医療用医薬品 : ウィフガート

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医薬品情報


総称名 ウィフガート
一般名 エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Efgartigimod Alfa(Genetical Recombination)
製剤名 エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)点滴静注製剤
Efgartigimod Alfa(Genetical Recombination)
薬効分類名 抗FcRn抗体フラグメント製剤
薬効分類番号 6399
ATCコード L04AA58
KEGG DRUG
D11876 エフガルチギモドアルファ
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年11月 改訂(第5版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ウィフガート点滴静注400mg VYVGART for Intravenous Infusion 400mg アルジェニクスジャパン 6399430A1029 421455円/瓶 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)

6. 用法及び用量

通常、成人にはエフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1回10mg/kgを1週間間隔で4回1時間かけて点滴静注する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 次サイクル投与の必要性は、臨床症状等に基づき、判断すること。[17.1.117.1.2参照]
7.2 本剤を投与する場合に、何らかの理由により投与が遅れた際には、あらかじめ定めた投与日から3日以内であればその時点で投与を行い、その後はあらかじめ定めた日に投与すること。あらかじめ定めた投与日から3日を超えていれば投与せず、次のあらかじめ定めた日に投与すること。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与により、血中IgG濃度が低下し、感染症が生じる又は悪化するおそれがある。本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が認められた場合には、速やかに医療機関に相談するよう患者に指導すること。[9.1.111.1.116.8.1参照]
8.2 本剤の投与により、infusion reactionが発現する可能性があるため、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には本剤の投与速度を下げる、又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症のある患者
感染症を合併している場合は、感染症の治療を優先すること。感染症が増悪するおそれがある。[8.111.1.1参照]
9.1.2 肝炎ウイルスキャリアの患者
肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。
9.2 腎機能障害患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。なお、重度(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。IgG抗体は胎盤通過性があることが知られている。本剤の投与を受けた患者からの出生児においては、感染のリスクが高まる可能性があるため、生ワクチン又は弱毒生ワクチンを接種する際には注意が必要である。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
人免疫グロブリン製剤(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン等)これらの薬剤の治療効果が減弱する可能性がある。
これらの薬剤による治療を開始する場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい。
本剤がこれらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
エクリズマブ(遺伝子組換え)これらの薬剤の治療効果が減弱する可能性がある。
これらの薬剤による治療を開始する場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい。
本剤がこれらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
血液浄化療法本剤の治療効果が減弱する可能性があるため、併用を避けることが望ましい。本剤による治療中に施行することにより本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
生ワクチン及び弱毒生ワクチンワクチンの病原に基づく症状が発現する可能性があるため、本剤による治療中の接種を避けることが望ましい。生ワクチン又は弱毒生ワクチンによる感染症発現のリスクが増大するおそれがある。
生ワクチン及び弱毒生ワクチン以外のワクチンワクチンの効果が減弱する可能性がある。
ワクチンは本剤投与開始の少なくとも4週間前までに接種することが望ましい。
本剤による治療中の場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間以降にワクチンを投与することが望ましい。
本剤の作用機序により、ワクチンに対する免疫応答が得られない可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 感染症(6.8%)
帯状疱疹、上咽頭炎、インフルエンザ等の感染症が起こることがある。[8.19.1.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5〜15%未満5%未満
神経系障害頭痛浮動性めまい
胃腸障害 悪心、嘔吐
傷害、中毒および処置合併症 処置による頭痛
臨床検査 リンパ球数減少、好中球数増加
一般・全身障害および投与部位の状態 疲労
感染症および寄生虫症 帯状疱疹
皮膚および皮下組織障害 発疹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 下記に従い患者の体重に基づいて、投与に必要なバイアル数及び日局生理食塩液の量を決定する。
・患者あたりの投与量(mg)=患者の体重(kg)注)×10mg/kg(体重あたりの投与量)
・本剤の必要量(mL)=患者あたりの投与量(mg)/20mg/mL(本剤の濃度)
・必要なバイアル数=本剤の必要量(mL)/20mL(1バイアルの容量)
・必要な日局生理食塩液の量
<体重96kg以下の場合>
(100mL又は125mL)ー本剤の必要量(mL)
<体重96kgを超える場合>
125mL−本剤の必要量(mL)
注)体重が120kgを超える場合は120kgとして計算する。
14.1.2 調製方法
(1)調製前にバイアル中が無色から微黄色の澄明又は僅かに乳濁した液であることを目視により確認すること。変色又は不溶性異物が認められる場合は使用しないこと。バイアルは振盪しないこと。
(2)本剤は無菌的に希釈調製を行うこと。
(3)滅菌シリンジ及び滅菌針を使用して、適切な数のバイアル数から必要量を静かに抜き取る。バイアル中の残液は廃棄すること。
(4)抜き取った本剤を輸液バッグ又は輸液ボトルに移す。
(5)算出した量の日局生理食塩液を加えて希釈し、総量が100mL又は125mLになるようにする。
(6)希釈した液を入れた輸液バッグ又は輸液ボトルを振らずにゆっくりと反転させ、完全に混合したことを確認する。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 急速静注は行わないこと。
14.2.2 投与前に溶液に異物がないか目視で検査すること。
14.2.3 孔径0.2μmのポリエーテルスルホン製メンブランフィルターが付いたインラインフィルターを用いて、希釈した溶液100mL又は125mLを1時間かけて点滴静注する。最後に日局生理食塩液でライン全体を洗浄しながら、全量を投与する。
14.2.4 本剤は防腐剤を添加していない。希釈した液は速やかに使用し、希釈後4時間以内に点滴を完了させること。やむを得ず保存する場合は、希釈した液を2〜8℃で、8時間まで保存することができるが、投与時には希釈した液を冷蔵庫から取り出し室内で放置して室温に戻すこと。
14.2.5 本剤は、独立したラインにより投与するものとし、他の注射剤・輸液等と混合しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)において、本剤が投与され抗体が測定された83例のうち、本剤に対する抗体が17例(20.5%)、中和抗体が6例(7.2%)に認められた1)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
全身型重症筋無力症患者82例(日本人患者を8例含む)に本剤10mg/kgを週1回計4回静脈内投与を1又は2サイクル行ったとき、初回サイクルと2回目のサイクルを通じ、全体集団におけるCmax(範囲221〜253μg/mL)及びCtrough(範囲10.4〜13.9μg/mL)は一定であり、蓄積性は認められていない。日本人患者8例の初回サイクルの初回及び最終投与後薬物動態パラメータを下表に示す2)
外国人健康被験者20例に本剤0.2〜50mg/kgを単回静脈内投与したとき、AUC0-infは2.0〜50mg/kgの範囲で用量に依存せず線形であった(外国人データ)3)
投与回数Ctrough(μg/mL)Cmax(μg/mL)AUC0-168h(μg・h/mL)
1回目NA213(20.1)7376(1024)
4回目13.4(3.71)237(43.3)8879(1667)
図 本剤反復投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
数値上段(青)は外国人、下段(赤)は日本人の例数を示す。
16.3 分布
本剤静脈内投与時の分布容積は15〜20Lであった(外国人データ)4)
16.4 代謝
本剤は、一般的なタンパク異化経路によってアミノ酸に分解されると推定される。
16.5 排泄
健康成人に本剤10mg/kg単回投与後の本剤の尿中排泄率は投与量の0.1%未満であった(外国人データ)4)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
腎機能障害患者を対象とした薬物動態試験は実施していないが、母集団薬物動態解析の結果から、本剤10mg/kgを週1回計4回投与したとき、軽度腎機能障害患者(eGFR:60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)は、腎機能正常患者(eGFR:90mL/min/1.73m2以上)と比較して、4回目投与後のAUC0-168hが28%高くなると推定された。また、eGFRが中央値である100mL/min/1.73m2の患者と比較して、eGFRが5パーセンタイル値の62.2mL/min/1.73m2の患者では4回目投与後のAUC0-168hが72%高くなると推定された5)。[9.2参照]
16.8 その他
16.8.1 薬力学
国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)において、本剤10mg/kg又はプラセボを1週間間隔で計4回投与したときの各サイクルにおける総IgG濃度の推移は、以下のとおりであった6)
図 総IgG濃度のベースラインからの変化率(%)(全患者、平均値±標準誤差)
数値上段(青)は本剤群、下段(赤)はプラセボ群の例数を示す
国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)及び国際共同第III相継続投与試験(ARGX-113-1705)における統合解析の結果から、本剤投与後の総IgG濃度の最低値の分布は、中央値[25パーセンタイル値,75パーセンタイル値]は2.54[2.04,3.25]、[最小値,最大値]は[0.98,6.86]g/Lであった。[8.1参照]
なお、臨床試験では本剤の投与によるIgG以外の免疫グロブリン濃度(IgA、IgD、IgE及びIgM)及びアルブミン濃度への影響は認められなかった7)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)8)9)
全身型重症筋無力症患者167例(日本人患者15例を含む)を対象として、ランダム化二重盲検プラセボ対照群間比較試験を実施した。本試験は、治験薬投与期の3週間後に5週間の観察を行う8週間を1サイクルとし、次のサイクルは8週間以降において基準注1)に合致した場合に開始することが可能とされた(最大3サイクル(最長28週間))。初回サイクルの本剤最終投与時から次のサイクル投与開始時までの期間(サイクル間隔)の中央値(範囲)は本剤群で7.3週間(5.3〜23.4週間)であった。治験薬投与期(3週間)において、コリンエステラーゼ阻害薬、経口副腎皮質ステロイド及び/又は非ステロイド性免疫抑制剤投与下で、本剤10mg/kg又はプラセボを1週間間隔注2)で計4回1時間かけて静脈内投与したとき、主要評価項目である抗アセチルコリン受容体抗体陽性患者の初回サイクルのMG-ADLレスポンダー注3)の割合は、プラセボ群で29.7%(19/64例)、本剤群で67.7%(44/65例)であり、本剤群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められた(オッズ比[95%信頼区間]:4.95[2.21,11.53]、p<0.0001、ロジスティック回帰分析、両側正確検定、有意水準両側5%)。抗アセチルコリン受容体抗体陽性患者、抗体陰性患者及び全体集団(抗アセチルコリン受容体抗体陽性及び陰性患者)における初回サイクルのMG-ADLレスポンダー注3)の割合及びQMGレスポンダー注4)の割合は、下表のとおりであった。
 投与群例数MG-ADLレスポンダーの割合QMGレスポンダーの割合
抗AChR抗体陽性集団プラセボ群6429.7%(19/64例)14.1%(9/64例)
本剤群6567.7%(44/65例)63.1%(41/65例)
抗AChR抗体陰性集団プラセボ群1963.2%(12/19例)36.8%(7/19例)
本剤群1968.4%(13/19例)52.6%(10/19例)
全体集団プラセボ群8337.3%(31/83例)19.3%(16/83例)
本剤群8467.9%(57/84例)60.7%(51/84例)
副作用発現頻度は、本剤群で31.0%(26/84例)であった。主な副作用は、処置による頭痛(4例、4.8%)であった。
17.1.2 国際共同第III相継続投与試験(ARGX-113-1705)10)
国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)に参加し、継続投与試験に移行した全身型重症筋無力症患者139例(日本人患者10例を含む)を対象として、非盲検非対照試験が実施された。本試験は、治験薬投与期の3週間後に4週間間隔で来院し観察を行うこと(サイクル間観察期)を1サイクルとし、次のサイクルはサイクル間観察期において基準注1)に合致した場合に開始することが可能とされた。本剤最終投与時から次のサイクル投与開始時までの期間(サイクル間隔)の中央値(各サイクルの中央値の範囲)は約4.1〜6.1週間であった。各サイクルの治験薬投与期(3週間)において、コリンエステラーゼ阻害薬、経口副腎皮質ステロイド及び/又は非ステロイド性免疫抑制剤投与下で、本剤10mg/kgを1週間間隔注2)で計4回1時間かけて静脈内投与したとき、各サイクルでのベースラインから3週目(本剤最終投与時)までのMG-ADL総スコア及びQMG総スコアの変化量は下表のとおりであった。
表 各サイクルでのベースラインから3週目(本剤最終投与時)までのMG-ADL総スコアの変化量(ARGX-113-1705)
MG-ADL総スコア抗AChR抗体陽性集団抗AChR抗体陰性集団全体集団
例数平均値(標準誤差)例数平均値(標準誤差)例数平均値(標準誤差)
サイクル1ベースライン1069.7(0.29)3310.8(0.59)1399.9(0.27)
3週目103−5.1(0.34)33−5.4(0.76)136−5.1(0.32)
サイクル2ベースライン959.8(0.33)3011.3(0.58)12510.2(0.29)
3週目92−5.4(0.38)28−5.3(0.72)120−5.4(0.33)
サイクル3ベースライン8210.1(0.38)2411.3(0.64)10610.3(0.33)
3週目78−5.5(0.40)21−5.4(0.88)99−5.4(0.37)
サイクル4ベースライン6310.7(0.46)1811.3(0.80)8110.9(0.40)
3週目60−6.3(0.51)17−5.6(1.00)77−6.1(0.45)
サイクル5ベースライン4710.6(0.53)1511.3(0.80)6210.7(0.44)
3週目42−6.1(0.53)15−6.3(0.96)57−6.1(0.46)
サイクル6ベースライン2410.5(0.72)1310.5(0.85)3710.5(0.55)
3週目18−7.1(0.92)9−5.0(1.13)27−6.4(0.73)
サイクル7ベースライン1112.6(1.03)613.2(0.98)1712.8(0.73)
3週目10−8.9(1.19)4−7.0(1.96)14−8.4(1.00)
表 各サイクルでのベースラインから3週目(本剤最終投与時)までのQMG総スコアの変化量(ARGX-113-1705)
QMG総スコア抗AChR抗体陽性集団抗AChR抗体陰性集団全体集団
例数平均値(標準誤差)例数平均値(標準誤差)例数平均値(標準誤差)
サイクル1ベースライン10615.6(0.54)3316.1(1.00)13915.7(0.47)
3週目100−4.7(0.41)33−5.2(0.74)133−4.8(0.36)
サイクル2ベースライン9516.3(0.59)3016.2(1.01)12516.3(0.50)
3週目86−5.4(0.43)25−3.8(0.74)111−5.0(0.38)
サイクル3ベースライン7915.7(0.65)2416.5(0.90)10315.9(0.54)
3週目67−4.5(0.54)20−5.7(1.03)87−4.8(0.48)
サイクル4ベースライン5715.7(0.79)1715.4(1.66)7415.6(0.71)
3週目48−4.5(0.64)11−4.8(1.00)59−4.6(0.55)
サイクル5ベースライン3916.6(0.90)1216.2(1.18)5116.5(0.74)
3週目31−4.2(0.68)10−4.6(1.10)41−4.3(0.57)
サイクル6ベースライン2016.9(1.25)1017.1(1.59)3016.9(0.97)
3週目13−6.3(1.15)5−5.4(1.96)18−6.1(0.97)
サイクル7ベースライン1119.1(1.44)520.2(1.46)1619.4(1.07)
3週目9−5.9(1.21)3−7.7(2.19)12−6.3(1.03)
副作用発現頻度は、25.9%(36/139例)であった。主な副作用は、気管支炎、筋肉痛及び処置による頭痛(各1例、0.7%)であった。
注1)次のサイクル投与は、臨床症状として以下の基準のいずれも合致した場合に、開始することとされた。
・MG-ADL総スコアが合計5点以上であり、眼症状以外の項目でのスコアが50%を超えている患者
・MG-ADL総スコアが先行のサイクル投与のベースラインに対して2点以上の減少が認められない患者
注2)1週間間隔の治験薬投与において、来院の許容期間は±1日と設定された。
注3)各サイクル投与における治験薬最終投与から1週間後までにMG-ADL総スコアが当該サイクル投与のベースラインと比べて2点以上減少し、かつその減少が連続して4週間以上維持された患者
注4)各サイクル投与における治験薬最終投与から1週間後までにQMG総スコアが当該サイクル投与のベースラインから3点以上減少し、かつその減少が連続して4週間以上維持された患者

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は、胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とするアミノ酸残基を改変したヒトIgG1抗体のFcフラグメントであり、内因性IgGのFcRnへの結合を競合阻害することによって、内因性IgGのリサイクルを阻害して、IgG分解を促進し、IgG自己抗体を含む血中IgG濃度を減少させる11)12)
18.2 FcRnに対する結合作用(in vitro)
本剤のヒトFcRnに対する平衡解離定数(Kd)(平均値±標準偏差)は、pH6.0及びpH7.4の条件下において、それぞれ0.35±0.06nmol/L及び8.59±1.35nmol/Lであった13)
18.3 内因性IgGに対する作用(in vivo)
本剤20mg/kgをサルに単回静脈内投与したとき、血清中IgG濃度の減少が認められた14)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)

一般的名称 エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Efgartigimod Alfa(Genetical Recombination)
分子量 約54,000
理化学知見その他 エフガルチギモド アルファは、遺伝子組換えヒトIgG1 Fcドメイン類縁体であり、ヒトIgG1の221〜447番目(Eu番号)のアミノ酸残基に相当する。エフガルチギモド アルファの32、34、36、213及び214番目のアミノ酸残基はそれぞれTyr、Thr、Glu、Lys及びPheに置換されている。エフガルチギモド アルファは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。エフガルチギモド アルファは、227個のアミノ酸残基からなるサブユニット2個から構成される糖タンパク質(分子量:約54,000)である。
KEGG DRUG D11876

20. 取扱い上の注意

凍結を避け、外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

ウィフガート点滴静注400mg
1バイアル

23. 主要文献

  1. 社内資料:免疫原性(2022年1月20日承認、CTD2.7.2.4.1)
  2. 社内資料:第III相試験(ARGX-113-1704試験)(2022年1月20日承認、CTD2.7.2.3.1.1.1)
  3. 社内資料:用量比例性(ARGX-113-1501試験)(2022年1月20日承認、CTD2.7.2.3.2)
  4. 社内資料:第I相試験(ARGX-113-1501試験)(2022年1月20日承認、CTD2.7.2.2.1.1.1)
  5. 社内資料:腎機能障害(2022年1月20日承認、CTD2.7.2.3.7.5)
  6. 社内資料:第III相試験(ARGX-113-1704試験)(2022年1月20日承認、CTD2.7.2.2.2.2.2)
  7. 社内資料:ARGX-113-1501試験、ARGX-113-1602試験、Pooling Block 2:エフガルチギモドを投与したすべてのgMG患者(2022年1月20日承認、CTD2.7.4.3.1.1;3.2.1;3.3.2)
  8. 社内資料:第III相試験(ARGX-113-1704試験)(2022年1月20日承認、CTD2.7.6.4)
  9. Howard JF Jr,et al., Lancet Neurol., 20 (7), 526-536, (2021) »PubMed
  10. 社内資料:第III相試験(ARGX-113-1705試験)(2022年1月20日承認、CTD2.7.6.5)
  11. Ulrichts P,et al., J Clin Invest., 128 (10), 4372-4386, (2018) »PubMed
  12. Vaccaro C,et al., Nat Biotechnol., 23 (10), 1283-1288, (2005) »PubMed
  13. 社内資料:ヒトFcRnへの結合親和性(2022年1月20日承認、CTD2.6.2.2.2.1)
  14. 社内資料:カニクイザル内因性IgGに対する薬理作用(2022年1月20日承認、CTD2.6.2.2.3.2.3)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アルジェニクスジャパン株式会社
〒107-0052 東京都港区赤坂二丁目5番8号 ヒューリックJP赤坂ビル
電話:0800-999-2100
製品情報問い合わせ先
アルジェニクスジャパン株式会社
〒107-0052 東京都港区赤坂二丁目5番8号 ヒューリックJP赤坂ビル
電話:0800-999-2100

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
アルジェニクスジャパン株式会社
東京都港区赤坂二丁目5番8号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2023/05/24 版