1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、投与中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、呼吸器疾患に精通した医師と連携して使用すること。投与中は、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、定期的な動脈血酸素飽和度(SpO
2)検査、胸部X線検査及び胸部CT検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[
7.2、
8.1、
9.1.1、
11.1.1参照]
1.3 本剤投与開始前に、胸部CT検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴がないことを確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。[
9.1.1参照]
○化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発
乳癌○ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発
乳癌○化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発
乳癌○がん化学療法後に増悪した
HER2(
ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の
非小細胞肺癌○がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の
胃癌
<化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌>
5.1 トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.2 本剤の術前・術後薬物療法における有効性及び安全性は確立していない。
<ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳癌>
5.3 臨床試験に組み入れられた患者における前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[
17.1.4参照]
5.4 本剤の術前・術後薬物療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.5 HER2低発現及び超低発現の定義について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2低発現又は超低発現が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html
<化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌>
5.6 臨床試験に組み入れられた患者における前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[
17.1.5参照]
5.7 本剤の術前・術後薬物療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.8 HER2低発現の定義について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2低発現が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html
<がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
5.9 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。[
17.1.6参照]
5.10 本剤の一次治療における有効性及び安全性は確立していない。
5.11 本剤の術前・術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.12 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、
HER2(
ERBB2)遺伝子変異が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html
<がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌>
5.13 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。[
17.1.7参照]
5.14 トラスツズマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法による治療歴のない患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.15 本剤の一次治療及び二次治療における有効性及び安全性は確立していない。
5.16 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
<化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳癌、化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌、がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
<がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌>
通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回6.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を考慮して、休薬・減量・中止すること。[
1.2、
8.1-
8.3、
9.1.1-
9.1.3、
11.1.1-
11.1.3参照]
減量・中止する場合の投与量
| 効能又は効果 | 右記以外 | がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌 |
| 通常投与量 | 5.4mg/kg | 6.4mg/kg |
| 一次減量 | 4.4mg/kg | 5.4mg/kg |
| 二次減量 | 3.2mg/kg | 4.4mg/kg |
| 中止 | 3.2mg/kgで忍容性が得られない場合、投与を中止する。 | 4.4mg/kgで忍容性が得られない場合、投与を中止する。 |
副作用に対する休薬、減量及び中止基準
| 副作用 | 程度注) | 処置 |
| 間質性肺疾患 | Grade 1の場合 | 投与を中止し、原則として再開しない。ただし、すべての所見が消失し、かつ治療上の有益性が危険性を大きく上回ると判断された場合のみ、1用量レベル減量して投与再開することもできる。再発した場合は、投与を中止する。 |
| Grade 2〜4の場合 | 投与を中止する。 |
| 左室駆出率(LVEF)低下 | 40%≦LVEF≦45% | ベースラインからの絶対値の低下<10% | 休薬を考慮する。3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認する。 |
| ベースラインからの絶対値の低下≧10%かつ≦20% | 休薬し、3週間以内に再測定を行い、LVEFのベースラインからの絶対値の低下<10%に回復しない場合は、投与を中止する。 |
| LVEF<40%又はベースラインからの絶対値の低下>20% | 休薬し、3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<40%又はベースラインからの絶対値の低下>20%が認められた場合は、投与を中止する。 |
| 症候性うっ血性心不全 | | 投与を中止する。 |
| QT間隔延長 | Grade 3の場合 | Grade 1以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| Grade 4の場合 | 投与を中止する。 |
| Infusion reaction | Grade 1の場合 | 投与速度を50%減速する。 他の症状が出現しない場合は、次回以降は元の速度で投与する。 |
| Grade 2の場合 | Grade 1以下に回復するまで投与を中断する。再開する場合は投与速度を50%減速する。次回以降も減速した速度で投与する。 |
| Grade 3又は4の場合 | 投与を中止する。 |
| 好中球数減少 | Grade 3の場合 | Grade 2以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量又は同一用量で投与再開する。 |
| Grade 4の場合 | Grade 2以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| 発熱性好中球減少症 | | 回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| 貧血 | Grade 3の場合 | Grade 2以下に回復するまで休薬し、回復後、同一用量で投与再開する。 |
| Grade 4の場合 | Grade 2以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| 血小板数減少 | Grade 3の場合 | Grade 1以下に回復するまで休薬する。 7日以内に回復した場合は、同一用量で投与再開する。 7日を過ぎてから回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| Grade 4の場合 | Grade 1以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| 総ビリルビン増加 | Grade 2の場合 | Grade 1以下に回復するまで休薬する。 7日以内に回復した場合は、同一用量で投与再開する。 7日を過ぎてから回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| Grade 3の場合 | Grade 1以下に回復するまで休薬する。 7日以内に回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。 7日を過ぎてから回復した場合は、投与を中止する。 |
| Grade 4の場合 | 投与を中止する。 |
| 下痢又は大腸炎 | Grade 3の場合 | Grade 1以下に回復するまで休薬する。 3日以内に回復した場合は、同一用量で投与再開する。 3日を過ぎてから回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| Grade 4の場合 | 投与を中止する。 |
| 上記以外の副作用 | Grade 3の場合 | Grade 1以下に回復するまで休薬する。 7日以内に回復した場合は、同一用量で投与再開する。 7日を過ぎてから回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。 |
| Grade 4の場合 | 投与を中止する。 |
8.1 間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に動脈血酸素飽和度(SpO
2)検査、胸部X線検査及び胸部CT検査を行うこと。また、必要に応じて、血清マーカー(KL-6等)、動脈血酸素分圧(PaO
2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO
2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。なお、胸部CT検査等の読影については、呼吸器疾患の診断に精通した医師の助言を得ること。また、患者に対して、初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。[
1.2、
7.2、
9.1.1、
11.1.1参照]
8.2 左室駆出率(LVEF)が低下することがあるので、本剤投与開始前に患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開又は中止を判断すること。[
7.2、
9.1.2、
9.1.3参照]
8.3 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[
7.2、
11.1.2参照]
8.4 本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているトラスツズマブ及びトラスツズマブ エムタンシンとの取り違えに注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
9.1.2 左室駆出率(LVEF)が低下している患者
LVEF低下を悪化させるおそれがある。[
7.2、
8.2参照]
9.1.3 次のような心機能の低下するおそれのある患者
心不全等の心障害があらわれるおそれがある。[
7.2、
8.2参照]
・アントラサイクリン系薬剤の投与歴のある患者
・胸部への放射線治療中の患者又はその治療歴のある患者
・うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈のある患者又はその既往歴のある患者
・冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者
・高血圧症の患者又はその既往歴のある患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害患者
本剤を構成するカンプトテシン誘導体の主要消失経路は肝臓を介した胆汁排泄であるため、肝機能障害はカンプトテシン誘導体の血中濃度を上昇させる可能性がある。なお、重度の肝機能障害患者
注)を対象とした臨床試験は実施していない。[
16.4、
16.5参照]
注)NCI-ODWG(National Cancer Institute-Organ Dysfunction Working Group)基準による分類
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[
9.5、
15.2.2参照]
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[
15.2.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。抗HER2抗体であるトラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告がある。また、羊水過少を発現した症例で、胎児・新生児の腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児の肺形成不全等が認められ、死亡に至った例も報告されている。本剤を構成するカンプトテシン誘導体の類薬であるイリノテカンを用いた動物実験(ラット、ウサギ)において、催奇形性が報告されている。[
9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、抗HER2抗体であるトラスツズマブを用いた動物実験(カニクイザル)において、乳汁への移行が報告されている。
9.7 小児等
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺疾患(10.4%)
重篤な間質性肺疾患があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。異常が認められた場合は、本剤の投与を中止し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、必要に応じて胸部CT検査、血清マーカー等の検査を実施するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[
1.2、
7.2、
8.1、
9.1.1参照]
11.1.2 骨髄抑制(56.1%)
好中球数減少(37.2%)、貧血(29.2%)、白血球数減少(23.9%)、血小板数減少(21.8%)、リンパ球数減少(10.1%)、発熱性好中球減少症(0.9%)、汎血球減少症(0.1%)があらわれることがある。[
7.2、
8.3参照]
11.1.3 Infusion reaction(1.4%)
重度のInfusion reactionがあらわれた場合には本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[
7.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 30%以上 | 10〜30%未満 | 10%未満 |
| 皮膚 | 脱毛症(37.5%) | | 発疹、そう痒症、皮膚色素過剰 |
| 精神神経系 | | | 頭痛、浮動性めまい、嗜眠 |
| 消化器 | 悪心(68.9%)、嘔吐(32.8%) | 下痢、便秘、口内炎、腹痛 | 味覚障害、消化不良、腹部膨満、鼓腸、胃炎 |
| 肝臓 | | AST増加、ALT増加 | 血中ビリルビン増加、血中ALP増加、γ-GTP増加、肝機能異常、トランスアミナーゼ上昇、肝機能検査異常 |
| 呼吸器 | | | 呼吸困難、咳嗽、上気道感染、肺炎 |
| 循環器 | | | 駆出率減少、心電図QT延長、心不全 |
| その他 | 疲労(47.8%) | 食欲減退 | 体重減少、筋骨格痛、低カリウム血症、鼻出血、発熱、ドライアイ、末梢性浮腫、霧視、脱水、血中クレアチニン増加 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 日本薬局方注射用水5mLを抜き取り、本剤を溶解してトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)20mg/mLの濃度とした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに日本薬局方5%ブドウ糖注射液100mLに希釈すること。
14.1.2 溶解時は静かにバイアルを回転させ、完全に溶解すること。溶解後やむを得ず保存する場合は、2〜8℃で24時間以内とすること。
14.1.3 希釈後は速やかに使用すること。なお、希釈後やむを得ず保存する場合は、光の影響を受けやすいため遮光し、2〜8℃で24時間以内とすること。
14.1.4 室温での溶解、希釈及び投与は合わせて4時間以内に行うこと。残液は適切に廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 0.2μmのインラインフィルター(ポリエーテルスルホン、ポリスルホン又は正電荷ナイロン製)を通して投与すること。
14.2.2 他剤との混注をしないこと。
14.2.3 本剤と日本薬局方生理食塩液との混合を避け、日本薬局方生理食塩液と同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わないこと。
14.2.4 点滴バッグを遮光すること。
14.2.5 点滴静注に際し、薬液が血管外に漏れると、投与部位における紅斑、圧痛、皮膚刺激、疼痛、腫脹等の事象を起こすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 本剤の動物試験(ラット及びカニクイザル)でそれぞれ臨床曝露量の約3倍及び6倍の曝露に相当する用量で精巣毒性(ラットで精子細胞滞留、カニクイザルで円形精子細胞減少)が認められた
1)。なお、ラットでは臨床曝露量の約16倍の曝露に相当する用量で回復性を伴わない精細管変性・萎縮も認められている
1)。
15.2.2 カンプトテシン誘導体の哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で染色体の構造異常、ラットの骨髄を用いた小核試験で小核誘発性が認められた
2)。[
9.4.1、
9.4.2参照]
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)HER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者48例(日本人を含む)に本剤5.4mg/kgを90分間点滴静注したときのトラスツズマブ デルクステカン及びカンプトテシン誘導体の濃度推移図と薬物動態パラメータは次のとおりであった
3)。
単回投与時のトラスツズマブ デルクステカン及びカンプトテシン誘導体の濃度推移図
単回投与時のトラスツズマブ デルクステカン及びカンプトテシン誘導体の薬物動態パラメータ
| | Cmax(μg/mL) | Tmax(hr) | AUClast(μg・日/mL) | t1/2(日) | CL(mL/日/kg) | Vss(mL/kg) |
トラスツズマブ デルクステカン (N=48) | 126(37.7) | 2.00(1.50〜6.85) | 559(178) | 5.52(1.23) | 10.2(3.95) | 68.3(15.5) |
| | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | AUClast(ng・日/mL) | t1/2(日) | CL(mL/日/kg) | Vss(mL/kg) |
カンプトテシン誘導体 (N=48) | 8.22(6.21) | 5.78(1.93〜75.75) | 35.1(24.3) | 5.58a)(1.29) | − | − |
(2)HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者125例(日本人を含む)に本剤6.4mg/kgを90分間点滴静注したときのトラスツズマブ デルクステカン及びカンプトテシン誘導体の薬物動態パラメータは次のとおりであった
4)。
単回投与時のトラスツズマブ デルクステカン及びカンプトテシン誘導体の薬物動態パラメータ
| | Cmax(μg/mL) | Tmax(hr) | AUClast(μg・日/mL) | t1/2(日) | CL(mL/日/kg) | Vss(mL/kg) |
トラスツズマブ デルクステカン (N=125) | 127(28.4) | 3.93(0.00〜7.15) | 611(150) | 5.77a)(1.37) | 10.4a)(2.91) | 70.6a)(16.5) |
| | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | AUClast(ng・日/mL) | t1/2(日) | CL(mL/日/kg) | Vss(mL/kg) |
カンプトテシン誘導体 (N=125) | 12.1(4.79) | 6.85(3.75〜7.25) | 46.7(16.3) | 5.50b)(1.11) | − | − |
16.1.2 反復投与
(1)日本人のHER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者51例に本剤6.4mg/kg
注)を3週間間隔で点滴静注(3回投与)したときのトラスツズマブ デルクステカン及びカンプトテシン誘導体のAUCの累積係数は1.35及び1.09であった
5)。
(2)HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者125例(日本人を含む)に本剤6.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注(3回投与)したときのトラスツズマブ デルクステカン及びカンプトテシン誘導体のAUCの累積係数は1.39及び1.00であった
4)。
16.3 分布
カンプトテシン誘導体をヒト血漿に10〜100ng/mLの濃度で添加したときのヒト血漿蛋白結合率は超遠心法で96.8%〜98.0%であった
6)(
in vitro)。また、カンプトテシン誘導体の血液/血漿中放射能濃度比は0.59〜0.62であった
7)(
in vitro)。
16.4 代謝
トラスツズマブ デルクステカンは主として細胞内のリソゾームにより異化を受けると推測される。カンプトテシン誘導体の消失には代謝の寄与は少ないと推測されるが、主としてCYP3Aによることが示された
8)(
in vitro)。[
9.3.1参照]
16.5 排泄
カンプトテシン誘導体を
14Cで標識したトラスツズマブ デルクステカンをカニクイザルに単回静脈内投与したとき、放射能は67%が糞中に排泄され、19%が尿中に排泄された
9)。いずれにおいても検出された唯一の異化代謝物はカンプトテシン誘導体であった
10)。
14Cで標識したカンプトテシン誘導体を、胆管カニューレを施したラットに単回静脈内投与したとき、放射能は72%が胆汁に排泄され、22%が尿中に、3%が糞中に排泄された
9)。いずれにおいても検出された主な放射性成分はカンプトテシン誘導体であった
10)。[
9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 その他
HER2陽性の進行固形癌患者26例(日本人を含む)に、本剤5.4mg/kgを[1]イトラコナゾール(CYP3A阻害剤)200mg(1日1回)又は[2]リトナビル(CYP3A及びOATP1B阻害剤)200mg(1日2回)と併用投与したときのトラスツズマブ デルクステカンのCmax及びAUC
17dayの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%信頼区間]は、それぞれ[1]1.03[0.96,1.09]及び1.11[1.07,1.15]、[2]1.05[0.98,1.13]及び1.19[1.14,1.25]であった。同様に、カンプトテシン誘導体のCmax及びAUC
17dayの幾何平均値の比は、それぞれ[1]1.04[0.92,1.18]及び1.18[1.11,1.25]、[2]0.99[0.85,1.14]及び1.22[1.08,1.37]であった。
カンプトテシン誘導体はMATE2-K、P-gp、BCRP及びMRP1の基質であることが示された
11)12)(
in vitro)。
注)化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌において承認された用法及び用量は5.4mg/kg(体重)を3週間間隔投与である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌>
17.1.1 国際共同第II相試験(DESTINY-Breast01)
トラスツズマブ エムタンシンによる治療歴のあるHER2陽性
注1)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、非盲検非対照試験を実施した
13)。被験者184例
注2)(日本人30例を含む)に、本剤5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。独立効果判定機関により標的病変が特定された被験者167例(日本人26例を含む)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく奏効率[95%信頼区間]は64.1[56.3〜71.3]%であった。
本剤が投与された184例(日本人30例を含む)において、副作用が98.9%(182/184例)に認められた。主な副作用は、悪心76.1%(140/184例)、脱毛症46.2%(85/184例)、疲労44.0%(81/184例)、嘔吐42.4%(78/184例)、好中球数減少29.9%(55/184例)、食欲減退28.3%(52/184例)、貧血及び下痢各21.7%(40/184例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は23.3%(7/30例)に認められた。
注1)IHC法3+、又はIHC法2+かつISH法陽性の患者が組み入れられた。
注2)全例がトラスツズマブによる治療歴のある患者であった。
17.1.2 国際共同第III相試験(DESTINY-Breast02)
トラスツズマブ エムタンシンによる治療歴のあるHER2陽性
注3)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、本剤と治験担当医師が選択した治療薬(トラスツズマブとカペシタビン又はラパチニブとカペシタビン)を比較する非盲検無作為化試験を実施した
14)。本剤群では本剤5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者608例(日本人70例を含む。
本剤群406例、医師選択治療群202例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で17.8[14.3〜20.8]ヵ月、医師選択治療群で6.9[5.5〜8.4]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.36[0.28〜0.45]、層別ログランク検定:
P<0.000001、有意水準[両側]=0.05)。また、主要評価項目に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目の一つである全生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(中央値[95%信頼区間]:本剤群39.2[32.7〜推定不能]ヵ月、医師選択治療群26.5[21.0〜推定不能]ヵ月、ハザード比[95%信頼区間]:0.66[0.50〜0.86]、層別ログランク検定:
P=0.0021、有意水準[両側]=0.0040)。
本剤群404例(日本人45例を含む)において、副作用が97.5%(394/404例)に認められた。主な副作用は、悪心68.6%(277/404例)、疲労51.7%(209/404例)、脱毛症35.1%(142/404例)、好中球数減少33.2%(134/404例)、嘔吐32.4%(131/404例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は13.3%(6/45例)に認められた。
注3)IHC法3+、又はIHC法2+かつISH法陽性の患者が組み入れられた。
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
全生存期間のKaplan-Meier曲線
17.1.3 国際共同第III相試験(DESTINY-Breast03)
トラスツズマブ及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴のある
注4)HER2陽性
注5)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、本剤とトラスツズマブ エムタンシンを比較する非盲検無作為化試験を実施した
15)。本剤群では本剤5.4mg/kgを、対照薬群ではトラスツズマブ エムタンシン3.6mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者524例(日本人68例を含む。本剤群261例、対照薬群263例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で推定不能[18.5〜推定不能]ヵ月、対照薬群で6.8[5.6〜8.2]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.28[0.22〜0.37]、層別ログランク検定:
P<0.000001、有意水準[両側]=0.000204)。
本剤群257例(日本人36例を含む)において、副作用が98.1%(252/257例)に認められた。主な副作用は、悪心72.8%(187/257例)、疲労44.7%(115/257例)、嘔吐44.0%(113/257例)、好中球数減少42.8%(110/257例)、脱毛症36.2%(93/257例)、貧血30.4%(78/257例)、白血球数減少30.0%(77/257例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は22.2%(8/36例)に認められた。
注4)次のいずれかの患者を対象とした。
・手術不能又は再発乳癌に対するトラスツズマブ及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による治療後に増悪が認められた患者。
・トラスツズマブ及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む術前又は術後薬物療法終了から6ヵ月以内に疾患進行が認められた患者。
注5)IHC法3+、又はIHC法2+かつISH法陽性の患者が組み入れられた。
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
<ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳癌>
17.1.4 国際共同第III相試験(DESTINY-Breast06)
内分泌療法歴があり化学療法歴のない
注6)ホルモン受容体陽性かつHER2低発現
注7)又は超低発現
注8)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、治験担当医師が選択した治療薬(カペシタビン、パクリタキセル又はパクリタキセル[アルブミン懸濁型])を対照薬とした非盲検無作為化試験を実施した
16)。本剤群では本剤5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。主要評価項目であるHER2低発現集団713例(本剤群359例、医師選択治療群354例)における独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で13.2[11.4〜15.2]ヵ月、医師選択治療群で8.1[7.0〜9.0]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.62[0.52〜0.75]、層別ログランク検定:P<0.0001、有意水準[両側]=0.05)。また、HER2超低発現集団152例(本剤群76例、医師選択治療群76例)における無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤群で13.2[9.8〜17.3]ヵ月、医師選択治療群で8.3[5.8〜15.2]ヵ月であり、医師選択治療群に対する本剤群のハザード比[95%信頼区間]は0.78[0.50〜1.21]であった。
本剤群434例(日本人35例を含む)において、副作用が96.1%(417/434例)に認められた。主な副作用は、悪心65.9%(286/434例)、疲労46.8%(203/434例)、脱毛症45.4%(197/434例)、好中球数減少37.6%(163/434例)、トランスアミナーゼ上昇29.5%(128/434例)、貧血28.1%(122/434例)、嘔吐27.2%(118/434例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は20.0%(7/35例)に認められた。[
5.3、
5.5参照]
注6)以下のいずれかに該当する患者が対象とされた。
・手術不能又は再発乳癌に対して2つ以上の内分泌療法が施行された後に疾患進行が認められた患者(術後内分泌療法開始後24ヵ月以内に疾患進行が認められた場合は、当該術後内分泌療法を内分泌療法歴の1つとみなすこととされた)
・手術不能又は再発乳癌に対して内分泌療法とCDK4/6阻害剤との併用療法による治療開始後6ヵ月以内に疾患進行が認められ、かつ細胞傷害性抗悪性腫瘍剤による治療が適切と判断された患者
注7)IHC法1+、又はIHC法2+かつISH法陰性の患者が組み入れられた。
注8)IHC法0のうち、腫瘍細胞の10%以下にかすかな又はかろうじて認識できる不完全な膜染色が認められる患者が組み入れられた。
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(HER2低発現集団)
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(HER2超低発現集団)
<化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌>
17.1.5 国際共同第III相試験(DESTINY-Breast04)
化学療法歴のある
注9)HER2低発現
注10)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、治験担当医師が選択した治療薬(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル又はパクリタキセル[アルブミン懸濁型])を対照薬とした非盲検無作為化試験を実施した
17)。本剤群では本剤5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者557例(日本人85例を含む。本剤群373例、医師選択治療群184例)のうち、ホルモン受容体陽性集団494例(本剤群331例、医師選択治療群163例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で10.1[9.5〜11.5]ヵ月、医師選択治療群で5.4[4.4〜7.1]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.51[0.40〜0.64]、層別ログランク検定:
P<0.0001、有意水準[両側]=0.05)。また、主要評価項目に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目である全体集団(ホルモン受容体陰性63例を含む)での無増悪生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(中央値[95%信頼区間]:本剤群9.9[9.0〜11.3]ヵ月、医師選択治療群5.1[4.2〜6.8]ヵ月、ハザード比[95%信頼区間]:0.50[0.40〜0.63]、層別ログランク検定:
P<0.0001、有意水準[両側]=0.05)。同様に、ホルモン受容体陽性集団及び全体集団での全生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(ホルモン受容体陽性集団:ハザード比[95%信頼区間]:0.64[0.48〜0.86]、層別ログランク検定:
P=0.0028、有意水準[両側]=0.00748、全体集団:ハザード比[95%信頼区間]:0.64[0.49〜0.84]、層別ログランク検定:
P=0.0010、有意水準[両側]=0.00748)。
本剤群371例(日本人56例を含む)において、副作用が96.2%(357/371例)に認められた。主な副作用は、悪心73.0%(271/371例)、疲労47.7%(177/371例)、脱毛症37.7%(140/371例)、嘔吐34.0%(126/371例)、貧血及び好中球数減少各33.2%(123/371例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は26.8%(15/56例)に認められた。[
5.6、
5.8参照]
注9)手術不能又は再発乳癌に対して、1又は2つの化学療法歴のある患者が対象とされた(術前又は術後薬物療法終了から6ヵ月以内に疾患進行が認められた場合は、当該周術期治療を化学療法歴の1つとみなす)。また、ホルモン受容体陽性患者では上記の基準に加えて、1つ以上の内分泌療法後に疾患進行が認められ、治験担当医師により更なる内分泌療法の有用性が得られないと判断された患者が対象とされた。
注10)IHC法1+、又はIHC法2+かつISH法陰性の患者が組み入れられた。
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(全体集団)
全生存期間のKaplan-Meier曲線(全体集団)
<がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
17.1.6 国際共同第II相試験(DESTINY-Lung02)
白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある
HER2(
ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象として、無作為化試験を実施した
18)。被験者151例(日本人52例を含む)に、本剤5.4mg/kg又は6.4mg/kg
注11)を3週間間隔で点滴静注した。中間解析の結果、本剤5.4mg/kgが投与された52例(日本人23例を含む)
注12)において、主要評価項目である盲検下独立効果判定機関での評価に基づく奏効率[95%信頼区間]は53.8[39.5〜67.8]%であった。
本剤5.4mg/kgが投与された101例(日本人37例を含む)において、副作用が92.1%(93/101例)に認められた。主な副作用は、悪心59.4%(60/101例)、好中球数減少33.7%(34/101例)、貧血及び食欲減退各28.7%(29/101例)、疲労25.7%(26/101例)、便秘24.8%(25/101例)、白血球数減少23.8%(24/101例)、嘔吐22.8%(23/101例)等であった。また、本剤5.4mg/kgが投与された日本人集団において、間質性肺疾患は2.7%(1/37例)に認められた。[
5.9参照]
注11)がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌において承認された用法及び用量は5.4mg/kg(体重)を3週間間隔投与である。
注12)本剤5.4mg/kg群に無作為に割り付けられた患者のうち、データカットオフ日時点で割付から4.5ヵ月以上経過した患者。
<がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌>
17.1.7 国際共同第II相試験(DESTINY-Gastric01)
トラスツズマブ、白金系抗悪性腫瘍剤、及びフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む2レジメン以上の治療で増悪が認められたHER2陽性
注13)の治癒切除不能な進行・再発の胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者を対象として、本剤と治験担当医師が選択した治療(イリノテカン塩酸塩水和物又はパクリタキセル)を比較する非盲検無作為化試験を実施した
4)19)。本剤群では本剤6.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者187例(日本人149例を含む。本剤群125例、医師選択治療群62例)のうち、独立効果判定機関により標的病変が特定された被験者175例(日本人140例を含む。本剤群119例、医師選択治療群56例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく奏効率[95%信頼区間]は、本剤群で51.3[41.9〜60.5]%、医師選択治療群で14.3[6.4〜26.2]%であり、本剤群で統計学的に有意に高い奏効率を示した(
P<0.0001、Cochran-Mantel-Haenszel検定)。また、奏効率に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目の一つである全生存期間の中間解析でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(中央値:本剤群12.5ヵ月、医師選択治療群8.4ヵ月、ハザード比[95%信頼区間]:0.59[0.39〜0.88]、層別ログランク検定:
P=0.0097、有意水準[両側]=0.0202)。
本剤群125例(日本人99例を含む)において、副作用が97.6%(122/125例)に認められた。主な副作用は、好中球数減少62.4%(78/125例)、悪心57.6%(72/125例)、食欲減退52.8%(66/125例)、貧血40.8%(51/125例)、血小板数減少38.4%(48/125例)、白血球数減少37.6%(47/125例)、倦怠感34.4%(43/125例)、下痢24.8%(31/125例)、脱毛症22.4%(28/125例)、リンパ球数減少21.6%(27/125例)、嘔吐20.8%(26/125例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は11.1%(11/99例)に認められた。[
5.13参照]
注13)IHC法3+、又はIHC法2+かつISH法陽性の患者が組み入れられた。
全生存期間のKaplan-Meier曲線
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。