2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 バルビツール系薬剤等の非麻薬性中枢神経抑制剤又は病的原因による呼吸抑制のある患者[無効のため]
ナロキソン塩酸塩として、通常成人1回0.2mgを静脈内注射する。
効果不十分の場合、さらに2〜3分間隔で0.2mgを1〜2回追加投与する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
8.1 麻薬によっては作用時間が本剤より長いものがあるので、呼吸抑制の再発をみることがある。したがって本剤に十分反応する患者に対しては、常に監視し、必要により本剤を繰り返し投与すること。
8.2 麻薬等による呼吸抑制に対する拮抗作用の強さは、鎮痛作用に対する拮抗作用に比しかなり強い。したがって、通常鎮痛作用を減弱することなく、呼吸抑制を緩解し得るが、本剤が過量となった場合には、疼痛があらわれることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高血圧、心疾患のある患者
麻薬等による抑制が急激に拮抗されると血圧上昇、頻脈等を起こすことがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物(ラット、サル)において乳汁分泌に関与するプロラクチンの分泌を抑制することが報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 麻薬依存患者及び麻薬依存又はその疑いのある母親から生まれた新生児に本剤を投与した場合、麻薬の作用が本剤により急激に拮抗されて、急性の退薬症候を起こすとの報告がある。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肺水腫(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 |
| 循環器 | 血圧上昇(8.1%)、頻脈 | 胸部苦悶感 | − |
| 精神神経系 | 振戦、術後疼痛 | − | − |
| 消化器 | 悪心・嘔吐 | − | 腹痛 |
| 肝臓 | − | − | AST上昇、ALT上昇、肝機能障害 |
16.1 血中濃度
健康成人9例にナロキソン塩酸塩0.4mg
注)を単回静脈内注射しラジオイムノアッセイ法により測定した結果、5分後には投与量の97%は血清中に存在せず、投与後20分から2時間にかけての平均血中半減期(mean±SE)は64±12分であった
1)(外国人データ)。
16.4 代謝
ナロキソン1日1回1.0〜1.8gを単回経口投与
注)した麻薬依存者の尿中に、ナロキソンの脱アルキル体及び還元体それぞれのグルクロニド、ナロキソン-3-グルクロニドが認められた
2)3)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性1例にナロキソン-7,8-
3Hを単回静脈内注射した結果、最初の6時間で約38%が尿中へ排泄され、72時間までの尿中総排泄率は投与量の約65%であった
4)(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、ナロキソン塩酸塩として、通常成人1回0.2mgを静脈内注射である。