遺伝学的に
SOD1遺伝子変異を有するALSと診断された患者を対象として、28週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した(本剤群72例[うち日本人3例]、プラセボ群36例[うち日本人4例])。本剤100mg又はプラセボを1〜3分かけて、初回、2週後、4週後に髄腔内投与し、以降4週間間隔で5回髄腔内投与した。主要評価項目である、疾患進行が急速な被験者群(60例、mITT集団
注1))における投与28週後の筋萎縮性側索硬化症機能評価尺度改訂版(ALSFRS-R)の合計スコアのベースラインからの変化量は表17-1のとおりであり、本剤群でプラセボ群と比較してベースラインからのALSFRS-R合計スコアの低下が小さい傾向にあったが、統計学的に有意な差は認められなかった。また、疾患進行が急速な定義に該当しない被験者群(non-mITT集団
注2))の成績は表17-1のとおりであった。
表17-1 投与28週時のALSFRS-R合計スコアのベースラインからの変化量(mITT集団、non-mITT集団)
解析対象集団 | 投与群 | 評価例数 | ベースライン値 | ベースラインからの変化量a) | 群間差[95%信頼区間]b) | p値c) |
mITT集団 | プラセボ群 | 21 | 35.4±5.66 | −8.1±1.79 | 1.2[−3.19,5.53] | 0.9689 |
本剤群 | 39 | 36.0±6.40 | −7.0±1.42 |
non-mITT集団 | プラセボ群 | 15 | 39.9±5.09 | −2.73±1.10 | 1.4[−1.1,3.9] | − |
本剤群 | 33 | 38.1±5.13 | −1.33±0.80 |
副作用は、本剤群で28例(38.9%)に認められた。本剤群に発現した主な副作用(本剤群でプラセボ群より発現率が5%以上高い)は、頭痛(8.3%)、四肢痛(6.9%)、筋肉痛(6.9%)、処置による疼痛(5.6%)であった。
注1)[1]無作為前のALSFRS-R合計スコアの低下の傾きが0.9/月以上、又は[2]特定のSOD1遺伝子変異型(p.Ala5Val、p.Ala5Thr、p.Leu39Val、p.Gly42Ser、p.His44Arg、p.Leu85Val、p.Gly94Ala、p.Leu107Val、p.Val149Gly)を有し、無作為化前のALSFRS-R合計スコアの低下の傾きが0.2/月以上
注2)上記[2]以外のSOD1遺伝子変異を有し、無作為化前のALSFRS-R合計スコアの低下の傾きが0.9/月未満
試験1に参加した被験者108例のうち被験者95例(うち日本人7例)が非盲検長期継続投与試験(試験2)に移行し、本剤100mgを4週間間隔で1〜3分かけて髄腔内投与した。試験1で治験薬が1回以上投与された被験者群(ITT集団)108例を対象とした、試験1及び試験2の統合解析(中間解析)における、投与開始遅延群(試験1でプラセボが投与され試験2で本剤の投与が開始された被験者群)及び早期開始群(試験1で本剤の投与が開始され、試験2で本剤投与を継続した被験者群)のALSFRS-R合計スコア変化量の推移は表17-2のとおりであった。
表17-2 試験1及び試験2の併合解析データにおけるALSFRS-R合計スコアのベースライン時点からの変化量
| プラセボ群/投与開始遅延群 | 本剤群 | 群間差c) |
ベースライン値a) | 37.3±5.81(36) | 36.9±5.91(72) | − |
ベースラインからの変化量b) |
12週時点 | −1.7±0.68(36) | −1.3±0.54(66) | 0.4[−1.1,1.8] |
28週時点 | −5.5±1.34(33) | −4.0±1.06(63) | 1.5[−1.4,4.4] |
40週時点 | −7.7±1.60(29) | −5.4±1.27(58) | 2.3[−1.2,5.7] |
52週時点 | −7.9±1.77(28) | −5.4±1.41(57) | 2.4[−1.4,6.3] |
64週時点 | −9.0±1.93(22) | −6.5±1.52(55) | 2.5[−1.6,6.6] |
76週時点 | −9.1±2.01(20) | −6.9±1.58(54) | 2.2[−2.1,6.5] |
88週時点 | −9.8±2.25(21) | −7.7±1.75(51) | 2.1[−2.7,6.9] |
104週時点 | −11.0±2.46(20) | −8.6±1.95(49) | 2.3[−2.9,7.6] |
副作用は、本剤が投与された104例中66例(63.5%)に認められた。発現した主な副作用(5%以上)は、CSF蛋白増加(22.1%)、四肢痛(17.3%)、CSF白血球数増加、頭痛(15.4%)、筋肉痛(10.6%)、髄液細胞増加症、処置による疼痛(9.6%)、錯感覚、背部痛(6.7%)であった。