17.1.1 第III相国際共同試験(D3461C00004試験)2)
安定した用量のSLE標準治療にもかかわらず中等度から重度(SLEDAI-2Kスコアが6点以上、かつBILAG-2004カテゴリーAの臓器系が1つ又はカテゴリーBの臓器系が2つ以上、かつPGAが1以上)の症状を有し、米国リウマチ学会のSLE分類基準を満たす抗核抗体、抗dsDNA抗体、又は抗Sm抗体陽性の成人SLE患者(活動性かつ重症のループス腎炎又は中枢神経ループスを有する患者は除外
注))362例(うち日本人43例)に対して、本剤300mg又はプラセボ(1:1)を4週間ごとに静脈内投与した。試験期間中は他の生物製剤、タクロリムス又はシクロホスファミド静注剤の使用を禁止した。主要評価項目である投与52週時のBICLA達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で統計学的に有意に高かった(本剤300mg群86/180例[47.8%]、プラセボ群57/182例[31.5%]、群間差16.3%、95%信頼区間6.3〜26.3%、p=0.0013)。副次的評価項目である投与52週時のSRI(4)達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群100/180例[55.5%]、プラセボ群68/182例[37.3%]、群間差18.2%、95%信頼区間8.1〜28.3%)。
| 本剤300mg群(180例) | プラセボ群(182例) |
52週時のBICLA |
達成例(%) | 86例(47.8%) | 57例(31.5%) |
割合の群間差(95% CI) | 16.3%(6.3〜26.3%) |
p値 | 0.0013 |
本試験において有害事象を発現した患者の割合は、本剤300mg群88.3%(159/180例)及びプラセボ群84.1%(153/182例)であった。本剤300mg群でみられた主な有害事象は、上気道感染(本剤300mg群21.7%及びプラセボ群9.9%)、上咽頭炎(同15.6%及び11.0%)、注入に伴う反応(同13.9%及び7.7%)であった。
17.1.2 第III相国際共同試験(D3461C00005試験)3)
D3461C00004試験と同じ基準のSLE患者457例に、本剤150mg、300mg又はプラセボ(1:2:2)を4週間ごとに静脈内投与した。試験期間中は他の生物製剤、タクロリムス又はシクロホスファミド静注剤の使用を禁止した。本剤300mg群とプラセボ群との比較において、主要評価項目である投与52週時のSRI(4)達成例の割合に差はみられなかった(本剤300mg群65/180例[36.2%]、プラセボ群74/184例[40.4%]、群間差−4.2%、95%信頼区間−14.2〜5.8%、p=0.412)。副次的評価項目である投与52週時のBICLA達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群67/180例[37.1%]、プラセボ群49/184例[27.0%]、群間差10.1%、95%信頼区間0.6〜19.7%)。上記の主解析結果を受けて、有効性評価における併用薬の取り扱い基準を精査した。精査後の事後解析では、主要評価項目である投与52週時のSRI(4)達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群88/180例[49.0%]、プラセボ群79/184例[43.0%]、群間差6.0%、95%信頼区間−4.2〜16.2%)。副次的評価項目である投与52週時のBICLA達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群85/180例[47.1%]、プラセボ群55/184例[30.2%]、群間差17.0%、95%信頼区間7.2〜26.8%)。なお、併用薬の取り扱い基準の精査はD3461C00004試験の盲検解除前に行われ、精査後の基準はD3461C00004試験の主解析にも用いられた。
本試験において有害事象を発現した患者の割合は、本剤300mg群89.4%(161/180例)及びプラセボ群78.3%(144/184例)であった。本剤300mg群でみられた主な有害事象は、上咽頭炎(本剤300mg群20.0%及びプラセボ群12.0%)、上気道感染(同12.2%及び9.8%)、尿路感染(同12.2%及び14.7%)であった。
〔BICLA達成例の定義〕
・ベースラインでBILAG-2004カテゴリーAの臓器系がB/C/Dへ、カテゴリーBの臓器系がC/Dへそれぞれ改善し、他の臓器系の悪化(1つ以上のカテゴリーA又は2つ以上のカテゴリーBの発生)が認められない
・SLEDAI-2Kのベースラインからの悪化(0点超のベースラインからのスコア上昇)がない
・被験者の疾患活動性がベースラインから悪化(PGAが0.30点以上増加)していない
・治験薬投与を中止していない
・評価前に、制限されている薬剤を治験実施計画書で許容された範囲を超えて使用していない
〔SRI(4)達成例の定義〕
・SLEDAI-2Kスコアがベースラインから4点以上減少する
・ベースラインと比較してBILAG-2004カテゴリーAに悪化した臓器系がなく、かつカテゴリーBに悪化した臓器系が2つ以上ない
・被験者の疾患活動性がベースラインから悪化(PGAが0.30点以上増加)していない
・治験薬投与を中止していない
・評価前に、制限されている薬剤を治験実施計画書で許容された範囲を超えて使用していない
注)活動性かつ重症のループス腎炎として、治験実施計画書に規定された標準治療が効果不十分で、シクロホスファミドの静脈内投与及び/又は高用量コルチコステロイドの静脈内投与によるパルス療法、又は治験実施計画書で許容されていないその他の治療の追加等の積極的な治療の必要性が示唆されるSLEによる活動性の重症腎疾患を有する患者を除外した。
活動性かつ重症の中枢神経ループスとして、各試験において活動性の重症又は不安定なSLE神経精神症状(無菌性髄膜炎、脳血管炎、ミエロパシー、脱髄症候群[上行性、横断性、急性炎症性脱髄性多発神経炎]、急性錯乱状態、意識レベル低下、精神病、急性脳卒中又は卒中症候群、脳神経障害、てんかん重積状態、小脳性運動失調及び多発単神経炎を含む)を呈する患者を除外した。