野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者注)632例(プラセボ群211例、本剤群421例)を対象とした30ヵ月間の二重盲検プラセボ対照試験*1を実施した。本剤の用法・用量は800mg 1日2回とした。このうち、ベースライン時のeGFRが30mL/min/1.73m2以上の患者611例(プラセボ群202例、本剤群409例)が有効性の主要な解析対象集団とされた。
投与開始12ヵ月後以降はタファミジスメグルミン又はタファミジスを併用可能とされ、併用割合はプラセボ群22.8%(46例)、本剤群14.9%(61例)であった。
Part Bの主要評価項目である「投与開始30ヵ月後までの死因を問わない死亡割合、心血管事象に関連する入院頻度、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)のベースラインからの変化量、及び6分間歩行距離のベースラインからの変化量から構成される階層的複合エンドポイント」について、本剤群でプラセボ群と比べて統計学的に有意な差が認められた(p<0.0001(有意水準4%(両側)
*2)、Finkelstein-Schoenfeld法)。主要評価項目の構成要素別の結果を下表に示す。
表 投与開始30ヵ月後までの主要評価項目の構成要素別の結果(mITT)
| | プラセボ群 (202例) | 本剤群 (409例) |
死因を問わない死亡 (発現割合%(発現例数)) | 25.7(52) | 19.3(79) |
生存例における心血管事象に関連する入院頻度(回/年) 平均値±標準偏差(発現例数/対象例数) | 0.293±0.5751(50/150) | 0.132±0.3257(68/330) |
| NT-proBNP(pg/mL) |
| ベースライン値 | 2650.11±1899.482(202) | 2865.33±2149.639(409) |
| 投与開始30ヵ月後の測定値 | 4348.33±4758.130(133) | 2853.70±2876.953(280) |
ベースラインに対する比 調整幾何平均値[95%信頼区間]a | 2.771[2.485,3.091] | 1.465[1.356,1.583] |
| 6分間歩行距離(m) |
| ベースライン値 | 351.51±93.828(202) | 362.78±103.501(407) |
| 投与開始30ヵ月後の測定値 | 322.38±120.916(121) | 365.96±124.734(269) |
ベースラインからの変化量 最小二乗平均値[95%信頼区間]a | −104.29[−119.53,−89.06] | −64.65[−75.45,−53.86] |
また、投与開始30ヵ月後までの死因を問わない死亡割合及び心血管事象に関連する入院頻度のNYHA心機能分類(I/IIとIII)別の部分集団解析の結果、死因を問わない死亡割合(発現例数)はNYHA心機能分類I/II度の集団でプラセボ群24.3%(42/173例)、本剤群17.4%(59/339例)(ハザード比[95%信頼区間]
*3:0.695[0.466,1.036])、NYHA心機能分類III度の集団でプラセボ群34.5%(10/29例)、本剤群28.6%(20/70例)(ハザード比[95%信頼区間]
*3:1.145[0.515,2.546])、生存例における心血管事象に関連する入院頻度(発現例数/対象例数)は、NYHA心機能分類I/II度の集団でプラセボ群0.31回/年(47/131例)、本剤群0.12回/年(55/280例)、NYHA心機能分類III度の集団でプラセボ群0.18回/年(3/19例)、本剤群0.21回/年(13/50例)、全症例における心血管事象に関連する入院頻度(発現例数/対象例数)は、NYHA心機能分類I/II度の集団でプラセボ群0.51回/年(74/173例)、本剤群0.25回/年(87/339例)、NYHA心機能分類III度の集団でプラセボ群0.75回/年(12/29例)、本剤群0.47回/年(22/70例)であった
7)8)。
副作用発現頻度は本剤群で11.9%(50/421例)、プラセボ群で5.2%(11/211例)であった。本剤群の主な副作用として、悪心[本剤群1.4%(6/421例)、プラセボ群0.5%(1/211例)、以下同順]、下痢[1.0%(4/421例)、0%]、発疹[1.0%(4/421例)、0.5%(1/211例)]が認められた
9)。[
5.2、
5.3参照]
*1:二重盲検投与期間のうち投与開始から12ヵ月間がPart A、二重盲検投与期間全体がPart Bとされ、早期承認申請を目的とし検討したPart Aの主要評価項目(6分間歩行距離のベースラインから投与開始12ヵ月後までの変化量)について、プラセボ群と本剤群で統計学的に有意な差は認められなかった。
*2:試験全体の第一種の過誤確率を制御するためにPart Bの主要評価項目の解析に用いる有意水準を4%(両側)とした。
*3:投与群、ベースライン時の6分間歩行距離、ベースライン時のNYHA心機能分類(I/II度/III度)、ベースラインのNYHA心機能分類とベースライン時の6分間歩行距離の交互作用を因子として、病型(野生型/変異型)、スクリーニング時のNT-proBNP(3000pg/mL以下/超)、スクリーニング時のeGFR(45mL/min/1.73m2未満/以上)を層とした層別Cox比例ハザードモデル
日本人の野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者
注)(25例)を対象とした30ヵ月間の非盲検非対照試験を実施した。本剤の用法・用量は800mg 1日2回とした。主要評価項目である「投与開始30ヵ月後までの死因を問わない死亡割合及び心血管事象に関連する入院頻度」について、死亡は認められず、心血管事象に関連する入院頻度(発現例数/対象例数)は0.1329回/年(5/25例)であった
7)。
副作用の発現頻度は12.0%(3/25例)であり、主な副作用として腎機能障害が8.0%(2/25例)、便秘、薬疹が4.0%(1/25例)に認められた
9)。[
5.2参照]
注)主な選択基準は以下のとおりであった。
・以下のいずれかの検査及び遺伝子検査により、野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシスと確定診断された患者
a)心内膜心筋生検で、アミロイドタイピング(免疫組織染色法、質量分析法又は免疫電子顕微鏡法)によりTTRアミロイド沈着が確認されている
b)99mTc-ピロリン酸又は99mTc-ビスホスホネートシンチグラフィ(DPD又はHMDP)により陽性像が確認され、かつ血清及び尿免疫固定法、並びに血清免疫グロブリン遊離軽鎖測定に基づきALアミロイドーシスが除外されている*4
(*4:ALXN2060-TAC-302試験のみ、心臓以外の生検(腹壁脂肪等)によるTTRアミロイド沈着の確認も必要)
・NYHA心機能分類I〜III度で、以下のいずれかの心不全の病歴を有する患者
a)心不全による入院歴を有する
b)心不全による入院歴はないが、容量負荷や心内圧上昇の徴候・症状による心不全の臨床的エビデンス(頚静脈圧上昇、息切れ、X線検査又は聴診での肺うっ血の徴候、末梢浮腫等)を有する
c)利尿薬による治療を必要とした又は継続的に必要とする心不全の症状を有する
・スクリーニング前10年以内に受けた経胸壁心エコー図検査又は心臓MRIによる左室壁(心室中隔又は左室後壁)の厚さが12mm以上である患者