医療用医薬品 : ヌーイック

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医薬品情報


総称名 ヌーイック
一般名 シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Simoctocog Alfa(Genetical Recombination)
製剤名 シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
薬効分類名 遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤
薬効分類番号 6349
ATCコード B02BD02
KEGG DRUG
D10842 シモクトコグアルファ
KEGG DGROUP
DG00170 血液凝固第VIII因子
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年7月 改訂(第4版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヌーイック静注用250 NUWIQ FOR I.V.INJECTION 藤本製薬 6343457D1029 22543円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ヌーイック静注用500 NUWIQ FOR I.V.INJECTION 藤本製薬 6343457D2025 41865円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ヌーイック静注用1000 NUWIQ FOR I.V.INJECTION 藤本製薬 6343457D3021 77750円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ヌーイック静注用2000 NUWIQ FOR I.V.INJECTION 藤本製薬 6343457D4028 144395円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ヌーイック静注用2500 NUWIQ FOR I.V.INJECTION 藤本製薬 6343457D5024 176210円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ヌーイック静注用3000 NUWIQ FOR I.V.INJECTION 藤本製薬 6343457D6020 207370円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ヌーイック静注用4000 NUWIQ FOR I.V.INJECTION 藤本製薬 6343457D7027 268164円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制

6. 用法及び用量

本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内投与する。1分間に4mLを超える注射速度は避けること。
通常、1回体重1kg当たり10〜30国際単位を投与するが、患者の症状に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、12歳以上の患者には、通常、1回体重1kg当たり30〜40国際単位を週3回又は隔日投与する。患者の状態に応じ、投与量は1回体重1kg当たり65国際単位を超えない範囲で、投与間隔は3〜5日の範囲で適宜調節することもできる。12歳未満の患者には、通常、1回体重1kg当たり30〜50国際単位を週3回又は隔日投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 体重1kg当たり1国際単位の本剤を投与することにより、血漿中の第VIII因子レベルが2%(2IU/dL)上昇することが見込まれる。必要量は以下の計算式に基づいて算出する。
必要量(IU)=体重(kg)×血液凝固第VIII因子の目標上昇値(%又はIU/dL)×0.5[(IU/kg)/(IU/dL)]
7.2 出血時の治療における本剤の投与方法を以下に示す。
下表に示す血液凝固第VIII因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する投与量及び投与間隔を調節すること。
出血の程度必要な血液凝固第VIII因子レベル(%又はIU/dL)投与間隔(時間)投与期間
軽度:
表在筋出血、軟組織出血、口腔内出血
20-4012-24少なくとも1日、出血症状が回復するまで
中等度及び重度:
筋肉内出血、口腔内出血、関節内出血、既知の外傷
30-6012-24出血症状が回復するまで3〜4日間又はそれ以上
生命を脅かす出血:
頭蓋内出血、腹腔内出血、消化管出血、胸腔内出血、中枢神経系の出血、咽頭後間隙の出血、腸腰筋鞘の出血、眼/網膜の出血、骨折又は頭部外傷
60-1008-24出血リスクが消失するまで
7.3 周術期(手術前後の出血管理)の本剤の投与方法を以下に示す。
下表に示す血漿中第VIII因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する投与量及び投与間隔を調節すること。
手術の種類必要な血液凝固第VIII因子レベル(%又はIU/dL)投与間隔(時間)投与期間
小手術:
抜歯を含む
30-60(手術前後)8-24少なくとも1日、治癒まで
大手術:
頭蓋内手術、腹腔内手術又は人工関節置換術
80-100(手術前後)8-24十分な創傷治癒が得られるまで、引き続き7日間は血液凝固第VIII因子活性を30〜60%(IU/dL)に維持できるよう追加投与する。
7.4 定期的な投与の用法及び用量は患者の薬物動態、患者の状態等を考慮して決定すること。[17.1.1参照]

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
8.2 患者の血中に血液凝固第VIII因子に対するインヒビターが発生するおそれがある。特に、血液凝固第VIII因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビターが発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビターの発生を疑い、回収率やインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
8.3 十分な血液凝固第VIII因子レベルに到達・維持していることを確認するため、必要に応じ血漿中血液凝固第VIII因子レベルをモニタリングすること。
8.4 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には、速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本剤の成分又は他の血液凝固第VIII因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者11.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
じん麻疹、悪寒、血管浮腫、呼吸困難、血圧低下、頻脈等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%以上1%未満
免疫系障害 過敏症
神経系障害 頭痛、浮動性めまい
皮膚および皮下組織障害発疹じん麻疹
筋骨格系および結合組織障害 背部痛
一般・全身障害および投与部位の状態発熱倦怠感、胸痛、悪寒
血液およびリンパ系障害インヒビターの発生注) 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 調製前に室温に戻しておくこと。
14.1.2 添付の溶解液以外は使用しないこと。本剤に溶解液全量を加えた後、静かに円を描くように回して溶解すること(激しく振とうしないこと)。
14.1.3 他の製剤と混合しないこと。
14.1.4 溶解した液は暗所で常温(15〜25℃)にて3時間保存することができる。3時間以内に使用しない場合は、廃棄すること。
14.1.5 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
溶解した液は、無色澄明で沈殿を認めない。沈殿の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと。
14.3 薬剤交付時の注意
14.3.1 本剤を患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内で保管することが望ましいが、常温(15〜25℃)で保存することもできる。常温で保存した場合は、使用期限を超えない範囲で3カ月以内(250IUバイアルのみ1カ月以内)に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
14.3.2 子供による誤用を避けるため、薬剤の保管には十分注意すること。
14.3.3 光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
14.3.4 使用済みの医療機器の処理については、主治医の指示に従うこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
本剤はVon Willebrand因子を含んでいない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 18歳以上の患者
18歳以上の治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)を対象に、本剤60±5IU/kgを単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)
薬物動態パラメータ日本人9例外国人38例
AUCnorm(h・IU/mL/(IU/kg))0.33±0.170.30±0.10
T1/2(h)17.3±4.915.3±3.8
IVR(%/IU/kg)1.66±0.541.80±0.39
CL(mL/h/kg)3.75±1.663.89±1.69
Vss(mL/kg)76.1±17.072.1±16.5
16.1.2 小児
2〜12歳の治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)を対象に、本剤50IU/kgを単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)
薬物動態パラメータ2〜5歳外国人13例6〜12歳外国人13例
AUCnorm(h・IU/mL/(IU/kg))0.22±0.100.26±0.06
T1/2(h)11.9±5.413.1±2.6
IVR(%/IU/kg)1.57±0.171.64±0.38
CL(mL/h/kg)5.41±2.324.05±0.92
Vss(mL/kg)68.3±10.466.1±16.0

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第IIIb相試験(18歳以上の患者)
(1)定期的な投与に関する有効性
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)56例(日本人10例)を対象に、第I期では本剤30〜40IU/kgを隔日又は週3回で投与した。その後、第II期では患者個人の薬物動態及び出血状況等を考慮し、本剤65IU/kg以下の用量で、週2回以下の投与間隔に調節可能とした。投与間隔は、患者個人の薬物動態データからFVIII活性トラフ値が1%(1IU/dL)に維持できる最長の間隔とされ、投与量は、自然出血の頻度及び重症度に応じて約5IU/kgを増量可能とし、増量後も出血する場合は投与間隔を短くした。投与間隔は最長5日まで延長された。評価期間ごとの年換算出血率は以下のとおりであった3)
評価期間投与間隔例数平均値±標準偏差中央値[範囲]
第I期隔日又は週3回563.85±6.980[0,24.7]
第II期全体564.67±6.462.04[0,26.8]
 週2回超274.52±5.972.1[0,25.9]
週2回以下、5日間以内294.82±6.982.0[0,26.8]
(2)周術期の止血効果
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)6例(日本人1例)で実施された12件の手術(大手術8件、小手術4件)で、手術前後に本剤が投与された。全体の有効性評価は、評価の得られた11件すべてが「著効」又は「有効」と評価された4)
(3)安全性
安全性解析対象集団58例(日本人11例)のうち1例(外国人)に3件の副作用(胸痛1件、浮動性めまい2件)が発現した5)
17.1.2 海外第III相試験(小児)
(1)定期補充療法
2〜12歳の外国人で治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)59例を対象に、定期補充療法として本剤を隔日又は週3回、少なくとも6カ月間投与した。年換算出血率の平均値(±SD)は、4.12(±5.22)、中央値は1.90(範囲:0-20.7)であった2)
(2)出血時の止血効果
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)59例のうち、32例で発現した108件の出血エピソードが本剤で治療された。止血成功と評価された割合(著効又は有効)は、82.4%であり、81.3%の出血エピソードは、本剤の1〜2回の投与で止血した2)
(3)安全性
安全性解析対象集団59例のうち2例に2件の副作用(背部痛、頭痛)が発現した2)
17.1.3 海外第II相試験(12〜65歳の患者)
(1)出血時の止血効果
12〜65歳の外国人で治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%以下)22例を対象に、本剤の出血時補充療法を評価した。22例で発現した計986件の出血エピソードで本剤が投与された。986件の出血エピソードのうち、642件(65%)が自然出血、341件(35%)は外傷性出血、3件(0.3%)が他の理由による出血であった。出血エピソードの治療時における本剤投与1回当たりの平均投与量は32IU/kgであった。止血成功と評価された割合(著効又は有効)は、94.4%であり、96.8%の出血エピソードは、本剤の1〜2回の投与で止血した3)
(2)安全性
本剤に関連した副作用は発現しなかった4)
17.1.4 海外第IIIb相試験(18歳以上の患者)
(1)定期的な投与に関する有効性
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)66例を対象に、本剤30〜40IU/kgを隔日又は週3回で投与した。その後、患者の薬物動態及び出血状況等を考慮し、本剤60〜80IU/kgの投与量で、投与間隔の延長が検討され、最長5日間隔まで延長された。年換算出血率の平均値(±SD)及び中央値(範囲)は、投与間隔延長した場合を含む全体(66例)で、3.05±13.43及び0(範囲:0-106.9)であった4)
(2)安全性
安全性解析対象集団66例のうち1例に2件の副作用(倦怠感、浮動性めまい)が発現した4)
17.1.5 海外第III相試験(治療歴のない患者)
(1)免疫原性
外国人で治療歴のない重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)108例(月齢中央値:9.5カ月、範囲:0-146カ月)を対象に、本剤の免疫原性を検討した。本剤の投与方法としては定期補充療法(20〜50IU/kg)が推奨されたが、出血時補充療法も可能であり、試験参加期間(曝露日数)は100日と計画された(最大5年間)。本剤投与後にインヒビター検査を実施した105例のうち、28例(26.7%;95%CI:18.5-36.2)でインヒビターが発現した4)
(2)安全性
安全性解析対象集団108例のうち45例で計70件の副作用が発現した。最も頻度の高かった副作用はインヒビターの発生25.9%(28例)であった。[11.2参照]

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は血液凝固第VIII因子の欠乏を一時的に補正することにより、出血傾向を抑制する。
18.2 止血効果
血友病Aモデルのイヌにおいて、本剤の静脈内投与により止血効果が認められた。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)

一般的名称 シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Simoctocog Alfa(Genetical Recombination)
分子量 約170,000
理化学知見その他 シモクトコグ アルファは遺伝子組換えヒト血液凝固第VIII因子類縁体であり、ヒト血液凝固第VIII因子の1〜756番目及び1,649〜2,332番目のアミノ酸に相当する。シモクトコグ アルファは、756個のアミノ酸残基からなるH鎖及び684個のアミノ酸残基からなるL鎖で構成される糖タンパク質(分子量:約170,000)である。シモクトコグ アルファは、ヒト胎児由来腎細胞により産生される。
KEGG DRUG D10842

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

ヌーイック静注用250×1バイアル
ヌーイック静注用500×1バイアル
ヌーイック静注用1000×1バイアル
ヌーイック静注用2000×1バイアル
ヌーイック静注用2500×1バイアル
ヌーイック静注用3000×1バイアル
ヌーイック静注用4000×1バイアル
添付溶解液プレフィルドシリンジ
「日本薬局方 注射用水2.5mL」×1シリンジ付き

23. 主要文献

  1. 社内資料:GENA-21b試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.2.2)
  2. Klukowska A,et al., Haemophilia., 22 (2), 232-239, (2016) »PubMed
  3. 社内資料:GENA-21b及びGENA-01試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.3.2)
  4. 社内資料:GENA-21b、GENA-01、GENA-21及びGENA-05試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.6.2)
  5. 社内資料:GENA-21b試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.4.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
藤本製薬株式会社 学術部
〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号
電話:0120-225-591
FAX:0120-116-026
製品情報問い合わせ先
藤本製薬株式会社 学術部
〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号
電話:0120-225-591
FAX:0120-116-026

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
藤本製薬株式会社
〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号
藤本製薬グループ
26.2 提携先
Octapharma AG
スイス

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/09/18 版