医療用医薬品 : エムパベリ

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医薬品情報


総称名 エムパベリ
一般名 ペグセタコプラン
欧文一般名 Pegcetacoplan
製剤名 ペグセタコプラン皮下注製剤
薬効分類名 補体(C3)阻害剤
薬効分類番号 3999
ATCコード L04AJ03
KEGG DRUG
D11613 ペグセタコプラン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
医薬品情報の概要は KEGG DRUG ページをご覧ください。

添付文書情報2026年8月 改訂(効能変更、用法及び用量変更)(第7版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
エムパベリ皮下注1080mg EMPAVELI for Subcutaneous Injection Swedish Orphan Biovitrum Japan 3999470A1022 488121円/瓶 劇薬, 処方箋医薬品

1. 警告

1.1 本剤は補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症を発症することがあり、特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。[5.1、11.1.1、11.1.2参照]
1.1.1 本剤の投与に際しては、髄膜炎菌等による感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌等の感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1.1.2 髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種歴を確認し、未接種又は追加接種が必要な場合は、原則、本剤投与前にワクチンを接種すること。必要に応じて、本剤投与中のワクチンの追加接種を考慮すること。
1.1.3 髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。
1.1.4 髄膜炎菌等の感染症のリスクについて患者に説明し、感染症の初期徴候を確実に理解させ、感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
1.2 適応疾患に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 髄膜炎菌感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。][11.1.2参照]
2.2 肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。][11.1.1参照]
2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[11.1.3参照]

4. 効能または効果

○発作性夜間ヘモグロビン尿症
○C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎

5. 効能または効果に関連する注意

<効能共通>
5.1 本剤は、補体C3及びC3bに結合し、補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌をはじめとする莢膜形成細菌による感染症を発症しやすくなる可能性があることから、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤投与の是非を慎重に検討し、適切な対象患者に使用すること。また、本剤投与に際しては、髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種歴を確認し、未接種又は追加接種が必要な場合は、原則、本剤投与開始の少なくとも2週間前までにそれらのワクチンを接種すること。[1.1、11.1.1、11.1.2、17.1.1、17.1.2参照]
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
5.2 補体(C5)阻害剤による適切な治療を行っても、十分な効果が得られない場合に投与すること。
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
5.3 本剤は、国内外の最新の診療ガイドラインを参考に、C3染色や免疫グロブリン染色の結果等に基づき、C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎と確定診断された患者にのみ使用すること。
5.4 「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(尿蛋白、腎機能等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。[17.1.2参照]

6. 用法及び用量

<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
通常、成人には、ペグセタコプランとして1回1080mgを週2回皮下投与する。なお、十分な効果が得られない場合には、1回1080mgを3日に1回の間隔で皮下投与することができる。
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
通常、18歳以上の患者にはペグセタコプランとして1回1080mgを週2回皮下投与する。
通常、12歳以上18歳未満の患者にはペグセタコプランとして体重に基づいて下表に示す投与量を週2回皮下投与する。
投与量換算表
体重初回投与量2回目投与量3回目以降投与量
50kg以上1080mg1080mg1080mg
35kg以上50kg未満648mg810mg810mg
30kg以上35kg未満540mg540mg648mg

7. 用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 投与を忘れた場合は、気づいた時点で速やかに本剤を投与し、その後はあらかじめ定めた投与日に投与すること。
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
7.2 補体(C5)阻害剤から本剤に切り替える際は、補体(C5)阻害剤中止による溶血を抑えるため、本剤投与開始後4週間は補体(C5)阻害剤を併用すること。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督の下で投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、投与方法等について十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその保護者が理解し、患者又はその保護者が確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。自己投与の適用後、感染症等の本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療施設へ連絡するよう患者又はその保護者に指導を行うこと。使用済みの注射器等を再使用しないように患者又はその保護者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射器等を廃棄する容器を提供すること。
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
8.2 本剤を中止した場合に重篤な溶血があらわれるおそれがある。本剤の投与を中止した患者に対しては、最低8週間、溶血及びそれに付随する臨床症状の変化を注意深く観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 髄膜炎菌感染症の既往のある患者
髄膜炎菌感染症に罹患しやすくなるおそれがある。
9.1.2 感染症の患者又は感染症が疑われる患者
特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症に罹患しやすくなるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠カニクイザルに本剤28mg/kg/日(ヒトの定常状態におけるCmaxの2.5倍)を皮下投与したとき、流産及び死産が増加した。サルで胎児への移行が認められている1)。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。サルで乳汁移行が認められている1)。
9.7 小児等
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
12歳未満の小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 感染症(頻度不明)
肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症があらわれることがある。[1.1、2.2、5.1参照]
11.1.2 髄膜炎菌感染症(頻度不明)
髄膜炎又は敗血症を発症し、急速に生命を脅かす、あるいは死亡に至るおそれがある。本剤の投与に際しては、当該感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直、羞明、精神状態の変化、痙攣、悪心・嘔吐、紫斑、点状出血等)等の観察を十分に行うこと。髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。[1.1、2.1、5.1参照]
11.1.3 過敏症(2.5%)
アナフィラキシー等の重度の過敏症があらわれることがある。[2.3参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5-10%5%未満
胃腸障害 下痢
一般・全身障害および投与部位の状態注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注入部位反応注射部位硬結、注射部位腫脹、注射部位疼痛、注射部位内出血、注射部位反応、発熱
免疫系障害 過敏症注)
感染症および寄生虫症 上咽頭炎、インフルエンザ
腎および尿路障害 急性腎障害

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

凝固検査パネルにシリカ試薬を使用すると、本剤との間に干渉作用が生じ、見かけ上、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が延長するおそれがある。凝固検査パネルにはシリカ試薬を使用しないこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 投与前に、微粒子、変色がないか目視にて確認し、異常が認められた場合は使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 注入部位は、腹部、大腿部、臀部、上腕部とし、順次変更すること。皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷、発赤、硬結等)には注射しないこと。
14.2.2 注入部位が2ヵ所の場合は、注入部位の間隔を8cm以上あけること。
14.2.3 シリンジポンプを用いて、約15〜30分(注入部位が2ヵ所の場合)又は約30〜60分(注入部位が1ヵ所の場合)かけて注入すること。シリンジに本剤を充填後、直ちに注入を開始すること。薬剤の調製開始後2時間以内に投与を完了すること。
14.3 薬剤交付時の注意
14.3.1 患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内(2〜8℃)で保存し、使用期限を超えない範囲で使用するよう指導すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
発作性夜間ヘモグロビン尿症患者を対象とした国際共同第III相試験及び、C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者を対象とした国際共同第III相試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている2)3)。[17.3.1参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
ウサギ及びカニクイザルを用いた反復投与毒性試験において、本剤の臨床最大用量投与時の0.06倍及び1.27倍の曝露量で、全身の器官・組織のマクロファージの空胞化、脳脈絡叢及び滑膜の上皮細胞の空胞化、並びに腎臓の尿細管変性が認められた。これらの空胞化形成は、長鎖ポリエチレングリコール(PEG)の蓄積に関連した変化と考えられ、回復性があり機能障害は認められなかった。また、腎臓の尿細管変性について、腎機能障害の徴候は認められず、臨床的意義及び機能的影響は不明である4)5)。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康被験者16例に本剤180〜1440mg注)を単回皮下投与したときのペグセタコプランの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。また、曝露量は概ね用量比例的に増加した6)。
単回皮下投与時の血清中濃度推移(健康成人)
定量限界未満の値(<5μg/mL)は5μg/mLとした。
単回皮下投与時の薬物動態パラメータ(健康成人)
本剤の用量(mg)例数Cmax(μg/mL)tmaxa)(h)AUC0-inf(μg・h/mL)t1/2a)(h)CL/F(mL/h)Vz/F(L)
180440(11.6)144(120,168)18,380(8.9)240.9(211,268)9.8(9.5)3.38(15.1)
360463(26.5)192(120,241)31,980(11.7)246(233,257)11.3(12.8)3.98(16.0)
7204146(6.4)132(120,168)67,150(11.1)226(90,287)10.7(11.4)2.94(33.2)
14404242(25.6)156(72,168)113,700(20.9)211(197,244)12.7(23.0)3.93(19.3)
16.1.2 反復投与
(1)健康成人
外国人健康被験者16例に本剤30〜270mg注)を1日1回皮下投与したときのペグセタコプランの薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)(外国人データ)。
1日1回反復皮下投与時の薬物動態パラメータ(健康成人)
測定時点本剤の用量(mg/日)例数Cmax(μg/mL)tmaxa)(h)AUC0-24h(μg・h/mL)t1/2(h)CL/F(mL/h)
1日目3041.7(104)24(24,24)18(119)−−
9043.5(69)24(24,24)36(73)−−
18046.9(25)24(24,24)73(24)−−
270417(37)24(24,24)189(57)−−
28日目30477(7.1)3(1,8)1,654(8.5)198(13)18(8.5)
904256(19)24(2,24)5,741(18)237(10)b)16(18)
1804470(13)14(2,24)10,170(9.4)211(16)b)18(9.4)
2704646(31)8(1,24)13,020(13.4)204(12)21(13)
(2)発作性夜間ヘモグロビン尿症患者
エクリズマブ(遺伝子組換え)の効果が不十分な発作性夜間ヘモグロビン尿症患者80例(日本人患者10例を含む)に本剤1080mgを週2回皮下投与したときのペグセタコプランの血清中トラフ濃度は以下のとおりであり、初回投与から約4〜6週間後に定常状態に達し、48週目まで維持された2)。
週2回反復皮下投与時の血清中トラフ濃度(μg/mL)(発作性夜間ヘモグロビン尿症患者)
 本剤群エクリズマブ群
導入期−3週(Day −21)272±65(39例)b)267±72(38例)b)
−2週(Day −14)436±86(41例)b)430±96(39例)b)
無作為化期1日(Day 1)a)594±106(41例)b)588±111(37例)b)
2週(Day 14)666±118(41例)−c)
4週(Day 28)676±115(40例)−c)
6週(Day 42)677±132(39例)−c)
8週(Day 56)692±106(37例)−c)
12週(Day 84)708±124(38例)−c)
16週(Day 112)714±109(36例)−c)
継続期24週(Day 168)667±173(37例)668±141(38例)d)
48週(Day 336)660±193(22例)627±178(18例)d)
(3)C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者
C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者(日本人患者3例を含む)に年齢及び体重に応じた用量注)を週2回反復皮下投与したときのペグセタコプランの血清中トラフ濃度は以下のとおりであり、本剤投与開始後(プラセボ群では本剤への切替え後)4週目から8週目の間に定常状態に達した。また、定常状態の血清中ペグセタコプラン濃度は、52週目まで維持された8)。
週2回反復皮下投与時の血清中トラフ濃度(μg/mL)(C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者)
  本剤群プラセボ群
二重盲検期4週730±187(61)< LLOQ
8週766±178(61)< LLOQ
12週756±177(61)< LLOQ
16週716±224(61)< LLOQ
20週734±202(60)< LLOQ
24週728±233(61)< LLOQ
26週728±221(59)< LLOQ
非盲検期28週710±225(60)313±262(56)a)
32週700±260(60)670±202(57)a)
36週727±222(59)684±267(57)a)
42週706±289(60)679±271(54)a)
48週721±243(60)672±260(56)a)
52週677±303(60)706±272(55)a)
16.1.3 母集団薬物動態解析
(1)発作性夜間ヘモグロビン尿症
外国人及び日本人の健康成人、外国人腎機能障害患者並びに外国人及び日本人の発作性夜間ヘモグロビン尿症患者239例から得られた血清中ペグセタコプラン濃度データ(3,734時点)を用いて母集団薬物動態解析を行った。健康成人及び発作性夜間ヘモグロビン尿症患者に本剤を1日1回、週に2回又は3日に1回反復皮下投与したときのペグセタコプランの血清中薬物動態パラメータは以下のとおりであった9)。
反復皮下投与時の血清中薬物動態パラメータ(推定値)(健康成人及び発作性夜間ヘモグロビン尿症患者)
本剤の投与レジメン対象Cmax,ss(μg/mL)AUCweek,ss(μg・h/mL)t1/2a)(h)CL(L/day)V2(L)
270mg
1日1回
健康成人766(23)128,589(23)10(18)0.270(21)3.9(24)
PNH患者566(26)95,009(26)7.5(20)0.366(24)3.9(30)
360mg
1日1回
健康成人1,021(23)171,452(23)10(18)0.270(21)3.9(24)
PNH患者755(26)126,679(26)7.5(20)0.366(24)3.9(30)
1080mg
週2回
健康成人904(24)147,549(24)10(19)0.269(22)3.9(26)
PNH患者671(28)108,541(28)7.4(21)0.366(25)3.9(31)
1080mg
3日に1回
健康成人1,026(23)164,681(24)10(18)0.272(21)3.9(26)
PNH患者765(27)120,808(27)7.4(21)0.366(24)3.9(31)
(2)C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎
12歳以上の外国人及び日本人のC3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者140例(日本人患者3例を含む)から得られた血清中ペグセタコプラン濃度データ(1,406時点)を用いて母集団薬物動態解析を行った。C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者に年齢及び体重に応じた用量注)を週2回反復皮下投与したときのペグセタコプランの血清中薬物動態パラメータは以下のとおりであった10)。
反復皮下投与時の血清中薬物動態パラメータ(推定値)(C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者)
対象例数Cmax
(μg/mL)
AUC1wk
(μg・h/mL)
t1/2
(days)
CL
(L/day)
VC
(L)
12歳以上18歳未満a)55841
(75.6)
137,400
(77.0)
11.5
(66.1)
0.270
(75.1)
4.46
(41.7)
18歳以上b)85828
(41.5)
135,200
(42.6)
10.2
(43.4)
0.294
(43.1)
4.34
(31.5)
16.3 分布
母集団薬物動態解析の結果、発作性夜間ヘモグロビン尿症患者におけるペグセタコプランの分布容積の平均値(幾何変動係数%)は約3.9L(35%)であった9)。また、C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者におけるペグセタコプランの分布容積の平均値(変動係数%)は、12歳以上18歳未満で4.46L(41.7%)、18歳以上で4.34L(31.5%)であった10)。
16.4 代謝
ペグセタコプランは、そのPEG化ペプチド構造により異化経路を介してペプチドやアミノ酸に分解されると考えられる11)。
16.5 排泄
母集団薬物動態解析の結果、発作性夜間ヘモグロビン尿症患者に本剤を反復皮下投与したとき、クリアランスの推定平均値(幾何変動係数%)は0.015L/時間(28%)、消失の有効半減期(t1/2)の中央値は8.0日であった9)。また、カニクイザルを用いた放射性標識体試験の結果から、標識ペプチド部分の排泄の主要経路は尿中排泄であることが示唆された12)。C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者に本剤を反復皮下投与したとき、12歳以上18歳未満におけるクリアランスの推定平均値(変動係数%)は0.0112L/時間(75.1%)、消失の半減期(t1/2)の中央値は10.5日であり、18歳以上ではそれぞれ0.0122L/時間(43.1%)、10.1日であった10)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
重度の腎機能障害患者8例(クレアチニンクリアランスが30mL/分未満)に本剤270mg注)を単回皮下投与したときのペグセタコプランのCmax及びAUC0-infは対照被験者(クレアチニンクリアランスが60mL/分以上等)と概ね同様であった13)(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害患者におけるペグセタコプランの薬物動態に関する検討は行っていない。ペグセタコプランは主に異化経路を介して消失することから、肝機能障害がペグセタコプランのクリアランスに影響しないと考えられる。
16.7 薬物相互作用
薬物相互作用を検討した臨床試験は実施されていない。ペグセタコプランはCYP450の阻害及び誘導を引き起こさないことが示された(in vitro)。また、ペグセタコプランはP糖タンパク質(P-gp)及び乳がん耐性蛋白質(BCRP)の基質や阻害剤ではないことが示された(in vitro)14)。
注)本剤の用法及び用量は、ペグセタコプランとして発作性夜間ヘモグロビン尿症の患者には1回1080mgを、C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者には18歳以上では1回1080mgを、12歳以上18歳未満では体重に基づいて設定した以下の投与量を週2回皮下投与である。
・体重30kg以上35kg未満:初回及び2回目は540mg、3回目以降は648mg
・体重35kg以上50kg未満:初回は648mg、2回目以降は810mg
・体重50kg以上:1080mg

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
17.1.1 国際共同第III相試験(APL2-302試験)
エクリズマブ(遺伝子組換え)による治療を行ってもヘモグロビン(Hb)値が10.5g/dL未満である発作性夜間ヘモグロビン尿症患者(総症例80例、日本人10例を含む)を対象とした多施設共同無作為化非盲検実薬対照並行群間比較試験が実施された。なお、髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種(いずれも1回0.5mL)を必須とした。また、医師の判断で抗菌薬の予防投与も可能とされた。[5.1参照]
本剤の用法・用量は、1回1080mgを週2回皮下投与し、乳酸脱水素酵素(LDH)値が正常値上限の2倍超の場合は投与間隔を3日に1回とすることが可能とされた。
試験は4週間の導入投与期間(本剤とエクリズマブ(遺伝子組換え)を併用投与)、16週間の無作為化投与期間(本剤又はエクリズマブ(遺伝子組換え)を投与)及び32週間の非盲検投与期間(本剤を投与、ただし、無作為化投与期間でエクリズマブ(遺伝子組換え)が投与されていた症例は4週間は投与を継続)で構成された。
主要評価項目である無作為化投与期間の16週時点のHb値のベースラインからの変化量は以下のとおりであり、本剤群のエクリズマブ(遺伝子組換え)群に対する優越性が示された。
 本剤群
(41例)
エクリズマブ群
(39例)
ベースラインa)のHb値
(平均値±標準偏差)
8.69±1.088.68±0.89
16週時点のHb値のベースラインからの変化量b)
(平均値±標準偏差(評価例数))
2.79±2.03
(36例)
0.03±0.44
(6例)
16週時点のHb値のベースラインからの変化量c)
(最小二乗平均値±標準誤差)
2.37±0.36−1.47±0.67
群間差(本剤群−エクリズマブ群)[95%信頼区間]c)3.84[2.33,5.34]
p値c)d)<0.0001
副作用は、導入投与期間で53.8%(43/80例)、無作為化投与期間の本剤群で34.1%(14/41例)、非盲検投与期間で46.8%(36/77例)に認められ、主な副作用は、注射部位紅斑(導入投与期間、無作為化投与期間の本剤群、非盲検投与期間でそれぞれ27.5%、14.6%、13.0%)、注射部位腫脹(同11.3%、9.8%、1.3%)、注射部位そう痒感(同11.3%、2.4%、6.5%)であった2)。
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
17.1.2 国際共同第III相試験(APL2-C3G-310試験、jRCT:2041230022)
レニン-アンジオテンシン系阻害薬を含む支持療法又は免疫抑制療法を安定して受けているにもかかわらず尿中タンパク/クレアチニン比(uPCR)が1g/g以上でeGFRが30mg/min/1.73m2以上のC3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎を有する12歳以上の患者(総症例124例、日本人3例を含む)を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験が実施された。なお、髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種を必須とした。[5.1、5.4参照]
本剤の用法・用量は、被験者の年齢及び体重に応じて以下の用量を週2回皮下投与とされた。
・18歳以上及び12歳以上18歳未満で体重50kg以上の被験者:1080mg、12歳以上18歳未満で体重35kg以上50kg未満の被験者:初回は648mg、2回目以降は810mg、12歳以上18歳未満で体重30kg以上35kg未満の被験者:初回及び2回目は540mg、3回目以降は648mg
試験は26週間の無作為化投与期間(本剤群又はプラセボ群のいずれかに1:1の比で無作為割付)、26週間の非盲検投与期間(本剤を投与)で構成された。
主要評価項目である26週時のuPCRのベースラインに対する比の対数変換値は以下のとおりであり、26週時において本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意なuPCRの減少が認められた。
 パラメータ本剤群
(63例)
プラセボ群
(61例)
24-25-26週時点d)推定/比較a)
最小二乗平均値±標準誤差−1.11±0.1360.03±0.061
最小二乗平均値の95%信頼区間[−1.38,−0.85][−0.09,0.15]
最小二乗平均値の差[95%信頼区間](本剤対プラセボ)−1.14[−1.44,−0.85] 
p値(本剤対プラセボ)b)<0.0001 
幾何平均値[95%信頼区間]c)0.328[0.252,0.428]1.029[0.914,1.159]
幾何平均値の比[95%信頼区間](本剤対プラセボ)c)0.319[0.238,0.427] 
また、ベースラインと比較した26週時点のeGFRの変化量(最小二乗平均値)は、本剤群で−1.497mL/min/1.73m2及びプラセボ群で−7.808mL/min/1.73m2であった。
副作用は、全試験期間で本剤投与例の40.8%(49/120例)に認められ、主な副作用は、注射部位そう痒感(4.2%)、そう痒症(4.2%)であった3)15)。
17.3 その他
17.3.1 免疫原性
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
(1)発作性夜間ヘモグロビン尿症患者を対象とした国際共同第III相試験(APL2-302試験)において、本剤が投与された患者(総症例80例、日本人10例を含む)のうち、抗ペグセタコプラン ペプチド抗体産生が検出された患者の割合は2.5%(2/80例、日本人は0例)であった2)。[15.1参照]
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
(2)C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎患者を対象とした国際共同第III相試験(APL2-C3G-310試験)において、本剤が投与された患者(総症例124例、日本人3例を含む)のうち、抗ペグセタコプラン ペプチド抗体の発現率は29.3%(36/123例)、抗ポリエチレングリコール抗体の発現率は26.8%(33/123例)であった。これら抗薬物抗体の発現は、本剤の薬物動態、薬力学、有効性10)及び安全性16)プロファイルに明らかな影響を及ぼさなかった。[15.1参照]

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
<効能共通>
18.1.1 ペグセタコプランは、補体C3タンパク質及びC3bに高親和性で結合し、C3の開裂、補体活性化の下流エフェクターの生成及び膜侵襲複合体(MAC)生成を阻害する。さらに、C5転換酵素の成分であるC3bを阻害することでC5転換活性も阻害し、C5b及びC5aの形成を防ぐ17)。
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
18.1.2 C3b及びMAC生成を阻害することにより、発作性夜間ヘモグロビン尿症患者における血管外溶血及び血管内溶血を抑制する17)。
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
18.1.3 C3分解産物の糸球体への沈着を防ぎ、既存の沈着物を減少させる15)。
18.2 薬力学的作用
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
18.2.1 発作性夜間ヘモグロビン尿症患者に本剤1080mgを週2回投与した結果、血中C3濃度は増加し、Hb値の改善、網状赤血球数及びLDH値の低下が認められた2)。
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
18.2.2 C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎の患者に本剤1080mg(もしくはそれに相当する、体重に基づいて調整された用量)を週2回投与した結果、血中C3濃度は約6倍に上昇し、血漿中可溶性C5b-9濃度は約3分の1に低下した18)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ペグセタコプラン

一般的名称 ペグセタコプラン
一般的名称(欧名) Pegcetacoplan
分子式 C170H248N50O47S4(C2H4O)n
分子量 約43,500(ペプチド部分:3872.35)
KEGG DRUG D11613

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

<効能共通>
21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
21.3 本剤の投与が、発作性夜間ヘモグロビン尿症の診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
<C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎>
21.4 製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施すること。
21.5 本剤の投与が、C3腎症及び一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎の診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

22. 包装

エムパベリ皮下注1080mg 20mL[1バイアル]

23. 主要文献

  1. 社内資料:カニクイザルを用いた生殖発生毒性試験(18CATX-001試験)(2023年3月27日承認、CTD2.6.6.7)
  2. 社内資料:外国人及び日本人発作性夜間ヘモグロビン尿症患者を対象とした国際共同第III相試験(APL2-302試験)(2023年3月27日承認、CTD2.7.6.9)
  3. 社内資料:C3腎症又は一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎を有する患者を対象とした第III相試験(APL2−C3G-310試験)(2026年8月24日承認、CTD2.7.6.2)
  4. 社内資料:ウサギを用いた反復投与毒性試験(13CATX-003及び15CATX-003試験)(2023年3月27日承認、CTD2.6.6.3)
  5. 社内資料:カニクイザルを用いた反復投与毒性試験(13CATX-004及び15CATX-004試験)(2023年3月27日承認、CTD2.6.6.3)
  6. 社内資料:日本人健康被験者を対象とした海外第I相試験(APL2-102試験)(2023年3月27日承認、CTD2.7.6.8)
  7. 社内資料:外国人健康被験者を対象とした海外第I相試験(APL-CP1014試験)(2023年3月27日承認、CTD2.7.6.2)
  8. 社内資料:薬物動態(APL2−C3G-310試験)(2026年8月24日承認、CTD2.7.6.2)
  9. 社内資料:母集団PK解析(APL-EX20-CP-002報告書)(2023年3月27日承認、CTD2.7.2.1)
  10. 社内資料:母集団薬物動態(2026年8月24日承認、CTD2.7.2.3)
  11. Hydery T,Coppenrath VA., A Comprehensive Review of Pegvaliase,an Enzyme Substitution Therapy for the Treatment of Phenylketonuria.Drug Target Insights., 13, 1-8, (2019), (2019 Jun 21)
  12. 社内資料:カニクイザルを用いた放射性標識体試験(17MTX-001試験)(2023年3月27日承認、CTD2.6.4.6)
  13. 社内資料:外国人高度腎機能障害を有する被験者を対象とした海外第I相試験(APL2-CP-PV-205試験)(2023年3月27日承認、CTD2.7.6.7)
  14. 社内資料:薬物動態学的薬物相互作用(17COTX-001、002、003試験)(2023年3月27日承認、CTD2.6.4.7)
  15. Fakhouri F,Bomback AS,Ariceta G,Delmas Y,Dixon BP,Gale DP,et al., Trial of Pegcetacoplan in C3 glomerulopathy and Immune-Complex MPGN. N Engl J Med., 393 (22), 2210-2220, (2025) »PubMed
  16. 社内資料:抗薬物抗体の臨床的影響(2026年8月24日承認、CTD2.5.5.9)
  17. Mastellos DC,Reis ES,Yancopoulou D,Risitano AM,Lambris JD., Expanding complement therapeutics for the treatment of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria.Semin Hematol., 55 (3), 167-175, (2018)
  18. 社内資料:薬力学(補体バイオマーカー)(2026年8月24日承認、CTD2.7.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
旭化成セラピューティクス株式会社 くすり相談窓口
〒100-0006 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号
電話:フリーダイヤル 0120-114-936 (9:00〜17:45/土日祝、休業日を除く)
製品情報問い合わせ先
旭化成セラピューティクス株式会社 くすり相談窓口
〒100-0006 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号
電話:フリーダイヤル 0120-114-936 (9:00〜17:45/土日祝、休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
Swedish Orphan Biovitrum Japan株式会社
東京都港区虎ノ門二丁目6番1号
26.2 発売元
旭化成セラピューティクス株式会社
東京都千代田区有楽町一丁目1番2号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2026/09/16 版