医療用医薬品 : エイベリス

List   Top

医薬品情報


総称名 エイベリス
一般名 オミデネパグ イソプロピル
欧文一般名 Omidenepag Isopropyl
製剤名 オミデネパグ イソプロピル点眼液
薬効分類名 選択的EP2受容体作動薬
緑内障・高眼圧症治療剤
薬効分類番号 1319
ATCコード S01EX06
KEGG DRUG
D10966 オミデネパグイソプロピル
KEGG DGROUP
DG03201 眼圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2022年5月 改訂(第4版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
エイベリス点眼液0.002% EYBELIS ophthalmic solution 参天製薬 1319764Q1027 800.1円/mL 劇薬, 処方箋医薬品注)
エイベリスミニ点眼液0.002% EYBELIS Mini ophthalmic solution 参天製薬 1319764Q2023 80.2円/個 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者[嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下及び視力障害を起こすおそれがある。][11.1.1参照]
2.3 タフルプロストを投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

緑内障、高眼圧症

6. 用法及び用量

1回1滴、1日1回点眼する。

8. 重要な基本的注意

8.1 嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及び虹彩炎があらわれることがあるので、視力低下等の異常が認められた場合は、直ちに受診するよう患者を指導すること。[11.1.1参照]
8.2 本剤の点眼後、一時的に霧視、羞明等があらわれることがあるため、その症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転には従事させないよう注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 虹彩炎、ぶどう膜炎等の眼炎症性疾患のある患者
眼炎症が悪化するおそれがある。
9.1.2 閉塞隅角緑内障の患者
使用経験がない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ウサギにオミデネパグ イソプロピルを皮下投与した場合、0.8mg/kg/日(臨床用量注)の40,000倍)では死亡胚胎児数、着床後胚損失率の高値、生存胎児数及び胎児生存率の低値がみられた。
注)本剤0.002%を60kgの患者の両眼に1回1滴(30μL)を点眼投与したときの投与量(0.02μg/kg/日)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。授乳期のラットに14C-オミデネパグ イソプロピル0.03mg/kgを単回皮下投与したとき、乳汁中への移行は認められなかったが、ヒトにおける乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
タフルプロスト
タプロス点眼液
タプコム配合点眼液
2.3参照]
中等度以上の羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められている。機序不明
10.2 併用注意
タフルプロストを除く緑内障・高眼圧症治療薬
チモロールマレイン酸塩等
チモロールマレイン酸塩との併用例で結膜充血等の眼炎症性副作用の発現頻度の上昇が認められている。他の薬剤との併用経験はない。機序不明

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫(5.2%)注)
視力低下、視力障害等の症状があらわれた場合は、速やかに視力検査や眼底検査、及び可能であれば光干渉断層計や蛍光眼底造影等の検査を実施し、黄斑浮腫が確認された場合は、本剤の投与中止等の適切な処置を行うこと。[2.28.1参照]
注)いずれも眼内レンズ挿入眼患者において認められた。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 10%以上1〜10%未満頻度不明
結膜充血(22.8%)角膜肥厚、虹彩炎(前房内細胞、前房のフレア)、眼痛、羞明、眼の不快な症状(刺激感等)、角膜上皮障害眼乾燥感
精神神経系  頭痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
<製剤共通>
・薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・患眼を開瞼して結膜のう内に点眼し、1〜5分間閉瞼して涙のう部を圧迫させた後、開瞼すること。
・他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。
・遮光して保存すること。
<2.5mL点眼液>
・本剤に含まれているベンザルコニウム塩化物はソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるので、ソフトコンタクトレンズを装用している場合には、点眼前にレンズを外し、点眼後少なくとも5〜10分間の間隔をあけて再装用すること。
<ミニ点眼液>
・開封時の容器破片除去のため、使用の際は、最初の1〜2滴は点眼せずに捨てること。
・保存剤を含有しないため、開封後は1回きりの使用とし、残液は廃棄すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
0.0025%オミデネパグ イソプロピル点眼液注)を健康成人(日本人及び白人、各7例)の両眼に1回1滴、1日1回7日間反復点眼し、活性代謝物であるオミデネパグの血漿中濃度を測定したとき、1日目の点眼後約9分に41.5pg/mL(日本人)及び約10分に27.2pg/mL(白人)、7日目では点眼後約12分に37.5pg/mL(日本人)及び約11分に33.3pg/mL(白人)で最高濃度に達し、半減期23〜32分で減少した1)
16.3 分布
0.03%14C-オミデネパグ イソプロピル点眼液注)をサルに単回点眼したとき、各眼組織における濃度は点眼後15分〜4時間で最高に達し、特に角膜、結膜及び線維柱帯に高濃度に分布した。これらの組織では、点眼後15分に最高濃度を示した後、消失した2)
16.4 代謝
オミデネパグはヒトではCYP3A4により代謝される(in vitro)。
オミデネパグ イソプロピルは生体内のエステラーゼにより活性代謝物のオミデネパグに加水分解される。またN-脱アルキル化により代謝されると推測された。オミデネパグはさらに一酸化、N-脱アルキル化、グルクロン酸抱合、硫酸抱合及びタウリン抱合反応によって代謝されると推測された3)4)
注)本剤が承認されている濃度は0.002%である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相試験
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者190例(有効性解析対象189例)を対象とした評価者盲検並行群間比較試験において、本剤又は0.005%ラタノプロスト点眼液を1日1回、4週間点眼した結果、最初の規定来院日である投与後1週から眼圧下降作用が認められ、本剤投与後4週の眼圧変化量(平均値±標準偏差)は−5.96±2.45mmHgであり、対照薬に対する非劣性が検証された。
副作用は、本剤群94例中37例(39.4%)に認められ、主な副作用は結膜充血24.5%(23/94例)であった5)
表 第II/III相試験 眼圧の比較(mmHg)
 本剤
(n=94)
対照薬
(n=95)
ベースラインの平均日中眼圧23.78±1.7323.40±1.51
投与後4週の平均日中眼圧17.81±2.4116.96±2.24
投与後4週のベースラインからの平均日中眼圧変化量−5.96±2.45−6.45±2.01
投与後4週の平均日中眼圧変化量の群間差(本剤−対照薬)0.63
群間差の95%信頼区間0.01〜1.26

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
オミデネパグ イソプロピル点眼液の眼圧下降作用機序は、EP2受容体刺激作用により、線維柱帯流出路及びぶどう膜強膜流出路を介した房水流出が促進されることによると考えられている。
18.1.1 プロスタノイド受容体に対する親和性
活性代謝物であるオミデネパグは、EP2受容体に対して選択的に結合(Ki=3.6nM)し、高いアゴニスト活性(EC50=8.3nM)を示した(in vitro6)7)
18.1.2 房水動態
レーザー誘発高眼圧サルを用いて、0.002%オミデネパグ イソプロピル点眼液を1日1回7日間点眼したときの房水動態をフルオロフォトメトリー法により検討したところ、房水産生量に変化は認められず、房水流出率(線維柱帯流出路を介すると推測される)及びぶどう膜強膜流出量が有意に増大した8)
18.2 眼圧下降作用
・正常眼圧サルに0.0001%〜0.01%のオミデネパグ イソプロピル点眼液を1日1回、7日間点眼したとき、濃度依存的な眼圧下降作用が認められ、その作用は点眼7日目においても持続していた。
・レーザー誘発高眼圧サルに0.01%オミデネパグ イソプロピル点眼液を単回点眼したとき、有意な眼圧下降作用が認められた6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. オミデネパグ イソプロピル

一般的名称 オミデネパグ イソプロピル
一般的名称(欧名) Omidenepag Isopropyl
化学名 1-Methylethyl 2-{[6-({N-[4-(1H-pyrazol-1-yl)benzyl]pyridine-3-sulfonamido}methyl)pyridin-2-yl]amino}acetate
分子式 C26H28N6O4S
分子量 520.60
物理化学的性状 本品は白色から淡褐色の結晶又は結晶性の粉末で、水にほとんど溶けず、エタノールに溶けにくく、N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすい。
KEGG DRUG D10966

20. 取扱い上の注意

<2.5mL点眼液>
・外箱開封後は、遮光して保存すること。
・点眼容器開封後は添付の遮光用投薬袋に入れ、1ヵ月以内であれば室温で保存できる。
<ミニ点眼液>
・アルミピロー包装開封後は、添付の遮光用投薬袋に入れて2〜8℃で保存し、1年以内に使用すること。添付の遮光用投薬袋に入れて室温で保存した場合には、1ヵ月以内に使用すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画書を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

<エイベリス点眼液0.002%>
プラスチック点眼容器 2.5mL×5本、2.5mL×10本
<エイベリスミニ点眼液0.002%>
プラスチック点眼容器 0.3mL×30本(アルミピロー1袋10本入り×3袋)

23. 主要文献

  1. Aihara,M.et al., J.Ocul.Pharmacol.Ther., 35, 542-550, (2019) »PubMed
  2. 社内資料:サル眼組織分布(2018年9月21日承認、CTD2.6.4.4)
  3. 社内資料:推定代謝経路(2018年9月21日承認、CTD2.6.4.5)
  4. 社内資料:代謝に関与する酵素(2018年9月21日承認、CTD2.6.4.5)
  5. Aihara,M.et al., Am.J.Ophthalmol., 220, 53-63, (2020) »PubMed
  6. Kirihara,T.et al., Invest.Ophthalmol.Vis.Sci., 59, 145-153, (2018) »PubMed
  7. 社内資料:受容体親和性及び選択性に関する試験(2018年9月21日承認、CTD2.6.2.2)
  8. Fuwa,M.et al., J.Ocul.Pharmacol.Ther., 34, 531-537, (2018) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
参天製薬株式会社 製品情報センター 受付時間 9:00〜17:00(土・日・祝日を除く)
〒530-8552(個別郵便番号) 大阪市北区大深町4-20
電話:0120-921-839
06-7664-8624
製品情報問い合わせ先
参天製薬株式会社 製品情報センター 受付時間 9:00〜17:00(土・日・祝日を除く)
〒530-8552(個別郵便番号) 大阪市北区大深町4-20
電話:0120-921-839
06-7664-8624

25. 保険給付上の注意

エイベリスミニ点眼液0.002%は、以下の患者に使用した場合に限り算定するものであること。
[1]ベンザルコニウム塩化物に対し過敏症の患者又はその疑いのある患者
[2]角膜上皮障害を有する患者

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
参天製薬株式会社
大阪市北区大深町4-20

その他の説明

エイベリスミニ点眼液0.002%の使用方法
1)1回分(1本分)の容器を切り離してくさだい。
2)図の様に薬液が入っていない部分を持ち、容器の先端をねじって、取り外してください。
3)点眼する前に、1〜2滴捨ててください。
4)下まぶたを軽く下にひき、まぶたやまつ毛、目に触れないように点眼してください。
両眼に点眼する必要がある場合は、そのままもう片眼に点眼してください。

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版