医薬品情報
| 総称名 |
レボカルニチン |
| 一般名 |
レボカルニチン |
| 欧文一般名 |
Levocarnitine |
| 製剤名 |
レボカルニチン内用液 |
| 薬効分類名 |
カルニチン欠乏症治療剤 |
| 薬効分類番号 |
3999 |
| ATCコード |
A16AA01 |
| KEGG DRUG |
|
| JAPIC |
添付文書(PDF)
|
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添付文書情報2023年8月 作成(第1版)
2. 禁忌
4. 効能または効果
5. 効能または効果に関連する注意
5.1 本剤は、臨床症状・検査所見からカルニチン欠乏症と診断された場合あるいはカルニチン欠乏症が発症する可能性が極めて高い状態である場合にのみ投与すること。
5.2 本剤の投与に際しては、原則として、カルニチンの欠乏状態の検査に加え、カルニチン欠乏の原因となる原疾患を特定すること。
6. 用法及び用量
通常、成人には、レボカルニチンとして、1日1.5〜3g(15〜30mL)を3回に分割経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
通常、小児には、レボカルニチンとして、1日体重1kgあたり25〜100mg(0.25〜1mL)を3回に分割経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 本剤の投与に際しては、低用量から投与を開始し、臨床症状の改善の程度と副作用の発現の程度及び定期的な臨床検査、バイタルサイン、カルニチンの欠乏状態等から投与量を総合的に判断すること。また、増量する場合には慎重に判断し、漫然と投与を継続しないこと。[8.参照]
7.2 血液透析患者への本剤の投与に際しては、高用量を長期間投与することは避けること。また、血液透析日には透析終了後に投与すること。[
9.2.2参照]
7.3 小児への投与に際しては、原則として、成人用量を超えないことが望ましい。
8. 重要な基本的注意
本剤投与中は、定期的にバイタルサイン、臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査)、カルニチンの欠乏状態のモニタリングを行うことが望ましい。[
7.1参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者又は透析下の末期腎疾患患者
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与し、漫然と投与を継続しないこと。本剤の高用量の長期投与により、トリメチルアミン等の有害な代謝物が蓄積するおそれがある。重篤な腎機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.2.2 血液透析患者
本剤投与により期待する効果が得られない場合には、漫然と投与を継続しないこと。[
7.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。レボカルニチン塩化物を投与した動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている
1)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。レボカルニチン塩化物を投与した動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている
1)。
9.8 高齢者
患者の状態を観察し、減量するなど十分に注意しながら本剤を投与すること。一般に生理機能が低下している。
10. 相互作用
10.2 併用注意
糖尿病用薬 経口糖尿病治療薬 インスリン製剤等 | 低血糖症状があらわれるおそれがある。 | 機序は不明である。 |
11. 副作用
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 1%未満注) | 頻度不明 |
| 消化器 | 食欲不振、下痢、軟便、腹部膨満感 | 悪心・嘔吐、腹痛 |
| 過敏症 | | 発疹、そう痒感 |
| その他 | 顔面浮腫、血尿、貧血 | 体臭 |
14. 適用上の注意
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 分包品は、1回使い切りである。開封後は全量を速やかに服用すること。
14.1.2 小児の手の届かない所に保管すること。
16. 薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に、レボカルニチン内用液30〜90mg/kgを空腹時単回経口投与した時の遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチンの薬物動態パラメータを表16-1に示す。
遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチンの血漿中薬物動態パラメータ(Cmax、AUC
24h)は用量依存的に増加したが、用量比例的な増加ではなかった
2)。
表16-1 レボカルニチン単回投与時の薬物動態パラメータ(遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチン)
| | 投与量 | Cmax(μmol/L) | AUC24h(μmol・h/L) | tmax(h) | t1/2(h) |
| 遊離カルニチン | 30mg/kg | 31.59(8.87) | 334.91(98.74) | 5.000(4.00-6.00) | 41.57(47.38) |
| 60mg/kg | 43.89(14.47) | 432.32(130.56) | 5.000(3.00-5.00) | 34.45(21.26) |
| 90mg/kg | 51.06(19.80) | 466.09(188.10) | 3.500(2.00-5.00) | 24.71(13.33) |
| 総カルニチン | 30mg/kg | 37.89(12.56) | 391.18(120.71) | 5.000(3.00-5.00) | 45.73(76.93) |
| 60mg/kg | 53.71(18.34) | 501.14(160.86) | 5.000(4.00-5.00) | 22.94(14.03) |
| 90mg/kg | 67.43(26.12) | 565.24(227.38) | 5.000(2.00-5.00) | 24.83(25.13) |
| アシルカルニチン | 30mg/kg | 7.54(3.92) | 56.84(28.80) | 5.000(2.00-24.00) | 40.61(46.51)a |
| 60mg/kg | 11.84(4.69) | 70.81(34.77) | 4.500(2.00-8.00) | 8.73(7.48)b |
| 90mg/kg | 18.36(7.98) | 102.23(81.23) | 4.500(2.00-8.00) | 112.14(290.52)c |
投与後の血漿中濃度は、レボカルニチン内用液を投与していない状態で測定した内因性の血漿中濃度をベースラインとし、ベースラインで補正した濃度(「投与後の測定値」−「ベースラインでの測定値」)として示した。
16.1.2 レボカルニチン塩化物錠との薬物動態比較試験
健康成人に、レボカルニチン内用液1,000mg及びレボカルニチン塩化物錠1,200mgを空腹時単回経口投与した時の遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチンの薬物動態パラメータを表16-2に示す。
レボカルニチン内用液及びレボカルニチン塩化物錠のいずれにおいても、投与後5時間にピークに達し、以降緩徐に減少した。遊離カルニチンの血漿中薬物動態パラメータ(Cmax、AUC
24h、tmax)は、両製剤でほぼ類似していた
3)4)。
表16-2 単回投与時の薬物動態パラメータ(遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチン)
| | 投与量 | Cmax(μmol/L) | AUC24h(μmol・h/L) | tmax(h) | t1/2(h) |
| 遊離カルニチン | レボカルニチン内用液 (1,000mg) | 23.06(8.02) | 228.34(107.30) | 5.000(2.00-6.00) | 46.08(77.86) |
レボカルニチン塩化物錠 (1,200mg) | 24.74(9.98) | 265.49(123.68) | 5.000(0.50-8.00) | 64.93(119.83) |
| 総カルニチン | レボカルニチン内用液 (1,000mg) | 27.06(9.94) | 260.55(137.94) | 5.000(2.00-6.00) | 48.72(146.13) |
レボカルニチン塩化物錠 (1,200mg) | 29.82(12.63) | 298.71(147.67) | 5.000(0.50-5.00) | 22.74(25.01)a |
| アシルカルニチン | レボカルニチン内用液 (1,000mg) | 5.61(3.67) | 41.43(40.49) | 5.000(1.00-12.00) | 39.09(43.58)b |
レボカルニチン塩化物錠 (1,200mg) | 6.69(3.50) | 38.62(30.46) | 5.000(4.00-24.00) | 15.98(28.92)c |
投与後の血漿中濃度は、薬剤を投与していない状態で測定した内因性の血漿中濃度をベースラインとし、ベースラインで補正した濃度(「投与後の測定値」−「ベースラインでの測定値」)として示した。
レボカルニチン塩化物錠1,200mgは、分子量よりレボカルニチンとして978.7mgに換算され、レボカルニチン内用液1,000mgにほぼ相当する。
16.1.3 生物学的同等性試験
レボカルニチンFF内用液10%「アメル」とエルカルチンFF内用液10%を、クロスオーバー法によりそれぞれ10mL(レボカルニチンとして1000mg)健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中遊離カルニチン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
5)。
表16-3 薬物動態パラメータ(生物学的同等性、絶食)
| | 判定パラメータ | 参考パラメータ |
| AUC0-36hr(μmol・hr/L) | Cmax(μmol/L) | tmax(hr) | t1/2(hr) |
| レボカルニチンFF内用液10%「アメル」 | 365.63±109.49 | 23.74±4.95 | 5.0±1.9 | 15.32±13.89 |
| エルカルチンFF内用液10% | 410.90±108.32 | 26.42±6.58 | 5.0±1.4 | 14.05±6.10 |
図16-1 血漿中遊離カルニチン濃度(生物学的同等性、絶食)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄率
健康成人に、レボカルニチン内用液30、60及び90mg/kgを空腹時単回経口投与した時の24時間までのベースラインで補正した遊離カルニチンの累積尿中排泄率(fe,
24h)は、それぞれ6.92%、5.92%及び5.59%と用量の増加に伴い低下した
2)。
16.5.2 トランスポーター
レボカルニチンは、有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)の基質である
6)。
17. 臨床成績
17.3 その他
17.3.1 一次性カルニチン欠乏症
一次性(全身性)カルニチン欠乏症患者1例にレボカルニチン1回1g1日3回経口投与したところ、筋萎縮の減少、筋力の改善が認められた
7)(公表論文の成績、外国人データ)。
17.3.2 先天代謝異常症に伴う二次性カルニチン欠乏症
(1)カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)欠損症患児1例にレボカルニチン200mgを1日2回(30mg/kg/日)経口投与したところ、低血糖症や重度のアンモニア血症等の症状は発現せず、正常な発育がみられた
8)9)(公表論文の成績、外国人データ)。
(2)プロピオン酸血症患児2例にレボカルニチン25mg/kg/日、メチルマロン酸血症患児1例にレボカルニチン100mg/kg/日を単回経口投与したところ、血漿中遊離カルニチン、短鎖・長鎖アシルカルニチン濃度が上昇した。また尿中遊離カルニチン及びアシルカルニチン濃度が上昇した
10)(公表論文の成績、外国人データ)。
(3)イソ吉草酸血症患児1例にレボカルニチン60〜100mg/kg/日を投与したところ、血漿中総カルニチン、遊離カルニチンはほぼ基準値まで上昇し、治療期間中持続した。投与開始後30ヵ月時には運動発達もほぼ正常となり、成長及び発達は正常な状態に回復した
11)(公表論文の成績、外国人データ)。
17.3.3 透析患者での二次性カルニチン欠乏症
透析患者での二次性カルニチン欠乏症患者6例において、レボカルニチン2g/日 経口投与により、筋力の回復、筋痛、筋痙攣等の臨床症状の改善が認められた
12)(公表論文の成績、外国人データ)。
17.3.4 薬剤性の二次性カルニチン欠乏症
バルプロ酸投与による二次性カルニチン欠乏症患者11例において、レボカルニチン50mg/kg/日 経口投与により、高蛋白摂取時の血漿中アンモニア濃度の上昇抑制が認められた
13)(公表論文の成績、外国人データ)。
18. 薬効薬理
18.1 作用機序
レボカルニチンの投与により組織内における慢性的なカルニチン欠乏状態を是正し、組織内で過剰に蓄積した有害なプロピオニル基をプロピオニルカルニチンとして体外(尿中)へ排泄させる。また、有害なプロピオニル基からミトコンドリア機能を保護し、その代謝を賦活する
14)。
18.2 ミトコンドリア呼吸能に対する作用
ラット肝ミトコンドリアを用いて、レボカルニチン塩化物(
l-体)を光学異性体である
d-カルニチン塩化物及び
dl-カルニチン塩化物と比較検討した。その結果、
l-体はミトコンドリア呼吸活性への抑制作用を示さず、プロピオン酸によるミトコンドリア呼吸能の抑制作用に対して有意な回復作用を示した
14)(
in vitro)。
19. 有効成分に関する理化学的知見
19.1. レボカルニチン
| 一般的名称 |
レボカルニチン |
| 一般的名称(欧名) |
Levocarnitine |
| 化学名 |
(R)-3-Hydroxy-4-trimethylammoniobutanoate |
| 分子式 |
C7H15NO3 |
| 分子量 |
161.20 |
| 物理化学的性状 |
白色の結晶又は結晶性の粉末である。 水に極めて溶けやすく、メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすい。吸湿性である。 |
| KEGG DRUG |
|
22. 包装
<レボカルニチンFF内用液10%「アメル」>
<レボカルニチンFF内用液10%分包5mL「アメル」>
<レボカルニチンFF内用液10%分包10mL「アメル」>
23. 主要文献
-
羽鳥泰彦,他,
医薬品研究, 19 (2), 324-340, (1988)
-
単回経口投与試験(エルカルチンFF内用液:2012年12月25日承認、申請資料概要 2.7.6.1)
-
レボカルニチン塩化物錠との薬物動態比較試験(エルカルチンFF内用液:2012年12月25日承認、申請資料概要 2.7.6.2)
-
個々の試験の要約(エルカルチンFF内用液:2012年12月25日承認、申請資料概要 2.7.2.2)
-
社内資料:生物学的同等性試験[内用液10%]
-
崔吉道,
ビタミン, 84 (12), 604-609, (2010)
»DOI
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Levitan,M.D.et al.,
Can J Neurol Sci., 14 (1), 50-54, (1987)
»PubMed
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Pierre,G.et al.,
J Inherit Metab Dis., 30 (5), 815, (2007)
»PubMed
-
先天代謝異常症に伴う二次性カルニチン欠乏症−CACT欠損症−(エルカルチンFF内用液:2012年12月25日承認、申請資料概要 2.7.3.2)
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Chalmers,R.A.et al.,
Pediatr Res., 18 (12), 1325-1328, (1984)
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Pediatr Neurol., 7 (2), 137-140, (1991)
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Giovenali,P.et al.,
Kidney Int., 46 (6), 1616-1619, (1994)
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Gidal,B.E.et al.,
Pediatr Neurol., 16 (4), 301-305, (1997)
»PubMed
-
藤澤茂樹,他,
日薬理誌, 93 (5), 305-313, (1989)
»PubMed
24. 文献請求先及び問い合わせ先
文献請求先
共和薬品工業株式会社
お問い合わせ窓口
〒530-0005
大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858
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26. 製造販売業者等