2.2 腎結石を伴う患者[尿中尿酸排泄量の増大により、腎結石の症状を悪化させるおそれがある。]
2.3 高度の腎機能障害のある患者[
9.2.1参照]
2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[
9.5参照]
2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
8.1 投与開始前に肝機能検査を実施し、肝障害のないことを確認すること。[
2.1、
9.3参照]
8.2 本剤の投与にあたっては、重篤な肝障害が主に投与開始6ヶ月以内に発現しているので、投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず定期的な検査を行うこと。また、投与開始後6ヶ月以降も定期的に肝機能検査を行うこと。[
1.1、
1.2、
11.1.1参照]
8.3 急性痛風発作がおさまるまで、本剤の投与を開始しないこと。
8.4 本剤の血中尿酸低下作用は著しく、本剤の投与初期に痛風発作を誘発することがある。
8.5 尿が酸性の場合、患者に尿酸結石及びこれに由来する血尿、腎仙痛等の症状を起こしやすいので、これを防止するため、水分の摂取による尿量の増加及び尿のアルカリ化をはかること。
なお、この場合には、患者の酸・塩基平衡に注意すること。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎機能障害のある患者
投与しないこと。効果が期待できないことがある。[
2.3参照]
9.3 肝機能障害患者
投与しないこと。肝障害を悪化させることがある。[
2.1、
8.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で催奇形作用が報告されている。[
2.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重篤な肝障害(頻度不明)
劇症肝炎等の重篤な肝障害、黄疸があらわれることがある。[
1.1、
1.2、
8.2参照]
なお、使用実態下における安全性および有効性に関する調査において、肝障害(重篤症例)の発現頻度は0.09%であった[4,659例中4例]
2)。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 0.1%以上 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
| 過敏症 | そう痒感、発疹、蕁麻疹 | 顔面発赤、紅斑 | 光線過敏症 |
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇 | Al-P上昇 | 黄疸 |
| 消化器 | 胃部不快感、胃腸障害、下痢、軟便、胸やけ | 胃痛、腹痛、悪心、口内の荒れ | |
| その他 | | 浮腫、心窩部不快感、頭痛 | |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラットに長期間経口投与(50mg/kg/day(臨床用量の約17倍)、104週間)したところ、肝細胞癌が発生したとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子(6例)にベンズブロマロン(50mg錠)2錠(ベンズブロマロンとして100mg)
注)を空腹時に単回経口投与した時の、薬物動態パラメータは以下の通りであった
1)。
健康成人男子(6例)にベンズブロマロン(50mg錠)2錠を空腹時に単回経口投与した時の未変化体及び6-ヒドロキシ体の薬物動態パラメータ
| | Cmax(μg/mL) | Tmax(hr) | AUC0-∞(μg・hr/mL) | T1/2(hr) |
| 未変化体 | 2.3±0.8 | 2.7±1.0 | 15.9±3.3 | 5.4±1.9 |
| 6-ヒドロキシ体 | 1.7±0.4 | 4.8±1.3 | 39.9±4.4 | 18.0±2.9 |
16.1.2 生物学的同等性試験
<ベンズブロマロン錠25mg「NIG」>
(1)ベンズブロマロン錠25mg「NIG」とユリノーム錠25mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ベンズブロマロンとして25mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血清中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
3)。
薬物動態パラメータ
| | 投与量(mg) | AUC0-24(μg・hr/mL) | Cmax(μg/mL) | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
| ベンズブロマロン錠25mg「NIG」 | 25 | 4.9083±2.2819 | 0.9716±0.3400 | 2.63±1.16 | 2.23±0.94 |
| ユリノーム錠25mg | 25 | 5.0540±2.1263 | 0.9394±0.2713 | 2.84±0.96 | 2.07±0.41 |
血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
<ベンズブロマロン錠50mg「NIG」>
(2)ベンズブロマロン錠50mg「NIG」とユリノーム錠50mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ベンズブロマロンとして50mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血清中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された
3)。
薬物動態パラメータ
| | 投与量(mg) | AUC0-12(μg・hr/mL) | Cmax(μg/mL) | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
| ベンズブロマロン錠50mg「NIG」 | 50 | 10.6±2.4 | 2.6±0.5 | 2.0±0.8 | 2.3±1.1 |
| ユリノーム錠50mg | 50 | 11.0±2.0 | 2.7±0.6 | 2.0±1.0 | 2.0±0.4 |
血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.4 代謝
16.4.1 ヒトにおける成績
(1)健康成人男子(6例)にベンズブロマロン(50mg錠)2錠(ベンズブロマロンとして100mg)を空腹時に単回経口投与した時の、血漿中及び尿中の主要代謝物は、6-ヒドロキシ体であった
1)。
(2)外国人患者にベンズブロマロン製剤100mgを経口投与した結果、胆汁中に2種類のヒドロキシ体が検出されたとの報告がある
4)。
16.4.2 in vitro試験の成績[10.参照]
(1)ヒトP450発現系ミクロゾームを用いた
in vitro試験において、ベンズブロマロンは主にCYP2C9によって代謝された
1)。
(2)ヒト肝ミクロゾームを用いた
in vitro阻害実験の結果、ベンズブロマロンは主にCYP2C9を阻害した
1)。
16.5 排泄
健康成人男子(6例)にベンズブロマロン(50mg錠)2錠(ベンズブロマロンとして100mg)を空腹時に単回経口投与した時の、尿中6-ヒドロキシ体濃度は、投与0〜24時間で平均0.54μg/mLであり、投与後72時間までの6-ヒドロキシ体の尿中排泄率は、投与量の約1.2%であった
1)5)。また、投与後72時間まで、尿中に未変化体はほとんど検出されなかった
1)。
注)通常、成人における本剤の1回投与量は25mgまたは50mgである。
18.1 作用機序
ベンズブロマロンは、尿細管における尿酸の再吸収を特異的に抑制し、尿酸の尿中への排泄を促進させ、血清尿酸値を低下させると考えられる。
18.2 血清尿酸値低下作用
ベンズブロマロンを痛風患者に投与した結果、血清尿酸値の低下と尿酸クリアランスの上昇を認めたが、クレアチニンクリアランスはほとんど変化しなかった。また、血清尿酸値の低下とほぼ平行する尿酸プールの縮小を認めたが、尿酸の一日産生量には著変はなかった。従って、ベンズブロマロンは尿酸の尿中への排泄を選択的に促進するものと考えられる
6)。
18.3 ペニシリン、フェノールスルフォフタレイン負荷試験
ベンズブロマロンを健康成人に投与し、ペニシリン、フェノールスルフォフタレインの尿中排泄及び血中濃度を指標としてベンズブロマロンの尿細管における作用を検討したところ、ベンズブロマロンはこれらの尿中排泄及び血中濃度にはほとんど影響を及ぼさなかったことから、プロベネシドとは異なり尿細管における尿酸の再吸収のみを抑制するものと考えられる
7)(外国人データ)。
18.4 尿酸トランスポーター(URAT1)阻害作用
糸球体で濾過された尿酸は、腎臓近位尿細管管腔側に存在する尿酸トランスポーター(URAT1)によって再吸収される
8)。
ベンズブロマロン及びベンズブロマロンの主要代謝物である6-ヒドロキシ体は、URAT1による尿酸の取込みを阻害する
8)9)(
in vitro)。
すなわち、ベンズブロマロン及び6-ヒドロキシ体はURAT1による尿酸の再吸収を抑制することにより、尿酸の尿中排泄を促進し、血中尿酸値を低下させるものと考えられる。
光によって着色するため、アルミピロー包装開封後は遮光して保存すること。