医療用医薬品 : アルファカルシドール

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医薬品情報


総称名 アルファカルシドール
一般名 アルファカルシドール
欧文一般名 Alfacalcidol
製剤名 アルファカルシドール錠
薬効分類名 活性型ビタミンD3製剤
薬効分類番号 3112
ATCコード A11CC03
KEGG DRUG
D01518 アルファカルシドール
KEGG DGROUP
DG03232 骨粗鬆症治療薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年2月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アルファカルシドール錠0.25μg「アメル」 (後発品) Alfacalcidol Tablets「AMEL」 共和薬品工業 3112001F1063 6.1円/錠 劇薬
アルファカルシドール錠0.5μg「アメル」 (後発品) Alfacalcidol Tablets「AMEL」 共和薬品工業 3112001F2060 6.1円/錠 劇薬
アルファカルシドール錠1.0μg「アメル」 (後発品) Alfacalcidol Tablets「AMEL」 共和薬品工業 3112001F3066 6.1円/錠 劇薬

4. 効能または効果

○下記の疾患におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、テタニー、骨痛、骨病変等)の改善
骨粗鬆症

6. 用法及び用量

<効能共通>
本剤は、患者の血清カルシウム濃度の十分な管理のもとに、投与量を調整する。
<慢性腎不全、骨粗鬆症>
通常、成人1日1回アルファカルシドールとして0.5〜1.0μgを経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減する。
<副甲状腺機能低下症、その他のビタミンD代謝異常に伴う疾患>
通常、成人1日1回アルファカルシドールとして1.0〜4.0μgを経口投与する。ただし、疾患、年齢、症状、病型により適宜増減する。
(小児用量)
通常、小児に対しては骨粗鬆症の場合には1日1回アルファカルシドールとして0.01〜0.03μg/kgを、その他の疾患の場合には1日1回アルファカルシドールとして0.05〜0.1μg/kgを経口投与する。ただし、疾患、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 血清カルシウム上昇を伴った急性腎障害があらわれることがあるので、血清カルシウム値及び腎機能を定期的に観察すること。[8.28.310.211.1.1参照]
8.2 過量投与を防ぐため、本剤投与中、血清カルシウム値の定期的測定を行い、血清カルシウム値が正常値を超えないよう投与量を調整すること。[8.18.39.710.211.1.1参照]
8.3 高カルシウム血症を起こした場合には、直ちに休薬する。休薬により血清カルシウム値が正常域に達したら、減量して投薬を再開する。[8.18.210.211.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高リン血症のある患者
リン酸結合剤を併用し、血清リン値を下げること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で大量投与の場合、胎児化骨遅延、性腺への影響がみられ、妊娠率の低下、胎児死亡率の上昇、胎児の発育抑制及び授乳力の低下等が認められている1)2)3)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で授乳による新生児への移行率は、母動物投与量の1/20に相当する4)
9.7 小児等
血清カルシウム値、尿中カルシウム・クレアチニン比値等の観察を十分に行いながら少量から投与を開始し、漸増投与する等、過量投与にならぬよう慎重に投与すること。幼若ラット経口投与における急性毒性は成熟ラットに比べ強くあらわれている。[8.2参照]
9.8 高齢者
用量に注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
マグネシウムを含有する製剤
酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等
高マグネシウム血症があらわれるおそれがある。他のビタミンD誘導体と同様に腸管でのマグネシウムの吸収を促進させると考えられる。
マグネシウムを含有する製剤
酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等
ミルク・アルカリ症候群(高カルシウム血症、高窒素血症、アルカローシス等)があらわれるおそれがある。血中マグネシウムの増加により代謝性アルカローシスが持続するため、尿細管でのカルシウム再吸収が増加する。
ジギタリス製剤
ジゴキシン等
8.18.3参照]
不整脈があらわれるおそれがある。本剤により高カルシウム血症が発症した場合、ジギタリス製剤の作用が増強される。
カルシウム製剤
乳酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム等
8.18.3参照]
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。本剤は腸管でのカルシウムの吸収を促進させる。
ビタミンD及びその誘導体
カルシトリオール等
8.18.3参照]
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。相加作用による。
PTH製剤
テリパラチド等
PTHrP製剤
アバロパラチド酢酸塩
8.18.3参照]
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。相加作用による。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 急性腎障害(頻度不明)
血清カルシウム上昇を伴った急性腎障害があらわれることがある。[8.18.3参照]
11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
消化器食欲不振、悪心・嘔気、下痢、便秘、胃痛嘔吐、腹部膨満感、胃部不快感、消化不良、口内異和感、口渇等
精神神経系 頭痛・頭重、不眠・いらいら感、脱力・倦怠感、めまい、しびれ感、眠気、記憶力・記銘力の減退、耳鳴り、老人性難聴、背部痛、肩こり、下肢のつっぱり感、胸痛等
循環器 軽度の血圧上昇、動悸
肝臓AST、ALTの上昇LDH、γ-GTPの上昇
腎臓BUN、クレアチニンの上昇(腎機能の低下)腎結石
皮膚そう痒感発疹、熱感
結膜充血 
 関節周囲の石灰化(化骨形成)
その他 嗄声、浮腫

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
アルファカルシドール錠0.25μg「アメル」、アルファカルシドール錠0.5μg「アメル」及びアルファカルシドール錠1.0μg「アメル」と各標準製剤について、下記のとおりクロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して、活性代謝物であり、また生体内物質でもある1α,25-(OH)2D3及び生体内物質1α,25-(OH)2D2を合算した1α,25-(OH)2D体の血清中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された5)
(注)本剤の承認用量(成人)は、慢性腎不全、骨粗鬆症の場合、1回0.5〜1.0μgであり、副甲状腺機能低下症、その他のビタミンD代謝異常に伴う疾患の場合、1回1.0〜4.0μgである。
標準製剤試験投与量
アルファカルシドール錠0.25μg「アメル」ワンアルファ錠0.25μgそれぞれ20錠(アルファカルシドールとして5μg)
アルファカルシドール錠0.5μg「アメル」ワンアルファ錠0.5μgそれぞれ10錠(アルファカルシドールとして5μg)
アルファカルシドール錠1.0μg「アメル」ワンアルファ錠1.0μgそれぞれ5錠(アルファカルシドールとして5μg)
薬物動態パラメータ(生物学的同等性)
AUC(0→48)(pg・hr/mL)Cmax(pg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
アルファカルシドール錠0.25μg「アメル」3939.3±172.0129.8±5.39.4±0.547.0±7.0
ワンアルファ錠0.25μg3903.8±184.3134.0±6.28.8±0.555.0±10.3
血清中1α,25-(OH)2D濃度(生物学的同等性)
薬物動態パラメータ(生物学的同等性)
AUC(0→48)(pg・hr/mL)Cmax(pg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
アルファカルシドール錠0.5μg「アメル」4448.8±161.7151.6±6.59.8±0.547.4±6.1
ワンアルファ錠0.5μg4257.5±162.2148.1±6.59.5±0.556.8±10.7
血清中1α,25-(OH)2D濃度(生物学的同等性)
薬物動態パラメータ(生物学的同等性)
AUC(0→48)(pg・hr/mL)Cmax(pg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
アルファカルシドール錠1.0μg「アメル」3951.3±148.8133.3±5.49.4±0.542.7±5.4
ワンアルファ錠1.0μg4256.0±157.1145.3±6.59.3±0.542.9±4.2
血清中1α,25-(OH)2D濃度(生物学的同等性)
血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
ラットに14日間連続投与した実験では、主要臓器への蓄積傾向は認められていない6)
16.4 代謝
本剤は肝臓ですみやかに代謝されて1α,25-(OH)2D3となる7)
16.5 排泄
ラットに0.4μg/kg経口投与した場合、尿糞あわせて48時間以内に約72%が排泄され、7日間でほぼ100%が排泄された8)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内において実施された一般臨床試験の有効率は下記のとおりであった9)10)11)
疾患名\有効率(%)有効以上
骨粗鬆症51.4%(95/185)
なお、アルファカルシドールカプセルにおいて実施された骨粗鬆症、慢性腎不全を対象とした二重盲検試験で有用性が認められた12)13)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
アルファカルシドールは、25-hydroxylaseによって水酸化されて1α,25-(OH)2D3となり7)、腸管からのCa吸収促進作用14)、骨塩溶解作用15)及び骨形成作用16)等一連の生理活性を発現する。
18.2 腸管からのCa吸収ならびに血清Ca上昇作用
ビタミンD欠乏ラット及び腎摘出ラットにアルファカルシドールを投与した実験において、腸管からのCa吸収促進作用、血清Caレベル上昇作用が認められている17)18)
18.3 骨形成促進作用
18.3.1 骨組織培養
9日鶏卵からとりだした胎児の組織培養の研究により、正常な骨形成には1α,25-(OH)2D3が必須であることが証明された19)
18.3.2 腎摘ラット
腎亜全摘により、多数の骨吸収腔と類骨層、低石灰化層が著明に増加したラットに、アルファカルシドールを30日間投与した実験において、骨新生が認められている20)
18.3.3 骨粗鬆症モデルラット(卵巣摘出ラット)
卵巣摘出長期飼育により血中1α,25-(OH)2D3値の低下や海綿骨梁及び石灰沈着率の減少がおこるが、これらの変化はアルファカルシドール0.1μg/kg/日、6ヵ月間投与により改善した21)
18.3.4 骨粗鬆症モデルラット(ハイドロコーチゾン投与ラット)
ハイドロコーチゾン長期間投与により海綿骨梁、骨皮質幅、骨成分の減少がおこるが、これらの変化はアルファカルシドール0.02μg/kg/日〜0.1μg/kg/日、12週間投与により改善した22)
18.3.5 老人性骨粗鬆症(ヒト、電顕的・光顕的観察)
アルファカルシドールカプセル投与前後で腸骨骨生検を実施し、電顕的・光顕的観察を行ったところ、活動性骨芽細胞・骨細胞・石灰化骨小腔の増加等、骨組織学的な改善が認められた23)
18.3.6 Ca摂取量と骨吸収・骨形成作用
ビタミンD欠乏ラットの飼料中のCa含量を変え、アルファカルシドールを投与した実験において、Ca含量が少ない場合には骨吸収があらわれ、Ca含量が十分である場合には骨形成が顕著にあらわれた17)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. アルファカルシドール

一般的名称 アルファカルシドール
一般的名称(欧名) Alfacalcidol
化学名 (5Z,7E)-9,10-Secocholesta-5,7,10(19)-triene-1α,3β-diol
分子式 C27H44O2
分子量 400.64
融点 137〜142℃
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノール、エタノール(99.5)、ジクロロメタン又はクロロホルムに溶けやすく、アセトン又はジエチルエーテルにやや溶けやすく、水又はヘキサンにほとんど溶けない。
空気又は光によって変化する。
KEGG DRUG D01518

20. 取扱い上の注意

アルミピロー開封後は遮光して湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<アルファカルシドール錠0.25μg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
<アルファカルシドール錠0.5μg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
<アルファカルシドール錠1.0μg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]

23. 主要文献

  1. 加藤正夫,他, 基礎と臨床, 12 (1), 32-45, (1978)
  2. 加藤正夫,他, 基礎と臨床, 12 (2), 203-213, (1978)
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  4. 大沼規男,他, 応用薬理, 15 (3), 459-467, (1978)
  5. 社内資料:生物学的同等性試験[錠0.25μg、錠0.5μg、錠1.0μg]
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  7. Fukushima M,et al., Biochem Biophys Res Commun., 66 (2), 632-638, (1975) »PubMed
  8. 大沼規男,他, 応用薬理, 16 (6), 1123-1136, (1978)
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  10. 井上哲郎,他, 新薬と臨牀, 35 (6), 1234-1242, (1986)
  11. 白旗敏克,他, 新薬と臨牀, 35 (6), 1243-1249, (1986)
  12. 上田泰,他, 臨床評価, 7 (1), 137-156, (1979)
  13. 伊丹康人,他, 医学のあゆみ, 123 (10), 958-973, (1982)
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  15. 須田立雄,他, ビタミンD−その新しい流れ−.サイエンティフィク, 96-97, (1982), (講談社)
  16. 須田立雄,他, 蛋白質・核酸・酵, 21 (10), 844, (1976)
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  19. 清木護,他, 組織培養, 8 (3), 79-84, (1982)
  20. Ueno K,et al., Vitamin D Basic Research and its Clinical Application, 901-905, (1979)
  21. 伊沢義弘,他, Prog Med., 2 (7), 1071-1079, (1982)
  22. 伊沢義弘,他, Prog Med., 2 (7), 1080-1088, (1982)
  23. 須田昭男,他, Prog Med., 2 (7), 1098-1104, (1982)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口
〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858
製品情報問い合わせ先
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〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
共和薬品工業株式会社
大阪市北区中之島3-2-4

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版