医療用医薬品 : ダイチロナ

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医薬品情報


総称名 ダイチロナ
薬効分類名 ウイルスワクチン類
薬効分類番号 6313
ATCコード J07BN01
KEGG DRUG
D12610 ウフレンメラン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年3月 改訂(用法及び用量変更)(第6版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ダイチロナ筋注 DAICHIRONA INTRAMUSCULAR INJECTION 第一三共 631341MA1025 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

予防接種を受けることが適当でない者
2.1 明らかな発熱を呈している者
2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
2.3 本剤の成分に対し、重度の過敏症の既往歴のある者[8.411.1.1参照]
2.4 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

4. 効能または効果

SARS-CoV-2による感染症の予防

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

6. 用法及び用量

<12歳以上>
1回0.6mLを筋肉内に接種する。
<5歳以上11歳以下>
1回0.2mLを筋肉内に接種する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 接種対象者
5歳以上の者
7.2 接種時期
通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後に接種することができる。
7.3 接種回数
過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者には、およそ4週間の間隔をおいて2回目接種を行うことができる。[8.8参照]
7.4 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。[14.2.2参照]

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察によって健康状態を調べること。[9.1参照]
8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
8.4 ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい。また、本剤接種後にショック、アナフィラキシーが認められた被接種者に対しては、以降の本剤の接種を行わないこと。[2.39.1.611.1.1参照]
8.5 ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
8.6 心筋炎、心膜炎があらわれることがあるため、被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。[11.1.215.1.115.1.2参照]
8.7 コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、ギラン・バレー症候群が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、ギラン・バレー症候群が疑われる症状(四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。
8.8 本剤と他のSARS-CoV-2に対するワクチンの互換性に関するデータはない。[7.3参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 接種要注意者
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。[8.2参照]
9.1.1 血小板減少症又は凝固障害を有する者、抗凝固療法を施行している者
本剤接種後に出血又は注射部位に内出血があらわれるおそれがある。
9.1.2 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
本剤に対する免疫応答が低下するおそれがある。
9.1.3 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者9.29.3参照]
9.1.4 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
9.1.5 過去にけいれんの既往のある者
9.1.6 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者8.411.1.1参照]
9.2 腎機能障害を有する者
接種要注意者である。[9.1.3参照]
9.3 肝機能障害を有する者
接種要注意者である。[9.1.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
9.6 授乳婦
予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
5歳未満を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
接種に当たっては、問診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること。一般に、生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)[2.38.49.1.6参照]
11.1.2 心筋炎(頻度不明)、心膜炎(頻度不明)[8.615.1.115.1.2参照]
11.2 その他の副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
 10%以上1〜10%未満1%未満
局所症状(注射部位)疼痛注1)(91.9%)、熱感注1)(43.6%)、腫脹注1)、紅斑注1)、そう痒感注1)、硬結注1)遅発性反応注2)(紅斑、腫脹、そう痒感、熱感、硬結、疼痛)発疹、リンパ節腫脹
血液 リンパ節症リンパ節痛、リンパ節炎
精神神経系頭痛注1)(37.1%) 感覚鈍麻、傾眠
消化器  嘔吐・嘔気、下痢
皮膚 発疹注1)そう痒症
筋・骨格系筋肉痛注1) 関節痛、背部痛
その他倦怠感注1)(54.6%)、発熱注1)(34.7%)腋窩痛悪寒

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 冷蔵庫から取り出し常温になってから使用すること。冷蔵庫から取り出してから12時間以内に使用すること。なお、1回に限り再度冷蔵庫に戻し最大で24時間保存することができるが、使用時には冷蔵庫から取り出し常温になってから直ちに使用すること。使用するまで室内照明による曝露を最小限に抑えること。直射日光及び紫外線が当たらないようにすること。
14.1.2 本剤1バイアルには1回の接種用量0.6mLとして2回接種分、1回の接種用量0.2mLとして4回接種分が含まれる。
14.1.3 使用前に、白色の均一な液になるまでゆっくり転倒混和すること。振り混ぜないこと。転倒混和後に、変色、異物その他の異常がないことを目視により確認すること。異常を認めたものは使用しないこと。
14.1.4 吸引の際には容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒すること。また、注射針をさし込み、所要量を吸引すること。この操作に当たっては、雑菌が混入しないよう注意すること。
14.1.5 栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しないこと。
14.1.6 保存剤を含まないため、一度針を刺したバイアルは2〜8℃で保存し、24時間以内に使用すること。使用時には冷蔵庫から取り出し常温になってから直ちに使用すること。
14.2 薬剤接種時の注意
14.2.1 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
14.2.2 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。[7.4参照]
14.2.3 通常、三角筋に筋肉内接種すること。静脈内、皮内、皮下への接種は行わないこと。
14.2.4 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
14.2.5 組織・神経等への影響を避けるため次の点に注意すること。
・針長は筋肉内接種に足る長さで、神経、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
・神経走行部位を避けること。
・注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に心筋炎、心膜炎が報告されている。過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対する2回目までの接種において報告された症例の多くは若年男性であり、特に2回目接種後数日以内に発現している。また、大多数の症例で、入院による安静臥床により症状が改善している1)。[8.611.1.2参照]
15.1.2 コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンの国内副反応疑い報告における心筋炎、心膜炎の報告率と、国内の医療情報データベースを用いて算出した一般集団から推測される心筋炎、心膜炎の発現率とを比較したところ、過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対する2回接種後の若年男性で頻度が高いことが示唆された2)。[8.611.1.2参照]
15.1.3 海外において、皮膚充填剤との関連性は不明であるが、皮膚充填剤注入歴のある被接種者において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、皮膚充填剤注入部位周辺の腫脹(特に顔面腫脹)が報告されている。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
本項での「初回免疫」とは、過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者を対象にコミナティ筋注を3週又はスパイクバックス筋注を4週間隔で2回接種すること、「追加免疫」とは、初回免疫完了者を対象に3回目以降のコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンを追加接種することである。
17.1.1 国内第I/II/III相試験(追加免疫)(参考:ダイチロナ筋注(1価:起源株))
トジナメランを有効成分として含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンであるコミナティ筋注(1価:起源株)(以下、コミナティ(1価:起源株))又はエラソメランを有効成分として含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンであるスパイクバックス筋注(1価:起源株)(以下、スパイクバックス(1価:起源株))の初回免疫を完了後6ヵ月以上経過した18歳以上の成人及び高齢者を対象に、コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者にはウフレンメランを有効成分として60μg含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンであるダイチロナ筋注(1価:起源株)(以下、ダイチロナ(1価:起源株))又はコミナティ(1価:起源株)(トジナメランとして30μg)、スパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者にはダイチロナ(1価:起源株)(ウフレンメランとして60μg)又はスパイクバックス(1価:起源株)(エラソメランとして50μg)を追加接種したときの免疫原性及び安全性を検討した。コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者209例(ダイチロナ(1価:起源株)群:140例、コミナティ(1価:起源株)群:69例)及びスパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者212例(ダイチロナ(1価:起源株)群:142例、スパイクバックス(1価:起源株)群:70例)を対象としてSARS-CoV-2(起源株)血清中和抗体価を評価した結果、追加接種4週間後のGMFR比の両側97.5%信頼区間の下限がいずれも非劣性マージンを上回り、ダイチロナ(1価:起源株)のコミナティ(1価:起源株)及びスパイクバックス(1価:起源株)に対する非劣性が検証された3)
コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はコミナティ(1価:起源株)を追加接種したときのSARS-CoV-2(起源株)血清中和抗体価及び中和抗体応答率
 評価例数a)血清中和抗体価中和抗体応答率b)、e)
GMTb)
[95%信頼区間]
調整済みGMFRc)
[95%信頼区間]
調整済みGMFR比c)、d)
[97.5%信頼区間]
応答例数
[95%信頼区間]
ダイチロナ(1価:起源株)群1371345.327
[1153.683〜1568.806]
57.700
[50.330〜66.149]
1.464
[1.112〜1.927]
13397.1
[92.7〜99.2]
コミナティ(1価:起源株)群66951.373
[768.559〜1177.672]
39.410
[32.365〜47.989]
6598.5
[91.8〜100.0]
スパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はスパイクバックス(1価:起源株)を追加接種したときのSARS-CoV-2(起源株)血清中和抗体価及び中和抗体応答率
 評価例数a)血清中和抗体価中和抗体応答率b)、e)
GMTb)
[95%信頼区間]
調整済みGMFRc)
[95%信頼区間]
調整済みGMFR比c)、d)
[97.5%信頼区間]
応答例数
[95%信頼区間]
ダイチロナ(1価:起源株)群1362078.015
[1795.209〜2405.372]
38.864
[33.687〜44.837]
1.772
[1.335〜2.353]
12994.9
[89.7〜97.9]
スパイクバックス(1価:起源株)群691096.038
[878.747〜1367.058]
21.932
[17.935〜26.819]
6492.8
[83.9〜97.6]
GMT:幾何平均抗体価、GMFR:幾何平均上昇倍率
a)追加接種4週間後の評価例数
b)抗体価が定量下限未満の場合、解析には0.5×定量下限の値が用いられた。
c)調整済みGMFR及び95%信頼区間、並びに調整済みGMFR比及び97.5%信頼区間は、常用対数変換した中和抗体価を従属変数、投与群を独立変数、常用対数変換したベースライン中和抗体価を共変量とした共分散分析モデルに基づき算出された。
d)非劣性マージン:調整済みGMFR比(ダイチロナ(1価:起源株)群/コミナティ(1価:起源株)群又はダイチロナ(1価:起源株)群/スパイクバックス(1価:起源株)群)の両側97.5%信頼区間下限>0.67
e)中和抗体価が追加接種前から追加接種4週間後に4倍以上に上昇(中和抗体応答)した被験者の割合
安全性は、18歳以上の成人及び高齢者4,743例(コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者2,433例[ダイチロナ(1価:起源株)群:1,604例、コミナティ(1価:起源株)群:829例]及びスパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者2,310例[ダイチロナ(1価:起源株)群:1,525例、スパイクバックス(1価:起源株)群:785例])を対象に、治験薬を追加接種後28日間に発現した副反応を電子日誌又は問診等で収集し評価した。ダイチロナ(1価:起源株)群全体で20%以上の発現割合の副反応の発現状況(事象全体及び重度)は次のとおりであった。ダイチロナ(1価:起源株)群でみられた注射部位紅斑を除く事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は2〜4日(中央値)であった。注射部位紅斑は接種3日目(中央値)に発現し、持続期間は4日(中央値)であった4)
コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はコミナティ(1価:起源株)を追加接種したときの主な副反応の発現状況
 ダイチロナ(1価:起源株)群コミナティ(1価:起源株)群
評価例数発現例数(%)評価例数発現例数(%)
全体重度a)全体重度a)
注射部位疼痛1,6041,479(92.2)9(0.6)829761(91.8)6(0.7)
倦怠感1,604876(54.6)31(1.9)829468(56.5)17(2.1)
注射部位熱感1,604625(39.0)15(0.9)829361(43.5)7(0.8)
頭痛1,604610(38.0)8(0.5)829326(39.3)6(0.7)
発熱b)1,604590(36.8)42(2.6)829316(38.1)17(2.1)
注射部位腫脹1,604327(20.4)15(0.9)829177(21.4)2(0.2)
注射部位紅斑c)1,604281(17.5)21(1.3)829158(19.1)1(0.1)
筋肉痛1,604321(20.0)6(0.4)829197(23.8)7(0.8)
スパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はスパイクバックス(1価:起源株)を追加接種したときの主な副反応の発現状況
 ダイチロナ(1価:起源株)群スパイクバックス(1価:起源株)群
評価例数発現例数(%)評価例数発現例数(%)
全体重度a)全体重度a)
注射部位疼痛1,5251,434(94.0)10(0.7)785731(93.1)13(1.7)
倦怠感1,5251,009(66.2)38(2.5)785521(66.4)29(3.7)
注射部位熱感1,525784(51.4)22(1.4)785444(56.6)14(1.8)
頭痛1,525693(45.4)11(0.7)785373(47.5)12(1.5)
発熱b)1,525671(44.0)42(2.8)785377(48.0)29(3.7)
注射部位腫脹1,525396(26.0)25(1.6)785252(32.1)11(1.4)
注射部位紅斑c)1,525399(26.2)43(2.8)785223(28.4)14(1.8)
筋肉痛1,525349(22.9)10(0.7)785203(25.9)9(1.1)
a)日常活動を妨げる程度
b)37.5℃以上。39℃以上又は日常活動を妨げる程度を重度とした。
c)日常活動を妨げる程度のほか、長径10cm超、又は壊死・剥脱性皮膚炎を重度とした。
17.1.2 国内第III相試験(追加免疫)(参考:2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)
コミナティ(1価:起源株)の初回免疫及びトジナメラン及びファムトジナメランを有効成分として含むコミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)(以下、コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5))の追加免疫を完了後3ヵ月以上経過した12歳以上の者、及びコミナティ(1価:起源株)の初回免疫及び追加免疫後にコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)の追加免疫を完了後3ヵ月以上経過した12歳以上の者を対象に、ウフレンメラン及びテグレンメランを有効成分として含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン(未承認)(以下、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5))(ウフレンメラン及びテグレンメランとして計60μg)又はコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)(トジナメラン及びファムトジナメランとして計30μg)を追加接種したときの免疫原性及び安全性を検討した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者348例及びコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者350例を対象としてSARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価を評価した結果、追加接種4週間後のGMT比及び中和抗体応答率の差の両側95%信頼区間の下限がいずれも非劣性マージンを上回り、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)のコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)に対する非劣性が検証された5)
SARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価及び中和抗体応答率
 評価例数a)血清中和抗体価中和抗体応答率b)、e)
調整済みGMTb)、c)
[95%信頼区間]
調整済みGMT比c)、d)
[95%信頼区間]
応答例数
[95%信頼区間]
差(%)f)
[95%信頼区間]
ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)g)328390.741
[353.627〜431.751]
1.720
[1.516〜1.952]
22167.4
[62.0〜72.4]
21.6
[14.0〜28.8]
コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群321227.113
[205.169〜251.405]
14745.8
[40.2〜51.4]
安全性は、12歳以上の701例(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群:349例、コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群:352例)を対象に、治験薬を追加接種後28日間に発現した副反応を電子日誌又は問診等で収集し評価した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群での主な副反応の発現状況(事象全体及び重度)は次のとおりであった。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群でみられた注射部位紅斑を除く事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は1〜2日(中央値)であった。注射部位紅斑は接種3日目(中央値)に発現し、持続期間は2日(中央値)であった6)
主な副反応の発現状況
 ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)a)コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群
評価例数発現例数(%)評価例数発現例数(%)
全体重度b)全体重度b)
注射部位疼痛349301(86.2)4(1.1)352302(85.8)2(0.6)
倦怠感349116(33.2)3(0.9)352138(39.2)2(0.6)
注射部位熱感349133(38.1)2(0.6)352128(36.4)2(0.6)
頭痛34966(18.9)0(0.0)35279(22.4)0(0.0)
発熱c)34947(13.5)5(1.4)35244(12.5)1(0.3)
注射部位腫脹34957(16.3)3(0.9)35236(10.2)0(0.0)
注射部位紅斑d)34929(8.3)1(0.3)35219(5.4)0(0.0)
筋肉痛34945(12.9)1(0.3)35242(11.9)1(0.3)
17.1.3 国内第II/III相試験(追加免疫)(参考:2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)
コミナティ筋注5〜11歳用(1価:起源株)の初回免疫を完了後3ヵ月以上経過した5歳以上11歳以下の者を対象に、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)(未承認)(ウフレンメラン及びテグレンメランとして計20μg)又はコミナティ筋注5〜11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)(以下、コミナティ(2価:起源株/BA.4-5))(トジナメラン及びファムトジナメランとして計10μg)を追加接種したときの免疫原性及び安全性を検討した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者74例及びコミナティ(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者75例を対象としてSARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価を評価した結果、追加接種4週間後のGMT比及び中和抗体応答率の差の両側95%信頼区間の下限がいずれも非劣性マージンを上回り、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)のコミナティ(2価:起源株/BA.4-5)に対する非劣性が検証された7)
SARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価及び中和抗体応答率
 評価例数a)血清中和抗体価中和抗体応答率b)、e)
調整済みGMTb)、c)
[95%信頼区間]
調整済みGMT比c)、d)
[95%信頼区間]
応答例数
[95%信頼区間]
差(%)f)、g)
[95%信頼区間]
ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)h)671644.228
[1346.417〜2007.912]
1.636
[1.221〜2.190]
6292.5
[83.4〜97.5]
2.6
[−7.8〜13.8]
コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群591005.274
[812.690〜1243.494]
5389.8
[79.2〜96.2]
安全性は、5歳以上11歳以下の157例(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群:78例、コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群:79例)を対象に、治験薬を追加接種後28日間に発現した副反応を電子日誌又は問診等で収集し評価した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群での主な副反応の発現状況(事象全体及び重度)は次のとおりであった。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群でみられた注射部位紅斑を除く事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は1〜3日(中央値)であった。注射部位紅斑は接種3日目(中央値)に発現し、持続期間は4日(中央値)であった8)
主な副反応の発現状況
 ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)a)コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群
評価例数発現例数(%)評価例数発現例数(%)
全体重度b)全体重度b)
注射部位疼痛7867(85.9)0(0.0)7969(87.3)0(0.0)
倦怠感7819(24.4)0(0.0)7914(17.7)1(1.3)
注射部位熱感7837(47.4)1(1.3)7920(25.3)0(0.0)
頭痛7816(20.5)0(0.0)7914(17.7)0(0.0)
発熱c)7813(16.7)4(5.1)7911(13.9)1(1.3)
注射部位腫脹7820(25.6)1(1.3)7913(16.5)0(0.0)
注射部位紅斑d)7814(17.9)0(0.0)7913(16.5)0(0.0)
筋肉痛786(7.7)0(0.0)795(6.3)0(0.0)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は脂質ナノ粒子に封入されたヌクレオシド修飾mRNAを含有する。mRNAは脂質ナノ粒子により宿主細胞に送達され、mRNAにコードされるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメインが一過性に発現する。発現した受容体結合ドメインタンパク質が免疫細胞により外来抗原として認識され、これに対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防に寄与すると考えられる。
18.2 変異株に対する中和抗体産生能
1価(起源株)製剤を1回、その2週後に1価(オミクロン株XBB.1.5)製剤を1回、さらにその2週後に1価(オミクロン株JN.1)製剤を1回投与したマウスにおいて、最終投与の2週後にオミクロン株(JN.1)に対する中和抗体の産生が認められた9)。また、1価(オミクロン株JN.1)製剤を2週間隔で2回投与したマウスにおいて、最終投与の2週後にオミクロン株(JN.1)に対する中和抗体の産生が認められた10)

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤は激しく振とうしないこと。
20.2 本剤は凍結を避け、凍結した場合は使用しないこと。
20.3 外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 現時点での知見が限られていることから、製造販売後、副反応情報等の本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集するとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
21.3 現在国内で実施中又は計画中の本剤に係る臨床試験の成績が得られた際には、速やかに当該成績を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出するとともに、本剤の有効性及び安全性に係る最新の情報を、医療従事者及び被接種者が容易に入手可能となるよう必要な措置を講じること。
21.4 本剤の接種に際し、本剤の有効性及び安全性については今後も情報が集積されることを踏まえ、あらかじめ被接種者又は代諾者に最新の有効性及び安全性に関する情報が文書をもって説明され、予診票等で文書による同意を得てから接種されるよう、医師に対して適切に説明すること。

22. 包装

1.5mL 2バイアル

23. 主要文献

  1. Clinical Considerations:Myocarditis and Pericarditis after Receipt of mRNA COVID-19 Vaccines Among Adolescents and Young Adults
  2. 第73回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第23回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料
  3. 社内資料:既承認SARS-CoV-2ワクチンの初回接種完了者を対象とした第I/II/III相試験(DS5670-146試験)(2023年8月2日承認、CTD2.7.6.2)
  4. 社内資料:DS5670-146試験全体の安全性評価結果
  5. 社内資料:既承認SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫及び追加免疫完了者を対象とした第III相試験(DS5670-212試験)
  6. 社内資料:DS5670-212試験Main Studyの安全性評価結果
  7. 社内資料:既承認SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫完了者を対象とした第II/III相試験(DS5670-214試験)
  8. 社内資料:DS5670-214試験の安全性評価結果
  9. 社内資料:マウス免疫原性試験(追加免疫)
  10. 社内資料:マウス免疫原性試験(初回免疫)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
電話:0120-189-132
製品情報問い合わせ先
第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
電話:0120-189-132

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
第一三共株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版