7.1 既にレボドパ単味製剤の投与を受けている患者に対して本剤を投与する場合には、レボドパの服用後少なくとも8時間の間隔をおいてから本剤を投与すること。ただし、その他の抗パーキンソン剤の投与を中止する必要はない。
7.2 レボドパ単味製剤の投与を受けていない患者に対して本剤を投与する場合には少量から開始し、観察を十分に行い慎重に維持量まで増量すること。
8.1 閉塞隅角緑内障のおそれのある場合は、隅角検査あるいは眼圧検査を行うことが望ましい。[
2.2、
11.1.5参照]
8.2 レボドパ製剤の長期投与により、次のような現象があらわれることがあるので、適切な処置を行うこと。
・Wearing-off(up and down現象)があらわれた場合には、1日用量の範囲内で投与回数を増すなどの処置を行うこと。
・on and off現象があらわれた場合には、維持量の漸減又は休薬を行う。症状悪化に際しては、その他の抗パーキンソン剤の併用等の処置を行うこと。
8.3 前兆のない突発的睡眠、傾眠、調節障害及び注意力・集中力・反射機能等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。[
11.1.4参照]
8.4 セレギリン塩酸塩等(B型モノアミン酸化酵素阻害剤)との併用に際しては、使用前に必ずセレギリン塩酸塩等の電子添文を参照すること。
8.5 レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されている。また、レボドパを投与された患者において、衝動制御障害に加えてレボドパを必要量を超えて求めるドパミン調節障害症候群が報告されている。患者及び家族等にこれらの症状について説明し、これらの症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.6 溶血性貧血、血小板減少があらわれることがある。定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[
11.1.3参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある患者又はその既往歴のある患者
9.1.2 糖尿病の患者
血糖値の上昇を誘発し、インスリン必要量を増大させるとの報告がある。
9.1.3 重篤な心・肺疾患、気管支喘息又は内分泌系疾患のある患者
9.1.4 慢性開放隅角緑内障の患者
9.1.5 自殺傾向など精神症状のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ウサギ)で、胸骨核の癒合、過剰頸椎骨(120mg/kg/日)が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁分泌が抑制されるおそれがあり、また動物実験(ラット)でレボドパ及びベンセラジドの乳汁移行が知られている。
9.8 高齢者
不安、不眠、幻覚、血圧低下等の副作用があらわれるおそれがあるので注意すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれる場合があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(頻度不明)
急激な減量又は投与中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、ショック状態等があらわれることがあるので、このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等適切な処置を行うこと。
11.1.2 幻覚、抑うつ(いずれも0.1〜5%未満)、錯乱(0.1%未満)
11.1.3 溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)[
8.6参照]
11.1.4 突発的睡眠(頻度不明)
前兆のない突発的睡眠があらわれることがある。[
8.3参照]
11.1.5 閉塞隅角緑内障(頻度不明)
急激な眼圧上昇を伴う閉塞隅角緑内障を起こすことがあるので、霧視、眼痛、充血、頭痛、嘔気等が認められた場合には、投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。[
2.2、
8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれる場合があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
精神神経系 | 不眠、頭痛・頭重 | 焦燥感、精神高揚、せん妄、不安、めまい、眠気、筋緊張低下、突発性硬直、構音障害 | 不随意運動(顔面、頸部、口、四肢等)、傾眠、病的賭博、病的性欲亢進、ドパミン調節障害症候群 |
消化器 | 嘔気、食欲不振 | 口渇、嘔吐、便秘、腹痛、下痢、胸やけ、口内炎、腹部膨満感 | 胃部不快感、唾液分泌過多 |
泌尿器 | | 排尿異常 | |
血液 | | | 白血球減少 |
皮膚 | | 発疹、蕁麻疹様湿疹、四肢色素沈着、口唇の水ぶくれ | 脱毛 |
循環器 | | 動悸、たちくらみ、不整脈 | 血圧低下 |
眼 | | 視覚異常 | |
肝臓注) | AST・ALT・Al-Pの上昇 | | |
その他 | | 発汗、胸痛、脱力・倦怠感、浮腫、のぼせ感 | 唾液・痰・口腔内粘膜・汗・尿・便等の変色(黒色等) |
ニトロプルシドナトリウム水和物の検尿テープによる尿検査では、ケトン体反応が偽陽性になる場合がある。
13.1 症状
異常な不随意運動、混乱、不眠、まれに嘔気、嘔吐、不整脈等が起こるおそれがある。
14.1 薬剤調製時の注意
アルカリ性薬剤との調剤(一包化)により、着色変化を起こすことがあるので注意すること。
14.2 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 抗パーキンソン剤はフェノチアジン系化合物、レセルピン誘導体等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しない。場合によってはこのような症状を増悪顕性化させることがある。
15.1.2 悪性黒色腫が発現したとの報告がある。
15.1.3 高蛋白食によりレボドパの吸収が低下するとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験(幼若ラット)において、ベンセラジド塩酸塩による骨端軟骨板の内軟骨性骨化の異常(閉鎖不全)が報告されている。[
9.1.6、
9.1.7参照]
16.1 血中濃度
パーキンソン病患者9例にレボドパ200mgとベンセラジド50mgを単回経口投与したとき、血漿中レボドパ濃度は、ほぼ1時間後に最高約1μg/mLに達し、レボドパ1gを単回経口投与したパーキンソン病患者5例と比較して、レボドパ投与量が1/5であるにも拘わらず、約2倍の値を示した
1)。
単回経口投与時の血漿中レボドパ濃度推移
16.4 代謝
ラット(Wistar系)に、
14C-レボドパ50mg/kgとベンセラジド12.5mg/kgを単回経口投与したとき、
14C-レボドパの血漿中濃度は1時間後に最高17.7μg/mLに達し、
14C-レボドパ50mg/kg単回経口投与時の約3〜5倍、また脳内濃度は約10倍の値を示した
2)。
16.5 排泄
パーキンソン病患者7例にレボドパ200mgとベンセラジド50mgを単回経口投与したとき、投与後3時間までのレボドパ及び代謝物の尿中総排泄率は9.5〜16.1%で、レボドパ1gを単回経口投与したパーキンソン病患者3例に比べてレボドパ排泄量が4〜10倍に増加し、脱炭酸代謝物はいずれも減少し、血漿中濃度を反映した排泄パターンが認められた。
尿中主代謝物は、脱炭酸代謝物としてドパミン、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、ホモバニリン酸が認められた
1)。
また、ラット(Wistar系)に、
14C-レボドパ50mg/kgとベンセラジド12.5mg/kgを単回経口投与したとき、放射性物質の総排泄率は、投与後8時間で尿中32%、糞中約1%、投与後48時間では尿中72%、糞中約10%であった
2)。
16.8 その他
マドパー配合錠L50は、溶出挙動に基づき、マドパー配合錠L100と生物学的に同等とみなされた。
<マドパー配合錠L50>
<マドパー配合錠L100>
100錠(PTP10錠×10)、1,000錠(PTP10錠×100)
26.1 製造販売元
太陽ファルマ株式会社
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-6-5