17.1.1 国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)8)9)
全身型重症筋無力症患者167例(日本人患者15例を含む)を対象として、ランダム化二重盲検プラセボ対照群間比較試験を実施した。本試験は、治験薬投与期の3週間後に5週間の観察を行う8週間を1サイクルとし、次のサイクルは8週間以降において基準
注1)に合致した場合に開始することが可能とされた(最大3サイクル(最長28週間))。初回サイクルの本剤最終投与時から次のサイクル投与開始時までの期間(サイクル間隔)の中央値(範囲)は本剤群で7.3週間(5.3〜23.4週間)であった。治験薬投与期(3週間)において、コリンエステラーゼ阻害薬、経口副腎皮質ステロイド及び/又は非ステロイド性免疫抑制剤投与下で、本剤10mg/kg又はプラセボを1週間間隔
注2)で計4回1時間かけて静脈内投与したとき、主要評価項目である抗アセチルコリン受容体抗体陽性患者の初回サイクルのMG-ADLレスポンダー
注3)の割合は、プラセボ群で29.7%(19/64例)、本剤群で67.7%(44/65例)であり、本剤群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められた(オッズ比[95%信頼区間]:4.95[2.21,11.53]、p<0.0001、ロジスティック回帰分析、両側正確検定、有意水準両側5%)。抗アセチルコリン受容体抗体陽性患者、抗体陰性患者及び全体集団(抗アセチルコリン受容体抗体陽性及び陰性患者)における初回サイクルのMG-ADLレスポンダー
注3)の割合及びQMGレスポンダー
注4)の割合は、下表のとおりであった。
| 投与群 | 例数 | MG-ADLレスポンダーの割合 | QMGレスポンダーの割合 |
抗AChR抗体陽性集団 | プラセボ群 | 64 | 29.7%(19/64例) | 14.1%(9/64例) |
本剤群 | 65 | 67.7%(44/65例) | 63.1%(41/65例) |
抗AChR抗体陰性集団 | プラセボ群 | 19 | 63.2%(12/19例) | 36.8%(7/19例) |
本剤群 | 19 | 68.4%(13/19例) | 52.6%(10/19例) |
全体集団 | プラセボ群 | 83 | 37.3%(31/83例) | 19.3%(16/83例) |
本剤群 | 84 | 67.9%(57/84例) | 60.7%(51/84例) |
副作用発現頻度は、本剤群で31.0%(26/84例)であった。主な副作用は、処置による頭痛(4例、4.8%)であった。
17.1.2 国際共同第III相継続投与試験(ARGX-113-1705)10)
国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)に参加し、継続投与試験に移行した全身型重症筋無力症患者139例(日本人患者10例を含む)を対象として、非盲検非対照試験が実施された。本試験は、治験薬投与期の3週間後に4週間間隔で来院し観察を行うこと(サイクル間観察期)を1サイクルとし、次のサイクルはサイクル間観察期において基準
注1)に合致した場合に開始することが可能とされた。本剤最終投与時から次のサイクル投与開始時までの期間(サイクル間隔)の中央値(各サイクルの中央値の範囲)は約4.1〜6.1週間であった。各サイクルの治験薬投与期(3週間)において、コリンエステラーゼ阻害薬、経口副腎皮質ステロイド及び/又は非ステロイド性免疫抑制剤投与下で、本剤10mg/kgを1週間間隔
注2)で計4回1時間かけて静脈内投与したとき、各サイクルでのベースラインから3週目(本剤最終投与時)までのMG-ADL総スコア及びQMG総スコアの変化量は下表のとおりであった。
表 各サイクルでのベースラインから3週目(本剤最終投与時)までのMG-ADL総スコアの変化量(ARGX-113-1705)
MG-ADL総スコア | 抗AChR抗体陽性集団 | 抗AChR抗体陰性集団 | 全体集団 |
例数 | 平均値(標準誤差) | 例数 | 平均値(標準誤差) | 例数 | 平均値(標準誤差) |
サイクル1 | ベースライン | 106 | 9.7(0.29) | 33 | 10.8(0.59) | 139 | 9.9(0.27) |
3週目 | 103 | −5.1(0.34) | 33 | −5.4(0.76) | 136 | −5.1(0.32) |
サイクル2 | ベースライン | 95 | 9.8(0.33) | 30 | 11.3(0.58) | 125 | 10.2(0.29) |
3週目 | 92 | −5.4(0.38) | 28 | −5.3(0.72) | 120 | −5.4(0.33) |
サイクル3 | ベースライン | 82 | 10.1(0.38) | 24 | 11.3(0.64) | 106 | 10.3(0.33) |
3週目 | 78 | −5.5(0.40) | 21 | −5.4(0.88) | 99 | −5.4(0.37) |
サイクル4 | ベースライン | 63 | 10.7(0.46) | 18 | 11.3(0.80) | 81 | 10.9(0.40) |
3週目 | 60 | −6.3(0.51) | 17 | −5.6(1.00) | 77 | −6.1(0.45) |
サイクル5 | ベースライン | 47 | 10.6(0.53) | 15 | 11.3(0.80) | 62 | 10.7(0.44) |
3週目 | 42 | −6.1(0.53) | 15 | −6.3(0.96) | 57 | −6.1(0.46) |
サイクル6 | ベースライン | 24 | 10.5(0.72) | 13 | 10.5(0.85) | 37 | 10.5(0.55) |
3週目 | 18 | −7.1(0.92) | 9 | −5.0(1.13) | 27 | −6.4(0.73) |
サイクル7 | ベースライン | 11 | 12.6(1.03) | 6 | 13.2(0.98) | 17 | 12.8(0.73) |
3週目 | 10 | −8.9(1.19) | 4 | −7.0(1.96) | 14 | −8.4(1.00) |
表 各サイクルでのベースラインから3週目(本剤最終投与時)までのQMG総スコアの変化量(ARGX-113-1705)
QMG総スコア | 抗AChR抗体陽性集団 | 抗AChR抗体陰性集団 | 全体集団 |
例数 | 平均値(標準誤差) | 例数 | 平均値(標準誤差) | 例数 | 平均値(標準誤差) |
サイクル1 | ベースライン | 106 | 15.6(0.54) | 33 | 16.1(1.00) | 139 | 15.7(0.47) |
3週目 | 100 | −4.7(0.41) | 33 | −5.2(0.74) | 133 | −4.8(0.36) |
サイクル2 | ベースライン | 95 | 16.3(0.59) | 30 | 16.2(1.01) | 125 | 16.3(0.50) |
3週目 | 86 | −5.4(0.43) | 25 | −3.8(0.74) | 111 | −5.0(0.38) |
サイクル3 | ベースライン | 79 | 15.7(0.65) | 24 | 16.5(0.90) | 103 | 15.9(0.54) |
3週目 | 67 | −4.5(0.54) | 20 | −5.7(1.03) | 87 | −4.8(0.48) |
サイクル4 | ベースライン | 57 | 15.7(0.79) | 17 | 15.4(1.66) | 74 | 15.6(0.71) |
3週目 | 48 | −4.5(0.64) | 11 | −4.8(1.00) | 59 | −4.6(0.55) |
サイクル5 | ベースライン | 39 | 16.6(0.90) | 12 | 16.2(1.18) | 51 | 16.5(0.74) |
3週目 | 31 | −4.2(0.68) | 10 | −4.6(1.10) | 41 | −4.3(0.57) |
サイクル6 | ベースライン | 20 | 16.9(1.25) | 10 | 17.1(1.59) | 30 | 16.9(0.97) |
3週目 | 13 | −6.3(1.15) | 5 | −5.4(1.96) | 18 | −6.1(0.97) |
サイクル7 | ベースライン | 11 | 19.1(1.44) | 5 | 20.2(1.46) | 16 | 19.4(1.07) |
3週目 | 9 | −5.9(1.21) | 3 | −7.7(2.19) | 12 | −6.3(1.03) |
副作用発現頻度は、25.9%(36/139例)であった。主な副作用は、気管支炎、筋肉痛及び処置による頭痛(各1例、0.7%)であった。
注1)次のサイクル投与は、臨床症状として以下の基準のいずれも合致した場合に、開始することとされた。
・MG-ADL総スコアが合計5点以上であり、眼症状以外の項目でのスコアが50%を超えている患者
・MG-ADL総スコアが先行のサイクル投与のベースラインに対して2点以上の減少が認められない患者
注2)1週間間隔の治験薬投与において、来院の許容期間は±1日と設定された。
注3)各サイクル投与における治験薬最終投与から1週間後までにMG-ADL総スコアが当該サイクル投与のベースラインと比べて2点以上減少し、かつその減少が連続して4週間以上維持された患者
注4)各サイクル投与における治験薬最終投与から1週間後までにQMG総スコアが当該サイクル投与のベースラインから3点以上減少し、かつその減少が連続して4週間以上維持された患者