1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがある。また、血球貪食性リンパ組織球症があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[
7.2、
8.1、
8.4、
11.1.1参照]
1.3 重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[
8.2、
8.3、
11.1.2参照]
5.1 本剤による治療は、抗CD20モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも2つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。[
17.1.1、
17.1.2参照]
5.2 十分な経験を有する病理医により、Grade1〜3Aと診断された患者に投与すること。[
17.1.1、
17.1.2参照]
通常、成人にはモスネツズマブ(遺伝子組換え)として、21日間を1サイクルとし、1サイクル目は1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に60mg、2サイクル目は1日目に60mg、3サイクル目以降は1日目に30mgを8サイクルまで点滴静注する。8サイクル終了時に、完全奏効が得られた患者は投与を終了し、また、病勢安定又は部分奏効が得られた患者は、計17サイクルまで投与を継続する。
7.1 本剤投与による腫瘍崩壊症候群を予防するため、本剤投与時は水分補給を十分に行うこと。[
8.7、
11.1.5参照]
7.2 本剤投与によるサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、1サイクル目(1、8及び15日目)及び2サイクル目については、本剤投与の60分前に、副腎皮質ホルモン剤を前投与すること。3サイクル目以降は、本剤の前回投与後にサイトカイン放出症候群があらわれた患者には、サイトカイン放出症候群があらわれなくなるまで、副腎皮質ホルモン剤を前投与すること。また、サイクルによらず、本剤投与の30〜60分前に、必要に応じて解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤を前投与すること。[
1.2、
8.1、
11.1.1参照]
7.3 本剤の投与速度は以下のとおりとする。ただし、患者の状態により投与速度は適宜減速すること。
| 投与時期 | 投与速度 |
| 1サイクル目 | 1日目 | 4時間以上かけて投与すること。 |
| 8日目 |
| 15日目 |
| 2サイクル目以降 | 1日目 | 1サイクル目の忍容性が良好だった場合、投与時間を2時間まで短縮することができる。 |
7.4 本剤投与により以下の副作用が発現した場合には、症状、重症度等に応じて、以下の基準を目安に、本剤の投与中断等を考慮すること。
| 副作用 | 程度注) | 発現時の対応 | 次回の投与 |
| サイトカイン放出症候群 | Grade1 | 投与を中断し、適切な処置を行うこと。症状が回復した場合は、中断時の投与速度で投与を再開することができる。投与再開後に症状が再発した場合は、投与を中断し、再開しないこと。 | 症状が回復してから72時間以上経過していることを確認し、投与すること。 |
| Grade2 | 投与を中断し、適切な処置を行うこと。症状が回復した場合は、中断時の半分以下の投与速度で投与を再開することができる。投与再開後に症状が再発した場合は、投与を中断し、再開しないこと。 | 症状が回復してから72時間以上経過していることを確認し、投与すること。前回投与時の半分以下の投与速度とすることを検討する。 |
| Grade3 | 投与を中断し、適切な処置を行うこと。再開はしないこと。 | 症状が回復してから72時間以上経過していることを確認し、投与すること。前回投与時の半分以下の投与速度とし、入院にて行うことを検討する。 |
| Grade3(再発) | 本剤の投与を中止すること。 |
| Grade4 |
| 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群 | Grade2 | 投与を中断し、適切な処置を行うこと。Grade1まで回復した場合は、回復から72時間以上経過していることを確認し、投与を再開することができる。 | 症状が回復してから72時間以上経過していることを確認し、投与すること。 |
| Grade3 | 症状が回復してから72時間以上経過していることを確認し、投与すること。Grade3の症状が7日を超えて継続する場合は、本剤の投与中止を検討すること。 |
| Grade3(再発) | 本剤の投与を中止すること。 |
| Grade4 |
| 血小板減少 | 50,000/mm3未満 | 50,000/mm3以上になるまで休薬する。 |
| 好中球減少 | 1,000/mm3未満 | 1,000/mm3以上になるまで休薬する。 |
7.5 本剤投与延期後の再開時の投与方法に関しては、サイトカイン放出症候群を予防するために、以下のとおりとすること。
| 前回投与日・投与量 | 前回投与日からの期間注1) | 投与方法 |
| 1サイクル目 | 1日目 1mg | 2週間以上 | 1サイクル目1日目として、1mgで投与を再開すること。 |
8日目 2mg | 2週間以上6週間未満 | 1サイクル目8日目として、2mgで投与を再開すること。 |
| 6週間以上 | 1サイクル目として、1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に60mgで投与を再開すること。 |
15日目 60mg | 6週間以上 | 2サイクル目として、1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に60mgで投与を再開すること。3サイクル目以降は、1日目に30mgを投与すること。 |
2サイクル目 60mg | 6週間以上 | 3サイクル目として、1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に30mgで投与を再開すること注2)。4サイクル目以降は、1日目に30mgを投与すること。 |
3サイクル目以降 30mg | 6週間以上 | 1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に30mgで投与を再開し注2)、その後は1日目に30mgを投与すること。 |
7.6 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
8.1 サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[
1.2、
7.2、
11.1.1参照]
8.1.1 サイトカイン放出症候群に対する前投与等の予防的措置を行うこと。
8.1.2 本剤の投与中は、発熱、悪寒、低血圧、頻脈、低酸素症、頭痛等について、観察を十分に行うこと。
8.1.3 サイトカイン放出症候群は投与初期に多く認められることから、1サイクル目の各投与後には患者の状態に応じて入院管理を検討すること。ただし、少なくとも初回の60mg投与開始後48時間は必ず入院管理とすること。
8.1.4 サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.1.5 緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。
8.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、書字障害、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等の徴候及び症状を十分に観察すること。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[
1.3、
11.1.2参照]
8.3 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)として意識レベルの変化、痙攣発作等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。[
1.3、
11.1.2参照]
8.4 血球貪食性リンパ組織球症があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、発熱、肝腫大及び血球減少等の徴候及び症状を十分に観察すること。[
1.2、
11.1.1参照]
8.5 感染症(日和見感染症を含む)が発現又は悪化することがあるので、本剤投与前に適切な予防措置を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分に注意すること。[
9.1.1、
11.1.3参照]
8.6 腫瘍フレアがあらわれることがあるので、病変部位でのリンパ節腫脹等の発現に十分に注意すること。[
11.1.4参照]
8.7 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[
7.1、
11.1.5参照]
8.8 血球減少があらわれることがあるので、治療開始前及び治療期間中は、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[
11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[
9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。本剤は母体のT細胞活性化及びサイトカイン放出を引き起こすことにより妊娠維持を妨げる可能性がある。また、ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られている。[
9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトでの乳汁中移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 サイトカイン放出症候群(45.9%)
異常が認められた場合は、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与を中断又は中止し、副腎皮質ホルモン剤、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与等の適切な処置を行うこと。また、サイトカイン放出症候群の症状が非定型的又は持続的である場合は、血球貪食性リンパ組織球症を考慮すること。血球貪食性リンパ組織球症があらわれることがあり、死亡に至った例が報告されている。血球貪食性リンパ組織球症が認められた場合は本剤の投与を中断又は中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[
1.2、
7.2、
8.1、
8.4参照]
11.1.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(0.9%)、神経毒性(頻度不明)、脳症(頻度不明)等があらわれることがある。異常が認められた場合は、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与を中断又は中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[
1.3、
8.2、
8.3参照]
11.1.3 感染症
肺炎(2.8%)、菌血症(頻度不明)、敗血症性ショック(0.9%)等、日和見感染を含む感染症があらわれることがある。[
8.5、
9.1.1参照]
11.1.4 腫瘍フレア(1.8%)
胸水貯留、病変部位での局所的な痛みや腫脹、腫瘍の炎症等を含む腫瘍フレアがあらわれることがある。[
8.6参照]
11.1.5 腫瘍崩壊症候群(0.9%)
異常が認められた場合は本剤の投与を中断又は中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[
7.1、
8.7参照]
11.1.6 血球減少
好中球減少(23.9%)、血小板減少(4.6%)、貧血(4.6%)、発熱性好中球減少症(頻度不明)等があらわれることがある。[
8.8参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 10%以上 | 3%以上10%未満 | 3%未満 |
| 皮膚 | 発疹(25.7%)、そう痒症 | 紅斑、皮膚乾燥、皮膚剥脱、多汗症 | 蕁麻疹、潮紅 |
| 肝臓 | アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 | アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 | 肝機能異常、血中ビリルビン増加 |
| 消化器 | 悪心 | 下痢 | 口内炎、腹痛 |
| 呼吸器 | | 咳嗽、呼吸困難 | |
| 精神神経系 | 頭痛 | 末梢性ニューロパチー、浮動性めまい | 錯乱状態、不眠症 |
| 代謝 | 低リン血症 | 低カリウム血症、低マグネシウム血症 | 食欲減退 |
| その他 | 発熱、疲労 | 悪寒、関節痛、筋骨格痛、浮腫、infusion reaction | 腫脹 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤の投与時にはバイアルから必要量を抜き取り、日局生理食塩液で希釈して以下の総液量とすること。希釈液として日局生理食塩液以外は使用しないこと。
| 投与時期 | 投与量 | 抜き取り量 | 希釈後の総液量 |
| 1サイクル目 | 1日目 | 1mg | 1mL | 50mL又は100mL |
| 8日目 | 2mg | 2mL | 50mL又は100mL |
| 15日目 | 60mg | 60mL | 250mL |
| 2サイクル目 | 60mg | 60mL | 250mL |
| 3サイクル目以降 | 30mg | 30mL | 100mL又は250mL |
14.1.2 調製時は静かに転倒混和すること。変色、くもり又は粒子が溶液に認められた場合は使用しないこと。
14.1.3 用時調製し、調製後は速やかに使用すること。
14.1.4 やむを得ず、調製後速やかに使用せず希釈液を保存する場合は、2〜8℃で保存し、24時間以内に使用すること。残液は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 他剤との混注をしないこと。
14.2.2 インラインフィルターを使用しないこと。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
再発又は難治性の非ホジキンリンパ腫患者に本剤0.2〜2.8mgを静脈内投与したとき(初回投与時)
注1)のモスネツズマブの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった
3)(外国人データ)。
単回投与時のモスネツズマブの血清中濃度推移(平均値±標準偏差、外国人データ)
単回投与時のモスネツズマブの薬物動態パラメータ(外国人データ)
| 用量注1)(mg) | 例数 | Tmax(day) | Cmax(μg/mL) | AUC0-21(μg・day/mL) |
| 0.2 | 1 | 0.319 | 0.0323 | 0.0604 |
| 0.4 | 3 | 0.192(0.181-0.200) | 0.109±0.0440 | 0.447±0.0964 |
| 0.8 | 4 | 0.177(0.169-0.181) | 0.171±0.0396 | 0.818±0.329 |
| 1.2 | 7 | 0.174(0.169-0.178) | 0.385±0.343 | 1.85±2.18 |
| 1.6 | 6 | 0.180(0.170-0.246) | 0.258±0.114 | 1.04±0.586 |
| 2.0 | 3 | 1.08(0.172-1.11) | 0.282±0.141 | 1.56±0.602 |
| 2.8 | 8 | 0.217(0.168-0.441) | 0.402±0.210 | 1.99±0.913 |
16.1.2 反復投与
21日間を1サイクルとし、日本人の再発又は難治性の非ホジキンリンパ腫患者に本剤を1サイクル目は1日目に0.4〜1.0mg、8日目に1.0〜2.0mg、15日目に2.8〜60mg、2サイクル目は1日目に2.8〜60mg、3サイクル目以降は1日目に2.8〜30mg静脈内投与したとき
注1)のモスネツズマブの血清中濃度推移及び1サイクル目の21日間の薬物動態パラメータは以下のとおりであった
4)。
また、母集団薬物動態解析に基づき、定常状態における終末相の半減期は16.1日と推定された
5)(外国人データ)。
反復投与時のモスネツズマブの血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
反復投与時(1サイクル目の21日間)のモスネツズマブの薬物動態パラメータ
| 用量注1)注2)(mg) | 例数 | Tmax(day) | Cmax(μg/mL) | AUC0-21(μg・day/mL) |
| 0.4/1.0/2.8 | 3 | 14.3(14.3-16.2) | 0.898±0.203 | 4.37±0.399 |
| 0.8/2.0/6.0 | 3注3) | 14.2(14.2-14.2) | 1.87±0.287 | 7.78 |
| 1.0/2.0/13.5 | 3 | 14.2(14.2-14.3) | 3.88±1.16 | 15.0±3.97 |
| 1.0/2.0/27.0 | 5 | 14.2(14.2-14.2) | 10.3±2.41 | 33.4±8.42 |
| 1.0/2.0/60.0/30.0 | 3 | 14.3(14.2-15.2) | 23.9±5.33 | 72.8±18.0 |
注1)本剤の承認された用法及び用量は以下のとおりである。
通常、成人にはモスネツズマブ(遺伝子組換え)として、21日間を1サイクルとし、1サイクル目は1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に60mg、2サイクル目は1日目に60mg、3サイクル目以降は1日目に30mgを8サイクルまで点滴静注する。8サイクル終了時に、完全奏効が得られた患者は投与を終了し、また、病勢安定又は部分奏効が得られた患者は、計17サイクルまで投与を継続する。
注2)用量については、1サイクル目の1日目/1サイクル目の8日目/1サイクル目の15日目及び2サイクル目以降の1日目の用量を示す。ただし、1.0/2.0/60.0/30.0mgは1サイクル目の1日目/1サイクル目の8日目/1サイクル目の15日目及び2サイクル目の1日目/3サイクル目以降の1日目の用量を示す。
注3)AUC0-21については、1例の個別値を示す。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ミダゾラム
生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーションにおいて、本剤の併用によりミダゾラム(CYP3A基質)の血中濃度が上昇する可能性が示唆された
6)。[
10.2参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第I/II相試験(GO29781試験、用量拡大コホート[B11 FL RP2Dコホート])
再発又は難治性の濾胞性リンパ腫患者90例
注1)を対象に、本剤の単剤投与
注2)の有効性及び安全性を検討した。
主要評価項目である独立評価機関評価による完全奏効割合は57.8%(95%信頼区間
注3):46.9、68.1)であった(2021年3月15日データカットオフ)。
本剤を投与された90例中83例(92.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群45.6%(41/90例)、発熱18.9%(17/90例)、疲労17.8%(16/90例)、そう痒症16.7%(15/90例)、好中球減少及び低リン血症15.6%(14/90例)であった
7)。[
5.1、
5.2参照]
独立評価機関評価による最良総合効果(2021年3月15日データカットオフ)
8)
コホート 患者数 | B11 FL RP2D 90例 |
完全奏効 (完全奏効割合[95%信頼区間注3)]) | 52例 (57.8%[46.9,68.1]) |
| 部分奏効 | 19例(21.1%) |
| 病勢安定 | 8例(8.9%) |
| 病勢進行 | 9例(10.0%) |
| 測定不能 | 0 |
| 欠測又は未実施 | 2例(2.2%) |
17.1.2 国内第I相試験(JO40295試験、拡大コホート[FLMOON-1試験])
再発又は難治性の濾胞性リンパ腫患者19例
注1)を対象に、本剤の単剤投与
注2)の有効性及び安全性を検討した。
主要評価項目である独立評価機関評価による完全奏効割合は68.4%(90%信頼区間
注3):47.0、85.3)であった(2023年10月13日データカットオフ)。
本剤を投与された19例中18例(94.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、リンパ球数減少68.4%(13/19例)、サイトカイン放出症候群47.4%(9/19例)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加31.6%(6/19例)、好中球数減少及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 各26.3%(5/19例)、注入に伴う反応21.1%(4/19例)であった
9)。[
5.1、
5.2参照]
独立評価機関評価による最良総合効果(2023年10月13日データカットオフ)
コホート 患者数 | 拡大コホート 19例 |
完全奏効 (完全奏効割合[90%信頼区間注3)]) | 13例 (68.4%[47.0,85.3]) |
| 部分奏効 | 2例(10.5%) |
| 病勢安定 | 0 |
| 病勢進行 | 2例(10.5%) |
| 測定不能 | 0 |
| 欠測又は未実施 | 2例(10.5%) |
注1)抗CD20モノクローナル抗体製剤を含む2レジメン以上の全身性リンパ腫治療による治療歴を有する患者。なお、組織学的にCD20陽性でGrade1-3Aの濾胞性リンパ腫であることが確認されていることが組入要件であった。
注2)21日間を1サイクルとし、1サイクル目は1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に60mg、2サイクル目は1日目に60mg、3サイクル目以降は1日目に30mgを静脈内投与した。サイクル8時点で完全奏効が得られた患者は投与を終了した。サイクル8時点で病勢安定又は部分奏効が得られた患者は、許容できない毒性又は病勢進行が認められない場合、最大でサイクル17まで投与を継続した。
注3)Clopper-Pearson法により算出。
21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、サイトカイン放出症候群の管理等の適切な対応がなされる体制下で本剤が投与されるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。