2.1 肥大型閉塞性心筋症のある患者[流出路閉塞が悪化する可能性がある。]
2.2 高度の大動脈弁狭窄又は僧帽弁狭窄等のある患者[血圧低下又は肺動脈圧上昇、肺動脈楔入圧上昇により状態が悪化することがある。]
本剤は、用時生理食塩液等で溶解し、コルホルシンダロパート塩酸塩として通常成人には1分間あたり0.5μg/kgを点滴静脈内投与する。
なお、点滴投与量は、病態に応じて1分間あたり0.75μg/kgを上限として心血行動態、心電図をモニターしながら適宜増減する。
7.1 本剤の投与により臨床症状が改善し、患者の状態が安定した場合(急性期を脱した場合)には、他の治療法に変更すること。
7.2 0.5μg/kg/分以上の投与量で3時間以上投与することにより、動悸・頻脈、不整脈等の副作用の発現頻度が高まるので、本剤を0.5μg/kg/分以上の投与量で3時間以上投与する場合には副作用発現に留意し、必要により減量又は投与を中止すること。
7.3 本剤は長時間投与の使用経験は少なく、長時間投与における安全性は確認されていないことから、原則として72時間を超える長時間投与は避けること。十分な効果が得られ、やむを得ず長時間投与が必要と判断される場合には、効果が認められた用量を長く維持することなく、血行動態等を観察しながら漸減すること。
8.1 本剤は他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合に適用を考慮すること。
8.2 本剤はアデニル酸シクラーゼに直接作用することにより作用発現をもたらすものであることから、アデニル酸シクラーゼの活性化に伴う各種ホルモン作用の発現に留意すること。
8.3 本剤の投与前に体液減少及び電解質の是正、呼吸管理等の必要な処置を行うこと。
8.4 本剤の投与は、血圧、心拍数、心電図、尿量、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等患者の状態を観察しながら行うこと。[
11.1.1参照]
8.5 本剤の投与中に過度の心拍数増加、血圧低下があらわれた場合には、過量投与の可能性があるので、減量又は投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。[
11.1.1参照]
8.6 本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他剤に切り替えるなどの必要な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重篤な頻脈性不整脈のある患者
9.1.2 重篤な冠動脈疾患のある患者
高度な動脈硬化病変を有している患者では本剤による冠血流量増加が期待できない可能性がある。さらに本剤は陽性変力作用を有するため、急性心筋梗塞などの冠動脈疾患を増悪させるおそれがある。
9.1.3 大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄等がある患者
血圧低下又は肺動脈圧上昇、肺動脈楔入圧上昇により状態が悪化することがある。
9.1.4 心房細動等の心電図異常のある患者
9.1.5 著しく血圧の低い患者
9.2 腎機能障害患者
心室性頻拍、心房細動等の発現率が高くなる。[
11.1.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
投与量を減ずること。血中濃度が高くなるおそれがある。
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で出生児の体重減少が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 |
| 循環器 | 動悸・頻脈(16.9%)、心室性期外収縮(10.8%) | 上室性頻拍、心房細動、心房粗動、血圧低下 | |
| 消化器 | | 悪心・嘔吐 | |
| 肝臓 | LDH上昇 | 直接ビリルビン上昇、総ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇 | |
| 腎臓 | 尿蛋白増加 | BUN上昇、血清クレアチニン上昇、尿酸上昇 | |
| 血液 | 血小板減少 | 赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少、白血球増加、リンパ球減少 | |
| その他 | 頭痛・頭重感、熱感 | 尿ウロビリノーゲン増加、総蛋白減少、CK上昇、尿糖増加 | 全身倦怠感、呼吸困難、血清K低下 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.2 薬剤投与時の注意
他の注射剤と混合せずに用いることが望ましい。[患者の病態に応じて、本剤の点滴静脈内投与速度を調節する必要がある。]
15.1 臨床使用に基づく情報
本剤との因果関係は明らかでないが、本剤投与後に、AST、ALT等の異常増加を呈し、劇症肝炎と診断され、血漿交換等の処置を実施した症例が1例報告されている。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性に本剤を静脈内持続投与(0.0125〜0.8μg/kg/分、1時間)したとき、未変化体は投与終了時にCmaxを示し、その後二相性で消失した。0.2及び0.6μg/kg/分を投与したときの未変化体の血漿中濃度曲線を下図に、薬物動態パラメータを下表に示す。未変化体のCmax及びAUCは投与量に比例して増加し、線形性が認められた。
健康成人男性に本剤を1時間静脈内持続投与したときの未変化体の血漿中濃度(平均値±標準偏差)
| 投与量(μg/kg/分) | 0.2(n=4) | 0.6(n=5) |
| Cmax(ng/mL) | 4.36 | 11.65 |
| T1/2α(時間) | 0.07 | 0.08 |
| T1/2β(時間) | 2.81 | 1.86 |
16.3 分布
C14-コルホルシンダロパート塩酸塩のin vitroにおける血漿蛋白結合率は54.2%であり、結合は可逆的であると考えられた。また、結合蛋白種としてアルブミン及びα1-酸性糖蛋白が確認された。
16.4 代謝
本剤の主要代謝部位は肝臓であり、ヒト肝ミクロソーム画分及びヒトチトクロームP450発現系を用いた実験で、本剤のN-脱メチル化及び水酸化反応に関与する代謝酵素はCYP3Aであることが示唆された(
in vitro試験)。[
10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性に本剤を静脈内持続投与(0.0125〜0.8μg/kg/分、1時間)したときの24時間後までの未変化体の尿中排泄率は、10.8〜17.8%であった。
ラットにおいて主排泄経路は胆汁を介した糞排泄(90.2%)であり、また、腸肝循環が示唆された。
18.1 作用機序
本剤はβ受容体を介さずに、cAMP合成酵素であるアデニル酸シクラーゼを活性化し、陽性変力作用と血管拡張作用を示した。
18.2 陽性変力作用及び血管拡張作用
18.2.1 急性心不全患者を対象とした臨床薬理試験の結果から、本剤の心機能改善には、心収縮性及び左室弛緩能の改善作用並びに前負荷軽減作用及び後負荷軽減作用が関与することが明らかとなった
3)4)。
18.2.2 モルモット及びラットの摘出心筋において、濃度依存的な陽性変力作用を示した。また、β受容体脱感作ラット心臓標本において陽性変力作用は減弱しなかった
5)6)。
18.2.3 イヌの摘出血管標本において、濃度依存的な弛緩作用を示し、特に冠動脈、脳底動脈、腎動脈に対し強い弛緩作用を示した。また、ウサギ摘出血管標本において、大腿動脈及び静脈で同程度の収縮抑制作用を示した
7)。
18.2.4 麻酔イヌにおいて、用量依存的に心収縮力、心拍出量、心拍数、冠血流量及び大腿動脈血流量を増加させ、血圧、肺動脈圧及び全末梢血管抵抗を低下させた
8)。
18.3 実験的心不全に対する作用
18.3.1 イヌ心肺標本においてペントバルビタール、プロプラノロール及びベラパミルで誘発した実験的心不全を用量依存的に改善した
9)。
18.3.2 麻酔イヌの冠動脈結紮及び僧帽弁腱索切断によって作成した急性心不全モデルにおいて、心機能を改善した
10)。