医療用医薬品 : マドパー

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医薬品情報


総称名 マドパー
一般名 レボドパ
ベンセラジド塩酸塩
欧文一般名 Levodopa
Benserazide Hydrochloride
製剤名 レボドパ・ベンセラジド塩酸塩製剤
薬効分類名 パーキンソニズム治療剤
薬効分類番号 1169
ATCコード N04BA02
KEGG DRUG
D02135 レボドパ・ベンセラジド塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01967 抗パーキンソン病薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年6月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
マドパー配合錠L50 MADOPAR Combination Tablets 太陽ファルマ 1169100F2024 11.6円/錠 処方箋医薬品注)
マドパー配合錠L100 MADOPAR Combination Tablets 太陽ファルマ 1169100F1087 17円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。][8.111.1.5参照]

4. 効能または効果

パーキンソン病パーキンソン症候群

6. 用法及び用量

<マドパー配合錠L50>
レボドパ未投与例の場合
通常成人は初回1日量2〜6錠を1〜3回に分けて、食後に経口投与し、2〜3日毎に1日量2〜4錠ずつ漸増し、維持量として1日6〜12錠を経口投与する。
レボドパ投与例の場合
通常成人初回1日量は投与中のレボドパ量の約1/5に相当するレボドパ量(本剤2錠中レボドパ100mg含有)に切り換え、1〜3回に分けて、食後に経口投与し、漸増もしくは漸減し、維持量として1日量6〜12錠を経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<マドパー配合錠L100>
レボドパ未投与例の場合
通常成人は初回1日量1〜3錠を1〜3回に分けて、食後に経口投与し、2〜3日毎に1日量1〜2錠ずつ漸増し、維持量として1日3〜6錠を経口投与する。
レボドパ投与例の場合
通常成人初回1日量は投与中のレボドパ量の約1/5に相当するレボドパ量(本剤1錠中レボドパ100mg含有)に切り換え、1〜3回に分けて、食後に経口投与し、漸増もしくは漸減し、維持量として1日量3〜6錠を経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 既にレボドパ単味製剤の投与を受けている患者に対して本剤を投与する場合には、レボドパの服用後少なくとも8時間の間隔をおいてから本剤を投与すること。ただし、その他の抗パーキンソン剤の投与を中止する必要はない。
7.2 レボドパ単味製剤の投与を受けていない患者に対して本剤を投与する場合には少量から開始し、観察を十分に行い慎重に維持量まで増量すること。

8. 重要な基本的注意

8.1 閉塞隅角緑内障のおそれのある場合は、隅角検査あるいは眼圧検査を行うことが望ましい。[2.211.1.5参照]
8.2 レボドパ製剤の長期投与により、次のような現象があらわれることがあるので、適切な処置を行うこと。
・Wearing-off(up and down現象)があらわれた場合には、1日用量の範囲内で投与回数を増すなどの処置を行うこと。
・on and off現象があらわれた場合には、維持量の漸減又は休薬を行う。症状悪化に際しては、その他の抗パーキンソン剤の併用等の処置を行うこと。
8.3 前兆のない突発的睡眠、傾眠、調節障害及び注意力・集中力・反射機能等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。[11.1.4参照]
8.4 セレギリン塩酸塩等(B型モノアミン酸化酵素阻害剤)との併用に際しては、使用前に必ずセレギリン塩酸塩等の電子添文を参照すること。
8.5 レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されている。また、レボドパを投与された患者において、衝動制御障害に加えてレボドパを必要量を超えて求めるドパミン調節障害症候群が報告されている。患者及び家族等にこれらの症状について説明し、これらの症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.6 溶血性貧血、血小板減少があらわれることがある。定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[11.1.3参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある患者又はその既往歴のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 糖尿病の患者
血糖値の上昇を誘発し、インスリン必要量を増大させるとの報告がある。
9.1.3 重篤な心・肺疾患、気管支喘息又は内分泌系疾患のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 慢性開放隅角緑内障の患者
眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。
9.1.5 自殺傾向など精神症状のある患者
精神症状が悪化するおそれがある。
9.1.6 骨軟化症の患者15.2.1参照]
9.1.7 25歳以下の患者15.2.1参照]
9.2 腎機能障害患者
 
9.3 肝機能障害患者
 
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ウサギ)で、胸骨核の癒合、過剰頸椎骨(120mg/kg/日)が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁分泌が抑制されるおそれがあり、また動物実験(ラット)でレボドパ及びベンセラジドの乳汁移行が知られている。
9.8 高齢者
不安、不眠、幻覚、血圧低下等の副作用があらわれるおそれがあるので注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
レセルピン製剤
テトラベナジン
脳内ドパミンが減少し、本剤の作用が減弱するおそれがある。脳内のドパミンを減少させてパーキンソン症状を悪化させる。
抗精神病薬
フェノチアジン系薬剤
クロルプロマジン 等
ブチロフェノン系薬剤
ハロペリドール 等
その他
ペロスピロン 等
本剤の作用が減弱することがある。これらの薬剤によりドパミン受容体が遮断される。
パパベリン塩酸塩本剤の作用が減弱するおそれがある。明確な機序は不明であるが、以下のような説がある。
a.パパベリン塩酸塩が線条体でのドパミン受容体を遮断する。
b.パパベリン塩酸塩がアドレナリン作動性神経小胞でレセルピン様作用を示す。
鉄剤本剤の作用が減弱するおそれがある。キレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告がある。
イソニアジド本剤の作用が減弱するおそれがある。機序は不明であるが、イソニアジドによりドパ脱炭酸酵素が阻害されると考えられている。
血圧降下剤
メチルドパ水和物
レセルピン
節遮断剤 等
血圧降下剤の作用を増強することがある。レボドパに降圧作用があるため、相加作用により血圧降下剤の作用を増強する。
他の抗パーキンソン剤
抗コリン剤
アマンタジン
ブロモクリプチン
タリペキソール
ドロキシドパ 等
精神神経系及び循環器系の副作用が増強することがある。長期投与により、大脳皮質におけるアセチルコリン系感受性が亢進し、精神症状や心血管系の症状を呈しやすくなる。
NMDA受容体拮抗剤
メマンチン塩酸塩 等
本剤の作用を増強するおそれがある。これらの薬剤により、ドパミン遊離が促進する可能性がある。
全身麻酔剤
ハロタン 等
不整脈を起こすおそれがある。末梢でドパミンはβ1アドレナリン受容体に作用し強心作用を示し、ハロタンは心筋の被刺激性亢進作用を示す。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれる場合があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(頻度不明)
急激な減量又は投与中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、ショック状態等があらわれることがあるので、このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等適切な処置を行うこと。
11.1.2 幻覚、抑うつ(いずれも0.1〜5%未満)、錯乱(0.1%未満)
11.1.3 溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)[8.6参照]
11.1.4 突発的睡眠(頻度不明)
前兆のない突発的睡眠があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.5 閉塞隅角緑内障(頻度不明)
急激な眼圧上昇を伴う閉塞隅角緑内障を起こすことがあるので、霧視、眼痛、充血、頭痛、嘔気等が認められた場合には、投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。[2.28.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれる場合があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満頻度不明
精神神経系不眠、頭痛・頭重焦燥感、精神高揚、せん妄、不安、めまい、眠気、筋緊張低下、突発性硬直、構音障害不随意運動(顔面、頸部、口、四肢等)、傾眠、病的賭博、病的性欲亢進、ドパミン調節障害症候群
消化器嘔気、食欲不振口渇、嘔吐、便秘、腹痛、下痢、胸やけ、口内炎、腹部膨満感胃部不快感、唾液分泌過多
泌尿器 排尿異常 
血液  白血球減少
皮膚 発疹、蕁麻疹様湿疹、四肢色素沈着、口唇の水ぶくれ脱毛
循環器 動悸、たちくらみ、不整脈血圧低下
 視覚異常 
肝臓注)AST・ALT・Al-Pの上昇  
その他 発汗、胸痛、脱力・倦怠感、浮腫、のぼせ感唾液・痰・口腔内粘膜・汗・尿・便等の変色(黒色等)

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

ニトロプルシドナトリウム水和物の検尿テープによる尿検査では、ケトン体反応が偽陽性になる場合がある。

13. 過量投与

13.1 症状
異常な不随意運動、混乱、不眠、まれに嘔気、嘔吐、不整脈等が起こるおそれがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
アルカリ性薬剤との調剤(一包化)により、着色変化を起こすことがあるので注意すること。
14.2 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 抗パーキンソン剤はフェノチアジン系化合物、レセルピン誘導体等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しない。場合によってはこのような症状を増悪顕性化させることがある。
15.1.2 悪性黒色腫が発現したとの報告がある。
15.1.3 高蛋白食によりレボドパの吸収が低下するとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験(幼若ラット)において、ベンセラジド塩酸塩による骨端軟骨板の内軟骨性骨化の異常(閉鎖不全)が報告されている。[9.1.69.1.7参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
パーキンソン病患者9例にレボドパ200mgとベンセラジド50mgを単回経口投与したとき、血漿中レボドパ濃度は、ほぼ1時間後に最高約1μg/mLに達し、レボドパ1gを単回経口投与したパーキンソン病患者5例と比較して、レボドパ投与量が1/5であるにも拘わらず、約2倍の値を示した1)
単回経口投与時の血漿中レボドパ濃度推移
16.4 代謝
ラット(Wistar系)に、14C-レボドパ50mg/kgとベンセラジド12.5mg/kgを単回経口投与したとき、14C-レボドパの血漿中濃度は1時間後に最高17.7μg/mLに達し、14C-レボドパ50mg/kg単回経口投与時の約3〜5倍、また脳内濃度は約10倍の値を示した2)
16.5 排泄
パーキンソン病患者7例にレボドパ200mgとベンセラジド50mgを単回経口投与したとき、投与後3時間までのレボドパ及び代謝物の尿中総排泄率は9.5〜16.1%で、レボドパ1gを単回経口投与したパーキンソン病患者3例に比べてレボドパ排泄量が4〜10倍に増加し、脱炭酸代謝物はいずれも減少し、血漿中濃度を反映した排泄パターンが認められた。
尿中主代謝物は、脱炭酸代謝物としてドパミン、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、ホモバニリン酸が認められた1)
また、ラット(Wistar系)に、14C-レボドパ50mg/kgとベンセラジド12.5mg/kgを単回経口投与したとき、放射性物質の総排泄率は、投与後8時間で尿中32%、糞中約1%、投与後48時間では尿中72%、糞中約10%であった2)
16.8 その他
マドパー配合錠L50は、溶出挙動に基づき、マドパー配合錠L100と生物学的に同等とみなされた。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
239例の臨床試験(一般臨床試験)におけるパーキンソン病・パーキンソン症候群の有効率は79.1%(189例)であった。主症状の有効率は、筋強剛42.1%(82/195例)、振戦40.9%(63/154例)、無動〜寡動32.6%(62/190例)、日常生活動作障害29.7%(47/158例)であった3)
また、パーキンソン病患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が認められた4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
レボドパは、血液脳関門を通過して脳内に入り、ドパ脱炭酸酵素により脱炭酸されてドパミンとなり、パーキンソニズムに対する治療効果を発揮する。
脱炭酸酵素阻害作用をもつベンセラジド塩酸塩は、通常用量において脳内へ移行しない。
このため脳内におけるレボドパのドパミンへの代謝は抑制されず、選択的に脳外においてドパ脱炭酸酵素の作用を阻害する。
したがってレボドパにベンセラジド塩酸塩を配合することにより、血液中のカテコールアミン(ドパミン、ノルアドレナリン等)は減少し、レボドパ濃度は上昇するため、脳内へのレボドパ移行量が高まり、脳内ドパミン量は増大する5)6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. レボドパ

一般的名称 レボドパ
一般的名称(欧名) Levodopa
略号 L-ドパ(L-DOPA)
化学名 3-Hydroxy-L-tyrosine
分子式 C9H11NO4
分子量 197.19
融点 約275℃(分解)
物理化学的性状 白色又はわずかに灰色を帯びた白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。ギ酸に溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
飽和水溶液のpHは5.0〜6.5である。
旋光度 〔α〕20D:−11.5〜−13.0°(乾燥後、2.5g、1mol/L塩酸試液、50mL、100mm)
理化学知見その他 19.1 レボドパ
KEGG DRUG D00059

19.2. ベンセラジド塩酸塩

一般的名称 ベンセラジド塩酸塩
一般的名称(欧名) Benserazide Hydrochloride
化学名 (2RS)-2-Amino-3-hydroxy-N'-(2,3,4-trihydroxybenzyl)propanoylhydrazide monohydrochloride
分子式 C10H15N3O5・HCl
分子量 293.70
物理化学的性状 白色〜灰白色の結晶性の粉末である。水又はギ酸に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
水溶液(1→100)のpHは4.0〜5.0である。吸湿性である。
光によって徐々に着色する。水溶液(1→100)は旋光性を示さない。
理化学知見その他 19.2 ベンセラジド塩酸塩
KEGG DRUG D01653

20. 取扱い上の注意

開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<マドパー配合錠L50>
100錠(PTP10錠×10)
<マドパー配合錠L100>
100錠(PTP10錠×10)、1,000錠(PTP10錠×100)

23. 主要文献

  1. 横地正之,他, 脳と神経, 31, 339-348, (1979)
  2. 兼田瑞穂,他, 薬理と治療, 5 (S1), 269-297, (1977)
  3. 社内資料:特発性パーキンソン病患者を主とした一般臨床試験(承認年月日:1979年8月27日)
  4. 水野美邦,他, 神経進歩, 21, 807-834, (1977)
  5. Pletscher,A.,et al., Schweiz.Med.Wochenschr., 100, 797-804, (1970) »PubMed
  6. 兼田瑞穂,他, 薬理と治療, 5 (S1), 243-253, (1977)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
太陽ファルマ株式会社 お客様相談室
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5
電話:0120-533-030
URL:https://www.taiyo-pharma.co.jp
製品情報問い合わせ先
太陽ファルマ株式会社 お客様相談室
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5
電話:0120-533-030
URL:https://www.taiyo-pharma.co.jp

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
太陽ファルマ株式会社
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版