多飲・多尿・低比重尿を示す疾患として中枢性尿崩症(バソプレシン感受性尿崩症)・心因性多飲症・腎性尿崩症・高カルシウム血症に基づく多尿症がある。これら各種疾患に基づく多尿を鑑別し、バソプレシン欠乏による尿崩症のみに使用すること。
小児
通常デスモプレシン酢酸塩水和物として1回2.5μg〜5μg〔1〜2噴霧〕を1日1〜2回鼻腔内に投与する。
成人
通常デスモプレシン酢酸塩水和物として1回5μg〜10μg〔2〜4噴霧〕を1日1〜2回鼻腔内に投与する。
投与量は患者の飲水量、尿量、尿比重、尿浸透圧により適宜増減する。
8.1 渇中枢異常を伴う症候性尿崩症の患者では水出納のバランスがくずれやすいので、本剤投与中は血清ナトリウム値に十分注意すること。
8.2 本剤投与中に水中毒症状を来すことがあるので、以下の点に注意すること。[
11.1.1参照]
・過度の飲水を避け、点滴・輸液による水分摂取にも注意すること。
・適正な飲水量、適正な用法の習得並びに維持量を決定するまで、入院するなど必要な処置をとることが望ましい。
・本剤投与中は患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)の発現に十分注意すること。
8.3 水中毒の発現を予防するために患者及びその家族に以下の点について十分説明・指導すること。[
11.1.1参照]
・指示された飲水量、用法・用量を厳守すること。
・過度に飲水してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。発熱、喘息等の飲水が増加する疾患を合併している場合は特に注意すること。
・水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)があらわれた場合には直ちに投与を中断し、速やかに医師に連絡すること。
・他院や他科を受診する際には、本剤投与中である旨を担当医師に報告すること。
8.4 尿量が自然に減少する患者がいるので観察を十分にし漫然と投与しないこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高血圧を伴う循環器疾患、高度動脈硬化症、冠動脈血栓症、狭心症の患者
9.1.2 下垂体前葉不全を伴う患者
病状が不安定なため、水中毒等が発現しやすい。[
11.1.1参照]
9.1.3 アレルギー性鼻炎を起こしたことのある患者
9.1.4 鼻疾患を有する患者
9.1.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
症状を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 脳浮腫、昏睡、痙攣等を伴う重篤な水中毒(頻度不明)
注)発現頻度は、デスモプレシン点鼻液0.01%協和の承認時までの臨床試験及び1982年4月までの副作用頻度調査、点鼻スプレー2.5μg「フェリング」の承認時までの臨床試験、点鼻スプレー10μg「フェリング」の承認時までの臨床試験及び使用成績調査に基づく。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.5〜5%未満 | 0.5%未満 |
代謝 | 浮腫、低ナトリウム血症 | |
精神神経系 | 頭痛 | 強直性痙攣、眠気、めまい、不眠 |
過敏症 | | 全身そう痒感、発疹、顔面浮腫、じん麻疹 |
消化器 | 嘔気・嘔吐 | 食欲不振、腹痛 |
循環器 | | 顔面蒼白、のぼせ |
その他 | 鼻粘膜刺激 | 鼻炎、発汗、全身倦怠感、鼻出血、発熱 |
注)発現頻度は、デスモプレシン点鼻液0.01%協和の承認時までの臨床試験及び1982年4月までの副作用頻度調査、点鼻スプレー2.5μg「フェリング」の承認時までの臨床試験、点鼻スプレー10μg「フェリング」の承認時までの臨床試験及び使用成績調査に基づく。
13.1 症状
水分貯留並びに低ナトリウム血症のリスクが高まり、頭痛、冷感、嘔気、痙攣、意識喪失等があらわれることがある。
13.2 処置
投与を中止し、水分を制限する。症状がある場合は等張若しくは高張食塩水の注入、フロセミドの投与等適切な処置を行う。
15.2 非臨床試験に基づく情報
動物実験(ラット)で泌乳低下(母乳の出が悪くなる)の可能性が示唆されている。
5mL[1瓶(褐色瓶、定量噴霧式点鼻容器、収納ケース)]