医療用医薬品 : バキスゼブリア

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医薬品情報


総称名 バキスゼブリア
薬効分類名 ウイルスワクチン類
薬効分類番号 6313
ATCコード J07BN02
KEGG DRUG
D12115 コロナウイルス
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年10月 改訂(第8版)


本剤の使用にあたっては、あらかじめ被接種者又は代諾者に、本剤に関する最新の有効性及び安全性について文書で説明した上で、予診票等で文書による同意を得た上で接種すること。また、有害事象が認められた際には、必要に応じて予防接種法に基づく副反応疑い報告制度等に基づき報告すること。なお、本剤の製造販売後に収集された情報については、最新の情報を随時参照すること。

商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
バキスゼブリア筋注 Vaxzevria Intramuscular Injection アストラゼネカ 631341FA1024 注意−特例承認医薬品, 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

予防接種を受けることが適当でない者
2.1 明らかな発熱を呈している者
2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
2.3 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者[8.59.1.611.1.1参照]
2.4 SARS-CoV-2ワクチンの接種後に血小板減少症を伴う静脈もしくは動脈の血栓症を発現したことがある者[8.811.1.215.1.1参照]
2.5 毛細血管漏出症候群の既往歴のある者[8.915.1.2参照]
2.6 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

4. 効能または効果

SARS-CoV-2による感染症の予防

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

6. 用法及び用量

1回0.5mLを4〜12週間の間隔をおいて2回筋肉内に接種する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤は2回接種により効果が確認されていることから、原則として、同一の効能・効果をもつ他のワクチンと混同することなく2回接種するよう注意すること。
7.2 本剤について最大の効果を得るためには8週以上の間隔をおいて接種することが望ましい。[17.1.2参照]
7.3 本剤の接種は18歳以上の者に行う。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察によって健康状態を調べること。[9.1参照]
8.3 ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
8.4 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、痙攣等の症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう指導すること。
8.5 本剤接種後にショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい。本剤の初回接種時にショック、アナフィラキシーが認められた被接種者に対しては、本剤2回目の接種を行わないこと。[2.39.1.611.1.1参照]
8.6 本剤との関連性は確立されていないが、本剤接種後に、非常にまれに脱髄疾患が報告されている。被接種者に対しては、脱髄疾患が疑われる症状(運動障害、感覚障害、筋力低下、膀胱直腸障害、視力障害等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。
8.7 本剤と他のSARS-CoV-2ワクチンの互換性に関する安全性、免疫原性、有効性のデータはない。
8.8 本剤接種後に重篤な、血小板減少症を伴う血栓症(一部には出血が伴う)が認められている。この中には、脳静脈洞血栓症や内臓静脈血栓症等の、非常にまれな静脈血栓症や動脈血栓症が含まれている。多くは本剤接種後28日以内に発現しており、致死的転帰の症例も報告されている。血栓塞栓症もしくは血小板減少症のリスク因子を有する者への接種にあたっては、予防接種上のベネフィットと潜在的なリスクを考慮すること。また、被接種者に対しては、特に本剤接種の4〜28日後は重度もしくは持続的な頭痛、霧視、錯乱、痙攣発作、息切れ、胸痛、下肢腫脹、下肢痛、持続的な腹痛、あるいは接種部位以外の皮膚の内出血もしくは点状出血等の症状に注意し、これらの症状が認められた場合には直ちに医師の診察を受けるように指導すること。本剤接種後に血小板減少を認めた被接種者に対しては、血栓症の徴候を十分に精査すること。また、本剤接種後に血栓症を発現した被接種者に対しては、血小板数の評価を行うこと。血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療にあたっては、適切なガイドラインを参照すること。[2.411.1.215.1.1参照]
8.9 本剤との関連性は確立されていないが、本剤接種後に、非常にまれに毛細血管漏出症候群が報告されている。被接種者に対しては、毛細血管漏出症候群が疑われる症状(手足の浮腫、低血圧等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。[2.515.1.2参照]
8.10 本剤との関連性は確立されていないが、本剤接種後に、非常にまれにギラン・バレー症候群が報告されている。被接種者に対しては、ギラン・バレー症候群が疑われる症状(四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。
8.11 本剤接種後に、免疫性血小板減少症が報告されているため、必要に応じて血小板数の検査を行うこと。[9.1.711.1.3参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 接種要注意者
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。[8.2参照]
9.1.1 血小板減少症、凝固障害のある者、抗凝固療法を施行している者
筋肉注射部位の出血や内出血のおそれがある。
9.1.2 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
本剤に対する免疫応答が低下する可能性がある。
9.1.3 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
9.1.4 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
9.1.5 過去に痙攣の既往のある者
9.1.6 本剤の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者[2.38.511.1.1参照]
9.1.7 免疫性血小板減少症の既往歴のある者
血小板数のモニタリングを行うことが望ましい。[8.1111.1.3参照]
9.2 腎機能障害を有する者
接種要注意者である。
9.3 肝機能障害を有する者
接種要注意者である。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
9.6 授乳婦
予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
18歳未満を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
接種にあたっては、問診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること。一般に、生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)[2.38.59.1.6参照]
11.1.2 血栓症・血栓塞栓症(脳静脈血栓症・脳静脈洞血栓症、内臓静脈血栓症等)(頻度不明)
血小板減少を伴うことがある。[2.48.815.1.1参照]
11.1.3 免疫性血小板減少症(頻度不明)[8.119.1.7参照]
注)本剤をSD、SDSD及びSDLDレジメンで接種されたデータに基づく
11.2 その他の副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
 5%以上1%〜5%未満1%未満頻度不明
血液  リンパ節症血小板減少
精神神経系頭痛a)(51.1%) 浮動性めまい、傾眠、錯感覚、感覚鈍麻(0.1%未満) 
耳および迷路障害   耳鳴
消化器悪心a)(20.5%)嘔吐a)下痢、腹痛、食欲減退 
皮膚  多汗症、そう痒症、発疹、蕁麻疹(0.1%未満)皮膚血管炎
筋・骨格系筋肉痛a)(43.5%)、関節痛a)(26.6%)四肢痛  
局所症状(注射部位)注射部位圧痛a)(62.9%)、注射部位疼痛a)(54.7%)、注射部位熱感a)(17.9%)、注射部位挫傷a)(17.9%)、注射部位そう痒感a)(13.1%)注射部位腫脹a)、注射部位発赤a)、注射部位硬結a)  
全身症状疲労a)(51.6%)、倦怠感a)(43.8%)、発熱感a)(33.5%)、悪寒a)(31.0%)、発熱a)無力症インフルエンザ様疾患血管性浮腫

14. 適用上の注意

14.1 カルタヘナ法に関する規定に係る注意
本剤の成分に含まれる、E1及びE3遺伝子を欠失し、SARS-CoV-2(nCoV-19)のスパイク糖タンパク質をコードする遺伝子を含む非増殖型遺伝子組換えチンパンジーアデノウイルスY25型(ChAdOx1 nCoV-19)については、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」に基づき承認された第一種使用規程(承認番号:21-36V-0003)が定められていることから、本剤の使用にあたっては第一種使用規程を遵守する必要があることに留意すること。
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 冷蔵庫から取り出し室温になってから使用すること。
14.2.2 本剤1バイアルには10回接種分が含まれる。
14.2.3 使用前に不溶性異物や変色がないことを目視により確認すること。不溶性異物又は変色が認められる場合は使用しないこと。
14.2.4 一度針をさしたものは、遮光して、室温保存では6時間以内、2〜8℃保存では48時間以内に使用すること。
14.3 薬剤接種時の注意
14.3.1 通常、三角筋に筋肉内接種すること。静脈内、皮内、皮下への接種は行わないこと。
14.3.2 筋肉内注射に当たっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
・針長は筋肉内接種に足る長さであるが、組織や血管あるいは骨に到達しないよう、各接種者に対して適切な針長を決定すること。
・神経走行部位を避けること。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
14.3.3 注射針及び注射筒は、被接種者ごとに取り換えること。
14.3.4 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外の市販後において、本剤接種後に血小板減少症を伴う血栓症が認められた症例で、ヘパリンと血小板第4因子の複合体に対する抗体(HIT抗体)が高値であったとの報告がある。1)2)2.48.811.1.2参照]
15.1.2 本剤との関連性は確立されていないが、海外において、本剤接種後に非常にまれに、主に手足の浮腫、低血圧、血液濃縮、低アルブミン血症等を呈する毛細血管漏出症候群が報告されている。また、これらの報告の中には、毛細血管漏出症候群の既往歴のある症例、致死的な転帰をたどった症例が含まれていた。[2.58.9参照]

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第I/II相試験(D8111C00002試験)
18歳以上の男女256例(本剤群及びプラセボ[生理食塩水]群)を対象とした無作為化比較対照二重盲検試験3)において、本剤の標準用量(5×1010vp)を2回(SDSD)筋肉内に4週間間隔で接種した。18〜55歳の男女128例、56〜69歳の男女86例、70歳以上の男女42例が含まれた。
(1)免疫原性
18〜55歳の男女128例(本剤群96例、プラセボ群32例)及び56歳以上の男女128例(本剤群96例、プラセボ群32例)のうち、本剤の2回目接種を完了したそれぞれ83例及び91例を対象に免疫原性を評価した。2回目接種後28日におけるSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質抗原に対する抗体応答率注)は、18〜55歳及び56歳以上のいずれも100%、抗体価の幾何平均値(GMT)はそれぞれ14,986.27及び12,824.27AU/mLであった。2回目接種後28日におけるSARS-CoV-2に対する中和抗体応答率注)は、18〜55歳及び56歳以上でそれぞれ67.5%及び57.0%、GMTはそれぞれ107.30及び90.00であった。
注)抗体応答率は、接種後の抗体価が初回接種前の4倍以上に上昇した被接種者の割合を示す。なお、SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質抗原に対する抗体はマルチプレックスイムノアッセイにより、SARS-CoV-2に対する中和抗体は偽型ウイルス中和分析法によりそれぞれ測定した。
(2)安全性
18歳以上の男女256例(本剤群192例、プラセボ群64例)を対象に治験薬接種後6日間(接種日含め7日間)、被験者日誌により収集した副反応を評価した。本剤1回又は2回接種後の副反応の発現割合は、局所66.1%及び全身59.9%であり、主な副反応は表1のとおりであった。これらの事象のうち、1回目接種後の全ての事象の発現日(中央値)は接種翌日であり、持続期間(事象の発現した日数、中央値)は注射部位圧痛4日、注射部位疼痛3日、筋肉痛2日、その他の事象は1日であった。2回目接種後の発現日(中央値)は発熱は接種当日、その他の事象は接種翌日であり、持続期間(事象の発現した日数、中央値)は注射部位圧痛及び筋肉痛2日、その他の事象は1日であった。
表1 接種後6日間の主な副反応(特定有害事象)の発現状況(本剤の発現割合が10%以上の事象)
  発現例数[発現割合(%)]
  本剤群プラセボ群
 接種回数評価例数全体Grade3以上a)評価例数全体Grade3以上a)
注射部位疼痛1192100(52.1)1(0.5)644(6.3)0
217641(23.3)0612(3.3)0
注射部位圧痛119285(44.3)2(1.0)643(4.7)0
217660(34.1)0612(3.3)0
筋肉痛119268(35.4)3(1.6)643(4.7)0
217629(16.5)0613(4.9)0
倦怠感119267(34.9)3(1.6)643(4.7)0
217619(10.8)0613(4.9)0
疲労119254(28.1)3(1.6)646(9.4)0
217619(10.8)0613(4.9)0
頭痛119248(25.0)4(2.1)642(3.1)0
217617(9.7)0615(8.2)0
悪寒119238(19.8)4(2.1)6400
21761(0.6)06100
発熱b)119219(9.9)4(2.1)6400
21763(1.7)0611(1.6)0
17.1.2 海外試験(COV001試験、COV002試験、COV003試験及びCOV005試験を用いた併合解析)
無作為化比較対照盲検試験4試験を対象に、併合解析(中間解析及び主要解析)により本剤の評価を行った。本項では、表2を除き、主要解析時点のデータ4)を示す。18歳以上の男女24,257例が無作為割付され、24,244例が本剤又は対照薬[4価髄膜炎菌結合型ワクチン又は生理食塩水]を筋肉内に1回又は3〜28週間間隔で2回接種した。
(1)予防効果
初回接種前のSARS-CoV-2血清反応が陰性であり、本剤をSDSD、又は1回目低用量(2.2×1010vp)及び2回目標準用量(LDSD)で2回接種した男女8,597例、及び対照薬群男女8,581例を対象に有効性を評価した。本剤群には、18〜64歳91.8%、65歳以上8.2%、女性56.0%、白人74.9%、黒人10.1%、アジア人3.7%が含まれた。主要解析時点の追跡期間の中央値は、初回接種後4.7カ月、2回接種後2.7カ月であった。
有効性の主要評価項目は、初回接種前のSARS-CoV-2血清反応が陰性であり、2回目の接種後15日以降に発現し、SARS-CoV-2感染がウイルス学的に確認された初発の症候性COVID-19(37.8℃以上の発熱、咳嗽、息切れ、無嗅覚、又は味覚消失の少なくとも1つの症状を有する症例)とした。解析結果は、表2のとおりであった。探索的解析により、本剤の接種間隔が長いほど抗体応答が増加し、有効率が上昇する傾向が認められた(表3)。
表2 COVID-19に対する有効率(中間解析及び主要解析)
 本剤群対照薬群a)有効率(%)
 評価例数発現例数(%)評価例数発現例数(%)
中間解析(COV002試験及びCOV003試験b)
主解析の対象集団(SDSD+LDSD)
COVID-19c)5,80730
(0.52)
5,829101
(1.73)
70.42
(54.84,80.63)f),g)
入院c),d)05
(0.09)
100
(−9.44,NE)h),i)
重症
COVID-19c),e)
01
(0.02)
100
(−3860.07,NE)h),i)
承認用量の対象集団(SDSD)
COVID-19c)4,44027
(0.61)
4,45571
(1.59)
62.10
(39.96,76.08)f),g)
入院c),d)04
(0.09)
100
(−51.72,NE)h),i)
重症
COVID-19c),e)
00
主要解析(COV001試験、COV002試験、COV003試験及びCOV005試験b)
主解析の対象集団(SDSD+LDSD)
COVID-19c)8,59784
(0.98)
8,581248
(2.89)
66.73
(57.41,74.01)f),j)
入院c),d)09
(0.10)
100
(50.19,NE)h),i)
重症
COVID-19c),e)
02
(0.02)
100
(−432.68,NE)h),i)
承認用量の対象集団(SDSD)
COVID-19c)7,20174
(1.03)
7,179197
(2.74)
63.09
(51.81,71.73)f),j)
入院c),d)08
(0.11)
100
(42.58,NE)h),i)
重症
COVID-19c),e)
01
(0.01)
100
(−3742.53,NE)h),i)
表3 承認用量の対象集団(SDSD)における接種間隔別のCOVID-19a)に対する有効率(主要解析)
接種間隔本剤群対照薬群b)有効率(%)c),d)
評価例数発現例数(%)評価例数発現例数(%)
4週以上8週未満4,29447(1.09)4,18390(2.15)50.48
(29.55,65.19)
8週以上12週以下1,55518(1.16)1,58066(4.18)72.64
(53.95,83.75)
(2)安全性
本剤又は対照薬を少なくとも1回接種した男女24,244例(本剤群12,282例、対照薬群11,962例)を対象に安全性を評価した。一部の被験者(本剤群2,725例、対照薬群2,573例)を対象に治験薬接種後7日間(接種日含め8日間)、被験者日誌により収集した副反応を評価した。主な副反応の発現状況は、表4のとおりであった。これらの事象のうち、1回目接種後の全ての事象の発現日(中央値)は接種翌日であり、持続期間(事象の発現した日数、中央値)は注射部位圧痛3日、注射部位疼痛、疲労及び頭痛2日、その他の事象は1日であった。2回目接種後の発現日(中央値)は発熱は接種翌々日、その他の事象は接種翌日であり、持続期間(事象の発現した日数、中央値)は注射部位圧痛、疲労、頭痛及び関節痛2日、筋肉痛1.5日、その他の事象は1日であった。
表4 接種後7日間a)の主な副反応(特定有害事象)の発現状況(本剤の発現割合が20%以上の事象及び発熱b)、主要解析)
  発現例数[発現割合(%)]
  本剤群対照薬群c)
 接種回数評価例数d)全体Grade3以上e)評価例数d)全体Grade3以上e)
注射部位圧痛12,6551,587
(59.8)
25(0.9)2,496892
(35.7)
4(0.2)
21,920732
(38.1)
14(0.7)1,794411
(22.9)
4(0.2)
注射部位疼痛11,745893
(51.2)
9(0.5)1,593521
(32.7)
2(0.1)
21,011273
(27.0)
0895190
(21.2)
1(0.1)
疲労12,6551,317
(49.6)
71(2.7)2,496834
(33.4)
18(0.7)
21,922515
(26.8)
20(1.0)1,796360
(20.0)
11(0.6)
頭痛12,6551,291
(48.6)
63(2.4)2,496844
(33.8)
15(0.6)
21,922514
(26.7)
16(0.8)1,796381
(21.2)
16(0.9)
倦怠感11,745711
(40.7)
62(3.6)1,593267
(16.8)
4(0.3)
21,011172
(17.0)
7(0.7)895100
(11.2)
3(0.3)
筋肉痛12,6551,071
(40.3)
43(1.6)2,495463
(18.6)
6(0.2)
21,921364
(18.9)
10(0.5)1,794193
(10.8)
5(0.3)
発熱感f)11,745546
(31.3)
61(3.5)1,593141
(8.9)
1(0.1)
21,01194
(9.3)
2(0.2)89546
(5.1)
1(0.1)
悪寒11,745544
(31.2)
61(3.5)1,593107
(6.7)
0
21,01154
(5.3)
2(0.2)89537
(4.1)
0
関節痛12,655634
(23.9)
28(1.1)2,494242
(9.7)
7(0.3)
21,921195
(10.2)
7(0.4)1,794134
(7.5)
7(0.4)
悪心11,745353
(20.2)
12(0.7)1,593176
(11.0)
1(0.1)
21,01183
(8.2)
3(0.3)89564
(7.2)
1(0.1)
発熱g)12,588184
(7.1)
17(0.7)2,42222
(0.9)
4(0.2)
21,87323
(1.2)
2(0.1)1,76519
(1.1)
3(0.2)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は、単一組換え型1価ワクチンであり、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の遺伝子を組み込んだ非増殖性のチンパンジーアデノウイルス(ChAdOx1)ベクターから成る。
本剤の接種後にSARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質が局所的に発現し、中和抗体の産生及び細胞免疫反応が誘導される。

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤は激しく振盪しないこと。
20.2 本剤は凍結を避け、凍結した場合は使用しないこと。
20.3 外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 現時点での知見が限られていることから、製造販売後、副反応情報等の本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集するとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。その際、国が実施する健康調査等により得られた情報についても適切に反映すること。
21.3 現在国内外で実施中又は計画中の臨床試験の成績が得られた際には、速やかに当該成績を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出するとともに、本剤の有効性及び安全性に係る最新の情報を、医療従事者及び被接種者が容易に入手可能となるよう必要な措置を講じること。また、国が行う本剤の有効性及び安全性に係る情報の発信について、適切に協力すること。
21.4 本剤の接種に際し、本剤の有効性及び安全性については今後も情報が集積されることを踏まえ、あらかじめ被接種者又は代諾者に最新の有効性及び安全性に関する情報が文書をもって説明され、予診票等で文書による同意を得てから接種されるよう、医師に対して適切に説明すること。

22. 包装

バイアル5mL
1本、2本又は10本

23. 主要文献

  1. Greinacher A,et al., N Engl J Med., (2021), (2021 Apr 9.)
  2. Scully M,et al., N Engl J Med., (2021), (2021 Apr 16.)
  3. 社内資料:国内第I/II相試験(D8111C00002試験)(2021年5月21日承認、CTD2.7.6.2)
  4. Voysey M,et al., Lancet., 397 (10277), 881-891, (2021) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号
電話:0120-189-115
URL:https://www.astrazeneca.co.jp
製品情報問い合わせ先
アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号
電話:0120-189-115
URL:https://www.astrazeneca.co.jp

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
アストラゼネカ株式会社
大阪市北区大深町3番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版