入速度本剤溶解液注入量
1日9μg24時間10mL/時間0.83mL
48時間5mL/時間1.7mL
72時間3.3mL/時間2.5mL
96時間2.5mL/時間3.3mL
1日28μg24時間10mL/時間2.6mL
48時間5mL/時間5.2mL
72時間3.3mL/時間8mL
96時間2.5mL/時間10.7mL
表2 注射液の調製法の例示(体重45kg未満の患者)
生理食塩液270mL
輸液安定化液5.5mL
 
用量投与時間注入速度体表面積(m2本剤溶解液注入量
1日5μg/m224時間10mL/時間1.5-1.590.7mL
1.4-1.490.66mL
1.3-1.390.61mL
1.2-1.290.56mL
1.1-1.190.52mL
1-1.090.47mL
0.9-0.990.43mL
0.8-0.890.38mL
0.7-0.790.33mL
0.6-0.690.29mL
0.5-0.590.24mL
0.4-0.490.2mL
48時間5mL/時間1.5-1.591.4mL
1.4-1.491.3mL
1.3-1.391.2mL
1.2-1.291.1mL
1.1-1.191mL
1-1.090.94mL
0.9-0.990.85mL
0.8-0.890.76mL
0.7-0.790.67mL
0.6-0.690.57mL
0.5-0.590.48mL
0.4-0.490.39mL
72時間3.3mL/時間1.5-1.592.1mL
1.4-1.492mL
1.3-1.391.8mL
1.2-1.291.7mL
1.1-1.191.6mL
1-1.091.4mL
0.9-0.991.3mL
0.8-0.891.1mL
0.7-0.791mL
0.6-0.690.86mL
0.5-0.590.72mL
0.4-0.490.59mL
96時間2.5mL/時間1.5-1.592.8mL
1.4-1.492.6mL
1.3-1.392.4mL
1.2-1.292.3mL
1.1-1.192.1mL
1-1.091.9mL
0.9-0.991.7mL
0.8-0.891.5mL
0.7-0.791.3mL
0.6-0.691.2mL
0.5-0.590.97mL
0.4-0.490.78mL
1日15μg/m224時間10mL/時間1.5-1.592.1mL
1.4-1.492mL
1.3-1.391.8mL
1.2-1.291.7mL
1.1-1.191.6mL
1-1.091.4mL
0.9-0.991.3mL
0.8-0.891.1mL
0.7-0.791mL
0.6-0.690.86mL
0.5-0.590.72mL
0.4-0.490.59mL
48時間5mL/時間1.5-1.594.2mL
1.4-1.493.9mL
1.3-1.393.7mL
1.2-1.293.4mL
1.1-1.193.1mL
1-1.092.8mL
0.9-0.992.6mL
0.8-0.892.3mL
0.7-0.792mL
0.6-0.691.7mL
0.5-0.591.4mL
0.4-0.491.2mL
72時間3.3mL/時間1.5-1.596.3mL
1.4-1.495.9mL
1.3-1.395.5mL
1.2-1.295.1mL
1.1-1.194.7mL
1-1.094.2mL
0.9-0.993.8mL
0.8-0.893.4mL
0.7-0.793mL
0.6-0.692.6mL
0.5-0.592.2mL
0.4-0.491.8mL
96時間2.5mL/時間1.5-1.598.4mL
1.4-1.497.9mL
1.3-1.397.3mL
1.2-1.296.8mL
1.1-1.196.2mL
1-1.095.7mL
0.9-0.995.1mL
0.8-0.894.6mL
0.7-0.794mL
0.6-0.693.4mL
0.5-0.592.9mL
0.4-0.492.3mL
14.1.8 本剤を注射用水で溶解後、すぐに使用しない場合は、溶液を冷蔵保存(2〜8℃、遮光)し、凍結させないこと。冷蔵保存する場合は24時間を超えないこと。
14.1.9 輸液バッグ中で調製後、室温では投与時間も含めて4日間を超えないこと。すぐに投与開始しない場合は、溶液を冷蔵保存(2〜8℃、遮光)すること。冷蔵保存する場合は10日間を超えないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 過量投与等の原因となるため、輸液バッグ交換時や投与終了時に投与ラインや静脈カテーテルをフラッシュしないこと。
14.2.2 輸液バッグから空気を抜き、無菌のインラインフィルター(0.2μm)を接続した輸液ポンプを用いて、表1、表2に示す注入速度に従い、流速を適切に管理可能な輸液ポンプを用いて持続点滴静注する。調製した溶液のみで輸液チューブをプライミングすること(生理食塩液ではプライミングしないこと)。
14.2.3 マルチルーメン静脈カテーテルを用いる際には、本剤専用のルーメンから投与すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
(1)成人(18歳以上)
再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブ1日9μgを7日間、その後1日28μgを21日間持続点滴静注し、14日間休薬(1サイクル目)した後、2サイクル目以降は1日28μgを28日間持続点滴静注したとき注1)の血清中ブリナツモマブの濃度時間推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。1)
注1)本剤の承認用法・用量は、45kg以上の患者には1日9μgを7日間、その後1日28μgを21日間持続点滴静注する。45kg未満の患者には1日5μg/m2(体表面積)を7日間、その後1日15μg/m2(体表面積)を21日間持続点滴静注する。
図1 成人(18歳以上)の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブを固定用量にて持続点滴静注したときの血清中ブリナツモマブ濃度推移(平均値±標準偏差)
表1 成人(18歳以上)の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブを固定用量にて持続点滴静注したときの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
投与量サイクルnCss注1)(pg/mL)t1/2(h)CL(L/h)Vz(L)
1日9μg123191±90.82.44±1.19
1日28μg125948±4882.38±1.36注2)1.62±0.9256.02±6.09注2)
2211,150±5751.34±0.915
(2)小児(18歳未満)
再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブ1日5μg/m2(体表面積)を7日間、その後1日15μg/m2(体表面積)を21日間持続点滴静注し、14日間休薬(1サイクル目)した後、2サイクル目以降は1日15μg/m2(体表面積)を28日間持続点滴静注したとき注4)の血清中ブリナツモマブの濃度時間推移を図2に、薬物動態パラメータを表2に示す。1)
図2 小児(18歳未満)の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブを体表面積補正用量にて持続点滴静注したときの血清中ブリナツモマブ濃度推移(平均値±標準偏差)
表2 小児(18歳未満)の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブを体表面積補正用量にて持続点滴静注したときの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
投与量サイクルnCss注1)(pg/mL)t1/2(h)CL(L/h/m2Vz(L/m2
1日5μg/m217113±65.02.29±1.02
1日15μg/m217361±1371.92±1.12注2)2.02±1.025.05±3.35注2)
26427±66.01.49±0.218
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
成人及び小児の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者並びに成人の非ホジキンリンパ腫患者(正常腎機能患者[(クレアチニンクリアランス<CrCL>90mL/min以上]:531例、軽度腎機能障害患者[CrCL60〜89mL/min]:143例、中等度腎機能障害患者[CrCL30〜59mL/min]:47例)注2)にブリナツモマブを持続点滴静注したときのCLの平均値の差は、中等度腎機能障害患者と正常腎機能患者との間で2倍未満であった。CLの個体間変動は大きく(CV%:最大値93.5%)、軽度及び中等度腎機能障害患者におけるCLは正常腎機能患者の範囲内であった。2)(外国人データを含む)
注2)本剤の承認用法・用量とは異なる用法・用量で投与された臨床試験のデータも含む。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第Ib/II相試験(20130265試験)
再発又は難治性注1)のB細胞性急性リンパ性白血病患者35例(第Ib相パート14例(成人(18歳以上)注2)5例、小児(18歳未満)注3)9例)、第II相パート:成人(18歳以上)注2)21例)に、本剤を投与した注4)。第II相パートにおいて、最初の2サイクル以内にCR又はCRh注5)が得られた患者の割合は38.1%(8/21例(CR5例、CRh3例)、95%信頼区間:18.1%〜61.6%)であった。また、第Ib相パートの小児の患者において、寛解注6)が得られた患者の割合は55.6%(5/9例、95%信頼区間:21.2%〜86.3%)であった3)
成人においては、本剤を投与された26例中26例(100%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群12例(46.2%)、発熱12例(46.2%)、好中球減少10例(38.5%)、血小板減少9例(34.6%)等であった。小児においては、本剤を投与された9例中8例(88.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、肝酵素上昇6例(66.7%)、発熱6例(66.7%)、サイトカイン放出症候群5例(55.6%)、腹痛4例(44.4%)等であった。
注1)以下のいずれかに該当する患者
成人
−一次治療後に再発又は難治性と判断され、初回寛解期間が12カ月以下の患者
−初回救援療法後に再発又は難治性と判断された患者
−同種造血幹細胞移植実施後12カ月以内に再発又は難治性と判断された患者
小児
−2回目以降の骨髄再発である患者
−同種造血幹細胞移植実施後に骨髄再発した患者
−他の治療に難治性と判断された患者
・初回再発患者
十分な治療強度を有する標準再寛解導入化学療法で寛解に達しなかった患者
・初回寛解に達しなかった患者
十分な治療強度を有する標準寛解導入化学療法で寛解に達しなかった患者
注2)フィラデルフィア染色体陰性の患者。
注3)フィラデルフィア染色体の有無を問わない。
注4)28日間の持続点滴静注と14日間の休薬を1サイクルとし、[1]18歳以上の患者又は[2]18歳未満の患者に対し、1サイクル目の最初の7日間は1日[1]9μg又は[2]5μg/m2(体表面積)、以降は[1]28μg又は[2]15μg/m2(体表面積)を持続静脈内投与し、最大5サイクルまで投与した。
注5)骨髄芽球率が5%以下かつ末梢循環血中に白血病細胞が認められない状態で、造血の回復について、末梢血の血小板数100,000/μL超かつ好中球絶対数1,000/μL超(CR)又は末梢血の血小板数50,000/μL超かつ好中球絶対数500/μL超(CRh)の場合。
注6)骨髄芽球率が5%以下かつ末梢循環血中に白血病細胞が認められない状態で、造血の回復(末梢血の血小板数及び好中球絶対数)は問わない。
17.1.2 海外第III相試験(00103311試験)
成人(18歳以上)の再発又は難治性注7)のフィラデルフィア染色体陰性B細胞性急性リンパ性白血病患者405例(標準化学療法群:134例、本剤群:271例)に対して、標準化学療法注8)と本剤注9)を比較した。主要評価項目である全生存期間の結果(中央値(95%信頼区間))は、標準化学療法群で4.0カ月(2.9〜5.3カ月)、本剤群で7.7カ月(5.6〜9.6カ月)であり、標準化学療法群に対して本剤群で有意な延長を示した(ハザード比0.71(95%信頼区間:0.55〜0.93)、P=0.012(層別ログランク検定))4)5)
本剤を投与された267例中214例に(80.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、発熱104例(39.0%)、好中球減少39例(14.6%)、サイトカイン放出症候群36例(13.5%)、発熱性好中球減少症29例(10.9%)、頭痛27例(10.1%)、肝酵素上昇27例(10.1%)、血小板減少27例(10.1%)等であった。
図1 全生存期間のKaplan-Meier曲線(海外臨床試験)
注7)以下のいずれかに該当する患者
−初回寛解導入療法又は救援療法に難治性と判断された患者
−初回寛解期間12カ月以内に再発し、未治療であった患者
−2回以上再発し、未治療であった患者
−同種造血幹細胞移植実施後に再発した患者
注8)下記のレジメンのうちいずれかを施行した
FLAG(フルダラビン、シタラビン(Ara-C)及び顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤の併用投与)を含む化学療法、大量Ara-C療法を含む化学療法、大量メトトレキサート療法を含む化学療法、クロファラビン単独投与又はクロファラビンを含む化学療法
注9)寛解導入療法期及び地固め療法期は28日間の持続点滴静注と14日間の休薬を1サイクルとし、維持療法期は28日間の持続点滴静注と56日間の休薬を1サイクルとした。寛解導入療法期の1サイクル目の最初の7日間は1日9μg、以降は28μgを持続静脈内投与し、寛解導入療法期として2サイクル、地固め療法期として最大3サイクル、維持療法期として最大12カ月間まで投与した。
17.1.3 海外第I/II相試験(MT103-205試験)
小児(18歳未満)の再発又は難治性注10)のB細胞性急性リンパ性白血病患者注3)93例に本剤を投与した。第II相パートで本剤を投与注4)された44例における、最初の2サイクル以内に寛解注11)が得られた患者の割合は31.8%(14/44例、95%信頼区間:18.6%〜47.6%)であった6)7)
本剤を投与された93例中80例(86.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、発熱61例(65.6%)、貧血18例(19.4%)、サイトカイン放出症候群15例(16.1%)、肝酵素上昇15例(16.1%)、血小板減少15例(16.1%)、白血球減少14例(15.1%)、好中球減少14例(15.1%)、頭痛11例(11.8%)等であった。
注10)以下のいずれかに該当する患者
−2回目以降の骨髄再発である患者
−同種造血幹細胞移植実施後に骨髄再発した患者
−他の治療に難治性と判断された患者
・初回再発患者
4週間以上にわたる十分な治療強度を有する標準再寛解導入化学療法で寛解に達しなかった患者
・初回寛解に達しなかった患者
十分な治療強度を有する標準寛解導入化学療法で寛解に達しなかった患者
注11)骨髄芽球率が5%未満かつ末梢循環血中に白血病細胞が認められない状態で、造血の回復(末梢血の血小板数及び好中球絶対数)は問わない。
17.1.4 海外第II相試験(20120216試験)
成人(18歳以上)の再発又は難治性注12)のフィラデルフィア染色体陽性B細胞性急性リンパ性白血病患者45例に本剤を投与した注4)。最初の2サイクル以内にCR又はCRh注5)が得られた患者の割合は35.6%(16/45例(CR14例、CRh2例)、95%信頼区間:21.9%〜51.2%)であった8)9)
本剤を投与された45例中41例(91.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、発熱21例(46.7%)、発熱性好中球減少症11例(24.4%)、貧血6例(13.3%)、頭痛5例(11.1%)、肝酵素上昇5例(11.1%)等であった。
注12)以下のいずれかに該当する患者
−第2世代以降のチロシンキナーゼ阻害剤(ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ)1剤以上による治療後に再発又は難治性と判断された患者
−第2世代以降のチロシンキナーゼ阻害剤(ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ)に忍容性がなく、かつ、イマチニブメシル酸塩に忍容性がない又は難治性と判断された患者

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ブリナツモマブは、CD3及びCD19に対する2種のマウスモノクローナル抗体の可変領域を、リンカーを介して結合させた遺伝子組換えタンパクである。ブリナツモマブは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3とB細胞性腫瘍の細胞膜上に発現するCD19に結合し、架橋することによりT細胞を活性化し、CD19陽性の腫瘍細胞を傷害すると考えられる。
18.2 抗腫瘍効果
ブリナツモマブは、ヒト末梢血単核球(PBMC)の存在下において、ヒトB細胞性急性リンパ性白血病由来NALM-6、KOPN-8、SEM細胞株等に対して増殖抑制作用を示した。10)11)in vitro試験)
ブリナツモマブは、NALM-6及びSEM細胞株をヒトPBMCとともに皮下移植した非肥満型糖尿病/重度複合型免疫不全(NOD/SCID)マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。また、ブリナツモマブは、NALM-6細胞株をヒトPBMCとともに静脈内移植したNOD/SCIDマウスにおいて、生存期間の延長を示した。12)13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ブリナツモマブ(遺伝子組換え)

一般的名称 ブリナツモマブ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Blinatumomab(Genetical Recombination)
分子量 約54,000
理化学知見その他 ブリナツモマブは、遺伝子組換え一本鎖抗体(scFv−scFv)であり、1−111番目はマウス抗ヒトCD19モノクローナル抗体のL鎖の可変領域、127−250番目はマウス抗ヒトCD19モノクローナル抗体のH鎖の可変領域、256−374番目はマウス抗ヒトCD3モノクローナル抗体のH鎖の可変領域、393−498番目はマウス抗ヒトCD3モノクローナル抗体のL鎖の可変領域からなる。ブリナツモマブは、504個のアミノ酸残基からなるタンパク質である。(分子量:約54,000)
KEGG DRUG D09325

20. 取扱い上の注意

本剤は外箱に入れた状態で保存すること。外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

1バイアル(輸液安定化液10mL 1バイアル添付)

23. 主要文献

  1. 社内資料:日本人患者における薬物動態(2018年9月21日承認、CTD 2.7.2.3)
  2. 社内資料:腎機能障害患者における薬物動態(2018年9月21日承認、CTD 2.7.2.3)
  3. 社内資料:20130265試験 日本人第Ib/II相試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.6.11)
  4. 社内資料:00103311試験 海外第III相試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.6.1)
  5. Kantarjian H,et al., N Engl J Med., 376, 836-847, (2017) »PubMed »DOI
  6. 社内資料:MT103-205試験 海外第I/II相試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.6.5)
  7. von Stackelberg A,et al., J Clin Oncol., 34, 4381-4389, (2016) »PubMed »DOI
  8. 社内資料:20120216試験 海外第II相試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.6.4)
  9. Martinelli G,et al., J Clin Oncol., 35, 1795-1802, (2017) »PubMed »DOI
  10. Dreier T,et al., Int J Cancer., 100, 690-697, (2002) »PubMed »DOI
  11. 社内資料:103-PCD-0076試験 白血病由来細胞株を用いたin vitroでの検討(2018年9月21日承認、CTD 2.6.2.3)
  12. 社内資料:103-PCD-0099試験 腫瘍細胞株移植モデルを用いた検討(2018年9月21日承認、CTD 2.6.2.3)
  13. Dreier T,et al., J Immunol., 170, 4397-4402, (2003) »PubMed »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アムジェン株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒107-6239 東京都港区赤坂九丁目7番1号
電話:0120-790-549
アステラス製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒103-8411 東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号
電話:フリーダイヤル 0120-189-371
製品情報問い合わせ先
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〒107-6239 東京都港区赤坂九丁目7番1号
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〒103-8411 東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号
電話:フリーダイヤル 0120-189-371

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
アムジェン株式会社
東京都港区赤坂九丁目7番1号
26.2 発売
アステラス製薬株式会社
東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/01/22 版