後天性TTPの被験者を対象に、標準治療(血漿交換、免疫抑制療法)に追加して本剤を投与する単群、非盲検試験を実施した。
有効性解析は、PP集団
注)(n=15)を対象として行った。
注)治験実施計画書からの重大な逸脱があった被験者を除き、治験実施計画書に従って投与及び追跡調査を完了するか、治験実施計画書に従ってTTPの再発が認められた評価可能な被験者
安全性解析対象集団は、治験薬を1回以上投与された全ての被験者とした。
本試験では、登録前に最大1回血漿交換を受けた被験者が組み入れられた。用法及び用量は、登録後最初の血漿交換前に、本剤10mgを静脈内への急速注射により1回投与することとされた。その後の連日血漿交換期間及び30日間の連日血漿交換後期間は、血漿交換終了後2時間以内に本剤10mgを皮下注射により1日1回投与することとされた。
30日間の連日血漿交換後期間以後の治験薬投与の延長については、後天性TTPの症状又は徴候(ADAMTS13活性低下持続等)を示す場合には、治験薬の投与を1週間ずつ追加し、最長で8週間とした。同時に、免疫抑制療法の最適化を行った。
治験薬が1回以上投与された被験者では、全治験期間における投与期間の中央値は35日であり、最大の投与期間は69日であった。
本剤の有効性は、全治験期間(治験薬の最終投与後28日間の追跡調査期間を含む)におけるTTP再発割合で評価した(PP集団)。TTP再発は、最初の血小板数の正常化(連日血漿交換を中止しても血小板数が150,000/μL以上になり、かつその後5日以内に連日血漿交換を中止した場合)後に再発した血小板減少症で連日血漿交換の再開を要するものと定義した。
PP集団において、全治験期間中に1名(6.7%)の被験者でTTPの再発が認められ、事前に規定された成功基準(20%以下)を満たした。TTP関連死又は治験薬投与下での重大な血栓塞栓性イベントを有する被験者は認められなかった
3)。
安全性解析対象集団において、12名(57.1%)の被験者で副作用が認められた。高頻度で認められた副作用は、ALT増加2名(9.5%)、鼻出血2名(9.5%)及び胃腸出血2名(9.5%)であった
4)。[
7.2、
7.4参照]
後天性TTPの被験者145名を対象に、標準治療(血漿交換、免疫抑制療法)に追加して本剤(72名)又はプラセボ(73名)を投与する、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験を実施した。本試験では、ランダム化前に1回血漿交換を受けた被験者が組み入れられた。ランダム化後最初の血漿交換実施前に、本剤10mg又はプラセボを静脈内への急速注射により1回投与することとされた。その後の連日血漿交換期間及び30日間の連日血漿交換後期間は、血漿交換終了後2時間以内に本剤10mg又はプラセボを皮下注射により1日1回投与することとされた。
30日間の連日血漿交換後期間以後の治験薬の投与延長については、後天性TTPの症状又は徴候(ADAMTS13活性低下持続等)を示す場合には、治験薬の投与を1週間ずつ追加し、最長で4週間とした。同時に、免疫抑制治療の最適化を行った。二重盲検期間における投与期間の中央値は、本剤群で35日であり、本剤の最大の投与期間は65日であった。
本剤の有効性は、血小板数の正常化までの期間(最初に血小板数が150×10
9/L以上となった後5日以内に連日血漿交換を中止した場合と定義)で検証され、本剤群で、2.69[1.89,2.83]日、プラセボ群で2.88[2.68,3.56]日(中央値[95%信頼区間])と統計的に有意な短縮を示した(p=0.0099、神経症状の重症度(GCS 12以下又は13〜15)で層別した両側log-rank検定)。血小板数正常化達成確率に関する本剤群のプラセボ群に対するハザード比は1.55であった。
治験薬投与期間におけるTTP関連死、TTP再発、又は1件以上の治験薬投与下での重大な血栓塞栓性イベントを発現した被験者は、本剤群で9名(12.7%)、プラセボ群で36名(49.3%)であった。
全治験期間(治験薬の最終投与後28日間の追跡調査を含む)におけるTTP再発割合は、本剤群で9名(12.7%)、プラセボ群で28名(38.4%)であった
5)。
難治性TTP(4日間の標準治療後に血小板数の倍増が見られず、LDHが基準値上限を超える場合と定義)は、プラセボ群では3名(4.2%)に認められ、本剤群では認められなかった。
本剤群では、臓器障害マーカー(LDH、cTnI及び血清クレアチニン)が正常化するまでの期間が短縮する傾向が観察された。本剤群では、血漿交換日数の短縮、血漿交換量の減少等が認められた
5)。
副作用は、全治験期間を通して本剤群では57.7%(41/71名)に認められた。主な副作用は、鼻出血23.9%(17/71名)、歯肉出血11.3%(8/71名)及び挫傷7.0%(5/71名)であった
6)。[
7.2、
7.4参照]