2.1 重症筋無力症を有する患者[重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往を有する患者
2.3 HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビルを含有する製剤、ネルフィナビルメシル酸塩、アタザナビル硫酸塩、ホスアンプレナビルカルシウム水和物、ダルナビルを含有する製剤)、エファビレンツ及びコビシスタットを含有する製剤を投与中の患者[
10.1参照]
2.4 急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.5 ショックの患者、昏睡の患者、バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制や血圧低下等の症状を悪化させるおそれがある。]
5.1 18歳以上の患者に対する有効性及び安全性は確立していない。[
17.1.1参照]
5.2 非けいれん性てんかん重積状態に対して、保護者又はそれに代わる適切な者が本剤を投与する場合は、重症度や患者の包括的な医療環境を考慮して、投与可能であると医師が適切に判断した患者にのみ投与すること。
通常、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回2.5mg、1歳以上5歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回5mg、5歳以上10歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回7.5mg、10歳以上18歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回10mgを頬粘膜投与する。
7.1 本剤のシリンジ液剤の全量を片側の頬粘膜に緩徐に投与すること。体格の小さい患者や用量が多い場合は、必要に応じて両側の頬粘膜に半量ずつ投与すること。
7.2 保護者又はそれに代わる適切な者が本剤を投与する場合は、1回分(シリンジ1本)のみの投与とするよう指導すること。[
8.4.4参照]
7.3 本剤は頬粘膜より吸収されるため、投与時に可能な限り本剤を飲み込まないように注意すること。
8.1 無呼吸、呼吸抑制、舌根沈下、血圧低下等があらわれるおそれがあるため、医療機関で投与する場合は、本剤投与前に救急蘇生のための医療機器、薬剤等を準備しておくとともに、本剤投与中は、パルスオキシメーターや血圧計等を用いて、患者の呼吸及び循環動態を継続的に観察すること。[
11.1.1参照]
8.2 3〜6ヵ月の乳幼児に本剤を投与する場合は、患者の状態を観察することができ、必要時に救急蘇生のための医療機器、薬剤等の使用が可能な医師の監督下においてのみ行うこと。[
9.7.2、
11.1.1参照]
8.3 本剤を追加投与(シリンジ2本目を投与)することにより、本剤の曝露量が増加する可能性がある。やむを得ず追加投与する際には、呼吸抑制及び血圧低下等のおそれがあるため、患者の状態を十分に観察し追加投与の可否を慎重に判断し、呼吸及び循環動態の連続的な観察ができる施設においてのみ用いること。
8.4 保護者又はそれに代わる適切な者が本剤を投与する場合は、その適用開始にあたり、医師は保護者又はそれに代わる適切な者に対して、以下の点について指導すること。また、保護者又はそれに代わる適切な者が、以下の投与方法及び使用方法並びに副作用及びその対処方法等について理解し、事前に医師と十分に連携し、救急搬送の必要性を保護者又はそれに代わる適切な者が判断できることを確認した上で本剤を交付すること。[1.参照]
8.4.1 本剤に関する患者向けの説明文書等を熟読し、日頃から本剤の使用方法について理解しておくこと。
8.4.2 医師と保護者又はそれに代わる適切な者が、本剤の投与が必要となるてんかん重積状態の症状について認識を共有した上で、本剤投与前に本剤投与の必要性について確認すること。
8.4.3 原則として本剤投与後は救急搬送の手配を行い、10分以内に発作が停止しない場合や薬剤を全量投与できなかった場合、浅表性呼吸や意識消失等が認められた場合は、医療機関に救急搬送すること。その際、本剤投与状況の確認のため、使用済みのシリンジを医療従事者に提示すること。
8.4.4 本剤投与後に発作が再発した場合でも、本剤を追加投与しないこと。[
7.2参照]
8.4.5 呼吸抑制及び徐脈等があらわれるおそれがあるため、患者の呼吸数及び脈拍数を確認し、無呼吸、呼吸抑制、脈拍数低下がないか等、患者の状態を注意深く観察するとともに、救急搬送の手配等の緊急事態の対応に備えること。[
11.1.1参照]
8.5 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、危険を伴う機械の操作等に従事させないよう注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 呼吸不全を有する患者
本剤投与前に酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の救急蘇生剤を手もとに準備し、救急蘇生の対応が可能な状況下でのみ、本剤を投与すること。本剤投与により呼吸のさらなる抑制や急激な血圧低下等を引き起こすおそれがある。[
11.1.1参照]
9.1.2 呼吸機能障害(呼吸不全を除く)、睡眠時無呼吸症候群を有する患者
必要時に救急蘇生のための医療機器等の使用が可能な状況下でのみ本剤を投与すること。本剤投与により呼吸状態が悪化するおそれがある。[
11.1.1参照]
9.1.3 心不全を有する患者
本剤投与前に酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の救急蘇生剤を手もとに準備し、救急蘇生の対応が可能な状況下でのみ、本剤を投与すること。本剤投与により呼吸のさらなる抑制や急激な血圧低下等を引き起こすおそれがある。[
16.6.1参照]
9.1.4 心疾患を有する患者(心不全を有する患者を除く)
本剤のクリアランスが低下し、中枢神経系への作用が増強又は遷延するおそれがある。[
16.6.1参照]
9.1.5 衰弱患者
低用量の投与を考慮すること。中枢神経系への作用が増強又は遷延するおそれがある。
9.1.6 アルコール又は薬物乱用の既往を有する患者
9.1.7 重症の水分又は電解質障害のある急性期患者
十分な補液・輸液が行われるまで本剤の投与を行わないこと。脱水等により体液が不足している患者では、血圧低下を来すおそれがある。
9.1.8 脳に器質的障害のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 慢性腎不全を有する患者
本剤の排泄が遅延し、中枢神経系への作用が増強又は遷延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)
本剤投与前に酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の救急蘇生剤を手もとに準備し、救急蘇生の対応が可能な状況下でのみ、本剤を投与すること。本剤の代謝が遅延し、中枢神経系への作用が増強又は遷延して呼吸の抑制や急激な血圧低下等を引き起こすおそれがある。[
16.6.3参照]
9.3.2 中等度又は軽度の肝機能障害患者
本剤の代謝が遅延し、中枢神経系への作用が増強又は遷延するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[
11.1.1参照]
(1)妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受け、出生した新生児に口唇裂(口蓋裂を伴うものを含む)等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
(2)妊娠末期の妊婦へ投与又は分娩中の患者に高用量を投与したとき、胎児に心拍数の不整、新生児に低血圧、哺乳困難、低体温、呼吸抑制があらわれたとの報告がある。なお、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されており、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
(3)分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行が報告されている。また、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物で報告されており、黄疸を増強する可能性がある。
9.7 小児等
9.7.1 0〜3ヵ月の乳幼児を対象とした試験は実施していない。
9.7.2 3〜6ヵ月の乳幼児に本剤を投与した場合に遅発性の呼吸抑制があらわれるおそれがある。[
8.2、
11.1.1参照]
9.7.3 小児等において、激越、不随意運動(強直性/間代性痙攣、筋振戦を含む)、運動亢進、敵意、激しい怒り、攻撃性、発作性興奮、暴行などの逆説反応が起こりやすいとの報告がある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
11.1.1 呼吸抑制(4.0%)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
| | 1〜10% | 頻度不明 |
| 神経系障害 | 鎮静、傾眠 | 意識レベルの低下 |
| 胃腸障害 | 悪心、嘔吐 | |
| 皮膚及び皮下組織障害 | | そう痒症、発疹、じん麻疹、血管浮腫 |
13.1 症状
本剤の過量投与により、傾眠、錯乱状態、嗜眠、運動失調、筋緊張低下、低血圧又は呼吸抑制があらわれるおそれがあり、まれに昏睡、ごくまれに死亡に至るおそれがある。[
11.1.1参照]
13.2 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与することも考慮すること。
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 本剤は1回投与分の規定量を充填した頬粘膜投与用のプレフィルドシリンジであり、その他の投与経路には用いないこと。
14.1.2 本剤は注射剤ではないため、針、静脈内投与用チューブ又はその他の非経口投与用器具をシリンジに装着しないこと。
14.1.3 本剤の偶発的な吸引を避けるため、咽頭気管へ挿入しないこと。
14.1.4 誤飲・誤嚥を避けるため、本剤投与前にシリンジキャップを外し、確実に2つのキャップ(赤色キャップとその内側の白色キャップ)が外れていることを確認すること。
14.1.5 使用済みのシリンジは再使用せず、安全に廃棄すること。
14.2 薬剤交付時の注意
シリンジはプラスチックチューブに封入された状態でプラスチックチューブのふた側を上向きにして立てて保管するよう指導すること。[
20.参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相臨床試験(医療機関内投与)
けいれん性てんかん重積状態を有する修正在胎52週以上18歳未満かつ体重5kg超の日本人小児患者(25例、体重範囲6.2〜28.4kg)を対象に、本剤2.5〜10mg(年齢区分別用量)を単回で頬粘膜投与したとき、主要有効性評価項目である奏効率〔目に見える発作が本剤単回投与後10分以内に消失し、かつ目に見える発作が単回投与後30分間認められなかった被験者の割合(%)〕は、80.0%(20/25例、95%信頼区間:[64.3,95.7]%)であり、Wald検定を用いて奏効率と事前に設定した閾値奏効率30%を比較したときの差は有意であった(p<0.001)
2)。
副作用発現頻度は12.0%(3/25例)であり、下痢4.0%(1/25例)、鎮静4.0%(1/25例)及び呼吸抑制4.0%(1/25例)であった
2)。[
5.1参照]
17.1.2 国内第III相臨床試験(医療機関外投与)
国内第III相臨床試験(医療機関内投与)を完了した患者のうち、2例(年齢5.6歳及び6.3歳、体重14.8kg及び19.2kg)を対象に、保護者又はそれに代わる適切な者により本剤7.5mgを頬粘膜投与したとき、いずれも治療は奏効した
15)。
副作用は傾眠1例、悪心及び嘔吐1例であった(データカットオフ日:2019年8月31日)
15)。
シリンジはプラスチックチューブに封入された状態でプラスチックチューブのふた側を上向きにして立てて保管すること。プラスチックチューブのふた側を下向き又は水平方向に保管した場合、シリンジの構成部品に有効成分が吸収され、含量が低下するおそれがある。[
14.2参照]
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
本剤は向精神薬であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、1回14日分を限度とした投薬しか認められない。