医療用医薬品 : オプフォルダ

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医薬品情報


総称名 オプフォルダ
一般名 ミグルスタット
欧文一般名 Miglustat
製剤名 ミグルスタット製剤
薬効分類名 ポンペ病治療用酵素安定化剤
薬効分類番号 3999
ATCコード A16AX06
KEGG DRUG
D05032 ミグルスタット
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年8月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
オプフォルダカプセル65mg OPFOLDA Capsules 65mg アミカス・セラピューティクス 3999030M2028 6038.2円/カプセル 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

遅発型ポンペ病に対するシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)との併用療法

5. 効能または効果に関連する注意

本剤は2剤併用療法として用いるため、本剤の適用にあたっては、シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の電子添文も参照すること。

6. 用法及び用量

シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはミグルスタットとして体重40kg以上50kg未満の場合は1回195mg、体重50kg以上の場合は1回260mgを隔週経口投与する。なお、食事の前後2時間は投与を避けること。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤を投与してから1時間後にシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の投与を開始すること。
7.2 本剤の曝露量は食事の影響を受けるため、食事の前後2時間を避けて投与すること。[16.2参照]
7.3 本剤の投与後3時間以内にシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の投与を開始できない場合は、最後に本剤を投与してから24時間以上経過後に改めて本併用療法を開始すること。
7.4 中等度以上の腎機能障害患者においては、本剤の排泄が遅延し全身曝露量が増加するため、腎機能の程度及び体重に応じて、下表を参考に用量を調整すること。末期腎不全患者(クレアチニンクリアランス(CLcr)15mL/min未満)に対しては本剤の投与は推奨されない。[9.2.19.2.218.118.2参照]
体重範囲腎機能障害の程度(CLcr:mL/min)
中等度重度
30以上60未満15以上30未満
50kg以上195mg195mg
40kg以上50kg未満130mg130mg

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
9.2.1 中等度又は重度(クレアチニンクリアランス15mL/min以上60mL/min未満)の腎機能障害患者
腎機能の程度及び体重に応じて、本剤の用量を適宜減量すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。[7.418.118.2参照]
9.2.2 末期腎不全患者(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)
投与は推奨されない。本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるが、本剤の臨床推奨用量は検討されていない。[7.418.118.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤及びシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の併用投与中及び最終投与後2週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験において、ラットに本剤60mg/kg/隔日(臨床曝露量の約30倍に相当)を投与した時に着床前胚損失率の増加が、ウサギにシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)175mg/kg/隔日(臨床曝露量の約111倍に相当)及び本剤25mg/kg/隔日(臨床曝露量の約23倍に相当)を併用投与した時に心血管系奇形が報告されている1)2)。[2.29.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで哺乳中の児における影響は不明であるが、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている3)
9.7 小児等
18歳未満の患者を対象とした臨床試験成績は得られていない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上10%未満5%未満
神経系 味覚不全、頭痛、片頭痛、平衡障害、認知障害、振戦
心臓 頻脈
呼吸器 呼吸困難
消化器下痢腹部膨満、悪心、腹痛、腹部不快感、便秘、鼓腸、食道痙攣、直腸出血
筋骨格系 筋痙縮、筋力低下、筋骨格硬直、筋肉痛
全身及び局所反応 発熱、顔面痛
臨床検査 血中尿素増加、リンパ球数減少
 眼瞼痙攣

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 遅発型ポンペ病患者を対象とした投与
酵素補充療法の治療歴のある遅発型ポンペ病患者に本剤とシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を隔週で反復併用投与したときの投与1回目及び3回目の本剤の薬物動態パラメータを表1に示す4)。(外国人データ)
表1 ミグルスタットの薬物動態パラメータ
シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の用量a(mg/kg)20202020
本剤用量b(mg)130130260260
投与回数1313
例数11111011
Cmax(ng/mL)1527(26.0)1505(23.9)2665(31.8)3089(28.8)
AUC0-t(ng・h/mL)11759(24.0)11947(24.6)22860(33.4)23492(30.0)
tmax(h)3.5[1.5,5.0]3.0[1.5,4.0]4.0[2.0,5.0]3.0[0.9,4.1]
t1/2β(h)6.0(18.7)6.1(28.6)6.4(16.2)5.9(18.1)
CL/F(L/h)10.3(21.5)10.1(21.7)10.5(27.5)10.4(25.6)
V/F(L)89.7(31.2)88.3(38.7)97.5(31.9)88.5(35.3)
16.2 吸収
食事によりCmaxが36%低下しtmaxが2時間遅延したが、AUCへの大きな影響はみられなかった5)。[7.2参照]
16.3 分布
16.3.1 分布容積
ミグルスタットの消失相の分布容積は約90Lであった4)
16.3.2 蛋白結合率
In vitro試験において蛋白結合率を検討した結果、血漿蛋白との結合は認められず、赤血球に対する結合率(平均値)は38.8%であった6)
16.4 代謝
In vitro試験で各CYP分子種(CYP1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4及び4A11)に対する阻害作用を検討した結果、CYP1A2及び2E1ではわずかな阻害作用が認められたが、他のCYP分子種では阻害は認められなかった7)
16.5 排泄
本剤65mg経口投与後、投与量の約66%が尿中に回収され、腎クリアランスは約7.4L/hであった8)
14C]-ミグルスタット100mgを健康成人6例に単回投与したとき、放射能の83%が尿中、12%が糞中から回収された。尿中及び糞中から数種類の代謝物が同定された。尿中に多量に存在した代謝物はミグルスタットグルクロニドで、投与量の5%に相当する9)。(外国人データ)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者、遅発型ポンペ病患者等(112例)にミグルスタットを単独又はシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)と併用で投与したときの血漿中ミグルスタット濃度に基づく母集団薬物動態解析を用いて、本剤及びシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を臨床推奨用量で投与したときの腎機能障害の程度の異なる被験者(CLcrの測定値に基づいて分類)における薬物動態パラメータの推定値を腎機能が正常な被験者と比較検討した結果を表2に示す10)
表2 腎機能障害及び腎機能正常被験者の薬物動態パラメータの比較(推定値)
腎機能障害の程度中央値の比
(腎機能障害/腎機能正常)
CmaxAUC0-24h
軽度(CLcr 60-90mL/min未満)/正常1.171.21
中等度(CLcr 30-60mL/min未満)/正常1.271.32
重度(CLcr 15-30mL/min未満)/正常1.341.41

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 遅発型ポンペ病を有する成人患者を対象とした二重盲検無作為化国際共同第III相試験
酵素補充療法の治療歴のある及び治療歴のない遅発型ポンペ病患者を対象として、シパグルコシダーゼ アルファ(1回体重1kgあたり20mgを隔週点滴静脈内投与)と本剤(体重40kg以上50kg未満の場合は1回195mg、体重50kg以上の場合は1回260mgを隔週経口投与)(本併用群)又はアルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)とプラセボ(対照群)を52週間投与し、有効性及び安全性を比較した。主要評価項目である6分間歩行距離(以下、「6MWD」)(m)のベースラインから投与52週時までの変化量は表1のとおりであり、本併用の対照に対する優越性は示されなかった。また、副次評価項目である座位努力性肺活量の予測正常値に対する割合(%)のベースラインから投与52週時までの変化量の平均値±標準偏差(評価例数)は、本併用群で−1.14±6.32(74例)、対照群で−3.63±4.70(32例)であった11)
表1 ベースラインから投与52週時までの6MWDの変化量
評価項目本併用群
(85例)
対照群a
(37例)
ベースライン357.93±111.84(85例)350.95±121.32(37例)
投与52週時376.41±122.93(81例)359.70±137.36(36例)
投与52週時の変化量20.56±42.27(81例)8.02±40.56(36例)
対照群との群間差b
[95%信頼区間]片側p値b,c
14.21[−2.60,31.02]p=0.048
本併用群での副作用は投与52週時までに30.6%(26/85例)に認められ、主な副作用は頭痛7.1%(6/85例)、下痢5.9%(5/85例)であった11)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤はイミノ糖であり、血中でシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)と結合して物理的安定性を高め、変性や不活性化を抑制すると考えられる12)。シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)と本剤の結合は一過性であり、結合された状態でライソゾームへ送達され、ライソゾーム内で解離すると考えられるが、本剤はシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の活性部位と結合すると考えられることから、生体内での本剤の曝露が過剰となる場合、グリコーゲン低下作用が減弱する可能性がある。[7.49.2.19.2.2参照]
18.2 薬理作用
ポンペ病動物モデルである酸性α-グルコシダーゼノックアウトマウスにおいて、シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)20mg/kgと本剤0〜30mg/kgを併用投与したとき、シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)単独投与時と比較して、骨格筋のグリコーゲン量の低下作用は、本剤10mg/kg併用時までは用量依存的に大きくなる傾向が認められたが、本剤30mg/kg併用時のグリコーゲン量の低下作用は、本剤10mg/kg併用時よりも減弱する傾向が認められた。なお、本剤10mg/kgを単独で投与したとき、骨格筋のグリコーゲン量の低下作用は認められなかった13)。[7.49.2.19.2.2参照]

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ミグルスタット

一般的名称 ミグルスタット
一般的名称(欧名) Miglustat
化学名 (2R,3R,4R,5S)-1-Butyl-2-(hydroxymethyl)piperidine-3,4,5-triol
分子式 C10H21NO4
分子量 219.28
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末
KEGG DRUG D05032

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

4カプセル[ボトル、バラ]
24カプセル[ボトル、バラ]

23. 主要文献

  1. 社内資料:受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験(8371927)(2025年6月24日承認、CTD2.6.6.6.1)
  2. 社内資料:ウサギにおける胚・胎児発生に関する試験(8371931)(2025年6月24日承認、CTD2.6.6.6.2.4)
  3. 社内資料:非臨床薬物動態試験(2025年6月24日承認、CTD2.6.4.3.2.10)
  4. 社内資料:ポンペ病患者における薬物動態試験(ATB200-02)
  5. ブレーザベスカプセル100mg申請資料概要:食事の影響試験(2012年3月30日承認、CTD2.7.6.2.4)
  6. ブレーザベスカプセル100mg申請資料概要:血漿蛋白及び赤血球とのin vitro結合試験(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.1.1)
  7. ブレーザベスカプセル100mg申請資料概要:ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.1.3)
  8. 社内資料:健康成人における尿中薬物動態(AT2221-01)(2025年6月24日承認、CTD2.7.1.2.1.4.2)
  9. ブレーザベスカプセル100mg申請資料概要:健康成人における[14C]-ミグルスタット経口投与後の吸収及び排泄(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.2.1.1)
  10. 社内資料:内因性要因の検討(2025年6月24日承認、CTD2.7.2.2.2.2.3)
  11. 社内資料:ポンペ病患者における臨床試験(ATB200-03)(2025年6月24日承認、CTD2.7.6.4、CTD2.7.3.2.2.3.4)
  12. 社内資料:非臨床薬理試験(2025年6月24日承認、CTD2.6.2.2.1.1)
  13. 社内資料:非臨床薬理試験(2025年6月24日承認、CTD2.6.2.2.1.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アミカス・セラピューティクス株式会社 コールセンター
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目6番2号 新丸の内センタービルディング19階
電話:フリーダイヤル 0120-907-477 受付時間:9:00〜17:00(土・日・祝日及び会社休日を除く)
製品情報問い合わせ先
アミカス・セラピューティクス株式会社 コールセンター
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目6番2号 新丸の内センタービルディング19階
電話:フリーダイヤル 0120-907-477 受付時間:9:00〜17:00(土・日・祝日及び会社休日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
アミカス・セラピューティクス株式会社
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目6番2号 新丸の内センタービルディング19階

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版