医療用医薬品 : アナエブリ

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医薬品情報


総称名 アナエブリ
一般名 ガラダシマブ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Garadacimab(Genetical Recombination)
製剤名 ガラダシマブ(遺伝子組換え)皮下注
薬効分類名 遺伝性血管性浮腫発作抑制用 活性化第XII因子阻害剤
ヒト抗活性化第XII因子モノクローナル抗体
薬効分類番号 4490
ATCコード B06AC07
KEGG DRUG
D12613 ガラダシマブ
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年4月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アナエブリ皮下注200mgペン Andembry S.C.Injection 200mg Pens CSLベーリング 4490411G1020 3037716円/キット 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制

5. 効能または効果に関連する注意

臨床試験において、侵襲を伴う処置による急性発作の発症抑制に対する有効性及び安全性は検討されていない。

6. 用法及び用量

通常、成人及び12歳以上の小児には、ガラダシマブ(遺伝子組換え)として初回に400mgを皮下投与し、以降は200mgを月1回皮下投与する。

8. 重要な基本的注意

急性発作の治療を目的に本剤を使用しないことを患者又はその家族に十分に説明し、理解を得た上で使用すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤はウサギにおいて胎盤通過が認められている1)。ヒトにおける胎盤通過性は不明であるが、本剤はヒトIgG4モノクローナル抗体であり、ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁への移行は不明であるが、本剤はヒトIgG4モノクローナル抗体であり、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。
9.7 小児等
12歳未満の小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重篤な過敏症(頻度不明)
アナフィラキシー等の重篤な過敏症があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上
一般・全身障害及び投与部位の状態注射部位反応(内出血、紅斑、そう痒感)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意
14.1.1 投与前に冷蔵庫から取り出し、室温に戻しておくこと。
14.1.2 投与前に内容物を目視により確認すること。異物や変色が認められる場合は使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 注射部位は腹部、大腿部又は上腕部とし、投与毎に注射部位を変えること。
14.2.2 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷、発疹、発赤、硬結等)には注射しないこと。
14.2.3 本剤は1回で全量を使用する製剤であり、再使用しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 遺伝性血管性浮腫患者を対象とした第II相試験及び第III相試験において、本剤の投与を受けた172例中5例(2.9%)に抗薬物抗体の発現が認められた。抗薬物抗体の発現が認められた患者は少なく、抗薬物抗体の発現による本剤の薬物動態、有効性及び安全性への影響は明らかではない2)
15.1.2 遺伝性血管性浮腫患者を対象とした第II相試験及び第III相試験において、本剤200mg投与後166例中11例(6.6%)で基準値上限の1.5倍を上回る活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長が認められた。aPTT延長がみられた11例のうち、出血に関連する事象は1例(挫傷)認められたが、当該事象とaPTT延長の発現時期は異なっていた。また、11例のうち、基準値上限の2倍を上回るプロトロンビン時間の延長は3例に認められた。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人(12例)に本剤200mgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)
日本人健康成人(12例)における本剤200mg単回皮下投与時のガラダシマブの薬物動態パラメータ
tmax(h)Cmax(μg/mL)AUC0-last(μg・h/mL)AUC0-inf(μg・h/mL)CL/F(L/h)Vz/F(L)t1/2(h)
169(8.00,171)21.2(17.0)11,300(5,510)11,900(5,840)0.022(0.014)12.5(5.84)424(72.2)
16.1.2 反復投与
国際共同第III相試験において、遺伝性血管性浮腫1型又は2型(C1-INH HAE)患者39例(日本人患者4例を含む)に本剤の初回用量400mgを皮下投与し、以降200mgを月1回皮下投与したときの本剤の血漿中トラフ濃度は以下のとおりであった。定常状態における本剤の血漿中トラフ濃度は概ね一定であった3)
C1-INH HAE患者における本剤反復皮下投与時のガラダシマブの血漿中トラフ濃度
 Day 31Day 61Day 91Day 121Day 151Day 182
例数393939383939
血漿中トラフ濃度(μg/mL)、平均値(標準偏差)10.5(4.00)8.60(3.91)8.39(3.81)8.69(3.93)8.20(4.37)8.09(4.28)
16.1.3 母集団薬物動態解析
母集団薬物動態解析において、本剤の初回用量400mgを皮下投与後、以降200mgを月1回皮下投与したHAE患者の薬物動態パラメータを検討した。定常状態における1投与間隔の血漿中濃度−時間曲線下面積(AUCtau,ss)、定常状態における最高血漿中濃度(Cmax,ss)及び定常状態における最低血漿中濃度(Cmin,ss)の平均値(標準偏差)は、それぞれ9,920(4,470)μg・h/mL、20.5(9.66)μg/mL及び8.94(4.64)μg/mLと推定された。初回用量400mgの皮下投与後に本剤の曝露は定常状態に達した3)
HAE患者における本剤皮下投与後の血漿中最高濃度到達時間は約6日であった3)
HAE患者における本剤の見かけの分布容積の平均値(標準偏差)は、8.36(5.55)Lであった3)
HAE患者における本剤の見かけの全身クリアランスの平均値(標準偏差)は0.0243(0.0122)L/hであり、終末相の消失半減期は約18日であった3)
健康成人及びHAE患者を対象とした母集団薬物動態解析における絶対的アベイラビリティは、0.387(95%信頼区間:0.344,0.431)と推定された3)
16.2 吸収
健康成人において、注射部位(腹部、大腿部、上腕部)は本剤の曝露に影響しなかった4)(外国人データ)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験
成人及び12歳以上の小児の遺伝性血管性浮腫1型又は2型(C1-INH HAE)患者64例(日本人患者6例を含む)を対象とした、多施設共同プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験(本剤群39例、プラセボ群25例)を実施した。本試験は観察期(最長2ヵ月)及び治療期(6ヵ月)で構成され、投与期間は6ヵ月であった。本剤の初回用量400mgを最初の月に皮下投与し、以降200mgを月1回皮下投与した。主要評価項目である治療期6ヵ月間における治験責任医師が確認した月間HAE発作回数注1)は下表のとおりであった。本剤群とプラセボ群との対比較で統計的に有意な差が認められた5)6)
注1)治療期(Day1[本剤の初回投与日]からDay182までの期間)の期間で調整した月当たりのHAE発作回数
治療期6ヵ月における治験責任医師が確認した月間HAE発作回数(有効性解析対象集団)
 本剤群プラセボ群
観察期における月間HAE発作回数(回/月)3.07±2.05(39)
2.61[0.9,10.1]
2.52±0.94(25)
2.23[1.0,4.3]
治療期における月間HAE発作回数(回/月)0.27±0.68(39)
0.00[0.0,3.8]
2.01±1.34(24)
1.35[0.2,4.4]
p値注2)<0.001
治療期6ヵ月間における副作用は、本剤群で39例中4例(10.3%)、プラセボ群で25例中3例(12.0%)に発現した。主な副作用は注射部位反応であり、本剤群で2例(5.1%)に注射部位紅斑、注射部位内出血及び注射部位そう痒感が各1件認められ、プラセボ群で2例(8.0%)に注射部位紅斑が2件認められた5)6)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は活性型血液凝固第XII因子(FXIIa)の触媒ドメインに結合し、その触媒活性を阻害する。第XII因子は接触活性化経路で最初に活性化される因子であり、炎症性ブラジキニン産生カリクレイン−キニン系を開始する。本剤はプレカリクレインからカリクレインへの活性化を抑制し、それに続く遺伝性血管性浮腫の発作における炎症及び腫脹に関連するブラジキニンの生成を抑制する7)
18.2 薬理作用
18.2.1 In vitro薬理試験において、62.5nMのヒトFXIIa存在下におけるガラダシマブのFXIIa活性阻害に対するIC50は15nMであった8)
18.2.2 In vitro薬理試験において、デキストラン硫酸による接触相活性化後のヒト血漿中のブラジキニン産生を阻害した8)
18.2.3 In vivoマウス受動的アナフィラキシーモデルにおいて、ガラダシマブは血管透過性の亢進を抑制した8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ガラダシマブ(遺伝子組換え)

一般的名称 ガラダシマブ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Garadacimab(Genetical Recombination)
分子式 C6470H10004N1724O2022S42
分子量 約149,000
理化学知見その他 ガラダシマブは、遺伝子組換え抗活性型血液凝固第XII因子(FXIIa)モノクローナル抗体であり、ヒトIgG4に由来し、H鎖の1つのアミノ酸残基が置換(S237P)されている。ガラダシマブは、CHO細胞により産生される。ガラダシマブは、456個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ4鎖)2本及び215個のアミノ酸残基からなるL鎖(λ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約149,000)である。
KEGG DRUG D12613

20. 取扱い上の注意

20.1 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2 凍結を避けて、冷蔵庫(2〜8℃)で保存すること。冷蔵庫から出した後は25℃以下で保存し、使用期限を超えない範囲で2ヵ月以内に使用すること。冷蔵庫の外で保存した場合は、再び冷蔵庫に戻さないこと。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

1ペン

23. 主要文献

  1. 社内資料:毒性試験の概要(2025年2月20日承認、CTD2.6.6.6)
  2. 社内資料:臨床概要(2025年2月20日承認、CTD2.7.4.3)
  3. 社内資料:臨床薬理試験(2025年2月20日承認、CTD2.7.2.5)
  4. 社内資料:臨床薬理試験(2025年2月20日承認、CTD2.7.2.3)
  5. Craig,T.J.,et al., Lancet, 401 (10382), 1079, (2023) »PubMed
  6. 社内資料:臨床概要(2025年2月20日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.1及び2.7.4.2)
  7. 社内資料:非臨床試験の概要(2025年2月20日承認、CTD2.4.1)
  8. 社内資料:薬理試験の概要(2025年2月20日承認、CTD2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
CSLベーリング株式会社 くすり相談窓口
〒107-0061 東京都港区北青山一丁目2番3号
電話:0120-534-587
製品情報問い合わせ先
CSLベーリング株式会社 くすり相談窓口
〒107-0061 東京都港区北青山一丁目2番3号
電話:0120-534-587

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売(輸入)
CSLベーリング株式会社
東京都港区北青山一丁目2番3号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版