医療用医薬品 : ケトチフェン

List   Top

医薬品情報


総称名 ケトチフェン
一般名 ケトチフェンフマル酸塩
欧文一般名 Ketotifen Fumarate
製剤名 ケトチフェンフマル酸塩シロップ・ドライシロップ
薬効分類名 アレルギー性疾患治療剤
薬効分類番号 4490
ATCコード R06AX17
KEGG DRUG
D01332 ケトチフェンフマル酸塩
KEGG DGROUP
DG01482 ヒスタミンH1受容体拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年11月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」 (後発品) Ketotifen Syrup 日医工岐阜工場 4490003Q1206 6.7円/mL
ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」 (後発品) Ketotifen Dry Syrup 日医工岐阜工場 4490003R1368 6.7円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 てんかん又はその既往歴のある患者[9.1.1参照]

4. 効能または効果

気管支喘息
アレルギー性鼻炎
○蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症

6. 用法及び用量

<ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」>
通常、小児には1日量0.3mL/kg(ケトチフェンとして0.06mg/kg)を2回、朝食後及び就寝前に分けて経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
年齢別の標準投与量は、通常、下記の用量を1日量とし、1日2回、朝食後及び就寝前に分けて経口投与する。
年齢1日用量
ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」としてケトチフェンとして
6ヵ月以上3歳未満4mL0.8mg
3歳以上7歳未満6mL1.2mg
7歳以上10mL2.0mg
ただし、1歳未満の乳児に使用する場合には体重、症状などを考慮して適宜投与量を決めること。
<ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」>
通常、小児には1日量0.06g/kg(ケトチフェンとして0.06mg/kg)を2回、朝食後及び就寝前に分け、用時溶解して経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
年齢別の標準投与量は、通常、下記の用量を1日量とし、1日2回、朝食後及び就寝前に分け、経口投与する。
年齢1日用量
ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」としてケトチフェンとして
6ヵ月以上3歳未満0.8g0.8mg
3歳以上7歳未満1.2g1.2mg
7歳以上2.0g2.0mg
ただし、1歳未満の乳児に使用する場合には体重、症状などを考慮して適宜投与量を決めること。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
<気管支喘息>
8.2 本剤はすでに起こっている発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、このことを患者に十分に説明しておく必要がある。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかんを除く痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させることがある。[2.2参照]
9.1.2 長期ステロイド療法を受けている患者
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は十分な管理下で徐々に行うこと。
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。[11.1参照]

10. 相互作用

10.2 併用注意
中枢神経抑制剤
(鎮静剤、催眠剤等)
抗ヒスタミン剤
アルコール
眠気、精神運動機能低下等を起こすことがある。
アルコール性飲料の摂取を制限すること。
いずれも中枢神経抑制作用を有するため。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
11.1.1 痙攣、興奮(頻度不明)
乳児、幼児では特に注意すること。[9.7参照]
11.1.2 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ALP、LDH、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
 0.1%〜5%未満0.1%未満頻度不明
泌尿器頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等の膀胱炎様症状
過敏症発疹、蕁麻疹浮腫、多形紅斑
精神神経系眠気めまい、ふらつき、けん怠感、口渇一過性の意識消失、頭痛、味覚異常、しびれ感、易刺激性、不眠、神経過敏、鎮静
消化器悪心、下痢、嘔吐、便秘腹痛、胃部不快感、食欲不振、口内炎
肝臓AST、ALT、ALPの上昇LDH、γ-GTPの上昇
その他体重増加ほてり、鼻出血、動悸、月経異常

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤は、アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3〜5日前より本剤の投与を中止することが望ましい1)

13. 過量投与

13.1 徴候、症状
傾眠、見当識障害、チアノーゼ、呼吸困難、発熱、錯乱、痙攣、頻脈、徐脈、低血圧、眼振、可逆性昏睡等。特に小児では、興奮性亢進、痙攣2)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
<シロップ>
14.1.1 他剤との配合は、できるだけ避けることが望ましい。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 シロップ
健康成人にケトチフェンシロップ10mL(ケトチフェンとして2mg)注1)を1回経口投与した場合の薬物動態は、次のとおりであり、ケトチフェンカプセル製剤とほぼ同じと推定された。
また、ケトチフェンシロップを小児患者に投与した場合、健康成人に比べやや吸収が遅く、血中からの消失が速いことが示された3)
Tmax(h)Cmax(ng/mL)AUC0→24(ng・h/mL)T1/2(h)
2.8±0.45.62±0.5262.20±8.068.03±1.24
16.1.2 ドライシロップ
健康成人にケトチフェンドライシロップ2.0g(ケトチフェンとして2mg)注2)を1回経口投与した場合の薬物動態は次のとおりである。またドライシロップ製剤とシロップ製剤を比較した結果、生物学的同等性が認められた3)
Tmax(h)Cmax(ng/mL)AUC0→24(ng・h/mL)T1/2β(h)
3.45.155.76.2
16.1.3 生物学的同等性試験
<ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」>
(1)ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」とザジテンシロップ0.02%を、クロスオーバー法によりそれぞれ10mL[ケトチフェンフマル酸塩として2.76mg(ケトチフェンとして2mg)]健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中ケトチフェンフマル酸塩濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)
薬物動態パラメータ
 投与量(mg)AUC0-24(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」297.5±20.88.9±2.02.9±0.79.4±2.6
ザジテンシロップ0.02%295.7±16.88.7±1.62.9±0.98.7±1.3
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
<ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」>
(2)ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」とザジテンドライシロップ0.1%を、クロスオーバー法によりそれぞれ2g[ケトチフェンフマル酸塩として2.76mg(ケトチフェンとして2mg)]健康成人男子に単回経口投与して血漿中ケトチフェン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)
薬物動態パラメータ
 投与量(mg)AUC0-24(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」2142.8±28.015.0±3.02.9±1.45.8±2.2
ザジテンドライシロップ0.1%2133.9±19.215.2±2.32.9±1.46.1±2.0
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
ケトチフェンの蛋白結合率は約75%である3)in vitro、ヒト血清、平衡透析法)。
16.4 代謝
ケトチフェンの血中及び尿中における主代謝産物はグルクロン酸抱合体であり、脱メチル化体及びN-酸化体がわずかにみられた3)5)(外国人のデータ)。
16.5 排泄
健康成人に14C-ケトチフェンを単回投与した時、投与120時間後までに放射能は尿中に71.1%、糞中に26.4%排泄された3)(外国人のデータ)。
また、ケトチフェンを小児患者に投与した場合、健康成人に比べ尿中への排泄は速やかに行われることが示唆された3)
注1)ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」の承認された7歳以上小児標準投与量は「1日10mL(ケトチフェンとして2.0mg)を2回に分け、経口投与する。」である。
注2)ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」の承認された7歳以上小児標準投与量は「1日2.0g(ケトチフェンとして2.0mg)を2回に分け、用時溶解して経口投与する。」である。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ケトチフェンはケミカルメディエーター遊離抑制に基づく抗アナフィラキシー作用及び抗ヒスタミン作用を有し、かつ、気道及び鼻粘膜等の組織の過敏性を減弱させる。更に、PAF(血小板活性化因子)による気道の反応性亢進を抑制し、好酸球に対する作用を有する。
18.2 抗アナフィラキシー作用
ケトチフェンはPCA(受動的皮膚アナフィラキシー)反応、実験的気管支喘息モデルにおけるアナフィラキシー反応を抑制する6)(ラット)。
ヒスタミン及びSRS-A等ケミカルメディエーターの遊離を抑制する(ラット腹腔・皮膚肥満細胞6)7)、ヒト白血球中好塩基球・好中球8)9)、ヒト肺10)in vitro)。また、抗SRS-A作用を有する9)10)(モルモット気管支筋in vivo、回腸in vitro)。
18.3 抗ヒスタミン作用
ケトチフェンはヒスタミンによる気管支収縮(モルモット)、血管透過性亢進、皮膚反応(ラット)等を抑制する6)
18.4 PAF(血小板活性化因子)による気道反応の抑制
ケトチフェンはPAFによる気管支収縮、気道反応性亢進を抑制する11)12)(モルモット)。
18.5 好酸球に対する作用
PAFによる好酸球の肺への集積を防止する(モルモット12)、ヒヒ13))。
アレルギー性疾患患者においてケトチフェンは抗原刺激による好酸球の脱顆粒を防止する14)in vitro)。
ケトチフェンはアレルギー性疾患患者の末梢血好酸球を減少させる15)16)17)
また、臨床症状の改善に伴って低比重好酸球比率の減少がみられる15)
18.6 誘発試験による過敏反応の抑制
アレルギー性疾患患者において、ケトチフェンは抗原誘発による気道、鼻粘膜、皮膚等の過敏反応を抑制する18)19)20)21)22)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ケトチフェンフマル酸塩

一般的名称 ケトチフェンフマル酸塩
一般的名称(欧名) Ketotifen Fumarate
化学名 4-(1-Methylpiperidin-4-ylidene)-4H-benzo[4,5]cyclohepta[1,2-b]thiophen-10(9H)-one monofumarate
分子式 C19H19NOS・C4H4O4
分子量 425.50
融点 約190℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄白色の結晶性の粉末である。メタノール又は酢酸(100)にやや溶けにくく、水、エタノール(99.5)又は無水酢酸に溶けにくい。
KEGG DRUG D01332

20. 取扱い上の注意

<ドライシロップ>
開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<ケトチフェンシロップ0.02%「NIG」>
500mL[プラスチックボトル]
<ケトチフェンドライシロップ0.1%「NIG」>
100g[プラスチックボトル、バラ、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. Debelic,M.et al., Dtsch.med.Wschr., 106 (50), 1704-1707, (1981) »PubMed
  2. Le Blaye,I.et al., Drug Safety, 7 (5), 387-392, (1992) »PubMed
  3. 第十八改正日本薬局方 医薬品情報 JPDI2021, 255-256, (2021), (じほう)
  4. 社内資料:生物学的同等性試験
  5. Kennedy,G.R., Res.Clin.Forums, 4 (1), 17-20, (1982)
  6. Martin,U.et al., Arzneim.-Forsch.Drug Res., 28 (5), 770-782, (1978) »PubMed
  7. 赤星吉徳ほか, アレルギーの臨床, 5 (5), 401-404, (1985)
  8. 熊谷 朗ほか, メディカルサンド, 8 (2), 87-93, (1980)
  9. 岸本真知子ほか, アレルギーの臨床, 4 (2), 149-151, (1984)
  10. Ney,U.M.et al., Res.Clin.Forums, 4 (1), 9-16, (1982)
  11. Mazzoni,L.et al., Br.J.Pharmacol., 86 (S), 571, (1985)
  12. Morley,J.et al., Agents.Actions., 23 (S), 187-194, (1988)
  13. Arnoux,B.et al., Am.Rev.Respir.Dis., 137 (4), 855-860, (1988) »PubMed
  14. Podleski,W.K.et al., Agents.Actions., 15 (3-4), 177-181, (1984) »PubMed
  15. 宮里 稔ほか, 炎症, 8 (3), 260-262, (1988) »DOI
  16. 笹本明義ほか, 小児科臨床, 39 (11), 3275-3281, (1986)
  17. 碇 久雄ほか, 小児科臨床, 42 (3), 589-600, (1989)
  18. 伊藤和彦ほか, 薬理と治療, 8 (2), 563-567, (1980)
  19. 山田政功ほか, アレルギーの臨床, 4 (2), 137-140, (1984)
  20. 臼井信郎ほか, 耳鼻咽喉科展望, 27 (S1), 107-114, (1984)
  21. 田中憲雄ほか, 臨牀と研究, 57 (8), 2712-2717, (1980)
  22. Giesen,H.K.et al., Med.Welt, 30 (37), 1359-1360, (1979) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日医工岐阜工場株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.2 発売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.3 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版