2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 出血している患者(頭蓋内出血、消化管出血等の臨床的に重大な出血)[出血を助長するおそれがある。][1.、
11.1.1参照]
2.3 凝固障害を伴う肝疾患の患者[
9.3.1参照]
2.4 中等度以上の肝障害(Child-Pugh分類B又はCに相当)のある患者[
9.3.2、
16.6.2参照]
2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[
9.5参照]
2.6 リトナビルを含有する製剤、アタザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビルを投与中の患者[
10.1、
16.7.1参照]
2.7 コビシスタットを含有する製剤を投与中の患者[
10.1参照]
2.8 イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾールの経口又は注射剤を投与中の患者[
10.1、
16.7.2参照]
2.9 エンシトレルビルを投与中の患者[
10.1参照]
2.10 急性細菌性心内膜炎の患者[血栓はく離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。
7.2 クレアチニンクリアランス15〜29mL/minの患者には、本剤投与の適否を慎重に検討した上で、投与する場合は、10mgを1日1回投与する。[
9.2.2、
16.6.1参照]
8.1 プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は本剤の抗凝固作用について標準化された指標でなく、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の凝固能検査は、本剤の抗凝固作用をモニタリングする指標として推奨されない。[1.、
11.1.1参照]
8.2 出血等の副作用が生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値)、便潜血等の検査を実施し、急激なヘモグロビン値や血圧の低下等の出血の徴候が認められた場合には、適切な処置を行うこと。[1.、
11.1.1参照]
8.3 患者には、鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、喀血、吐血及び血便等、異常な出血の徴候が認められた場合には、医師に連絡するよう指導すること。[1.、
11.1.1参照]
8.4 抗血小板剤2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、本剤との併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用すること。[1.、
10.2、
11.1.1参照]
8.5 本剤の投与中に手術や侵襲的処置を行う場合、臨床的に可能であれば本剤の投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましい。手術や侵襲的処置の開始を遅らせることができない場合は、緊急性と出血リスクを評価すること。本剤の投与は、手術や侵襲的処置後、患者の臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから、可及的速やかに再開すること。[1.、
11.1.1参照]
8.6 本剤と他の抗凝固剤との切り替えにおいては、以下の点に留意すること。
・ワルファリンから本剤に切り替える必要がある場合は、ワルファリンの投与を中止した後、PT-INR等、血液凝固能検査を実施し、治療域の下限以下になったことを確認した後、可及的速やかに本剤の投与を開始すること。[
16.7.9参照]
・注射剤の抗凝固剤(ヘパリン等)から本剤に切り替える場合、次回の静脈内又は皮下投与が予定された時間の0〜2時間前又は持続静注中止後より、本剤の投与を開始すること。
・本剤からワルファリンへの切り替え時において抗凝固作用が不十分になる可能性が示唆されているので、抗凝固作用が維持されるよう注意し、PT-INR等、血液凝固能検査の値が治療域の下限を超えるまでは、ワルファリンと本剤を併用すること。なお、本剤の投与終了後24時間経過するまでは、PT-INRはワルファリンの抗凝固作用を正確に反映しない。
・本剤から注射剤の抗凝固剤に切り替える場合、本剤の投与を中止し、次回の本剤投与が予定された時間に抗凝固剤の静脈内投与又は皮下投与を開始すること。
8.7 間質性肺疾患があらわれることがあるので、咳嗽、血痰、呼吸困難、発熱等の症状があらわれた場合には、速やかに主治医に連絡するよう患者に指導すること。[
11.1.3参照]
8.8 服用を忘れた場合は直ちに本剤を服用し、翌日から毎日1回の服用を行うよう患者に指導すること。服用を忘れた場合でも、一度に2回分を服用せず、次の服用まで12時間以上空けるよう、患者に指導すること。
8.9 本剤投与中の患者で生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時に本剤の抗凝固作用の中和を必要とする場合には、中和剤であるアンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)の電子添文を必ず参照し、禁忌、用法及び用量に関連する注意、重要な基本的注意、特定の背景を有する患者に関する注意、副作用等の使用上の注意の記載を確認すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血リスクが高い患者
以下のような患者では、出血の危険性が増大する。[1.、
11.1.1参照]
・止血障害のある患者(血小板減少症等)
・凝固障害のある患者
・先天性又は後天性の出血性疾患のある患者
・コントロールできない重症の高血圧症の患者
・血管性網膜症の患者
・活動性悪性腫瘍の患者
・活動性の潰瘍性消化管障害の患者
・消化管潰瘍発症後日の浅い患者
・頭蓋内出血発症後日の浅い患者
・脊髄内又は脳内に血管異常のある患者
・脳脊髄や眼の手術後日の浅い患者
・気管支拡張症又は肺出血の既往のある患者
9.1.2 低体重の患者
9.1.3 潰瘍性消化管障害のおそれのある患者
潰瘍性消化管障害に対する適切な予防に配慮すること。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎不全の患者
投与しないこと。国内外第III相試験において、クレアチニンクリアランス15mL/min未満の患者は除外されている。[
2.11、
16.6.1参照]
9.2.2 重度の腎障害患者
本剤投与の適否を慎重に検討すること。本剤の血中濃度が上昇することが示唆されている。国内外第III相試験において、クレアチニンクリアランス15〜29mL/minの患者は除外されている。[
7.2、
16.6.1参照]
9.2.3 中等度の腎障害のある患者
本剤投与の適否を慎重に検討すること。クレアチニンクリアランス30〜49mL/minの患者で本剤の血中濃度が上昇することが示唆されており、出血の危険性が増大することがある。[
7.1、
16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 凝固障害を伴う肝疾患の患者
投与しないこと。出血の危険性が増大するおそれがある。[
2.3参照]
9.3.2 中等度以上の肝障害のある患者(Child-Pugh分類B又はCに相当)
投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。[
2.4、
16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胎盤通過性(ラット)
1)、子宮内出血、母動物に毒性があらわれる用量で総奇形発生率の増加(ウサギ)
2)、死産の増加等の胚・胎児毒性、出生児の生存率低下及び一般状態の悪化(ラット)
3)が報告されている。[
2.5参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット、経口投与)で乳汁中に移行することが報告されている
4)。ヒトの母乳中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
一般に腎機能などの生理機能が低下している。なお、国内第III相試験において75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、重大な出血及び重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率が高かった。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血
頭蓋内出血(0.09%)、脳出血(0.06%)、出血性卒中(0.06%)、眼出血(0.23%)、網膜出血(0.08%)、直腸出血(1.25%)、胃腸出血(0.74%)、メレナ(0.53%)、上部消化管出血(0.36%)、下部消化管出血(0.21%)、出血性胃潰瘍(0.14%)、関節内出血(0.16%)、コンパートメント症候群を伴う筋肉内出血(0.01%)等の重篤な出血があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。重篤な出血等の異常が認められた場合は投与を中止すること。
なお、出血に伴う合併症として、ショック、腎不全、呼吸困難、浮腫、頭痛、浮動性めまい、蒼白、脱力感があらわれることがある。また、一部の例では貧血の結果として胸痛又は狭心症様の心虚血症状があらわれている。[1.、
2.2、
8.1-
8.5、
9.1.1参照]
11.1.2 肝機能障害・黄疸
ALT上昇、AST上昇を伴う肝機能障害(0.1〜1%未満)、黄疸(頻度不明)があらわれることがある。
11.1.3 間質性肺疾患(頻度不明)
血痰、肺胞出血を伴う場合もあるので、咳嗽、血痰、息切れ、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等を行うこと。[
8.7参照]
11.1.4 血小板減少(頻度不明)
11.1.5 急性腎障害(頻度不明)
経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害があらわれることがある。経口抗凝固薬投与後の急性腎障害の中には、血尿を認めるもの、腎生検により尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている
5)6)。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1〜10%未満 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
精神神経系 | | 頭痛、浮動性めまい、不眠 | 失神 | |
感覚器 | 結膜出血 | | 耳出血 | |
消化器 | 歯肉出血 | 肛門出血、下痢、悪心、口腔内出血、血便、腹痛、便潜血、上腹部痛、消化不良、便秘、嘔吐、吐血、口内乾燥、胃食道逆流性疾患、胃炎 | 痔核、アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇 | |
循環器 | 血腫 | | 頻脈、低血圧 | 血管偽動脈瘤形成 |
呼吸器 | 鼻出血、喀血 | 呼吸困難 | | |
血液 | 貧血 | INR増加、ヘモグロビン減少、鉄欠乏性貧血 | 血小板増加症(血小板数増加等) | |
肝臓 | | ALT上昇、AST上昇、血中ビリルビン上昇、Al-P上昇 | γ-GTP上昇、直接ビリルビン上昇 | LDH上昇 |
腎臓 | 血尿 | 尿中血陽性 | 尿路出血、腎クレアチニン・クリアランス減少、血中クレアチニン上昇、腎機能障害、BUN上昇 | |
生殖器 | 月経過多 | 性器出血 | | |
筋・骨格系 | | 四肢痛、関節痛 | 筋肉内出血 | |
皮膚 | 斑状出血 | 皮下出血、皮下血腫、脱毛、皮膚裂傷 | 擦過傷 | |
過敏症 | | 発疹、そう痒、アレルギー性皮膚炎 | じん麻疹(全身性そう痒症等)、アレルギー反応、血管浮腫 | |
その他 | 挫傷 | 創傷出血、処置後出血、無力症、末梢性浮腫、食欲減退、疲労 | 限局性浮腫、倦怠感、創部分泌、発熱、硬膜下血腫 | |
13.1 症状
13.2 処置
吸収を抑えるために活性炭投与を考慮すること。出血が認められる場合は、以下の処置を行うこと。
・症例ごとの出血の重症度及び部位に応じた出血に対する処置を講じること。
・機械的圧迫(高度の鼻出血等)、出血管理のための外科的止血、補液及び血行動態の管理、血液製剤(合併する貧血又は凝固障害に応じて濃厚赤血球輸血、新鮮凍結血漿輸注を行う)又は血小板輸血等の適切な対症療法の開始を考慮すること。
タンパク結合率が高いので、血液透析は本剤の除去には有用でないと考えられる。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
14.1.3 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において実施された3抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2グリコプロテインI抗体)のいずれもが陽性で、血栓症の既往がある抗リン脂質抗体症候群患者を対象とした本剤とワルファリンの非盲検無作為化試験において、血栓塞栓性イベントの再発が、ワルファリン群61例では認められなかったのに対し、本剤群では59例中7例に認められた
7)。
15.1.2 適応外であるが、海外において実施された経カテーテル的大動脈弁置換術後1〜7日後の患者を対象に本剤または抗血小板薬による治療を比較した試験において、抗血小板薬群に比較して本剤群で死亡及び血栓塞栓事象が多く認められたとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人若年健康成人男子32例にリバーロキサバン5、10、20又は40mg
注)を空腹時に単回経口投与した際、血漿中未変化体濃度は投与後0.5〜4時間に最高血漿中濃度(Cmax)に達した。リバーロキサバンの1回用量の範囲において、投与量に応じた曝露量の増加が認められた
8)。[
13.2参照]
投与量 | AUC(μg・h/L) | Cmax(μg/L) | tmax※(h) | t1/2(h) |
5mg | 815.5(13.2) | 141.3(14.5) | 1.4(0.5〜2.5) | 5.7(19.8) |
10mg | 1564(24.5) | 226.9(18.7) | 1.4(0.5〜4.0) | 7.1(35.3) |
20mg | 2777(26.9) | 341.7(29.6) | 3.3(0.5〜4.0) | 8.9(50.9) |
40mg | 3051(21.3) | 329.4(26.1) | 1.4(0.5〜2.0) | 12.6(40.0) |
16.1.2 反復投与
日本人高齢男女36例に、リバーロキサバン10、15又は20mg
注)を1日1回7日間食後に反復経口投与した際、初回投与時と比較し薬物動態特性に大きな変動はなく、蓄積性も認められなかった
9)。[
13.2参照]
投与量 | 測定日 | AUC(0-24)(μg・h/L) | Cmax(μg/L) | tmax※(h) | t1/2(h) |
10mg | 1日目 | 1443(21.0) | 232.6(18.7) | 3.0(1.0〜4.0) | 5.7(18.2) |
7日目 | 1533(14.9) | 246.9(10.6) | 3.0(1.5〜4.0) | 7.7(41.2) |
15mg | 1日目 | 2080(26.7) | 347.6(23.0) | 4.0(1.0〜4.0) | 6.3(35.1) |
7日目 | 2243(21.1) | 330.6(20.8) | 3.5(0.5〜4.0) | 8.7(26.9) |
20mg | 1日目 | 2419(24.6) | 391.2(21.2) | 2.5(2.0〜4.0) | 6.1(20.8) |
7日目 | 2839(20.9) | 398.5(24.8) | 3.0(1.5〜4.0) | 7.7(23.6) |
16.1.3 生物学的同等性試験
<リバーロキサバンOD錠10mg「TCK」>
リバーロキサバンOD錠10mg「TCK」とイグザレルト錠10mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(リバーロキサバン10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
10)。
(1)水なし投与(標準製剤は水あり投与)
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0-36h(ng・h/mL) | Cmax(ng/mL) | tmax(h) | t1/2(h) |
リバーロキサバンOD錠10mg「TCK」 | 1661.49±383.45 | 234.45±60.32 | 2.69±1.01 | 6.92±1.68 |
イグザレルト錠10mg | 1633.94±395.18 | 226.55±62.85 | 2.45±1.32 | 6.86±1.66 |
(2)水あり投与
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0-48h(ng・h/mL) | Cmax(ng/mL) | tmax(h) | t1/2(h) |
リバーロキサバンOD錠10mg「TCK」 | 1629.69±412.93 | 199.67±59.93 | 2.19±1.19 | 8.07±2.52 |
イグザレルト錠10mg | 1618.69±295.25 | 207.98±45.86 | 2.03±1.00 | 7.44±1.75 |
<リバーロキサバンOD錠15mg「TCK」>
リバーロキサバンOD錠15mg「TCK」とイグザレルト錠15mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(リバーロキサバン15mg)健康成人男子に食後単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
11)。
(1)水なし投与(標準製剤は水あり投与)
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0-36h(ng・h/mL) | Cmax(ng/mL) | tmax(h) | t1/2(h) |
リバーロキサバンOD錠15mg「TCK」 | 2129.84±429.35 | 294.79±76.46 | 4.72±1.28 | 5.53±1.12 |
イグザレルト錠15mg | 2146.11±408.29 | 305.65±52.76 | 3.18±1.16 | 5.57±1.30 |
(2)水あり投与
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0-36h(ng・h/mL) | Cmax(ng/mL) | tmax(h) | t1/2(h) |
リバーロキサバンOD錠15mg「TCK」 | 2068.48±516.87 | 278.15±56.81 | 3.74±0.49 | 5.15±0.81 |
イグザレルト錠15mg | 2047.87±520.71 | 283.36±59.69 | 3.07±1.06 | 5.46±1.31 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
リバーロキサバン5mg及び20mg
注)を空腹時に経口投与した際、絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ112%及び66%であった
12)(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
(1)リバーロキサバン20mg
注)を食後に投与した際、AUCは空腹時投与した際と比較し39%増加した
13)(外国人データ)。
(2)日本人若年健康成人男子11例に、リバーロキサバン15mgを空腹時及び食後に単回経口投与した際、食後投与時にはtmaxの遅延が認められたが、AUC、Cmaxに影響は認められなかった
14)。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
リバーロキサバンを静脈内投与した際、分布容積(Vss)は約50Lであった
15)(外国人データ)。
16.3.2 タンパク結合率
In vitro試験において、リバーロキサバンは血漿タンパクと高い結合能を示し、ヒト血漿タンパク結合率は約92〜95%であった。主にアルブミンに結合する
16)。
16.4 代謝
リバーロキサバンは主にCYP3A4及びCYP2J2による代謝経路により代謝され、主要な代謝物はモルホリノン環の酸化分解体及びアミド結合の加水分解体である。
In vitro試験において、リバーロキサバンが輸送タンパクであるP-糖タンパク(P-gp)及び乳癌耐性タンパク(BCRP)の基質であることが示されている
17)。[
10.参照]
16.5 排泄
リバーロキサバンを静脈内投与した際、全身クリアランスは約10L/hであり、投与量の42%が未変化体のまま腎排泄された
15)。健康成人男子4例に[
14C]リバーロキサバン10mgを単回経口投与した際、投与量の約2/3は不活性代謝物として尿中及び糞中に排泄され、残りの約1/3が未変化体のまま腎排泄された
18)19)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎障害患者
軽度(クレアチニンクリアランス(CLcr):50〜79mL/min)、中等度(CLcr:30〜49mL/min)及び重度(CLcr:15〜29mL/min)の腎障害のある患者各8例にリバーロキサバン10mgを空腹時単回経口投与した場合、健康被験者と比較しAUCはそれぞれ1.4、1.5及び1.6倍に上昇した。第Xa因子活性阻害率は1.5、1.9及び2.0倍に増加し、プロトロンビン時間(PT(秒))も1.3、2.2及び2.4倍延長した。CLcrが15mL/min未満の患者における検討は実施していない
20)(外国人データ)。[
2.11、
7.1、
7.2、
9.2.1-
9.2.3参照]
16.6.2 肝障害患者
軽度の肝障害のある肝硬変患者(Child-Pugh分類A 8例)では、リバーロキサバン10mgを投与した際の薬物動態は健康被験者と比較してほぼ同様であり(AUCは1.2倍上昇)、薬力学的効果に差は認められなかった。中等度の肝障害のある肝硬変患者(Child-Pugh分類B 8例)では健康被験者と比較してAUCが2.3倍上昇した。なお、非結合型のAUCは2.6倍上昇した。第Xa因子活性阻害率は2.6倍増加し、PT(秒)も2.1倍延長した
21)。Child-Pugh分類Cの患者における検討は実施していない(外国人データ)。[
2.4、
9.3.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 リトナビル
健康成人男子12例にリトナビル600mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは2.5倍、Cmaxは1.6倍上昇し抗凝固作用が増強された
22)(外国人データ)。[
2.6、
10.1参照]
16.7.2 ケトコナゾール・フルコナゾール
健康成人男子20例にケトコナゾール400mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは2.6倍、Cmaxは1.7倍上昇し抗凝固作用が増強された
22)(外国人データ)。[
2.8、
10.1参照]
健康成人男子13例にフルコナゾール400mgとリバーロキサバン20mg
注)を併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは1.4倍、Cmaxは1.3倍上昇した
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.3 クラリスロマイシン・エリスロマイシン
健康成人男子15例にクラリスロマイシン500mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは1.5倍、Cmaxは1.4倍上昇した
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
健康成人男子15例にエリスロマイシン500mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUC及びCmaxともに1.3倍上昇した
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.4 リファンピシン
健康成人男子18例にリファンピシン(開始用量150mgより600mgまで漸増)とリバーロキサバン20mg
注)を併用投与した際、リバーロキサバンのAUCが約50%低下し、それに伴い抗凝固作用も減弱した
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.5 エノキサパリン
健康成人男子10例にエノキサパリン4000IUとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態に影響はなかった。抗第Xa因子活性は相加的に増加したが、PT及びaPTTには影響は認められなかった
22)23)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.6 アスピリン
健康成人男子13例にアスピリン500mgを投与した翌日にアスピリン100mgとリバーロキサバン15mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態及び抗凝固作用に影響は認められなかった
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.7 クロピドグレル
健康成人男子11例にクロピドグレル300mgを投与した翌日にクロピドグレル75mgとリバーロキサバン15mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態に影響は認められなかった。別の試験において一部の被験者に出血時間の延長が認められたとの報告がある
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.8 ナプロキセン
健康成人男子11例にナプロキセン500mg1日1回反復投与時にリバーロキサバン15mgを併用投与した際、出血時間の延長は認められなかったが、一部の被験者において抗凝固作用の増強が認められた
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.9 ワルファリン
日本人健康成人男子12例(
VKORC1遺伝子1639位のAアレルがホモ接合体を有している被験者)にワルファリンを反復投与し、PT-INRが2.0〜3.0に到達した後に、リバーロキサバン15mgを1日1回反復投与に切り替えた際、aPTT、第Xa因子活性阻害及び内在性トロンビン産生能(ETP)への影響は相加的であったが、PT及びPT-INRのピーク値はリバーロキサバン単独投与時と比較しそれぞれ2.3倍及び2.9倍になった。リバーロキサバン投与開始後3日目には、ワルファリンの影響は消失した。なお、薬物動態に相互作用は認められなかった
22)24)。[
8.6、
10.2参照]
16.7.10 その他の薬剤
ミダゾラム、ジゴキシン及びアトルバスタチンとリバーロキサバンの併用による薬物相互作用試験を実施したが、薬物動態学的相互作用は認められず、制酸剤(水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤)、ラニチジン及びオメプラゾールは、リバーロキサバンの薬物動態に影響を及ぼさなかった
22)(外国人データ)。
注)本剤の承認用法・用量は、15mg1日1回投与である。なお、腎機能の程度に応じて減量する場合は、10mg1日1回投与である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
非弁膜症性心房細動患者を対象に、リバーロキサバン
注1)と用量調節ワルファリンの有効性及び安全性を比較検討する多施設共同、無作為化、ダブルダミー法による、二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験(J-ROCKET AF試験)を実施した。
非弁膜症性心房細動患者1278例(安全性解析対象例数)に対してリバーロキサバン15mg(CLcr:30〜49mL/minの患者には10mg)1日1回(QD)又はワルファリンカリウム(目標PT-INR:70歳未満は2.0〜3.0、70歳以上は1.6〜2.6)が夕食後に投与された。平均投与期間はリバーロキサバン群498.9日、ワルファリン群481.1日であった。有効性主要評価項目はリバーロキサバン群637例中11例、ワルファリン群637例中22例に認められ、年間イベント発現率はそれぞれ1.26及び2.61(/100患者年)であった(ハザード比(HR):0.49、95%信頼区間(CI):0.24〜1.00、per protocol解析対象集団、治験薬投与下)。
エンドポイント | リバーロキサバン (N=639) n(/100患者年) | ワルファリン (N=639) n(/100患者年) | ハザード比 (95%信頼区間) |
有効性主要評価項目※1 | 11(1.26) | 22(2.60) | 0.48 (0.23〜1.00) |
有効性副次的評価項目1※2 | 16(1.83) | 24(2.84) | 0.65 (0.34〜1.22) |
有効性副次的評価項目2※3 | 19(2.17) | 25(2.96) | 0.74 (0.41〜1.34) |
脳卒中 | 10(1.14) | 21(2.48) | 0.46 (0.22〜0.98) |
| 虚血性脳卒中 | 7(0.80) | 17(2.01) | 0.40 (0.17〜0.96) |
| 出血性脳卒中 | 3(0.34) | 4(0.47) | 0.73 (0.16〜3.25) |
非中枢神経系塞栓症 | 1(0.11) | 1(0.12) | 0.99 (0.06〜15.8) |
心筋梗塞 | 3(0.34) | 1(0.12) | 2.92 (0.30〜28.1) |
心血管死 | 6(0.68) | 2(0.24) | 2.96 (0.60〜14.7) |
安全性主要評価項目の年間イベント発現率はそれぞれ18.04及び16.42(/100患者年)であり、リバーロキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証された(HR:1.11、95%CI:0.87〜1.42、非劣性の許容限界値:HR2.0)
25)。
エンドポイント | リバーロキサバン (N=639) n(/100患者年) | ワルファリン (N=639) n(/100患者年) | ハザード比 (95%信頼区間) |
安全性主要評価項目※ | 138(18.04) | 124(16.42) | 1.11 (0.87〜1.42) |
重大な出血 | 26(3.00) | 30(3.59) | 0.85 (0.50〜1.43) |
重大ではないが臨床的に問題となる出血 | 119(15.42) | 99(12.99) | 1.20 (0.92〜1.56) |
副作用(臨床検査値異常を含む)は639例中326例(51.0%)に認められ、主な副作用は、鼻出血88例(13.8%)、皮下出血50例(7.8%)、歯肉出血40例(6.3%)、血尿24例(3.8%)、結膜出血23例(3.6%)、尿中血陽性18例(2.8%)、貧血17例(2.7%)、創傷出血15例(2.3%)、喀血14例(2.2%)、口腔内出血12例(1.9%)、痔出血11例(1.7%)、便潜血陽性9例(1.4%)、網膜出血7例(1.1%)、メレナ7例(1.1%)、便潜血7例(1.1%)、出血7例(1.1%)等であった。
17.1.2 海外第III相試験
非弁膜症性心房細動患者を対象に、リバーロキサバン
注1)と用量調節ワルファリンの有効性及び安全性を比較検討する多施設共同、無作為化、ダブルダミー法による、二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験(ROCKET AF試験)を実施した。
非弁膜症性心房細動患者14236例(安全性解析対象例数)に対してリバーロキサバン20mg(CLcr:30〜49mL/minの患者には15mg)QD
注2)又はワルファリンナトリウム(PT-INR:2.0〜3.0)が夕食後に投与された。平均投与期間はリバーロキサバン群572.2日、ワルファリン群579.9日であった。有効性主要評価項目はリバーロキサバン群6958例中188例、ワルファリン群7004例中241例に認められ、年間イベント発現率はそれぞれ1.71及び2.16(/100患者年)であり、リバーロキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証された(HR:0.79、95%CI:0.66〜0.96、非劣性の許容限界値:HR1.46、per protocol解析対象集団、治験薬投与下)。
エンドポイント | リバーロキサバン (N=7061) n(/100患者年) | ワルファリン (N=7082) n(/100患者年) | ハザード比 (95%信頼区間) |
有効性主要評価項目※1 | 189(1.70) | 243(2.15) | 0.79 (0.65〜0.95) |
有効性副次的評価項目1※2 | 346(3.11) | 410(3.63) | 0.86 (0.74〜0.99) |
有効性副次的評価項目2※3 | 433(3.91) | 519(4.62) | 0.85 (0.74〜0.96) |
脳卒中 | 184(1.65) | 221(1.96) | 0.85 (0.70〜1.03) |
| 虚血性脳卒中 | 149(1.34) | 161(1.42) | 0.94 (0.75〜1.17) |
| 出血性脳卒中 | 29(0.26) | 50(0.44) | 0.59 (0.37〜0.93) |
非中枢神経系塞栓症 | 5(0.04) | 22(0.19) | 0.23 (0.09〜0.61) |
心筋梗塞 | 101(0.91) | 126(1.12) | 0.81 (0.63〜1.06) |
心血管死 | 170(1.53) | 193(1.71) | 0.89 (0.73〜1.10) |
安全性に関しては、以下の成績が得られた
26)。
エンドポイント | リバーロキサバン (N=7111) n(/100患者年) | ワルファリン (N=7125) n(/100患者年) | ハザード比 (95%信頼区間) |
安全性主要評価項目※ | 1475(14.91) | 1449(14.52) | 1.03 (0.96〜1.11) |
重大な出血 | 395(3.60) | 386(3.45) | 1.04 (0.90〜1.20) |
重大ではないが臨床的に問題となる出血 | 1185(11.80) | 1151(11.37) | 1.04 (0.96〜1.13) |
副作用(臨床検査値異常を含む)は7111例中2096例(29.5%)に認められ、主な副作用は、鼻出血537例(7.6%)、歯肉出血196例(2.8%)、血尿195例(2.7%)、血腫124例(1.7%)、斑状出血117例(1.6%)、挫傷94例(1.3%)、貧血92例(1.3%)、直腸出血89例(1.3%)、胃腸出血81例(1.1%)、結膜出血77例(1.1%)等であった。
注1)リバーロキサバン錠
注2)本剤の承認用法・用量は、15mg1日1回投与である。なお、腎機能の程度に応じて減量する場合は、10mg1日1回投与である。