通常、成人にはシルニジピンとして1日1回5〜10mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。効果不十分の場合には、1日1回20mgまで増量することができる。ただし、重症高血圧症には1日1回10〜20mgを朝食後経口投与する。
8.1 カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量すること。なお、5mg投与より休薬を要する場合には他剤に変更する等の処置をとること。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
8.2 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 カルシウム拮抗剤による重篤な副作用発現の既往のある患者
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で、胎児毒性並びに妊娠期間及び分娩時間の延長が報告されている
1)2)3)。[2.参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
低用量(例えば5mg)から投与を開始し、慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
11.1.2 血小板減少(0.1%未満)
注)発現頻度は使用成績調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
肝臓 | AST、ALT、LDH等の上昇 | Al-Pの上昇 | |
腎臓 | クレアチニン上昇、尿素窒素上昇、尿蛋白陽性 | 尿沈渣陽性 | |
精神神経系 | 頭痛、頭重感、めまい、立ちくらみ、肩こり | 眠気、不眠、手指振戦、もの忘れ | しびれ |
循環器 | 顔面潮紅、動悸、熱感、心電図異常(ST低下、T波逆転)、血圧低下 | 胸痛、心胸郭比の上昇、頻脈、房室ブロック、冷感 | 期外収縮、徐脈 |
消化器 | 嘔気・嘔吐、腹痛 | 便秘、腹部膨満感、口渇、歯肉肥厚、胸やけ、下痢 | |
過敏症 | 発疹 | 発赤、そう痒感 | 光線過敏症 |
血液 | 白血球数の変動、好中球の変動、ヘモグロビンの変動 | 赤血球数の変動、ヘマトクリットの変動、好酸球の変動、リンパ球の変動 | |
その他 | 浮腫(顔、下肢等)、全身倦怠感、頻尿、血清コレステロールの上昇、CKの変動、尿酸の変動、血清Kの変動、血清Pの変動 | 脱力感、腓腸筋痙直、眼周囲の乾燥、目の充血刺激感、味覚異常、尿糖陽性、空腹時血糖の変動、総蛋白の変動、血清Caの変動、CRPの変動、咳嗽 | 耳鳴 |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子6名にシルニジピン5mg、10mg、20mgを単回経口投与した時のCmaxはそれぞれ4.7ng/mL、5.4ng/mL、15.7ng/mL、AUC
0〜24はそれぞれ23.7ng・hr/mL、27.5ng・hr/mL、60.1ng・hr/mLであり、用量依存的に増加した
5)。
16.1.2 反復投与
健康成人男子6名にシルニジピン10mgを1日1回反復経口投与した時の薬物動態学的パラメータは以下のとおりであり、投与第4日目以降は定常状態に達し、蓄積性は認められなかった
6)。
| Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | t1/2(α)(hr) | t1/2(β)(hr) | AUC0〜∞(ng・hr/mL) |
投与第1日目 | 9.5±1.6 | 2.8±1.0 | 1.0±0.2 | 5.2±2.0 | 51.4±12.7 |
投与第4日目 | 13.5±5.0 | 3.7±0.8 | − | − | 101.8±29.0 |
投与第7日目 | 16.5±7.9 | 3.0±1.3 | 1.1±0.6 | 8.1±2.7 | 95.5±34.5 |
16.1.3 生物学的同等性試験
<シルニジピン錠5mg「NIG」>
(1)シルニジピン錠5mg「NIG」とアテレック錠5を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(シルニジピンとして5mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
7)。
薬物動態パラメータ
| 投与量(mg) | AUC0-24(ng・hr/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
シルニジピン錠5mg「NIG」 | 5 | 11.56±6.29 | 2.38±1.36 | 2.8±1.1 | 2.79±1.08 |
アテレック錠5 | 5 | 10.71±5.96 | 2.09±0.93 | 2.6±1.4 | 3.16±1.61 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
<シルニジピン錠10mg「NIG」>
(2)シルニジピン錠10mg「NIG」とアテレック錠10を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(シルニジピンとして10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
7)。
薬物動態パラメータ
| 投与量(mg) | AUC0-24(ng・hr/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
シルニジピン錠10mg「NIG」 | 10 | 46.09±23.12 | 8.57±4.35 | 3.0±0.9 | 4.88±2.43 |
アテレック錠10 | 10 | 40.35±19.49 | 7.87±4.28 | 2.2±0.9 | 5.58±2.64 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
In vitroでのヒト血清蛋白結合率は99.3%であった
8)。
16.4 代謝
健康成人男子における血漿中及び尿中で認められた代謝物
5)9)から、主代謝経路はメトキシエチル基の脱メチル化、それに続くシンナミルエステル基の加水分解及びジヒドロピリジン環の酸化と考えられている
10)。なお、代謝過程におけるメトキシエチル基の脱メチル化反応には主としてCYP3A4が関与し、また、一部CYP2C19が関与しているものと考えられている
4)(
in vitro)。
なお、メトキシエチル基の脱メチル化体のカルシウム拮抗作用は未変化体の1/100の活性であった
5)。[
10.参照]
16.5 排泄
健康成人男子にシルニジピン10mgを1日2回
注)7日間反復経口投与した時、尿中に未変化体は検出されず、代謝物として総投与量の5.2%が排泄された
9)。
注)本剤の承認された用法は、1日1回朝食後経口投与である。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
高血圧患者にシルニジピン10mgを単回経口投与した時の血漿中濃度推移は、腎機能の正常な患者と腎機能が低下した患者(血清クレアチニン値:1.5〜3.1mg/dL)との間に差を認めなかった。
腎機能が低下した患者にシルニジピン錠10mgを1日1回7日間反復経口投与した時にも、血漿中濃度推移には反復投与による影響は認められなかった
11)。
16.8 その他
<シルニジピン錠20mg「NIG」>
シルニジピン錠20mg「NIG」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日 薬食審査発0229第10号)」に基づき、シルニジピン錠5mg「NIG」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた
12)。
<シルニジピン錠5mg「NIG」>
<シルニジピン錠10mg「NIG」>
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]
<シルニジピン錠20mg「NIG」>