本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と神経線維腫症1型の治療の十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。
5.1 疼痛や外観上の変形等の臨床症状を有し、重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できない叢状神経線維腫を有する神経線維腫症1型患者に対し投与すること。[
17.1.1、
17.1.2参照]
通常、小児にはセルメチニブとして1回25mg/m2(体表面積)を1日2回空腹時に経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。ただし、1回量は50mgを上限とする。
7.1 食事の影響により本剤のCmax及びAUCが低下するため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。[
16.2.2参照]
7.3 18歳以下で本剤により薬物治療を開始した患者において、18歳を超えて継続投与する場合には、治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に投与すること。
7.4 体表面積から換算した本剤の投与量は以下の表のとおりとする。
体表面積(m2) | 投与量 |
0.55-0.69 | 朝20mg/夜10mg |
0.70-0.89 | 1回20mg 1日2回 |
0.90-1.09 | 1回25mg 1日2回 |
1.10-1.29 | 1回30mg 1日2回 |
1.30-1.49 | 1回35mg 1日2回 |
1.50-1.69 | 1回40mg 1日2回 |
1.70-1.89 | 1回45mg 1日2回 |
≧1.90 | 1回50mg 1日2回 |
7.5 本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。2段階減量後に忍容性が認められない場合、投与を中止すること。
副作用の発現により減量する場合の投与量
体表面積(m2) | 1段階減量(1回用量) | 2段階減量(1回用量) |
朝 | 夜 | 朝 | 夜 |
0.55-0.69 | 10mg | 10mg | 10mg/日 |
0.70-0.89 | 20mg | 10mg | 10mg | 10mg |
0.90-1.09 | 25mg | 10mg | 10mg | 10mg |
1.10-1.29 | 25mg | 20mg | 20mg | 10mg |
1.30-1.49 | 25mg | 25mg | 25mg | 10mg |
1.50-1.69 | 30mg | 30mg | 25mg | 20mg |
1.70-1.89 | 35mg | 30mg | 25mg | 20mg |
≧1.90 | 35mg | 35mg | 25mg | 25mg |
副作用発現時の用量調節基準
副作用 | 程度注) | 処置 |
左室駆出率(LVEF)低下 | 投与前から10%以上低下かつ正常下限値以下で無症候性 | 回復するまで休薬し、再開する場合、用量を1段階減量して投与する。 |
症候性又はGrade3以上 | 投与を中止する。 |
眼障害 | 網膜色素上皮剥離又は中心性漿液性網膜症 | 回復するまで休薬し、再開する場合、用量を1段階減量して投与する。 |
網膜静脈閉塞 | 投与を中止する。 |
筋障害 | Grade1又は忍容可能なGrade2のCK上昇又は筋症状 | 患者の状態に注意しながら投与を継続する。 |
忍容不能なGrade2又はGrade3のCK上昇又は筋症状 | Grade1以下に回復するまで休薬し、再開する場合、用量を1段階減量して投与する。 |
Grade4のCK上昇 | Grade1以下に回復するまで休薬し、再開する場合、用量を1段階減量して投与する。また、投与中止を検討する。 |
横紋筋融解症 | 投与を中止する。 |
下痢 | Grade1又は忍容可能なGrade2 | 患者の状態に注意しながら投与を継続する。 |
忍容不能なGrade2又はGrade3 | Grade1以下に回復するまで休薬し、再開する場合、用量を1段階減量して投与する。 |
Grade4 | 投与を中止する。 |
上記以外の副作用 | Grade1又は忍容可能なGrade2 | 患者の状態に注意しながら投与を継続する。 |
忍容不能なGrade2又はGrade3 | Grade1以下に回復するまで休薬し、再開する場合、用量を1段階減量して投与する。 |
Grade4 | Grade1以下に回復するまで休薬し、再開する場合、用量を1段階減量して投与する。また、投与中止を検討する。 |
7.6 中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)のある患者では、7.7項の表を参考に、本剤1回20mg/m
2の1日2回投与とすること。[
9.3.2、
16.6.2参照]
7.7 強い又は中程度のCYP3A阻害剤若しくはフルコナゾールとの併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、以下の表に従い、1回20mg/m
2の1日2回投与とし、併用中に副作用が発現した場合には、1回15mg/m
2の1日2回投与に減量すること。[
10.2、
16.7.1、
16.7.2、
16.7.4参照]
1回20mg/m2 1日2回及び1回15mg/m2 1日2回の投与量
体表面積(m2) | 20mg/m2(1回用量) | 15mg/m2(1回用量) |
朝 | 夜 | 朝 | 夜 |
0.55-0.69 | 10mg | 10mg | 10mg/日 |
0.70-0.89 | 20mg | 10mg | 10mg | 10mg |
0.90-1.09 | 20mg | 20mg | 20mg | 10mg |
1.10-1.29 | 25mg | 25mg | 25mg | 10mg |
1.30-1.49 | 30mg | 25mg | 25mg | 20mg |
1.50-1.69 | 35mg | 30mg | 25mg | 25mg |
1.70-1.89 | 35mg | 35mg | 30mg | 25mg |
≧1.90 | 40mg | 40mg | 30mg | 30mg |
7.8 10mgカプセルと25mgカプセルの生物学的同等性は示されていないため、1回50mgを投与する際には10mgカプセルを使用しないこと。
8.1 心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を確認すること。[
9.1.1、
11.1.1参照]
8.2 眼障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[
11.1.2参照]
8.3 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。[
11.1.4参照]
8.4 横紋筋融解症、ミオパチーがあらわれることがあるので、本剤投与中は定期的にCK、クレアチニン等の検査を行い、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に十分注意すること。[
11.1.5参照]
8.5 貧血、ヘモグロビン減少、好中球減少、リンパ球減少、血小板減少があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。[
11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)
9.3.2 中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)
本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。[
7.6、
16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[
9.5参照]
9.4.2 パートナーが妊娠する可能性がある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。マウスを用いた胚・胎児発生に関する試験では、胚・胎児死亡、催奇形性、胎児重量の減少が認められ、臨床曝露量(25mg/m
2 1日2回投与、初回投与時)に対する安全域は2.8倍であった。マウスを用いた出生前及び出生後の発生に関する試験では、出生児に未成熟な開眼及び口蓋裂等の奇形が認められ、臨床曝露量(25mg/m
2 1日2回投与、初回投与時)に対する安全域は0.4倍未満であった。[
2.2、
9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤又は本剤の代謝物がヒトの母乳中に移行するかどうかは不明であるが、動物試験(マウス)で授乳中の母動物へ本剤を投与した際、本剤及び本剤の代謝物が乳汁中に排泄されることが認められている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児又は3歳未満の幼児、体表面積0.55m
2未満の小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[
7.2、
17.1.1、
17.1.2参照]
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心機能障害
駆出率減少(14.5%)、左室機能不全(頻度不明)等の心機能障害があらわれることがある。[
8.1、
9.1.1参照]
11.1.2 眼障害
網膜色素上皮剥離(頻度不明)、中心性漿液性網膜症(頻度不明)、網膜静脈閉塞(頻度不明)等の眼障害があらわれることがある。[
8.2参照]
11.1.3 消化管障害
嘔吐(66.1%)、下痢(59.7%)、悪心(53.2%)等の消化管障害があらわれることがある。
11.1.4 肝機能障害
AST(32.3%)、ALT(25.8%)、ビリルビン(1.6%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。[
8.3参照]
11.1.5 横紋筋融解症(頻度不明)[
8.4参照]
11.1.6 貧血及び血球減少
貧血(33.9%)、好中球減少(22.6%)、リンパ球減少(11.3%)、血小板減少(9.7%)等があらわれることがある。[
8.5参照]
11.1.7 間質性肺疾患(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 1%〜10%未満 |
眼 | − | 霧視 |
呼吸器 | − | 呼吸困難 |
消化器 | 口内炎 | 口内乾燥 |
皮膚 | 発疹(75.8%)、ざ瘡様皮膚炎(53.2%)、皮膚乾燥(51.6%)、爪囲炎、脱毛・毛髪変色 | − |
その他 | 血中CK増加(62.9%)、疲労・無力症、低アルブミン血症、発熱、血中クレアチニン増加 | 高血圧、末梢性浮腫、顔面浮腫 |
14.1 薬剤調製時の注意
吸湿により添加剤が加水分解され本剤の品質に影響を及ぼす可能性があるため、分包せずボトルのまま交付すること。
14.2 薬剤交付時の注意
患者又は保護者等に対し以下の点に注意するよう指導すること。
・カプセルは噛んだり、溶かしたり、開けたりせずに、そのまま水とともに服用すること。
・ボトルから乾燥剤は取り出さず、使用の都度密栓すること。[
20.1、
20.2参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
マウスを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の約22倍で盲腸及び結腸の穿孔が認められ、回復性は確認されていない。また、ラットを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の約9倍で骨端軟骨異形成が認められ、回復性は確認されていない。
16.1 血中濃度
16.1.1 国内第I相試験(D1346C00013試験)
3歳以上18歳以下の叢状神経線維腫を有する日本人神経線維腫症1型患者12例に本剤25mg/m
2を1日2回空腹時に反復経口投与したとき、投与1日目及び29日目のセルメチニブ及び活性代謝物であるN-脱メチル体の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった
1)。
3歳以上18歳以下の叢状神経線維腫を有する日本人神経線維腫症1型患者に本剤25mg/m2を1日2回空腹時に反復経口投与したときの血漿中濃度推移(算術平均値+標準偏差)
3歳以上18歳以下の叢状神経線維腫を有する日本人神経線維腫症1型患者に本剤25mg/m2を1日2回空腹時に反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
測定対象 | 測定日 | 例数 | Cmax(ng/mL) | Tmaxa)(h) | AUC0-6h(ng・h/mL) | AUC0-12h(ng・h/mL) |
セルメチニブ | 投与1日目 | 12 | 783.1(52.70) | 1.49[0.50,3.05] | 1926(41.64) | 2523(24.23)b) |
投与29日目 | 11 | 869.4(53.53) | 1.47[0.42,2.87] | 2396(40.32) | − |
N-脱メチル体 | 投与1日目 | 12 | 55.47(49.13) | 1.52[1.37,3.05] | 140.8(38.86) | 188.7(24.32)c) |
投与29日目 | 11 | 40.90(53.10) | 1.47[0.42,2.87] | 123.6(37.34) | − |
16.1.2 海外第I相試験(D1532C00057試験第I相パート)
3歳以上18歳以下の叢状神経線維腫を有する外国人神経線維腫症1型患者13例に本剤20又は25mg/m
2を空腹時に単回経口投与したとき
注)のセルメチニブ及び活性代謝物であるN-脱メチル体の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
3歳以上18歳以下の叢状神経線維腫を有する外国人神経線維腫症1型患者に本剤20又は25mg/m2を空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
測定対象 | 投与量 | 例数 | Cmax(ng/mL) | Tmaxa)(h) | AUC0-12h(ng・h/mL) | T1/2b)(h) |
セルメチニブ | 20mg/m2 | 9 | 754.7(47.53) | 1.08[0.98,3.00] | 1898(18.83) | 9.41±4.59 |
25mg/m2 | 4 | 928.4(18.17) | 1.04[1.00,2.00] | 2199(14.83) | 6.16±0.88 |
N-脱メチル体 | 20mg/m2 | 9 | 58.05(70.87) | 1.08[0.98,3.00] | 163.3(28.84) | 9.44±10.24 |
25mg/m2 | 4 | 56.02(35.27) | 1.04[1.00,2.00] | 150.9(24.33) | 4.47±2.49 |
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人12例に本剤75mgを単回経口投与したとき
注)、絶対バイオアベイラビリティは62%であった
2)(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人34例に本剤75mgを高脂肪食の摂取後に単回経口投与したとき
注)、絶食下投与と比較して、Cmaxは50%低下し、AUCは16%低下し、Tmaxは約1.5時間延長した
3)(外国人データ)。[
7.1参照]
健康成人24例に本剤50mgを低脂肪食の摂取後に単回経口投与したとき
注)、絶食下投与と比較して、Cmaxは60%低下し、AUCは38%低下し、Tmaxは約0.9時間延長した
4)(外国人データ)。[
7.1参照]
16.3 分布
In vitro試験において、セルメチニブのヒト血漿蛋白結合率は98.4%であった。セルメチニブは主にヒト血清アルブミンに対して結合し(96.1%)、α1-酸性糖蛋白への結合率は27.2%であった
5)。
16.4 代謝
セルメチニブは主にCYP3Aにより代謝され、CYP2C19も関与する(代謝における推定寄与率:25%及び15%
6))。また、セルメチニブのグルクロン酸抱合にはUGT1A1及びUGT1A3が寄与することが示唆された。[
10.参照]
健康成人6例にセルメチニブの
14C標識体75mgを単回経口投与したとき
注)、ヒト血漿中の主なセルメチニブ関連成分は、未変化体のセルメチニブ(投与放射能の約40%)、イミダゾインダゾール体のグルクロン酸抱合体(22%)であった。その他、セルメチニブのグルクロン酸抱合体(7%)、N-脱メチルカルボン酸体(3.6%)、活性代謝物であるN-脱メチル体(2.9%)等が認められた
7)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人6例にセルメチニブの
14C標識体75mgを単回経口投与したとき
注)、投与後9日間で投与量の59%の放射能標識体が糞中から回収され(未変化体は投与量の19%)、33%が尿中から回収された(未変化体は投与量の1%未満)
7)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
腎機能が正常な成人被験者11例及び末期腎不全の成人被験者12例に本剤50mgを単回経口投与したとき
注)、腎機能が正常な被験者に比べて末期腎不全の被験者では、Cmaxは16%低く、AUCは28%低く、非結合形のCmaxは13%高く、非結合形のAUCは3%低かった。末期腎不全の被験者におけるN-脱メチル体のAUCはセルメチニブの約20%であり、腎機能が正常な被験者よりやや高かった
8)(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害
肝機能が正常な成人被験者(8例)及び軽度の肝機能障害を有する成人被験者(Child-Pugh分類A、8例)に本剤50mgを、中等度の肝機能障害を有する成人被験者(Child-Pugh分類B、8例)に本剤50mg又は25mgを、並びに重度の肝機能障害を有する成人被験者(Child-Pugh分類C、8例)に本剤20mgを単回経口投与したとき
注)、肝機能が正常な被験者に比べて軽度の肝機能障害を有する被験者では用量補正AUC及び用量補正非結合形AUCはそれぞれ86%及び69%であったが、中等度の肝機能障害を有する被験者ではそれぞれ159%及び141%、重度の肝機能障害を有する被験者ではそれぞれ157%及び317%と高かった
8)(外国人データ)。[
2.3、
7.6、
9.3.1、
9.3.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 イトラコナゾール
健康成人24例にイトラコナゾール(強力なCYP3A阻害剤)200mgを1日2回11日間反復経口投与し、投与8日目に本剤25mgを単回経口投与したとき
注)、本剤単独投与時と比較してイトラコナゾール併用時ではCmax及びAUCはそれぞれ19%及び49%上昇した
9)(外国人データ)。[
7.7、
10.2参照]
16.7.2 フルコナゾール
健康成人22例にフルコナゾール(CYP2C19阻害剤かつ中程度のCYP3A阻害剤)を投与1日目に400mgを単回経口投与した後、投与2日目以降は200mgを1日1回10日間反復経口投与し、投与8日目に本剤25mgを単回経口投与したとき
注)、本剤単独投与時と比較してフルコナゾール併用時ではCmax及びAUCはそれぞれ26%及び53%上昇した
9)(外国人データ)。[
7.7、
10.2参照]
16.7.3 リファンピシン
健康成人22例にリファンピシン(強力なCYP3A誘導剤)600mgを1日1回11日間反復経口投与し、投与8日目に本剤75mgを単回経口投与したとき
注)、本剤単独投与時と比較してリファンピシン併用時ではCmax及びAUCはそれぞれ26%及び51%低下した
9)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.4 エリスロマイシン、ジルチアゼム、エファビレンツ
生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーションにおいて、本剤25mgを単独投与したときに対し
注)、中程度のCYP3A阻害剤であるエリスロマイシン(500mg 1日3回投与)又はジルチアゼム(60mg 1日3回投与)との併用時では、セルメチニブのAUC及びCmaxはそれぞれ約30%〜40%及び約20%上昇すると推定された。また、本剤75mgを単独投与したときに対し
注)、中程度のCYP3A誘導剤であるエファビレンツ(600mg 1日1回投与)との併用時では、セルメチニブのAUC及びCmaxはそれぞれ38%及び22%低下すると推定された
6)。[
7.7、
10.2参照]
注)本剤の承認用法及び用量は「通常、小児にはセルメチニブとして1回25mg/m2(体表面積)を1日2回空腹時に経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。ただし、1回量は50mgを上限とする。」である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第II相試験(D1532C00057試験第II相パート層1)
3歳以上18歳以下の疼痛や外観上の変形、運動機能障害、気道機能障害等の臨床症状を有し生命維持に必要な構造を巻き込んでいる等により重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できない叢状神経線維腫(Plexiform neurofibroma)を有する神経線維腫症1型患者(悪性末梢神経鞘腫瘍を合併する患者は除外)50例を対象に、本剤1回25mg/m
2(体表面積1.9m
2以上の場合は50mg)を1日2回空腹時に経口投与する非盲検試験を実施した
10)。主要評価項目であるResponse Evaluation in Neurofibromatosis and Schwannomatosis(REiNS)基準
11)に基づく奏効率(例数)[95%信頼区間]は66.0%(33/50例)[51.2,78.8]であった
注)。なお、最良総合効果は部分奏効(確定)33例、部分奏効(未確定)4例、及び安定11例であった。総投与期間の中央値は2.2年であった。(データカットオフ日:2018年6月29日)[
5.1、
7.2、
9.7参照]
本剤が投与された50例中49例(98.0%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、嘔吐43例(86.0%)、血中CK増加39例(78.0%)、下痢37例(74.0%)及び悪心36例(72.0%)であった。(データカットオフ日:2021年3月31日)
17.1.2 国内第I相試験(D1346C00013試験)
3歳以上18歳以下の疼痛や外観上の変形、運動機能障害等の臨床症状を有し生命維持に必要な構造を巻き込んでいる等により重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できない叢状神経線維腫(Plexiform neurofibroma)を有する神経線維腫症1型患者(悪性末梢神経鞘腫瘍を合併する患者は除外)12例を対象に、本剤1回25mg/m
2(体表面積1.9m
2以上の場合は50mg)を1日2回空腹時に経口投与する非盲検単群試験を実施した
1)。REiNS基準に基づく奏効率(例数)[95%信頼区間]は33.3%(4/12例)[9.9,65.1]であり、最良総合効果は部分奏効(確定)4例(33.3%)、部分奏効(未確定)2例(16.7%)、安定4例(33.3%)、病勢進行2例(16.7%)であった
注)。[
5.1、
7.2、
9.7参照]
本剤が投与された12例全例に有害事象が認められ、主な有害事象は、湿疹7例(58.3%)、ざ瘡様皮膚炎6例(50.0%)、下痢及び爪囲炎各5例(41.7%)、嘔吐、皮膚乾燥及び口内炎各4例(33.3%)であった。(12カ月間投与データ)
注)完全奏効:標的病変の消失、部分奏効:標的叢状神経線維腫腫瘍容積がベースラインから20%以上減少、安定:ベースラインからの腫瘍容積の変化が部分奏効及び病勢進行の基準に合致しない、病勢進行:標的叢状神経線維腫腫瘍容積がベースライン又は最良効果判定時から20%以上増加。初回部分奏効後3カ月以降に実施した再評価で奏効を確定した。奏効率は、完全奏効又は部分奏効(確定)が認められた患者の割合とした。
20.1 湿気を避けるため、乾燥剤を同封した元の容器にて保存し、使用の都度、密栓すること。[
14.2参照]
20.2 容器から乾燥剤を取り出さないこと。[
14.2参照]
21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
26.1 製造販売元
アレクシオンファーマ合同会社
〒108-0023
東京都港区芝浦三丁目1番1号 田町ステーションタワーN