17.1.1 国内第III相試験(NS32-P3-01試験)
18歳以上49歳以下の経口鉄剤に忍容性がない若しくは効果不十分、又は急速な鉄補給を必要とする過多月経に伴う鉄欠乏性貧血患者(ヘモグロビン濃度:11.0g/dL未満、血清フェリチン値:12ng/mL未満)355例を対象に、患者のヘモグロビン濃度及び体重に応じて総投与鉄量を決定し、本剤又は含糖酸化鉄を静脈内投与する無作為化非盲検並行群間比較試験を実施した。本剤群の初回投与は、1回あたり鉄として最大1000mg(体重50kg未満の場合は20mg/kg)を点滴静注することとし、2回目の投与は、総投与量と初回投与量の差を緩徐に静脈内投与又は点滴静注することとした。投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の最大変化量(調整済み平均値)の群間差(本剤群−含糖酸化鉄群)[95%信頼区間]は0.06g/dL[−0.13,0.24]であり、本剤群の含糖酸化鉄群に対する非劣性が検証された(非劣性限界値−0.5g/dL)
10)。
12週時までのヘモグロビン濃度の最大変化量
| 本剤群(237例) | 含糖酸化鉄群(118例) |
ヘモグロビン濃度の最大変化量の調整済み平均値注) [95%信頼区間] | 4.33g/dL [4.22,4.44] | 4.27g/dL [4.12,4.42] |
群間差 [95%信頼区間] | 0.06g/dL [−0.13,0.24] |
投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の推移図は以下のとおりであった。
副作用の発現率は、46.8%(111/237例)であった。主な副作用(発現率5%以上)は、発熱8.4%(20/237例)、蕁麻疹8.0%(19/237例)、低リン酸血症5.9%(14/237例)、血清フェリチン増加5.5%(13/237例)であった。[
12.1参照]
17.1.2 国内第III相試験(NS32-P3-02試験)
18歳以上の経口鉄剤に忍容性がない若しくは効果不十分、又は急速な鉄補給を必要とする消化管障害に伴う鉄欠乏性貧血患者(ヘモグロビン濃度:11.0g/dL未満、血清フェリチン値:30ng/mL未満(CRPが基準値上限超の場合100ng/mL未満))40例を対象に、患者のヘモグロビン濃度及び体重に応じて総投与鉄量を決定し、本剤を静脈内投与(被験者をA群とB群に3:1の割合でランダム割付)するオープンラベル試験を実施した。A群では初回投与は鉄として500mgとし、その後1日1回最大500mgを1週間に2回の頻度で最小回数により、総投与量を分割して静脈内投与した。B群では初回投与は、1回あたり鉄として最大1000mg(体重50kg未満の場合は20mg/kg)を点滴静注することとし、2回目の投与は、総投与量と初回投与量の差を緩徐に静脈内投与又は点滴静注することとした。投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の最大変化量[95%信頼区間]は全体:4.33g/dL[3.82,4.83]、A群(30例):4.27g/dL[3.83,4.71]、B群(10例):4.49g/dL[2.69,6.29]であった
11)。
投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の推移図は以下のとおりであった。
副作用の発現率は、30.0%(12/40例)であった。主な副作用(発現率5%以上)は、低リン酸血症10.0%(4/40例)、蕁麻疹7.5%(3/40例)、発熱5.0%(2/40例)であった。[
12.1参照]
17.1.3 国内第III相試験(NS32-P3-03試験)
20歳以上かつ分娩予定日に40歳未満の経口鉄剤に忍容性がない若しくは効果不十分、又は急速な鉄補給を必要とする分娩後出血に伴う鉄欠乏性貧血患者(妊娠36週の血清フェリチン値:25.0ng/mL未満、分娩後24時間から48時間までのヘモグロビン濃度:10g/dL未満、分娩後24時間までの分娩に伴う出血量:500mL以上)21例を対象に、患者の分娩後(24時間以降48時間未満)のヘモグロビン濃度及び妊娠前の体重に応じて総投与鉄量を決定し、本剤を静脈内投与するオープンラベル試験を実施した。初回投与は、1回あたり鉄として最大1000mg(体重50kg未満の場合は20mg/kg)を点滴静注することとし、分娩後48時間までに点滴静注を開始することとした。2回目の投与は、総投与量と初回投与量の差を緩徐に静脈内投与又は点滴静注することとした。投与開始8週後までのヘモグロビン濃度の最大変化量[95%信頼区間]は4.77g/dL[4.34,5.20]であった
7)。
投与開始8週後までのヘモグロビン濃度の推移図は以下のとおりであった。
副作用の発現率は、33.3%(7/21例)で、主な副作用(発現率5%以上)は、肝酵素上昇14.3%(3/21例)であった。[
12.1参照]