16.1.1 日本人健康成人に静脈内投与したときのパロノセトロンの薬物動態は3〜90μg/kg
注)の用量範囲で線形性を示した。
日本人健康成人におけるパロノセトロンの薬物動態パラメータ
1)2)
用量 | AUC0-inf(ng・hr/mL) | t1/2(hr) | CLtot(mL/min) | Vdβ(L) |
10μg/kg | 51.2±9.4 | 34.1±3.8 | 214±56 | 621±126 |
16.1.2 日本人患者にシスプラチン及びデキサメタゾンの併用下でパロノセトロンを0.75mgの用量で30秒間かけて静脈内投与したとき、血漿中未変化体濃度はほぼ2相性で消失し、最終相の消失半減期は約40時間であった
3)。
日本人患者におけるパロノセトロンの薬物動態パラメータ
2)3)
用量 | AUC0-inf(ng・hr/mL) | t1/2(hr) | CLtot(mL/min) | Vdβ(L) |
0.75mg | 66.4±19.3 | 41.6±13.1 | 203±56 | 695±191 |
16.1.3 外国人健康成人にパロノセトロン0.25mg
注)を15分間かけて点滴静注したとき、同用量を30秒間かけて静注したときと比べて、Cmaxは約60%に低下したが、AUC
0-infは同等であった
4)。
外国人健康成人に0.25mgの用量で点滴静注又は静注したときのパロノセトロンの薬物動態パラメータ
4)
投与 | Tmax*1(min) | Cmax*2(ng/mL) | AUC0-inf*2(ng・hr/mL) | t1/2*3(hr) | CLtot*3(mL/min) | Vdss*3(L) |
点滴静注(15分間) | 15 | 0.851(44%) | 20.1(25%) | 37.0(24%) | 214(26%) | 611(24%) |
静注(30秒間) | 3 | 1.38(60%) | 20.3(21%) | 33.3(30%) | 209(21%) | 554(30%) |
16.1.4 外国人健康成人にパロノセトロン0.25mg
注)を3日間連日で静脈内投与したとき、投与3日目のAUC
0-24hrは投与初日に比べて約2.1倍上昇した
5)。
16.1.5 外国の臨床試験において、パロノセトロン0.75mgを静脈内投与したとき、軽度、中等度の腎機能障害では薬物動態への明らかな影響は認められなかったが、重度の腎機能障害者では腎機能正常者に比べAUC
0-infが1.3倍程度増加した
6)。また、パロノセトロン0.75mgを静脈内投与したとき、肝機能障害はパロノセトロンのAUCに顕著な影響を及ぼさなかった
7)。
パロノセトロンの血漿蛋白結合率は約62%であった(
in vitro)。有色ラットにおいてパロノセトロン又は代謝物のメラニン含有組織(眼球・皮膚有色部)への高い親和性が認められた
8)。
外国の臨床試験において、投与されたパロノセトロンの50%程度は代謝を受け、主代謝物として
N-オキシド体と6-
S-ヒドロキシ体を生成した。これらの代謝物の5-HT
3受容体拮抗作用はパロノセトロンの1%未満であった。この代謝には主にCYP2D6が関与しており、一部はCYP3A4及びCYP1A2も関与していることが示された
9)。外国人健康成人においてCYP2D6活性が欠損又は低い者(PM)と正常な者(EM)との間でパロノセトロンの薬物動態に顕著な違いは見られなかった
2)。
外国人健康成人に10μg/kg
注)の
14C標識パロノセトロンを静脈内投与したとき、投与後144時間までに投与放射能の約80%が尿中に排泄され、未変化体としての尿中排泄率は約40%であった。また、全身クリアランス160mL/hr/kgに対し、腎クリアランスは66.5mL/hr/kgであった
9)。
注)パロノセトロンの承認用量は0.75mgである。