本剤を添付溶解液0.6mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射する。
7.1 接種後の免疫の賦与
本剤接種後の黄熱に対する免疫は接種10〜14日目以後に賦与される。[
17.1.2参照]
7.2 他の生ワクチン(注射剤)との接種間隔
他の生ワクチン(注射剤)の接種を受けた者は、通常、27日以上間隔を置いて本剤を接種すること。[
10.2参照]
7.3 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。[
14.2.1参照]
7.4 輸血及びガンマグロブリン製剤との接種間隔等
輸血及びガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は3〜6箇月以上間隔を置いて本剤を接種すること。また、本剤接種後14日以内に輸血及びガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は、3箇月以上経過した後に本剤を再接種すること。[
10.2参照]
8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。また、予防接種歴、本剤又は他のワクチンに対する過敏症及び副反応の既往歴を調べること。
8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
8.4 本剤は安定剤としてゼラチンを含有する。ゼラチン含有製剤の投与(接種)により、ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、喉頭浮腫等)等があらわれたとの報告があるので、問診を十分に行い、接種後は観察を十分に行うこと。[
11.1.1参照]
8.5 本剤はSPF鶏卵及び感染性物質に汚染されていない原材料を用い無菌下で製造され、製造工程において発育鶏卵を用いた外来性ウイルス否定試験は実施されているが、ヒト由来及びニワトリ由来培養細胞を用いた外来性ウイルス否定試験並びにマイコプラズマ否定試験は実施されていない。
現在までに本剤の投与により外来性ウイルスが伝播したとの報告はないが、本剤の接種に際しては被接種者又はその保護者へ十分な説明を行い、必要性を十分に検討の上、接種すること。
11.1 重大な副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
蕁麻疹、喘息様症状、呼吸困難、血管浮腫等があらわれることがある。[
8.4参照]
11.1.2 脳脊髄膜炎、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、けいれん、球麻痺等の神経系障害(Neurotropic disease)(いずれも0.1%未満
1))[
2.1、
9.7参照]
11.1.3 熱性多臓器不全(Viscerotropic disease)(0.1%未満
1))
接種2〜5日目に疲労、筋肉痛、頭痛を伴う発熱があらわれ、呼吸不全、肝機能障害、リンパ球減少、血小板減少、高ビリルビン血症、腎不全等の急速な進行を特徴とする多臓器不全を発現し、重大な転帰をたどることがある
1)5)。[
2.6参照]
11.2 その他の副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
過敏症 | 発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒感、喘息様症状等 |
全身症状注) | 頭痛、発熱、筋肉痛、背部痛、関節痛、倦怠感等 |
消化器症状 | 下痢、悪心、嘔吐、腹部不快感等 |
局所症状 (接種部位) | 発赤、紅斑、そう痒、浮腫、腫脹、疼痛、硬結、水疱等 |
14.1 薬剤調製時の注意
本剤の溶解にあたっては、容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、添付溶解液0.6mLを注射筒で吸引し、ワクチンの入ったバイアルにゆっくり注入する。次いで1〜2分間静置後、静かに振り混ぜて均一の懸濁液を得る。懸濁液に気泡が生じるおそれがあるので激しく振り混ぜないこと。得られた均一の懸濁液0.5mL(1人量)を接種用の注射筒に吸引する。この操作にあたっては雑菌が迷入しないように注意すること。なお、溶解したワクチンは希釈しないこと。
14.2 薬剤接種時の注意
14.2.1 接種時
(1)接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
(2)ゴム栓への針刺は、ゴム栓面に垂直にゆっくり行うこと。斜めに刺すとゴム片がワクチンに混入するおそれがある。また、栓を取り外し、あるいは内容物を他の容器に移して使用しないこと。
(3)接種の際、注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(4)本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。[
7.3参照]
(5)本剤は一度溶解したものは60分以内に使用すること、また溶解後は再凍結させないこと。60分を経過した未使用のワクチン及び容器は適切に廃棄すること。
14.2.2 接種部位
接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
本剤は、日本における評価を受けた臨床成績がないため、有効性及び安全性については米国の添付文書における記載を参考とした。
17.1.1 有効性
2001年に米国の9施設で実施された二重盲検比較試験において、本剤は18歳以上の725例に接種され、このうち312例を血清学的に評価したところ、99.3%において抗体獲得が認められた
6)。
17.1.2 免疫の賦与
接種後の免疫の賦与に関しては、米国での報告では17D-204ワクチン臨床試験2試験において、被験者の90%が接種後10日以内に、100%が14日以内に抗体が獲得されている
7)8)。また、日本での報告では接種後の抗体獲得率(抗YFV中和抗体)は7日目では0%、10日目では32%、14日目及び29日目では100%であった
9)。免疫機能正常者において初回接種で免疫応答が得られなかったケースで、再接種により応答が示されたとの報告がある
10)。[
7.1参照]
17.1.3 安全性
2001年に米国の9施設で実施された二重盲検比較試験(18歳以上725例対象)での安全性成績では、副反応発現率は71.9%であった。重篤例はなかった。最も多かった副反応は軽度から中等度の局所反応であったが、4例(0.6%)は重度局所反応と判定された。局所反応以外では発疹が3.2%、蕁麻疹が0.3%の発現率であった。また、軽度の頭痛、筋肉痛、倦怠感、喘息様症状等の全身反応が接種後数日間に10〜30%に認められた
6)。
本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。
26.1 製造販売元
サノフィ株式会社
〒163-1488
東京都新宿区西新宿三丁目20番2号