<悪性黒色腫>
17.1.1 国内第II相試験(ONO-4538-02試験)(単独投与)
ダカルバジンによる化学療法歴を有する根治切除不能なIII期/IV期又は再発の悪性黒色腫患者35例を対象に、本剤2mg/kgを3週間間隔で点滴静注
注1)した。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定によるCR又はPR)は22.9%(90%信頼区間:13.4〜36.2%
*1)であった。なお、事前に設定した閾値は12.5%であった。また、安全性評価対象35例中30例(85.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、そう痒症11例(31.4%)、遊離T3減少8例(22.9%)、血中TSH増加7例(20.0%)、白血球数減少6例(17.1%)、遊離T4減少6例(17.1%)、白斑6例(17.1%)であった
5)。[
5.1参照]
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 1(2.9) |
部分奏効(PR) | 7(20.0) |
安定(SD) | 15(42.9) |
進行(PD) | 11(31.4) |
評価不能 | 1(2.9) |
*1:Wilsonのスコア法を用いた近似法により求めた信頼区間。一方、二項分布の確率計算に基づく正確法により求めた90%信頼区間は11.9〜37.5%であった。
17.1.2 国内第II相試験(ONO-4538-08試験)(単独投与)
化学療法未治療の根治切除不能なIII期/IV期又は再発の悪性黒色腫患者24例を対象に、本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)した。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定によるCR又はPR)は29.2%(90%信頼区間:16.7〜45.9%)であった。なお、事前に設定した閾値は6.0%であった。また、安全性評価対象24例中18例(75.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、甲状腺機能低下症6例(25.0%)、白斑5例(20.8%)、そう痒症5例(20.8%)、倦怠感4例(16.7%)であった
6)。[
5.1参照]
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 0(0.0) |
部分奏効(PR) | 7(29.2) |
安定(SD) | 9(37.5) |
進行(PD) | 7(29.2) |
評価不能 | 1(4.2) |
17.1.3 海外第III相試験(CA209066試験)(単独投与)
BRAF V600変異のない化学療法未治療の根治切除不能なIII期/IV期又は再発の悪性黒色腫患者418例(本剤群210例、ダカルバジン群208例)を対象に、ダカルバジンを対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])の中間解析結果は、本剤群でNE
*2[NE〜NE]ヵ月、ダカルバジン群で10.84[9.33〜12.09]ヵ月であり、本剤はダカルバジンに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.42[99.79%信頼区間:0.25〜0.73]、p<0.0001[層別log-rank検定]、2014年6月24日データカットオフ)。また、安全性評価対象206例中153例(74.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労41例(19.9%)、そう痒症35例(17.0%)、悪心34例(16.5%)、下痢33例(16.0%)、発疹31例(15.0%)であった
7)。[
5.1参照]
*2:NEは推定不能
17.1.4 海外第III相試験(CA209037試験)(単独投与)
イピリムマブ(遺伝子組換え)又はBRAF阻害剤を含む化学療法歴を有する根治切除不能なIII期/IV期又は再発の悪性黒色腫患者405例(本剤群272例、化学療法(ダカルバジン又はカルボプラチンとパクリタキセルとの併用)群133例)を対象に、化学療法を対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定によるCR又はPR)について本剤が投与された最初の120例を解析対象集団として中間解析を行った結果、本剤群で31.7%(95%信頼区間:23.5〜40.8%、2014年3月10日データカットオフ)であった。なお、事前に奏効率の閾値は設定していなかった。もう一つの主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])について182例のイベント(死亡)数にて中間解析を行った結果、本剤群で15.47[12.39〜NE
*3]ヵ月、化学療法群で13.67[11.50〜NE
*3]ヵ月であり、本剤は化学療法に対し統計学的に有意な延長を示さなかった(ハザード比0.93[95%信頼区間:0.68〜1.26]、p=0.6299[層別log-rank検定]、2014年11月12日データカットオフ)。また、安全性評価対象268例中199例(74.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労82例(30.6%)、そう痒症51例(19.0%)、下痢42例(15.7%)、発疹34例(12.7%)、悪心33例(12.3%)であった
8)9)。[
5.1参照]
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 4(3.3) |
部分奏効(PR) | 34(28.3) |
安定(SD) | 28(23.3) |
進行(PD) | 42(35.0) |
評価不能 | 12(10.0) |
*3:NEは推定不能
17.1.5 国内第II相試験(ONO-4538-17試験)(併用投与)
化学療法未治療の根治切除不能なIII期/IV期又は再発の悪性黒色腫患者30例を対象に、本剤とイピリムマブ(遺伝子組換え)を併用投与した
*4。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定によるCR又はPR)は33.3%(95%信頼区間:17.3〜52.8%)であった。なお、事前に設定した閾値は23.8%であった。また、安全性評価対象30例中30例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発疹18例(60.0%)、下痢16例(53.3%)、発熱12例(40.0%)、リパーゼ増加12例(40.0%)、ALT増加11例(36.7%)、AST増加11例(36.7%)、そう痒症10例(33.3%)、食欲減退8例(26.7%)、倦怠感7例(23.3%)、甲状腺機能低下症7例(23.3%)、肝機能異常7例(23.3%)、嘔吐6例(20.0%)であった
10)。[
5.1参照]
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 1(3.3) |
部分奏効(PR) | 9(30.0) |
安定(SD) | 12(40.0) |
進行(PD) | 7(23.3) |
評価不能 | 1(3.3) |
17.1.6 海外第III相試験(CA209067試験)(併用投与)
化学療法未治療の根治切除不能なIII期/IV期の悪性黒色腫患者945例(イピリムマブ(遺伝子組換え)併用(N+I併用)
*4群314例、本剤単独群316例、イピリムマブ(遺伝子組換え)単独(I単独)群315例)を対象に、I単独投与を対照としてN+I併用投与と本剤単独投与の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+I併用群でNE
*5[NE〜NE]ヵ月、本剤単独群でNE
*5[29.08〜NE]ヵ月、I単独群で19.98[17.08〜24.61]ヵ月であり、N+I併用投与及び本剤単独投与はI単独投与に対し統計学的に有意な延長を示した(N+I併用投与:ハザード比0.55[98%信頼区間:0.42〜0.72]、p<0.0001[層別log-rank検定]、本剤単剤投与:ハザード比0.63[98%信頼区間:0.48〜0.81]、p<0.0001[層別log-rank検定]、2016年8月1日データカットオフ)。N+I併用投与群では安全性評価対象313例中300例(95.8%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められ、主な副作用は、下痢142例(45.4%)、疲労118例(37.7%)、そう痒症112例(35.8%)、発疹91例(29.1%)、悪心88例(28.1%)であった
11)。
また、腫瘍組織においてPD-L1を発現した腫瘍細胞が占める割合(以下、「PD-L1発現率」)に関する情報が得られた一部の患者のデータに基づき、PD-L1発現率別に探索的に解析を行った。PD-L1発現率別(1%未満及び1%以上)の全生存期間の結果を以下に示す。[
5.1、
7.2参照]
PD-L1発現率1%未満
PD-L1発現率1%以上
PD-L1発現率 | 投与群 | 例数 | 中央値[95%信頼区間](ヵ月)*5 | ハザード比[95%信頼区間] |
<1% | N+I併用群 | 123 | NE[26.45〜NE] | 0.59[0.42〜0.83] |
I単独群 | 113 | 18.56[13.67〜23.20] |
≧1% | N+I併用群 | 155 | NE[NE〜NE] | 0.54[0.39〜0.74] |
I単独群 | 164 | 22.11[17.08〜29.67] |
<1% | N+I併用群 | 123 | NE[26.45〜NE] | 0.74[0.52〜1.06] |
本剤単独群 | 117 | 23.46[13.01〜NE] |
≧1% | N+I併用群 | 155 | NE[NE〜NE] | 1.03[0.72〜1.48] |
本剤単独群 | 171 | NE[NE〜NE] |
*4:本剤1回1mg/kg(体重)とイピリムマブ(遺伝子組換え)3mg/kg(体重)を同日に3週間間隔で4回点滴静注した後、本剤1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注注2)した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、イピリムマブ(遺伝子組換え)は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
*5:NEは推定不能
17.1.7 国際共同第III相試験(ONO-4538-21/CA209238試験)(単独投与)
完全切除後のIIIb/c期/IV期の悪性黒色腫患者906例(日本人患者28例を含む。本剤群453例、イピリムマブ(遺伝子組換え)群453例)を対象に、イピリムマブ(遺伝子組換え)
*6を対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である無再発生存期間(中央値[95%信頼区間])の中間解析結果は、本剤群でNE
*7[NE〜NE]ヵ月、イピリムマブ(遺伝子組換え)群でNE
*7[16.56〜NE]ヵ月であり、本剤はイピリムマブ(遺伝子組換え)に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.65[97.56%信頼区間:0.51〜0.83]、p<0.0001[層別log-rank検定]、2017年6月12日データカットオフ)。また、安全性評価対象452例中385例(85.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労156例(34.5%)、下痢110例(24.3%)、そう痒症105例(23.2%)、発疹90例(19.9%)、悪心68例(15.0%)であった
12)。[
5.1参照]
*6:イピリムマブ(遺伝子組換え)は、本邦において悪性黒色腫に対する術後補助療法の効能・効果では承認されていない。
*7:NEは推定不能
<切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
17.1.8 扁平上皮癌
(1)国内第II相試験(ONO-4538-05試験)(単独投与)
プラチナ製剤を含む化学療法歴を有する切除不能なIIIB期/IV期又は再発の扁平上皮非小細胞肺癌患者(ECOG Performance Status 0及び1)35例を対象に、本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)した。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定によるCR又はPR)は25.7%(95%信頼区間:14.2〜42.1%)であった。なお、事前に設定した閾値は9.0%であった。また、安全性評価対象35例中24例(68.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、倦怠感5例(14.3%)、発熱5例(14.3%)、食欲減退5例(14.3%)、発疹5例(14.3%)であった
13)。
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 0(0.0) |
部分奏効(PR) | 9(25.7) |
安定(SD) | 10(28.6) |
進行(PD) | 16(45.7) |
評価不能 | 0(0.0) |
(2)海外第III相試験(CA209017試験)(単独投与)
プラチナ製剤を含む化学療法歴を有する切除不能なIIIB期/IV期又は再発の扁平上皮非小細胞肺癌患者(ECOG Performance Status 0及び1)272例(本剤群135例、ドセタキセル群137例)を対象に、ドセタキセルを対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])の中間解析結果は、本剤群で9.23[7.33〜13.27]ヵ月、ドセタキセル群で6.01[5.13〜7.33]ヵ月であり、本剤はドセタキセルに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.59[96.85%信頼区間:0.43〜0.81]、p=0.0002[層別log-rank検定]、2014年12月15日データカットオフ)。また、安全性評価対象131例中76例(58.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労21例(16.0%)、食欲減退14例(10.7%)であった
14)。
17.1.9 非扁平上皮癌
(1)国内第II相試験(ONO-4538-06試験)(単独投与)
プラチナ製剤を含む化学療法歴を有する切除不能なIIIB期/IV期又は再発の非扁平上皮非小細胞肺癌患者(ECOG Performance Status 0及び1)76例を対象に、本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)した。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定によるCR又はPR)は19.7%(95%信頼区間:12.3〜30.0%)であった。なお、事前に設定した閾値は9.0%であった。また、安全性評価対象76例中64例(84.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、倦怠感11例(14.5%)、発熱11例(14.5%)、食欲減退11例(14.5%)、発疹11例(14.5%)、疲労9例(11.8%)、悪心8例(10.5%)であった
15)。
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 2(2.6) |
部分奏効(PR) | 13(17.1) |
安定(SD) | 21(27.6) |
進行(PD) | 38(50.0) |
評価不能 | 1(1.3) |
測定可能病変なし | 1(1.3) |
(2)海外第III相試験(CA209057試験)(単独投与)
プラチナ製剤を含む化学療法歴を有する切除不能なIIIB期/IV期又は再発の非扁平上皮非小細胞肺癌患者(ECOG Performance Status 0及び1)582例(本剤群292例、ドセタキセル群290例)を対象に、ドセタキセルを対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])の中間解析結果は、本剤群で12.19[9.66〜14.98]ヵ月、ドセタキセル群で9.36[8.05〜10.68]ヵ月であり、本剤はドセタキセルに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.73[95.92%信頼区間:0.59〜0.89]、p=0.0015[層別log-rank検定]、2015年3月18日データカットオフ)。また、安全性評価対象287例中199例(69.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労46例(16.0%)、悪心34例(11.8%)、食欲減退30例(10.5%)、無力症29例(10.1%)であった
16)。
(3)国際共同第III相試験(ONO-4538-52試験)(併用投与)
化学療法未治療の
EGFR遺伝子変異陰性、
ALK融合遺伝子陰性及び
ROS1融合遺伝子陰性の切除不能な進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺癌患者550例(日本人患者371例を含む。本剤とプラチナ製剤及びベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法との併用(N+C併用)
*8群275例、プラセボとプラチナ製剤及びベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法との併用(P+C併用)群275例)を対象に、P+C併用を対照として、N+C併用群の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である無増悪生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+C併用群で12.12[9.76〜14.00]ヵ月、P+C併用群で8.11[6.97〜8.54]ヵ月であり、N+C併用投与はP+C併用投与に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.56[96.37%信頼区間:0.43〜0.71]、p<0.0001[層別log-rank検定]、2020年2月10日データカットオフ)。また、安全性評価対象273例中269例(98.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、脱毛症143例(52.4%)、末梢性感覚ニューロパチー120例(44.0%)、好中球数減少116例(42.5%)、白血球数減少93例(34.1%)、便秘85例(31.1%)、食欲減退81例(29.7%)、発疹81例(29.7%)、貧血78例(28.6%)、関節痛69例(25.3%)であった
17)。[
5.2参照]
*8:本剤1回360mg、カルボプラチン1回AUC6(mg/mL・min)、パクリタキセル1回200mg/m2、ベバシズマブ(遺伝子組換え)1回15mg/kgを3週間間隔で最大6サイクル点滴静注した後、本剤1回360mg及びベバシズマブ(遺伝子組換え)1回15mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。
併用投与時においては、本剤を最初に投与し、化学療法は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
17.1.10 国際共同第III相試験(ONO-4538-27/CA209227試験)(併用投与)
化学療法未治療の
EGFR遺伝子変異陰性及び
ALK融合遺伝子陰性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者1,166例(日本人患者143例を含む。イピリムマブ(遺伝子組換え)併用(N+I併用)
*9群583例、プラチナ製剤を含む化学療法群583例)を対象に、化学療法を対照として、N+I併用群の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目であるPD-L1発現率が1%以上の患者(N+I併用群396例、化学療法群397例)における全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+I併用群で17.08[14.95〜20.07]ヵ月、化学療法群で14.88[12.71〜16.72]ヵ月であり、N+I併用投与は化学療法に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.79[97.72%信頼区間:0.65〜0.96]、p=0.0066[層別log-rank検定]、2019年7月2日データカットオフ)。また、安全性評価対象391例中302例(77.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発疹73例(18.7%)、下痢70例(17.9%)、そう痒症62例(15.9%)、疲労56例(14.3%)、甲状腺機能低下症53例(13.6%)、食欲減退53例(13.6%)、悪心42例(10.7%)であった
18)。
検定対象とされなかったPD-L1発現率が1%未満の患者(N+I併用群187例、化学療法群186例)における全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+I併用群で17.15[12.85〜22.05]ヵ月、化学療法群で12.19[9.17〜14.32]ヵ月であり、ハザード比0.62[95%信頼区間:0.48〜0.78]であった(2019年7月2日データカットオフ)。また、安全性評価対象185例中140例(75.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢28例(15.1%)、疲労27例(14.6%)、発疹25例(13.5%)、食欲減退23例(12.4%)、無力症21例(11.4%)、ALT増加21例(11.4%)、リパーゼ増加21例(11.4%)、そう痒症20例(10.8%)、AST増加20例(10.8%)、甲状腺機能低下症19例(10.3%)であった
18)。
*9:本剤1回3mg/kg(体重)を2週間間隔注3)で、イピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を同日に6週間間隔で点滴静注した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、イピリムマブ(遺伝子組換え)は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
化学療法未治療でPD-L1発現率が1%未満の
EGFR遺伝子変異陰性及び
ALK融合遺伝子陰性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者363例(日本人患者54例を含む。プラチナ製剤を含む化学療法併用(N+C併用)
*10群177例、プラチナ製剤を含む化学療法群186例)を対象に、化学療法を対照として、N+C併用群の有効性及び安全性を検討した。本試験の副次評価項目の一つであり階層的な検定の対象である無増悪生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+C併用群で5.55[4.63〜6.90]ヵ月、化学療法群で4.70[4.21〜5.59]ヵ月であり、N+C併用投与は化学療法に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.73[97.72%信頼区間:0.56〜0.95]、p=0.0070[層別log-rank検定]、2019年7月2日データカットオフ)。なお、本試験の副次評価項目の一つであり階層的な検定の対象である全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+C併用群で15.21[12.29〜19.78]ヵ月、化学療法群で12.19[9.17〜14.32]ヵ月であり、N+C併用投与は化学療法に対し統計学的に有意な延長を示さなかった(ハザード比0.78[97.72%信頼区間:0.60〜1.02]、p=0.0352[層別log-rank検定]、2019年7月2日データカットオフ)。また、安全性評価対象172例中159例(92.4%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、貧血70例(40.7%)、悪心67例(39.0%)、疲労43例(25.0%)、好中球減少症41例(23.8%)、食欲減退39例(22.7%)、便秘38例(22.1%)、好中球数減少27例(15.7%)、嘔吐26例(15.1%)、発疹26例(15.1%)、血小板数減少21例(12.2%)、無力症18例(10.5%)であった
18)。[
5.2、
7.4参照]
*10:
扁平上皮癌に対しては、本剤1回360mg、ゲムシタビン1回1000若しくは1250mg/m2、シスプラチン1回75mg/m2又は本剤1回360mg、ゲムシタビン1回1000mg/m2、カルボプラチン1回AUC5(mg/mL・min)を3週間間隔で最大4サイクル点滴静注した後、本剤1回360mgを3週間間隔で点滴静注した。ゲムシタビンは各サイクル1日目及び8日目に点滴静注した。
非扁平上皮癌に対しては、本剤1回360mg、ペメトレキセド1回500mg/m2、シスプラチン1回75mg/m2又はカルボプラチン1回AUC5若しくは6(mg/mL・min)を3週間間隔で最大4サイクル点滴静注した後、本剤1回360mg及びペメトレキセド1回500mg/m2を3週間間隔で点滴静注した。
併用投与時においては、本剤を最初に投与し、化学療法は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
17.1.11 国際共同第III相試験(ONO-4538-77/CA2099LA試験)(併用投与)
化学療法未治療の
EGFR遺伝子変異陰性及び
ALK融合遺伝子陰性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者719例(日本人患者50例を含む。イピリムマブ(遺伝子組換え)及びプラチナ製剤を含む化学療法併用(N+I+C併用)
*11群361例、プラチナ製剤を含む化学療法群358例)を対象に、化学療法を対照として、N+I+C併用群の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+I+C併用群で14.13[13.24〜16.16]ヵ月、化学療法群で10.74[9.46〜12.45]ヵ月であり、N+I+C併用投与は化学療法に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.69[96.71%信頼区間:0.55〜0.87]、p=0.0006[層別log-rank検定]、2019年10月3日データカットオフ)。また、安全性評価対象358例中322例(89.9%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心94例(26.3%)、貧血80例(22.3%)、下痢73例(20.4%)、無力症73例(20.4%)、そう痒症66例(18.4%)、発疹64例(17.9%)、疲労59例(16.5%)、食欲減退56例(15.6%)、甲状腺機能低下症52例(14.5%)、嘔吐47例(13.1%)であった
19)。[
5.2参照]
*11:
扁平上皮癌に対しては、本剤1回360mgを3週間間隔、イピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を6週間間隔、パクリタキセル1回200mg/m2、カルボプラチン1回AUC6(mg/mL・min)を3週間間隔で2サイクル点滴静注した後、本剤1回360mgを3週間間隔及びイピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で点滴静注した。
非扁平上皮癌に対しては、本剤1回360mgを3週間間隔、イピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を6週間間隔、ペメトレキセド1回500mg/m2、シスプラチン1回75mg/m2又はカルボプラチン1回AUC5若しくは6(mg/mL・min)を3週間間隔で2サイクル点滴静注した後、本剤1回360mgを3週間間隔及びイピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で点滴静注した。
併用投与時においては、本剤を最初に投与し、イピリムマブ(遺伝子組換え)(イピリムマブの投与を予定している場合)は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。また、化学療法は本剤又はイピリムマブ(遺伝子組換え)(イピリムマブの投与を予定している場合)の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
<非小細胞肺癌における術前補助療法>
17.1.12 国際共同第III相試験(ONO-4538-55/CA209816試験)(併用投与)
臨床病期IB(腫瘍径が4cm以上)、II又はIIIAの非小細胞肺癌の術前患者
*12358例(日本人患者68例を含む。プラチナ製剤を含む化学療法併用(N+C併用)
*13群179例、プラチナ製剤を含む化学療法群179例)を対象に、化学療法を対照として、N+C併用の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目の一つである無イベント生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+C併用群で31.57[30.16〜推定不能]ヵ月、化学療法群で20.80[14.03〜26.71]ヵ月であり、N+C併用投与は化学療法に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.63[97.38%信頼区間:0.43〜0.91]、p=0.0052[層別log-rank検定]、2021年9月8日データカットオフ)。また、安全性評価対象176例中147例(83.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心58例(33.0%)、貧血41例(23.3%)、便秘37例(21.0%)、食欲減退30例(17.0%)、好中球減少症30例(17.0%)、好中球数減少26例(14.8%)、倦怠感25例(14.2%)、発疹23例(13.1%)、疲労22例(12.5%)であった
20)(2022年9月6日データカットオフ)。[
5.3、
7.5参照]
*12:臨床病期はAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)/Union for International Cancer Control(UICC)病期分類(第7版)に基づく。
EGFR遺伝子変異陽性又はALK融合遺伝子陽性であることが確認されている患者は対象外とされた。
*13:
扁平上皮癌に対しては、本剤1回360mg、ゲムシタビン1回1,000若しくは1,250mg/m2、シスプラチン1回75mg/m2を3週間間隔で最大3サイクル点滴静注、又は本剤1回360mg、パクリタキセル1回175若しくは200mg/m2、カルボプラチン1回AUC5若しくは6(mg/mL・min)を3週間間隔で最大3サイクル点滴静注した。ゲムシタビンは各サイクル1日目及び8日目に点滴静注した。
非扁平上皮癌に対しては、本剤1回360mg、ペメトレキセド1回500mg/m2、シスプラチン1回75mg/m2を3週間間隔で最大3サイクル点滴静注、又は本剤1回360mg、パクリタキセル1回175若しくは200mg/m2、カルボプラチン1回AUC5若しくは6(mg/mL・min)を3週間間隔で最大3サイクル点滴静注した。
なお、シスプラチンに対する忍容性がないと判断された場合には、シスプラチンをカルボプラチン1回AUC5若しくは6(mg/mL・min)に変更可能とされた。
併用投与時においては、本剤を最初に投与し、化学療法は本剤の投与終了から約30分の間隔をおいて投与を開始した。
<根治切除不能又は転移性の腎細胞癌>
17.1.13 国際共同第III相試験(ONO-4538-03/CA209025試験)(単独投与)
血管新生阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤(アキシチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ等)を含む化学療法歴を有する進行性又は転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者821例(日本人患者63例を含む。本剤群410例、エベロリムス群411例)を対象に、エベロリムスを対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])の中間解析結果は、本剤群で25.00[21.75〜NE
*14]ヵ月、エベロリムス群で19.55[17.64〜23.06]ヵ月であり、本剤はエベロリムスに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.73[98.52%信頼区間:0.57〜0.93]、p=0.0018[層別log-rank検定]、2015年6月18日データカットオフ)。また、安全性評価対象406例中319例(78.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労134例(33.0%)、悪心57例(14.0%)、そう痒症57例(14.0%)、下痢50例(12.3%)、食欲減退48例(11.8%)、発疹41例(10.1%)であった
21)。[
5.7参照]
また、日本人部分集団63例(本剤群37例、エベロリムス群26例)の全生存期間(中央値[95%信頼区間])の中間解析結果は、本剤群で27.37[23.62〜NE*14]ヵ月、エベロリムス群でNE*14[NE〜NE]ヵ月であった(ハザード比1.50[95%信頼区間:0.49〜4.54]、2015年6月18日データカットオフ)。
*14:NEは推定不能
17.1.14 国際共同第III相試験(ONO-4538-16/CA209214試験)(併用投与)
化学療法未治療の進行性又は転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者1,096例(日本人患者72例を含む。イピリムマブ(遺伝子組換え)併用(N+I併用)
*15群550例、スニチニブ群546例)を対象に、スニチニブを対照として、N+I併用群の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目であるIMDC
*16リスク分類intermediate及びpoorリスク患者(N+I併用群425例、スニチニブ群422例)の全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+I併用群でNE
*17[28.16〜NE]ヵ月、スニチニブ群で25.95[22.08〜NE
*17]ヵ月であり、N+I併用投与はスニチニブに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.63[99.8%信頼区間:0.44〜0.89]、p<0.0001[層別log-rank検定]、2017年8月7日データカットオフ)。また、安全性評価対象547例中509例(93.1%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労202例(36.9%)、そう痒症154例(28.2%)、下痢145例(26.5%)、発疹118例(21.6%)、悪心109例(19.9%)、リパーゼ増加90例(16.5%)、甲状腺機能低下症85例(15.5%)であった
22)。[
5.7参照]
*15:本剤1回3mg/kg(体重)とイピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を同日に3週間間隔で4回点滴静注した後、本剤1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注注4)した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、イピリムマブ(遺伝子組換え)は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
*16:International Metastatic RCC Database Consortium
*17:NEは推定不能
17.1.15 国際共同第III相試験(ONO-4538-81/CA2099ER試験)(併用投与)
化学療法未治療の進行性又は転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者651例(日本人患者46例を含む。カボザンチニブ併用(N+C併用群)
*18群323例、スニチニブ群328例)を対象に、スニチニブを対照として、N+C併用群の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である無増悪生存期間(中央値[95%信頼区間])の結果は、N+C併用群で16.59[12.45〜24.94]ヵ月、スニチニブ群で8.31[6.97〜9.69]ヵ月であり、N+C併用群はスニチニブ群に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.51[95%信頼区間:0.41〜0.64]、p<0.0001[層別log-rank検定]、2020年2月12日データカットオフ)。また、安全性評価対象320例中309例(96.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢182例(56.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群122例(38.1%)、甲状腺機能低下症107例(33.4%)、高血圧97例(30.3%)、疲労86例(26.9%)、ALT増加80例(25.0%)、AST増加75例(23.4%)、味覚不全69例(21.6%)、悪心68例(21.3%)、食欲減退65例(20.3%)であった
23)。[
5.7参照]
*18:本剤1回240mgを2週間間隔で点滴静注し、カボザンチニブ40mgを1日1回経口投与した。
<再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫>
17.1.16 国内第II相試験(ONO-4538-15試験)(単独投与)
自家造血幹細胞移植及びブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者(ECOG Performance Status 0及び1)17例を対象に、本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注6)した。主要評価項目である奏効率(改訂IWG criteria(2007)に基づく中央判定によるCR又はPR)は75.0%(95%信頼区間:47.6〜92.7%)であった。なお、事前に設定した閾値は20.0%であった。また、安全性評価対象17例中17例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発熱7例(41.2%)、そう痒症5例(29.4%)、発疹4例(23.5%)、甲状腺機能低下症3例(17.6%)、疲労2例(11.8%)、倦怠感2例(11.8%)、筋肉痛2例(11.8%)であった
24)。[
5.8参照]
| 例数(%) |
完全寛解(CR) | 4(25.0) |
部分寛解(PR) | 8(50.0) |
安定(SD) | 2(12.5) |
進行(PD) | 1(6.3) |
評価不能 | 1(6.3) |
17.1.17 海外第II相試験(CA209205試験)(単独投与)
自家造血幹細胞移植施行後にブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)による治療を受けた再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者(コホートB、ECOG Performance Status 0及び1)80例を対象に、本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注6)した。主要評価項目である奏効率(改訂IWG criteria(2007)に基づく中央判定によるCR又はPR)は66.3%(95%信頼区間:54.8〜76.4%)であった。なお、事前に設定した閾値は20.0%であった。また、安全性評価対象80例中72例(90.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労20例(25.0%)、注入に伴う反応16例(20.0%)、発疹13例(16.3%)、発熱11例(13.8%)、関節痛11例(13.8%)、悪心10例(12.5%)、そう痒症8例(10.0%)、下痢8例(10.0%)であった
25)。[
5.8参照]
| 例数(%) |
完全寛解(CR) | 7(8.8) |
部分寛解(PR) | 46(57.5) |
安定(SD) | 18(22.5) |
進行(PD) | 6(7.5) |
評価不能 | 3(3.8) |
17.1.18 国内第I相試験(NCCH1606試験)(単独投与)
2レジメン以上の治療歴を有し、かつ同種造血幹細胞移植による治療歴のない1歳以上24歳以下の難治性のホジキンリンパ腫及び難治性の小児悪性固形腫瘍患者
*19を対象に、本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注した。本試験に登録された26例のうち、古典的ホジキンリンパ腫は1例組み入れられ、その最良総合効果(改訂IWG criteria(2007)に基づく治験責任医師判定)は完全寛解(CR)であった。また、安全性評価対象26例中23例(88.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、リンパ球数減少14例(53.8%)、貧血12例(46.2%)、白血球数減少8例(30.8%)、血小板数減少8例(30.8%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加6例(23.1%)、好中球数減少6例(23.1%)、斑状丘疹状皮疹6例(23.1%)、発熱5例(19.2%)、低アルブミン血症5例(19.2%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加3例(11.5%)、そう痒症3例(11.5%)、蛋白尿3例(11.5%)であった
26)。[
5.8参照]
*19:本剤の承認された効能又は効果は「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」である。
<再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌>
17.1.19 国際共同第III相試験(ONO-4538-11/CA209141試験)(単独投与)
プラチナ製剤を含む化学療法
*20終了後から6ヵ月以内に病勢進行又は再発が認められた、根治目的の局所療法の適応とならないIII期/IV期の頭頸部扁平上皮癌
*21患者361例(日本人患者27例を含む。本剤群240例、対照群121例)を対象に、治験担当医師が選択した治療(メトトレキサート、ドセタキセル又はセツキシマブ)を対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])の中間解析結果は、本剤群で7.49[5.49〜9.10]ヵ月、対照群で5.06[4.04〜6.05]ヵ月であり、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.70[97.73%信頼区間:0.51〜0.96]、p=0.0101[層別log-rank検定]、2015年12月18日データカットオフ)。また、安全性評価対象236例中139例(58.9%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労33例(14.0%)、悪心20例(8.5%)、発疹18例(7.6%)、そう痒症17例(7.2%)、食欲減退17例(7.2%)、下痢16例(6.8%)、貧血12例(5.1%)であった
27)。[
5.11参照]
*20:根治目的又は術後の化学放射線療法を含む。
*21:対象とされた原発部位は、口腔、中・下咽頭及び喉頭。
<治癒切除不能な進行・再発の胃癌>
17.1.20 国際共同第III相試験(ONO-4538-12試験)(単独投与)
2つ以上の化学療法歴を有する標準治療に不応又は不耐の治癒切除不能な進行・再発の胃癌又は食道胃接合部癌(腫瘍の中心が食道胃接合部より上下5cm以内に位置する腺癌)患者493例(日本人患者226例を含む。本剤群330例、プラセボ群163例)を対象に、プラセボを対照として本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、本剤群で5.26[4.60〜6.37]ヵ月、プラセボ群で4.14[3.42〜4.86]ヵ月であり、本剤はプラセボに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.63[95%信頼区間:0.51〜0.78]、p<0.0001[層別log-rank検定]、2016年8月13日データカットオフ)。また、安全性評価対象330例中141例(42.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、そう痒症30例(9.1%)、下痢23例(7.0%)、発疹19例(5.8%)、疲労18例(5.5%)であった
28)。
17.1.21 国際共同第III相試験(ONO-4538-44/CA209649試験)(併用投与)
化学療法歴のないHER2陰性
*22の治癒切除不能な進行・再発の胃癌、食道胃接合部癌(腫瘍の中心が食道胃接合部より上下5cm以内に位置する腺癌)患者等
*231,581例(日本人患者109例を含む。化学療法併用(N+C併用)
*24群789例、化学療法群792例)を対象に、化学療法を対照としてN+C併用の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目であるCPS≧5集団における無増悪生存期間及びCPS≧5集団における全生存期間について、N+C併用群は化学療法群に対し統計学的に有意な延長を示した。さらに、事前に規定された検定手順及び有意水準の割当てに従って検定が行われた結果、副次評価項目とされたCPS≧1集団及びITT集団における全生存期間についても、N+C併用群は化学療法群に対し統計学的に有意な延長を示した(2020年5月27日データカットオフ)。
| 患者集団 | 投与群 | 例数 | 中央値 [95%信頼区間] (ヵ月) | ハザード比 |
PFS | CPS≧5 | N+C併用群 | 473 | 7.69 [7.03〜9.17] | 0.68 [98%信頼区間:0.56〜0.81] |
化学療法群 | 482 | 6.05 [5.55〜6.90] |
OS | CPS≧5 | N+C併用群 | 473 | 14.39 [13.11〜16.23] | 0.71 [98.4%信頼区間:0.59〜0.86] |
化学療法群 | 482 | 11.10 [10.02〜12.09] |
CPS≧1 | N+C併用群 | 641 | 13.96 [12.55〜14.98] | 0.77 [99.3%信頼区間:0.64〜0.92] |
化学療法群 | 655 | 11.33 [10.64〜12.25] |
ITT | N+C併用群 | 789 | 13.83 [12.55〜14.55] | 0.80 [99.3%信頼区間:0.68〜0.94] |
化学療法群 | 792 | 11.56 [10.87〜12.48] |
CPS≧5集団における無増悪生存期間
ITT集団における全生存期間
また、無増悪生存期間及び全生存期間について、PD-L1発現率(CPS)別に探索的に解析を行った結果を以下に示す。
PD-L1発現率 | 投与群 | 例数 | 無増悪生存期間の中央値 [95%信頼区間] (ヵ月) | ハザード比[95%信頼区間] |
CPS<1 | N+C併用群 | 140 | 8.67 [6.93〜9.69] | 0.93[0.69〜1.26] |
化学療法群 | 125 | 8.11 [6.87〜9.82] |
1≦CPS<5 | N+C併用群 | 168 | 7.16 [6.83〜8.38] | 0.93[0.73〜1.20] |
化学療法群 | 173 | 8.15 [7.03〜9.07] |
CPS≧5 | N+C併用群 | 473 | 7.69 [7.03〜9.17] | 0.69[0.59〜0.80] |
化学療法群 | 482 | 6.05 [5.55〜6.90] |
PD-L1発現率 | 投与群 | 例数 | 全生存期間の中央値 [95%信頼区間] (ヵ月) | ハザード比[95%信頼区間] |
CPS<1 | N+C併用群 | 140 | 13.08 [9.82〜16.66] | 0.92[0.70〜1.23] |
化学療法群 | 125 | 12.48 [10.12〜13.83] |
1≦CPS<5 | N+C併用群 | 168 | 12.29 [9.63〜14.26] | 0.97[0.76〜1.24] |
化学療法群 | 173 | 11.99 [10.87〜13.90] |
CPS≧5 | N+C併用群 | 473 | 14.39 [13.11〜16.23] | 0.70[0.60〜0.81] |
化学療法群 | 482 | 11.10 [10.02〜12.09] |
*22:HER2判定不能又は未測定の患者は組入れ可能とされた。
*23:食道に腫瘍の中心がある腺癌の患者も組み入れ可能とされた。
*24:本剤1回360mg及びオキサリプラチン1回130mg/m2(体表面積)を3週間間隔で点滴静注し、カペシタビン1,000mg/m2(体表面積)を1日2回、2週間経口投与後に1週間休薬、又は本剤1回240mg、オキサリプラチン1回85mg/m2(体表面積)、ホリナートカルシウム1回400mg/m2(体表面積)及びフルオロウラシル1回400mg/m2(体表面積)を2週間間隔で点滴静注し、フルオロウラシル2,400mg/m2(体表面積)を2日間かけて静脈内持続投与後に12日間休薬した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、化学療法は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
安全性評価対象782例中738例(94.4%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心323例(41.3%)、下痢253例(32.4%)、末梢性ニューロパチー221例(28.3%)、貧血203例(26.0%)、疲労202例(25.8%)、嘔吐195例(24.9%)、好中球減少症191例(24.4%)、好中球数減少158例(20.2%)、血小板減少症157例(20.1%)、食欲減退157例(20.1%)であった
29)。[
7.11、
7.12参照]
17.1.22 国際共同第II/III相試験(ONO-4538-37試験)(併用投与)
化学療法歴のないHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌又は食道胃接合部癌(腫瘍の中心が食道胃接合部より上下5cm以内に位置する腺癌)患者724例(日本人患者395例を含む。本剤と化学療法との併用(N+C併用)
*25群362例、プラセボと化学療法との併用(P+C併用)群362例)を対象に、P+C併用を対照としてN+C併用の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である無増悪生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+C併用群で10.45[8.44〜14.75]ヵ月、P+C併用群で8.34[6.97〜9.40]ヵ月であり、N+C併用群はP+C併用群に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.68[98.51%信頼区間:0.51〜0.90]、p=0.0007[層別log-rank検定]、2018年10月31日データカットオフ)。また、もう一つの主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+C併用群で17.45[15.67〜20.83]ヵ月、P+C併用群で17.15[15.18〜19.65]ヵ月であり、N+C併用群はP+C併用群に対し統計学的に有意な延長を示さなかった(ハザード比0.90[95%信頼区間:0.75〜1.08]、p=0.257[層別log-rank検定]、2020年1月31日データカットオフ)。安全性評価対象359例中351例(97.8%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパチー201例(56.0%)、食欲減退187例(52.1%)、悪心181例(50.4%)、好中球数減少157例(43.7%)、血小板数減少144例(40.1%)、下痢125例(34.8%)、白血球数減少77例(21.4%)、嘔吐72例(20.1%)、疲労72例(20.1%)であった
30)。[
7.12参照]
*25:本剤1回360mg及びオキサリプラチン1回130mg/m2(体表面積)を3週間間隔で点滴静注し、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤40mg/m2(体表面積)又はカペシタビン1,000mg/m2(体表面積)を1日2回、2週間経口投与し、1週間休薬した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、オキサリプラチンは本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
<切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫>
17.1.23 国内第II相試験(ONO-4538-41試験)(単独投与)
プラチナ製剤とペメトレキセドナトリウム水和物との併用投与に不応又は不耐の進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫患者(ECOG Performance Status 0及び1)34例を対象に、本剤240mgを2週間間隔で点滴静注した。主要評価項目である奏効率(Modified RECIST criteria(2004)に基づく中央判定によるCR又はPR)は29.4%(95%信頼区間:16.8〜46.2%)であった。なお、事前に設定した閾値は5.0%であった。また、安全性評価対象34例中23例(67.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢4例(11.8%)、発疹4例(11.8%)、リパーゼ増加4例(11.8%)であった
31)。
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 0(0.0) |
部分奏効(PR) | 10(29.4) |
安定(SD) | 13(38.2) |
進行(PD) | 9(26.5) |
評価不能 | 2(5.9) |
17.1.24 国際共同第III相試験(ONO-4538-48/CA209743試験)(併用投与)
化学療法未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者605例(日本人患者60例を含む。イピリムマブ(遺伝子組換え)併用(N+I併用)
*26群303例、化学療法群302例)を対象に、ペメトレキセドナトリウム水和物及びプラチナ製剤(シスプラチン又はカルボプラチン)併用療法を対照として、N+I併用群の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、N+I併用群で18.07[16.82〜21.45]ヵ月、化学療法群で14.09[12.45〜16.23]ヵ月であり、N+I併用投与は化学療法に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.74[96.6%信頼区間:0.60〜0.91]、p=0.002[層別log-rank検定]、2020年3月25日データカットオフ)。また、安全性評価対象300例中240例(80.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢62例(20.7%)、そう痒症49例(16.3%)、発疹43例(14.3%)、疲労41例(13.7%)、甲状腺機能低下症32例(10.7%)、悪心30例(10.0%)であった
32)。
*26:本剤1回3mg/kg(体重)を2週間間隔、イピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で点滴静注注5)した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、イピリムマブ(遺伝子組換え)は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
<悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)>
17.1.25 国内第II相試験(HCM-002試験)(単独投与)
悪性胸膜中皮腫を除く悪性中皮腫患者20例を対象に、本剤240mgを2週間間隔で点滴静注した。主要評価項目とされた中央判定による測定可能病変を有する患者(14例)における奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づくCR又はPR)は35.7%(95%信頼区間:12.8〜64.9%)であった。
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 1(7.1) |
部分奏効(PR) | 4(28.6) |
安定(SD) | 8(57.1) |
進行(PD) | 1(7.1) |
評価不能 | 0(0.0) |
また、試験において禁止された治療が実施された後に得られた有効性データを解析から除外した場合の全体集団における中央判定による奏効率は、20.0%(95%信頼区間:5.7〜43.7%)であった。安全性評価対象20例中16例(80.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発疹5例(25.0%)、甲状腺機能低下症4例(20.0%)、便秘3例(15.0%)、下痢2例(10.0%)、そう痒症2例(10.0%)であった
33)。
<がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌>
17.1.26 海外第II相試験(CA209142試験)(単独投与、併用投与)
[1]フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤及び[2]オキサリプラチン又はイリノテカン塩酸塩水和物を含む化学療法歴のある治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)又はミスマッチ修復欠損(dMMR)を有する結腸・直腸癌患者74例を対象に、本剤3mg/kgを2週間間隔で点滴静注
注1)した。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく治験責任医師判定によるCR又はPR)の結果は、31.1%(95%信頼区間:20.8〜42.9%、2016年8月10日データカットオフ)であった。また、安全性評価対象74例中51例(68.9%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労17例(23.0%)、下痢16例(21.6%)、そう痒症10例(13.5%)、リパーゼ増加9例(12.2%)、発疹8例(10.8%)であった
34)。
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 0(0.0) |
部分奏効(PR) | 23(31.1) |
安定(SD) | 29(39.2) |
進行(PD) | 18(24.3) |
評価不能 | 4(5.4) |
[1]フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤及び[2]オキサリプラチン又はイリノテカン塩酸塩水和物を含む化学療法歴のある治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)又はミスマッチ修復欠損(dMMR)を有する結腸・直腸癌患者119例を対象に、本剤とイピリムマブ(遺伝子組換え)を併用投与した
*27。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく治験責任医師判定によるCR又はPR)の結果は、54.6%(95%信頼区間:45.2〜63.8%、2017年7月6日データカットオフ)であった。また、安全性評価対象119例中87例(73.1%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢26例(21.8%)、疲労21例(17.6%)、そう痒症20例(16.8%)、発熱18例(15.1%)、AST増加17例(14.3%)、甲状腺機能低下症16例(13.4%)、悪心15例(12.6%)、ALT増加14例(11.8%)、甲状腺機能亢進症13例(10.9%)、発疹13例(10.9%)であった
35)。[
5.16参照]
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 4(3.4) |
部分奏効(PR) | 61(51.3) |
安定(SD) | 37(31.1) |
進行(PD) | 14(11.8) |
評価不能 | 3(2.5) |
*27:本剤1回3mg/kg(体重)とイピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を同日に3週間間隔で4回点滴静注した後、本剤1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注注4)した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、イピリムマブ(遺伝子組換え)は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
<根治切除不能な進行・再発の食道癌>
17.1.27 国際共同第III相試験(ONO-4538-24/BMS CA209473試験)(単独投与)
フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤及びプラチナ製剤を含む併用療法に不応又は不耐の根治切除不能な進行・再発の食道癌患者
*28388例(日本人患者274例を含む。本剤群193例、対照群195例)を対象に、タキサン系薬剤(ドセタキセル又はパクリタキセル)を対照として本剤240mgを2週間間隔で点滴静注したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である全生存期間(中央値[95%信頼区間])は、本剤群で11.17[9.99〜13.73]ヵ月、対照群で8.54[7.20〜9.89]ヵ月であり、本剤はタキサン系薬剤に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.79[95%信頼区間:0.63〜0.99]、p=0.0381[層別log-rank検定]、2018年11月12日データカットオフ)。また、安全性評価対象192例中129例(67.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発疹23例(12.0%)、下痢20例(10.4%)、甲状腺機能低下症17例(8.9%)、そう痒症17例(8.9%)、食欲減退15例(7.8%)、発熱15例(7.8%)、疲労14例(7.3%)であった
36)。[
5.18参照]
*28:大動脈、気管等への明らかな浸潤を認めず、かつ食道又は気管にステント治療法を実施していない患者が対象とされた。
17.1.28 国際共同第III相試験(ONO-4538-50/CA209648試験)(併用投与)
化学療法未治療の根治切除不能な進行・再発の食道癌
*29患者970例(日本人患者394例を含む。本剤とイピリムマブ(遺伝子組換え)併用(N+I併用)
*30群325例、本剤と化学療法(フルオロウラシルとシスプラチンとの併用)併用(N+C併用)
*31群321例、化学療法群324例)を対象に、化学療法を対照として、N+I併用群及びN+C併用群の有効性及び安全性を検討した。主要評価項目であるTPS≧1%集団における無増悪生存期間について、N+C併用群は化学療法群に対し統計学的に有意な延長を示した。また、もう一つの主要評価項目であるTPS≧1%集団における全生存期間について、N+I併用群及びN+C併用群はいずれも化学療法群に対し、統計学的に有意な延長を示した。さらに、事前に規定された検定手順及び有意水準の割当てに従って検定が行われた結果、副次評価項目とされたITT集団における全生存期間について、N+I併用群及びN+C併用群はいずれも化学療法群に対し、統計学的に有意な延長を示した(2021年1月18日データカットオフ)。
| 患者集団 | 投与群 | 例数 | 中央値 [95%信頼区間] (ヵ月) | ハザード比 |
PFS | TPS≧1% | N+I併用群 | 158 | 4.04 [2.40〜4.93] | 1.02 [98.5%信頼区間:0.73〜1.43] |
N+C併用群 | 158 | 6.93 [5.68〜8.34] | 0.65 [98.5%信頼区間:0.46〜0.92] |
化学療法群 | 157 | 4.44 [2.89〜5.82] | − |
OS | TPS≧1% | N+I併用群 | 158 | 13.70 [11.24〜17.02] | 0.64 [98.6%信頼区間:0.46〜0.90] |
N+C併用群 | 158 | 15.44 [11.93〜19.52] | 0.54 [99.5%信頼区間:0.37〜0.80] |
化学療法群 | 157 | 9.07 [7.69〜9.95] | − |
ITT | N+I併用群 | 325 | 12.75 [11.27〜15.47] | 0.78 [98.2%信頼区間:0.62〜0.98] |
N+C併用群 | 321 | 13.21 [11.14〜15.70] | 0.74 [99.1%信頼区間:0.58〜0.96] |
化学療法群 | 324 | 10.71 [9.40〜11.93] | − |
ITT集団における全生存期間(イピリムマブ併用群と化学療法群との比較)
ITT集団における全生存期間(化学療法併用群と化学療法群との比較)
また、無増悪生存期間及び全生存期間について、TPS<1%集団に対して探索的に解析を行った結果を以下に示す。
| 投与群 | 例数 | 中央値 [95%信頼区間] (ヵ月) | ハザード比[95%信頼区間] |
PFS | N+I併用群 | 164 | 2.83 [1.68〜4.17] | 1.45[1.13〜1.88] |
N+C併用群 | 163 | 5.55 [4.44〜6.93] | 0.95[0.73〜1.24] |
化学療法群 | 166 | 5.75 [5.39〜6.97] | − |
OS | N+I併用群 | 164 | 11.96 [10.09〜16.03] | 0.96[0.74〜1.25] |
N+C併用群 | 163 | 11.96 [9.86〜15.54] | 0.98[0.76〜1.28] |
化学療法群 | 166 | 12.16 [10.71〜14.00] | − |
*29:病理組織学的検査において扁平上皮癌又は腺扁平上皮癌(主に扁平上皮癌が分化)と診断され、大動脈、気管等への明らかな浸潤を認めない患者が対象とされた。
*30:本剤1回3mg/kg(体重)を2週間間隔注7)、イピリムマブ(遺伝子組換え)1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で点滴静注した。併用投与時においては、本剤を最初に投与し、イピリムマブ(遺伝子組換え)は本剤の投与終了から30分以上の間隔をおいて投与を開始した。
*31:4週間を1サイクルとして、本剤1回240mgを2週間間隔、フルオロウラシル800mg/m2/日を各サイクルの1日目から5日目まで(5日間)、シスプラチン80mg/m2を各サイクルの1日目に静脈内投与した。本剤と化学療法を同日に投与する場合は本剤を最初に投与し、フルオロウラシル及びシスプラチンは本剤の投与終了から30分以上間隔をおいて投与を開始した。
N+I併用群の安全性評価対象322例中256例(79.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発疹55例(17.1%)、甲状腺機能低下症43例(13.4%)、そう痒症43例(13.4%)であった。N+C併用群の安全性評価対象310例中297例(95.8%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心182例(58.7%)、食欲減退132例(42.6%)、口内炎98例(31.6%)、貧血93例(30.0%)、好中球数減少65例(21.0%)、疲労61例(19.7%)、下痢60例(19.4%)、便秘59例(19.0%)、嘔吐56例(18.1%)、倦怠感50例(16.1%)であった
37)。[
5.18、
7.16、
7.17参照]
<食道癌における術後補助療法>
17.1.29 国際共同第III相試験(ONO-4538-43/CA209577試験)(単独投与)
術前化学放射線療法により病理学的完全奏効(pCR)が認められなかった
*32食道癌又は食道胃接合部癌(腫瘍の中心が食道胃接合部より上下5cm以内に位置する腺癌又は扁平上皮癌)の術後患者794例(日本人患者63例を含む。本剤群532例、プラセボ群262例)を対象に、プラセボを対照として本剤240mgを2週間間隔で8回点滴静注した後、480mgを4週間間隔で点滴静注
注8)(最長12ヵ月間)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である無病生存期間(中央値[95%信頼区間])は、本剤群で22.41[16.62〜34.00]ヵ月、プラセボ群で11.04[8.34〜14.32]ヵ月であり、本剤はプラセボに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.69[96.4%信頼区間:0.56〜0.86]、p=0.0003[層別log-rank検定]、2020年5月12日データカットオフ)。また、安全性評価対象532例中376例(70.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、疲労90例(16.9%)、下痢88例(16.5%)、そう痒症53例(10.0%)であった
38)。[
5.21参照]
*32:術後の病理組織学的検査でAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)病期分類(第7版)に基づくypT1以上又はypN1以上であることと定義された。
<原発不明癌>
17.1.30 国内第II相試験(NM-K2002試験)(単独投与)
腫瘍が転移巣であることが組織学的検査で確認され、かつ胸腹部骨盤CT、FDG-PET、上下部消化管内視鏡検査等の画像検索及び必要に応じた専門的な診察(乳腺科、婦人科、泌尿器科及び耳鼻科)により、十分な全身検索を実施した上でも原発巣が特定されなかった上皮性悪性腫瘍(悪性黒色腫、悪性リンパ腫及び肉腫は除く)患者
*3356例を対象に、本剤240mgを2週間間隔で点滴静注した。主要評価項目である化学療法歴を有する患者(45例)の奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定によるCR又はPR)の結果は、22.2%(95%信頼区間:11.2〜37.1%、事前に設定した閾値は5.0%)であった。なお、化学療法歴のない患者(11例)の奏効率の結果は、18.2%(95%信頼区間:2.3〜51.8%)であった。また、安全性評価対象56例中35例(62.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、甲状腺機能低下症9例(16.1%)、発疹9例(16.1%)、そう痒症6例(10.7%)であった
39)。[
5.23参照]
| 化学療法歴有 例数(%) | 化学療法歴無 例数(%) |
完全奏効(CR) | 2(4.4) | 1(9.1) |
部分奏効(PR) | 8(17.8) | 1(9.1) |
安定(SD) | 14(31.1) | 4(36.4) |
進行(PD) | 18(40.0) | 4(36.4) |
評価不能 | 3(6.7) | 1(9.1) |
*33:以下のいずれかに該当する患者は除外とした。
・腋窩リンパ節腫大のみを有する女性の腺癌患者
・腹膜播種(腹水)のみを有する女性の腺癌患者
・頚部リンパ節腫大のみを有する扁平上皮癌患者
・鼠径部リンパ節腫大のみを有する扁平上皮癌患者
・胚細胞腫瘍又は神経内分泌腫瘍の特徴を有する患者
・骨硬化性の骨転移のみを有し、血清又は腫瘍内の前立腺特異抗原(PSA)が高値を示す男性患者
<尿路上皮癌における術後補助療法>
17.1.31 国際共同第III相試験(ONO-4538-33/CA209274試験)(単独投与)
筋層浸潤性尿路上皮癌の術後患者*34709例(日本人患者49例を含む。本剤群353例、プラセボ群356例)を対象に、プラセボを対照として本剤240mgを2週間間隔で点滴静注(最長12ヵ月間)したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である無病生存期間(中央値[95%信頼区間])は、本剤群で20.76[16.49〜27.63]ヵ月、プラセボ群で10.84[8.25〜13.86]ヵ月であり、本剤群はプラセボ群に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.70[98.22%信頼区間:0.55〜0.90]、p=0.0008[層別log-rank検定]、2020年8月27日データカットオフ)。
*34:シスプラチンを含む術前補助療法を受け、術後の病理組織学的診断結果がypT2-ypT4a又はypN+の患者、又はシスプラチンを含む術前補助療法を受けておらず、術後の病理組織学的診断結果がpT3-pT4a又はpN+であり、かつシスプラチンを含む術後補助療法が不適応又は当該療法を拒否した患者を対象とした。
また、無病生存期間について、原発部位別に探索的に解析を行った結果を以下に示す。
原発部位 | 投与群 | 例数 | 中央値[95%信頼区間](ヵ月)*35 | ハザード比[95%信頼区間] |
膀胱 | 本剤群 | 279 | 21.88[17.35〜40.54] | 0.62[0.49〜0.78] |
プラセボ群 | 281 | 8.41[7.26〜13.57] |
腎盂 | 本剤群 | 44 | 19.45[6.41〜NE] | 1.23[0.67〜2.23] |
プラセボ群 | 52 | 25.95[8.25〜NE] |
尿管 | 本剤群 | 30 | 11.10[5.59〜27.04] | 1.56[0.70〜3.48] |
プラセボ群 | 23 | 8.44[5.42〜NE] |
安全性評価対象351例中272例(77.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、そう痒症81例(23.1%)、疲労61例(17.4%)、下痢59例(16.8%)、発疹53例(15.1%)であった
40)。[
5.25、
5.26参照]
<根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍>
17.1.32 国内第II相試験(KCTR-D014試験)(単独投与)
根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍患者31例(有棘細胞癌20例、基底細胞癌2例、乳房外パジェット病4例、皮膚付属器癌5例(エクリン汗孔癌3例、汗腺癌1例、皮膚粘液癌1例))を対象に、本剤480mgを4週間間隔で点滴静注した。主要評価項目である奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく独立中央判定によるCR又はPR)は19.4%(95%信頼区間:7.5〜37.5%、事前に設定した閾値は5.0%)であった。
| 例数(%) |
完全奏効(CR) | 0(0.0) |
部分奏効(PR) | 6(19.4) |
安定(SD) | 11(35.5) |
進行(PD) | 9(29.0) |
評価不能 | 5(16.1) |
また、本試験に登録された31例における病理組織型別の奏効率(RECISTガイドライン1.1版に基づく独立中央判定によるCR又はPR)は下表のとおりであった。
| 例数 | 奏効率[95%信頼区間](%) |
有棘細胞癌 | 20 | 20.0[5.7,43.7] |
基底細胞癌 | 2 | 50.0[1.3,98.7] |
乳房外パジェット病 | 4 | 25.0[0.6,80.6] |
皮膚付属器癌 | 5 | 0 |
安全性評価対象31例中18例(58.1%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、甲状腺機能亢進症4例(12.9%)、血中甲状腺刺激ホルモン減少4例(12.9%)、甲状腺機能低下症3例(9.7%)、発熱3例(9.7%)であった
41)。[
5.29参照]
注1)本剤の承認された単独投与の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。」である。
注2)本剤の承認された根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。」である。
注3)本剤の承認された切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対して他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。」である。
注4)本剤の承認された化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。」である。
注5)本剤の承認された切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。」である。
注6)本剤の承認された再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
通常、小児にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。なお、体重40kg以上の小児には、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注することもできる。」である。
注7)本剤の承認された根治切除不能な進行・再発の食道癌に対して他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。」である。
注8)本剤の承認された食道癌における術後補助療法の用法及び用量は「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、食道癌における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。」である。