医療用医薬品 : ロズリートレク

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医薬品情報


総称名 ロズリートレク
一般名 エヌトレクチニブ
欧文一般名 Entrectinib
製剤名 エヌトレクチニブカプセル
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤
チロシンキナーゼ阻害剤
薬効分類番号 4291
ATCコード L01EX14
KEGG DRUG
D10926 エヌトレクチニブ
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2022年8月 改訂(第8版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ロズリートレクカプセル100mg ROZLYTREK Capsules 中外製薬 4291061M1025 5310.8円/カプセル 劇薬, 処方箋医薬品注)
ロズリートレクカプセル200mg ROZLYTREK Capsules 中外製薬 4291061M2021 10073円/カプセル 劇薬, 処方箋医薬品注)

1. 警告

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌
ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

5. 効能または効果に関連する注意

NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌>
5.1 本剤の手術の補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.2 臨床試験に組み入れられた患者の癌腫等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。
5.3 十分な経験を有する病理医又は検査施設により、NTRK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html
5.4 本剤を小児患者に投与する際には、臨床試験に組み入れられた患者の年齢について、「9.7 小児等」及び「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。
ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
5.5 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.6 十分な経験を有する病理医又は検査施設により、ROS1融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html

6. 用法及び用量

NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌>
通常、成人にはエヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
通常、小児にはエヌトレクチニブとして1日1回300mg/m2(体表面積)を経口投与する。ただし、600mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する。
小児患者の用量(300mg/m2 1日1回経口投与)
体表面積(m2投与量(1日1回)
0.43〜0.50100mg
0.51〜0.80200mg
0.81〜1.10300mg
1.11〜1.50400mg
≧1.51600mg
ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
通常、成人にはエヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を考慮して休薬・減量・中止すること。
・成人患者の場合 減量・中止する場合の投与量
減量レベル投与量
通常投与量600mg/日
一次減量400mg/日
二次減量200mg/日
中止200mg/日で忍容性が得られない場合、投与中止する。
・小児患者の場合 減量・中止する場合の投与量(NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌の場合)
体表面積(m2減量レベル投与量
0.43〜0.50通常投与量100mg/日
一次減量100mg/日を週5日投与
二次減量100mg/日を週3日投与
中止100mg/日を週3日投与で忍容性が得られない場合、投与中止する。
0.51〜0.80通常投与量200mg/日
一次減量200mg/日を週5日投与
二次減量100mg/日を週5日投与
中止100mg/日を週5日投与で忍容性が得られない場合、投与中止する。
0.81〜1.10通常投与量300mg/日
一次減量200mg/日
二次減量100mg/日
中止100mg/日で忍容性が得られない場合、投与中止する。
1.11〜1.50通常投与量400mg/日
一次減量300mg/日
二次減量200mg/日を週5日投与
中止200mg/日を週5日投与で忍容性が得られない場合、投与中止する。
≧1.51通常投与量600mg/日
一次減量400mg/日
二次減量200mg/日
中止200mg/日で忍容性が得られない場合、投与中止する。
・副作用に対する休薬、減量及び中止基準
副作用Grade注)処置
成人患者の場合小児患者の場合
心臓障害(QT間隔延長を除く)全GradeGrade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。
QT間隔延長Grade2の場合Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後、同一用量で投与再開する。
Grade3の場合Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。
・7日以内に回復した場合、1用量レベル減量して投与再開する。
・7日以内に回復しなかった場合、投与中止する。
Grade4の場合投与中止する。
認知障害、運動失調Grade2以上の場合・初発の場合、Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。
・再発した場合、さらに1用量レベル減量又は投与中止する。
失神全Grade・初発の場合、ベースラインに回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。
・再発した場合、さらに1用量レベル減量又は投与中止する。
貧血又は好中球減少Grade3の場合Grade2以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量又は同一用量で投与再開する。
Grade4の場合Grade2以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。
間質性肺疾患Grade1又は2の場合・初発の場合、ベースラインに回復するまで休薬し、回復後、同一用量で投与再開する。
・再発した場合、投与中止する。
Grade3又は4の場合投与中止する。
その他の非血液学的毒性Grade3又は4の場合Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。

8. 重要な基本的注意

8.1 心臓障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は適宜心機能(心電図、心エコー等)、CK等の検査を行うなど、患者の状態を十分に確認すること。[11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者
エヌトレクチニブは主に肝臓で代謝されて排泄されるため、肝機能障害はエヌトレクチニブ及びその主活性代謝物M5の血漿中濃度を上昇させる可能性がある。なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠可能な女性患者には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性患者には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[15.2.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた試験において、外表及び骨格異常等が報告されている。[9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。乳汁移行に関するデータはないが、主活性代謝物であるM5はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
9.7 小児等
NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌>
小児等に製造販売用製剤である本剤を投与した臨床試験は実施していない。また、4歳未満の患者に対する本剤の用法及び用量について、十分な検討は行われていない。
ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

相互作用序文
エヌトレクチニブは、主にCYP3A4によって代謝される。また、エヌトレクチニブはCYP3Aの阻害作用を示す。[16.4参照]
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
薬物代謝酵素用語
CYP3A
10.2 併用注意
CYP3A阻害剤
イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ジルチアゼム等
グレープフルーツジュース
16.416.7.1参照]
副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。
やむを得ず併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
CYP3A阻害剤との併用により、エヌトレクチニブの代謝が阻害され、血漿中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A誘導剤
リファンピシン、フェニトイン、モダフィニル等
16.416.7.2参照]
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。CYP3A誘導剤との併用により、エヌトレクチニブの代謝が亢進し、血漿中濃度が低下する可能性がある。
CYP3Aの基質となる薬剤
ミダゾラム、シンバスタチン、リバーロキサバン等
16.7.3参照]
副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。CYP3Aの基質となる薬剤との併用により、併用薬の代謝が阻害され、併用薬の血漿中濃度が上昇する可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心臓障害(3.0%)
心不全、心室性期外収縮、心筋炎等の心臓障害があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 QT間隔延長(1.2%)
11.1.3 認知障害、運動失調(27.4%)
認知障害、錯乱状態、精神状態変化、記憶障害、幻覚、運動失調、構語障害等があらわれることがある。
11.1.4 間質性肺疾患(1.2%)
注)発現頻度は国際共同第II相試験(STARTRK-2試験)のNTRK融合遺伝子陽性の固形癌患者及びROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者の結果より算出した。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 15%以上5%以上〜15%未満5%未満頻度不明
精神神経系味覚異常(42.3%)、めまい(32.1%)、錯感覚末梢性ニューロパチー、感覚鈍麻、知覚過敏頭痛、不眠症、失神、傾眠 
消化器便秘(33.3%)、下痢(27.4%)悪心、嘔吐、嚥下障害、口内乾燥胃食道逆流性疾患、食欲減退、腹痛、放屁、口内炎、消化不良、食欲亢進、腹部膨満 
泌尿器血中クレアチニン増加 尿失禁、尿路感染 
肝臓 AST増加、ALT増加Al-P増加、血中乳酸脱水素酵素増加 
血液 貧血、好中球減少、白血球減少リンパ球減少、血小板減少 
循環器 低血圧  
皮膚 発疹、皮膚乾燥そう痒症、皮膚疼痛、光線過敏性反応 
筋骨格系 関節痛、筋肉痛、筋力低下筋痙縮、筋骨格痛骨折
呼吸器  呼吸困難、胸水、咳嗽肺感染
 霧視羞明 
代謝 高尿酸血症高ナトリウム血症 
内分泌系  甲状腺機能低下症 
その他疲労(27.4%)、浮腫(26.2%)、体重増加(25.0%) 腫脹、発熱、倦怠感、脱水、体重減少、疼痛 
注)発現頻度は国際共同第II相試験(STARTRK-2試験)のNTRK融合遺伝子陽性の固形癌患者及びROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者の結果より算出した。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 幼若ラットにおいて、臨床曝露量未満に相当する用量で中枢神経毒性及び成長発達遅延(体重増加量の減少、大腿骨長の減少、性成熟遅延及び神経行動学的検査における反応時間の延長等)が報告されている1)
15.2.2 ラットを用いた小核試験において臨床曝露量の約3.7倍に相当する用量で陰性であったが、in vitro染色体異常試験において臨床曝露量の約8.6倍に相当する濃度で異数性誘発が報告されている2)。[9.4.2参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人男性に本剤600mgを空腹時に単回経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す3)
日本人健康成人男性に本剤600mgを空腹時に単回経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差,n=12)
日本人健康成人男性に本剤600mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中エヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の薬物動態パラメータ注1)
 Tmax(h)Cmax(nmol/L)t1/2(h)AUCinf(nmol/L・h)
エヌトレクチニブ(n=12)3.00(2.00-5.00)2170(39.6)18.3(19.6)40800(47.2)
M5(n=12)3.50(3.00-5.00)430(48.4)40.6(20.5)12600(47.0)
注1)Tmaxは中央値(範囲)で示し、その他のパラメータは幾何平均値(%幾何変動係数)で示した。
16.1.2 反復投与
NTRK1/2/3ROS1又はALK融合遺伝子陽性の固形癌成人患者を対象とした第I相試験(STARTRK-1)において、癌患者に本剤600mgを1日1回14日間反復経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す4)(外国人データ)。投与1日目及び14日目のCmax及びAUC0-24から算出したエヌトレクチニブの蓄積率の幾何平均値(%幾何変動係数)はそれぞれ1.35(47.0%)及び1.55(49.1%)、M5の蓄積率はそれぞれ2.08(81.7%)及び2.84(93.1%)であり、中程度〜高度のばらつきを示した。
癌患者に本剤600mgを1日1回14日間反復経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
投与1日目(n=18)
投与14日目(n=15)
癌患者に本剤600mgを1日1回14日間反復経口投与したときの血漿中エヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の薬物動態パラメータ注1)
  Tmax(h)Cmax(nmol/L)AUC0-24(nmol/L・h)
投与1日目エヌトレクチニブ(n=18)4.00(2.00-8.00)2250(57.5)31800注2)(47.7)
M5(n=18)4.00(2.00-24.0)622(79.2)10200注2)(81.5)
投与14日目エヌトレクチニブ(n=12)4.00(2.00-6.00)3130(80.3)48000注3)(76.5)
M5(n=12)4.00(0.580-24.0)1250(89.6)24000注3)(97.4)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性45例に本剤600mgを食後(高脂肪、高カロリー食)に単回経口投与したとき、空腹時投与に対するエヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(食後投与/空腹時投与)[90%CI]は、それぞれ1.06[0.989、1.15]及び1.15[1.07、1.24]であった5)(外国人データ)。
16.3 分布
エヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿蛋白結合率はいずれも99%以上であり、蛋白結合率に対する薬物濃度の影響は認められなかった6)in vitro)。
健康成人男性6例に14C-エヌトレクチニブ600mgを空腹時に単回経口投与したときの分布容積(Vz/F)は、961Lであった7)(外国人データ)。
16.4 代謝
エヌトレクチニブは、肝臓において、主としてCYP3A4によって代謝され、エヌトレクチニブと同程度のキナーゼ阻害活性を示すM5が生成する8)9)in vitro)。[10.参照]
健康成人男性6例に14C-エヌトレクチニブ600mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後24時間までの血漿中に主にエヌトレクチニブの未変化体、N-グルクロン酸抱合体及びM5が検出された(血漿中の総放射能に対する割合はそれぞれ68.6、18.6及び11.5%)7)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性6例に14C-エヌトレクチニブ600mgを単回経口投与したとき、投与後312時間までに糞中へ82.9%、尿中へ3.06%の放射能が排泄された。また、投与後264時間までに糞中へ排泄されたエヌトレクチニブの未変化体及びM5の割合は、投与量に対してそれぞれ35.7%及び22.1%であった7)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 小児
国際共同第II相試験(STARTRK-2試験)、海外第I相試験(STARTRK-1試験)及び海外第I/Ib相試験(STARTRK-NG試験)に組み入れられた4歳以上の患者のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果から、小児患者に本剤300mg/m2を1日1回反復投与したとき、成人患者に本剤600mgを1日1回反復投与したときに対するAUC(エヌトレクチニブ及びM5の和)の比は、0.8〜1.2の範囲内であった。また、上記の母集団薬物動態解析の結果から、小児患者に本剤を体表面積の区分ごとの用量で1日1回反復投与したとき、成人患者に本剤600mgを1日1回反復投与したときに対するAUC(エヌトレクチニブ及びM5の和)の比は、体表面積が0.43〜0.50m2の範囲では0.65〜0.74であった一方、体表面積が0.51〜1.50m2の範囲では0.85〜1.28であった10)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 イトラコナゾール
健康成人男性9例に、本剤100mg注4)をCYP3A阻害剤であるイトラコナゾールと併用投与したとき、エヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ1.73[1.37、2.18]及び6.04[4.54、8.04]であった11)(外国人データ)。[10.2参照]
注4)本剤の承認された用法及び用量(成人)は、エヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与である。
16.7.2 リファンピシン
健康成人男性10例に、本剤600mgをCYP3A誘導剤であるリファンピシンと併用投与したとき、エヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.444[0.353、0.559]及び0.233[0.184、0.295]であった11)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ミダゾラム
固形癌患者10例に、本剤600mgを1日1回反復投与時にCYP3Aの基質であるミダゾラム2mgを単回併用投与したとき、ミダゾラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.786[0.659、0.937]及び1.50[1.29、1.73]であった12)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 その他
健康成人男性10例に、本剤600mgをP-gp基質薬であるジゴキシン0.5mgと単回併用投与したとき、ジゴキシンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ1.28[0.982、1.67]及び1.18[1.06、1.32]であった13)(外国人データ)。
健康成人男性19例に、本剤600mgをプロトンポンプ阻害剤であるランソプラゾールと単回併用投与したとき、エヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.765[0.676、0.866]及び0.745[0.647、0.859]であった14)(外国人データ)。
エヌトレクチニブはP-gpの基質であり、BCRP、OATP1B1及びMATE1を阻害した。また、M5はP-gp及びBCRPの基質であり、MATE1を阻害した15)in vitro)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
17.1.1 国際共同第II相試験(STARTRK-2試験)
18歳以上のNTRKROS1又はALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者を対象とした国際共同第II相試験において、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者51例(うち日本人1例)に本剤1日1回600mgを経口投与した結果、RECIST ver.1.1に基づく独立評価判定による奏効率は56.9%(95%信頼区間:42.3〜70.7%)であった16)
NTRK融合遺伝子陽性患者の奏効率(癌腫別)
癌腫奏効例数/実施例数奏効率(%)(95%信頼区間)
肉腫6/1346.2(19.22-74.87)
非小細胞肺癌6/966.7(29.93-92.51)
乳癌5/683.3(35.88-99.58)
乳腺相似分泌癌5/683.3(35.88-99.58)
甲状腺癌1/520.0(0.51-71.64)
結腸・直腸癌1/333.3(0.84-90.57)
神経内分泌腫瘍1/333.3(0.84-90.57)
膵癌2/366.7(9.43-99.16)
婦人科癌1/250.0(1.26-98.74)
胆管細胞癌1/1100.0(2.50-100.0)
副作用発現頻度は、90.5%(57/63例)であった。主な副作用は、味覚異常46.0%(29/63例)、疲労38.1%(24/63例)、便秘28.6%(18/63例)、下痢27.0%(17/63例)、浮動性めまい25.4%(16/63例)、末梢性浮腫25.4%(16/63例)、体重増加22.2%(14/63例)であった。
また、同試験において、ROS1阻害剤による前治療歴のないROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者33例に本剤1日1回600mgを経口投与した結果、RECIST ver.1.1に基づく独立評価判定による奏効率は75.8%(95%信頼区間:57.7〜88.9%)であった17)
副作用発現頻度は92.4%(97/105例)であった。主な副作用は味覚異常39.0%(41/105例)、便秘36.2%(38/105例)、浮動性めまい32.4%(34/105例)、下痢27.6%(29/105例)、体重増加26.7%(28/105例)、疲労21.0%(22/105例)であった。
NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌>
17.1.2 海外第I/Ib相試験(STARTRK-NG試験)
22歳未満のNTRKROS1又はALK融合遺伝子陽性等の進行・再発の小児固形癌患者を対象とした海外第I/Ib相試験において、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の小児固形癌患者5例に本剤(製造販売用製剤とは異なる製剤)が投与された16)
年齢癌腫用量注1)(mg/m2最良総合効果注2)
0乳児型線維肉腫400SD
3類表皮性膠芽腫550CR
4高グレード神経膠腫400PR
4悪性黒色腫400PR
4乳児型線維肉腫750PR
副作用発現頻度は、100.0%(5/5例)であった。主な副作用は、白血球数減少100.0%(5/5例)、貧血80.0%(4/5例)、好中球数減少60.0%(3/5例)、体重増加40.0%(2/5例)、傾眠40.0%(2/5例)、食欲亢進40.0%(2/5例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
エヌトレクチニブは、トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)、ROS1等のチロシンキナーゼに対する阻害作用を有する低分子化合物である。エヌトレクチニブは、TRK融合タンパク、ROS1融合タンパク等のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている18)19)20)
18.2 抗腫瘍作用
エヌトレクチニブは、in vitroにおいて、TRK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来CUTO-3細胞株、ヒト結腸・直腸癌由来KM12細胞株、ROS1融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来CUTO-28細胞株等の複数のヒト悪性腫瘍由来細胞株の増殖を抑制した21)。また、エヌトレクチニブは、in vivoにおいて、TRK融合タンパクを発現するCUTO-3及びKM12細胞株、頭頸部癌患者由来CTG-0798腫瘍組織片、肉腫患者由来G002腫瘍組織片、ROS1融合タンパクを発現する非小細胞肺癌患者由来CTG-0848、LU-01-0414腫瘍組織片等をそれぞれ皮下移植したヌードマウス又は重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した22)23)24)25)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. エヌトレクチニブ

一般的名称 エヌトレクチニブ
一般的名称(欧名) Entrectinib
化学名 N-{5-[(3,5-Difluorophenyl)methyl]-1H-indazol-3-yl}-4-(4-methylpiperazin-1-yl)-2-[(oxan-4-yl)amino]benzamide
分子式 C31H34F2N6O2
分子量 560.64
融点 203〜206℃
物理化学的性状 白色〜帯赤白色又は微橙色の粉末又は塊のある粉末である。エタノール(95)にやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、メタノール及び水に極めて溶けにくい。
KEGG DRUG D10926

20. 取扱い上の注意

本剤は吸湿しやすいので、開栓後は湿気を避けて保存すること。

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

<ロズリートレクカプセル100mg>
30カプセル(バラ、乾燥剤入り)
<ロズリートレクカプセル200mg>
90カプセル(バラ、乾燥剤入り)

23. 主要文献

  1. 幼若ラットを用いた13週間試験(4週間回復性試験)(2019年6月18日承認、CTD 2.6.6.7.3)
  2. 遺伝毒性試験(2019年6月18日承認、CTD 2.6.6.4)
  3. 社内資料:日本人(健康成人)における薬物動態
  4. STARTRK-1試験(2019年6月18日承認、CTD 2.7.2.1.1)
  5. RXDX-101-15試験(2019年6月18日承認、CTD 2.7.1.2.2.5)
  6. In vitro蛋白結合(2019年6月18日承認、CTD 2.6.4.4.1)
  7. RXDX-101-05試験(2019年6月18日承認、CTD 2.7.2.2.2.1.3)
  8. 代謝(動物種間の比較)(2019年6月18日承認、CTD 2.6.4.5)
  9. キナーゼ阻害活性(2019年6月18日承認、CTD 2.6.2.2.1)
  10. 社内資料:小児の用法用量
  11. RXDX-101-12試験(2019年6月18日承認、CTD 2.7.2.2.2.2.2)
  12. RXDX-101-14試験(2019年6月18日承認、CTD 2.7.2.2.2.2.4)
  13. RXDX-101-13試験(2019年6月18日承認、CTD 2.7.2.2.2.2.3)
  14. RXDX-101-09試験(2019年6月18日承認、CTD 2.7.2.2.2.2.1)
  15. トランスポーターを介したin vitro輸送(2019年6月18日承認、CTD 2.6.4.7.5)
  16. NTRK融合遺伝子陽性の固形がん(2019年6月18日承認、CTD 2.7.3.1,2.7.3.2,2.7.3.3)
  17. ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌(2020年2月21日承認、CTD 2.7.3.8)
  18. Ardini E,et al., Mol Cancer Ther., 15, 628-39, (2016) »PubMed »J-STAGE
  19. Menichincheri M,et al., J Med Chem., 59, 3392-408, (2016) »PubMed »J-STAGE
  20. Smith KM,et al., Mol Cancer Ther., 17, 455-63, (2018) »PubMed »J-STAGE
  21. In vitroでのヒト腫瘍細胞株における細胞増殖抑制活性(2019年6月18日承認、CTD 2.6.2.2.2.1)
  22. TRK融合蛋白質依存性モデルにおける抗腫瘍効果(2019年6月18日承認、CTD 2.6.2.2.4.1)
  23. ROS1融合蛋白質依存性モデルにおける抗腫瘍効果(2019年6月18日承認、CTD 2.6.2.2.4.2)
  24. Cook PJ,et al., Nat Commun., 8, 15987, (2017) »PubMed »J-STAGE
  25. 頭蓋内移植モデルにおける抗腫瘍効果(2019年6月18日承認、CTD 2.6.2.2.4.3)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
中外製薬株式会社 メディカルインフォメーション部
〒103-8324 東京都中央区日本橋室町2-1-1
電話:0120-189706
FAX:0120-189705
URL:https://www.chugai-pharm.co.jp/
製品情報問い合わせ先
中外製薬株式会社 メディカルインフォメーション部
〒103-8324 東京都中央区日本橋室町2-1-1
電話:0120-189706
FAX:0120-189705
URL:https://www.chugai-pharm.co.jp/

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
中外製薬株式会社
東京都中央区日本橋室町2-1-1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2022/11/24 版